遂に命蓮寺に辿りついた一同。
しかし、門の前にはナイトゴーントの見張りが立っていた。
真尋「くそ………どうやって入ればいいんだ?」
雪泉「迂闊に入れませんね」
魔理紗「ところで、銀時とニャル子は?」
二人がいない事に気付いた魔理紗であったが、ジョルノがすぐに答えた。
ジョルノ「二人で「トイレに行ってくる」って」
魔理紗「こんな時にかよ!?」
―ギャグ要素の強いキャラはシリアスをコミカルに変える!―
どうやって侵入するかを考えていた一同で合ったあったが、
銀時「どうだ?」
ニャル子「何か策はありましたか?」
銀時とニャル子がトイレから戻って来た。
霊夢「緊張感がないわね。 こんな状況で……」
するとその時であった。
ナイトゴーント「はい、もしもし」
ナイトゴーントの一体が、無線で連絡を取り合っていた。
真尋「というか、アイツ等って喋るんだっけ?」
ニャル子「作者の都合です」
銀時「細けぇ事は気にすんな」
魔理紗「気にするから、あとメタいぞ」
そんな中、ナイトゴーントが声を荒げた。
ナイトゴーント「何ぃ!? 本殿に入る為の鍵を盗まれた!? 何やってんだバカヤロー!」
ジョルノ「揉めてますね?」
雪泉「何かあったんでしょうか?」
ナイトゴーント「とにかく、今からそっちに向かうぞ!!」
そう言って見張り二人は、そのまま現場を後にした。
銀時「よし、早く行くぞ!」
こうして彼等は、命蓮寺の門を潜ったのだった。
潜り込んだのは良いが、敷地内には敵の気配が無かった。
ジョルノ「おかしい……敵が一人もいないなんて……」
銀時「全員下痢気味で、便所に行ってんじゃねぇのか?」
真尋「あり得ないから」
辺りを見渡しながらも、無事に本殿の前に辿りついた。
しかし、敵もバカではない。
ご丁寧に、扉には鍵が掛っていた。
霊夢「思った通りね。 どうする? 別のルートから侵入する?」
雪泉「ですが、そんな時間は無いですよ」
当麻「どうすんだよ!? このままだと、連中に見つかるぞ!?」
頭を悩ます当麻達であったが、銀時とニャル子が鍵穴で何かを行っていた。
ニャル子「大丈夫ですよ、当麻さん」
銀時「ニャル子の言うとおりだ。 連中は鍵泥棒に気を取られてんだ」
ニャル子「私達が侵入してる事なんて気付いてませんって」
銀時「しっかし、全然合わねぇな。 もしかしてコイツか?」
ニャル子「これじゃないでしょうか?」
銀時「これでもねぇぞ」
真尋「…………」
鍵を一本一本、扉の鍵穴に挿し込む銀時とニャル子。
それを見た真尋は、思わず叫んでしまう。
真尋「絶対に気付くぞぉぉぉ! だってここに鍵泥棒がいるんだから!!」
銀時「え、何処!?」
ニャル子「誰なんですか!?」
真尋「お前等だよ! 何で驚いた顔してんだよ!?」
本気で驚く鍵泥棒二人に、真尋は容赦無いツッコミを放った。
しかしこの二人は、真顔でこう答えたのである。
銀時「失敬な、俺達は泥棒なんざしてねぇぞ!」
ニャル子「そうですよ真尋さん! 私達は落ちてたのを拾っただけです!」
銀時「そうそう、ちゃんと返すからね!」
だが背後の回想シーンには、二人がナイトゴーントを気絶させる姿が映った。
真尋「落ちてたって、どう見ても邪神が落ちたんだけど!」
こうして彼等は、無事に寺の中へと入ったのだった。
中を見渡すが、敵が襲いかかる気配が全く無かった。
ジョルノ「おかしい、何で誰も襲いかからないんだ?」
銀時「だが、逆に好都合だぜ」
ニャル子「はい、ここからは変装していきますよ!」
そう言って二人は、すぐさま着替えたのである。
真尋「変装って、一体誰に化けんだよ?」
真尋は疑問を感じたが、暫くして銀時とニャル子の着替えが終わった。
ニャル子「さて、コレで準備完了です!」
因みに、二人が着替えたのは、
銀時「いいか、今から俺とニャル子はパジャマの戦闘員。 お前等は連行される侵入者でいくからな」
昔の映画の囚人が着てそうな、黒と白の縞模様のパジャマであった。
真尋「さっきとあんま変わんねぇぇぇ!!」
これには流石の真尋も、ツッコまざるおえなかった。
真尋「何でパジャマなんだよ! どういう事だよ!?」
ニャル子「仕方ないんですよ。 夜勤明けだったのか、あのナイトゴーントが着てたんですよ」
銀時「しっかしアイツ等、こんなパジャマ着てたんだな」
先程の回想シーンで二人に気絶されたナイトゴーントは、今度はパジャマ姿になっていた。
真尋「パジャマの柄がややこし過ぎる!!」
本気でそう思った真尋であった。
霊夢「というか、どう見たって逆に目立つでしょうが!!」
霊夢も容赦ないツッコミを放つが、銀時とニャル子は額に鉢巻きを着け、手には棒を持った。
銀時「大丈夫だって、こうやって鉢巻きと棒を持てば……」
ニャル子「結構なパジャマの戦闘員に見えますよ」
当麻「どう見ても未確認生物だから!」
ニャル子「では戦闘員の線は止めますか」
銀時「そうだな、ここは……」
暴徒鉢巻きを捨て、銀時とニャル子は枕を手に持った。
銀時&ニャル子「枕とお化けなんてないさで、パジャマっ子で!」
真尋&当麻「何でパジャマっ子が侵入者を連行してんだぁぁぁぁ!!」
これには真尋と当麻がツッコミを入れたのだった。
そして暫く中を探索するが、敵の姿は全く見当たらない。
当麻「おい、マジで誰もいねぇの?」
ジョルノ「おかし過ぎる」
雪泉「やはり、罠だったんでしょうか?」
すると銀時とニャル子は、当たり前の様にこう言った。
銀時「バァ〜カ。 罠なワケがねぇだろ」
ニャル子「そうですよ。 コレは断じて、罠とは言いません」
しかし、その時であった。
ゴガァンと、彼等の背後からシャッターが下ろされた。
全員「…………」
コレを見た全員が沈黙するが、
真尋「オイィィィ! 明らかにコレって罠だろうがァァァ!!」
遂に真尋が叫んでしまった。
しかし銀時とニャル子は、異常なほどの平常運転であった。
銀時「何言ってんだ? ありゃオートロックだよ」
ニャル子「そうですよ、どう見たってオートロックですよ」
雪泉「これの何処がオートロックですか!?」
当麻「どう見ても罠だろうが!!」
するとその時であった。
ウィィーンと、天井からモニターが出現し、
??『やあ、侵入者諸君』
一人のニャルトラチホテプ星人が画面に映った。
ニャル彦『私はニャルトラルホテプ星人のニャル彦だ』
短い銀髪に眼鏡を掛けたニャル彦は、見下すような目で彼等を見る。
ニャル彦『しっかし君達は運が悪い。 なんせこの寺には、キミ達を恐怖に陥れる為のわ――』
しかし彼が全て言い終えようとした瞬間、ガシャァンと銀時とニャル子がモニターを破壊した。
最初は沈黙だったが、当麻がツッコミを入れた。
当麻「オイィィィィ! 今、明らかに『罠』って言いかけたぞアイツ!?」
銀時「バーカ、んなワケがねぇだろ?」
ニャル子「そうですよ。 あれは「私のワイフはどうですか?」と言いたかったんですよ」
当麻&真尋「英語の教科書か!!」
すると、別のモニターが出現し、画面に映ったニャル彦がキレた。
ニャル彦『お前等ぁぁぁぁ!! 人が良い終わる前に壊すか普通は!? 良いか、良く聞け! ここから先は、私が資金の半分を注ぎ込んで作ったわ――』
しかし、またしても銀時とニャル子にモニターを壊されたのだった。
インデックス「是が非でも罠とは認めないつもりなんだ」
オティヌス「なんて負けず嫌いな奴らだ」
本気で呆れたインデックスとオティヌスであった。
気を取り直し、一同は此処から先の通路を警戒する。
ジョルノ「とにかく、ここから先は罠に気をつけましょう」
魔理紗「了解だぜ!」
しかし、その時であった。
魔理紗が横の壁に手を押した瞬間、ガコンという音が聞こえた。
ジョルノ「へ?」
ネプテューヌ「今、ガコン――って……」
まさにその時であった。
天井から巨大な丸太が、振り子の要領で襲いかかって来たのだ。
当麻「不幸だァァァァ!!」
思わず叫んでしまった当麻であったが、まさにその時であった。
銀時&ニャル子「フン!」
バキィと、銀時の木刀とニャル子のバールによるクロスアタックが、丸太を破壊したのだった。
ノワール「す、凄い……」
誰もがそう思うが、二人はこんな会話をしていた。
ニャル子「銀さん、これは断じて罠とは言いませんよね?」
銀時「当たり前ェだ。 コイツは罠とは言わねぇ。 コレは……」
銀時&ニャル子「悪戯だぁぁぁ!!」
最後はそう言って、二人は先へと進んだ。
ニャル子「私達大人は、子供の悪戯に付き合う義務がある! そうですよね、銀さん!」
銀時「ああ、そうだ! 最近のガキは頭を使う事を知る事で、更なる才能を伸ばす事が出来る!! そして大人にはそれに付き合う義務がある!!」
ニャル子「そう、つまり!」
銀時「コイツは断じて!」
銀時&ニャル子「罠とは言わなぁぁぁい!!」
全ての罠を破壊した二人に、一同は思わず拍手をしてしまう。
銀時「フン」
ニャル子「チョロイもんですね」
しかし頭上から、大きな石板が落ち着て来たが、
銀時&ニャル子「うおっ!?」
二人はすぐさま受け止め、
ニャル子「ほ……本当に……」
銀時「可愛い悪戯だぜ」
汗だくになりながらもそう言った。
そんな二人に、真尋はここからこう思った。
真尋「ホントに可愛い奴らだな」
全ての罠を突破し、廊下を駆けていく霊夢達。
すると彼等は、奥の扉から光が漏れているのを発見する。
ニャル子「あの扉のようですね!」
全員が扉を開けると、そこには一人の男がいた。
??「どうやら、来たようだな」
そして男の後ろには、命蓮寺の面々が十字架に貼り付けられていた。
魔理紗「聖に星……ナズーリンまで!」
銀時「テメェ、何モンだ!」
??「フフフ……」
その瞬間、男の背中から蜘蛛の節足の様な爪が4本出現した。
アトラ「我が名はアトラク=ナクアのアトラ! この世界を作りかえる組織『覆い尽くす混沌』の一角『ニャルラト三獣牙』の一人だ!」
それを聞いた銀時は、左手で右腕を抑えながら叫んだ。
銀時「痛いよ痛いよお母さぁ〜ん! ここに頭打った人がいるよぉ〜」
それを聞いたアトラは、青筋が浮かび上がるほど怒りを露わにする。
アトラ「早速だが、お前から殺してやる!」
背中の節足を動かし、アトラは銀時に襲いかかる。
しかし、銀時は木刀で弾いた。
銀時「おいおい、初対面の相手に攻撃たぁ失礼じゃねぇか?」
その瞬間、彼から放たれた殺気がアトラに放たれた。
アトラ「(な、なんだ!? コイツから放たれた殺気は!?)」
銀時「言っとくが邪神様……テメェが相手すんのは、人間じゃねぇぜ?」
その瞬間、銀時は地を駆けたのだった。
アトラの節足は銀時に襲いかかる。
しかし銀時は、それを木刀だけで弾いていく。
既に距離は縮まっていき、
銀時「オラァ!」
ドガァと、凄まじい一突きが放たれた。
アトラ「グガァァァ!」
この一撃にアトラは壁へと激突する。
アトラ「(な、何だこの男は……に、人間と戦ったような気がしない……これは……)」
この瞬間、アトラは気付いた。
自分が戦っている相手は、人間ではない。
目の前にいるのは、一匹の『
夜叉』であると。
攘夷戦争時代、銀時はその強さから『白夜叉』の二つ名を持っていた。
銀時「ウオォォォォォ!」
その男、銀色の髪に血を浴び、
アトラ「(か、勝てる気がしない……)」
戦場を駆ける姿は、まさしく夜叉――。
ドガァと、銀時の渾身の一撃が決まり、
アトラ「(売るべきじゃなかった……本物の
夜叉に、邪神が敵うワケが………)」
地に倒れたアトラは、その場で気絶したのだった。
そんな中、真尋は心から思った。
真尋「あれ? この勝負、早ないか?」
それを聞いた当麻は、彼の肩に手を置くと、
当麻「気にしたら負けだぞ?」
そう呟くのだった。
命蓮寺とは別の場所。
ニャル彦「フフフフ……遂に完成した」
そう言ってニャル彦は、巨大な魔法陣の前に立っていた。
そして彼が呪文を唱えた瞬間、魔法陣が黒く光り出したのだ。
その瞬間、一つの人影が出現した。
現れたのは、一人の金髪の男である。
??「………キミか? 私を甦らせてくれたのは?」
ニャル彦「はい、私はニャルトラルホテプのニャル彦と申します」
??「ほう、あのクテュルー神話の邪神か? では、宜しく頼む」
果たして、男の正体とは?