作者:亀鳥虎龍
2015/08/28(金) 19:35公開
ID:UWlCjzOLp/.
ジョルノからある事を頼まれた紫は、それを承諾する。
紫「分かったわ。 それとジョルノ君、これを」
ジョルノ「ん?」
彼女から渡されたのは、一枚のカードであった。
ジョルノ「これは?」
紫「スペルカードよ。 今は
白紙になってるけど、アナタの力になるはずよ」
ジョルノ「では、使わせて貰います」
―GIOGIOvsDIO・そのA―
紅魔館にて、ジョルノとDIOの激戦が始まった。
ゴールド・E「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
ザ・ワールド「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
凄まじいパワーとスピードにより、二人のスタンドの拳がぶつかり合う。
ゴールド・E「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
ザ・ワールド「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
連打のぶつかり合いは、互いの本体が宙へと浮き上がるほどであった。
パープルハート「ジョルくんも飛んでる!? スタンド使いって、何でもアリなの!?」
この光景に、パープルハートは驚きを隠せなかった。
ゴールド・E「URYYY!」
『ゴールド・エクスペリエンス』が拳を放つが、『
世界』はそれを避け、顔に一撃を放った。
勿論、そのダメージはジョルノにも跳ね返った。
ジョルノ「くっ!」
DIO「フフフ……やはり『
世界』の方がパワーとスピード、そして精密さ共に上だったな。 もう十分だ、満足だ。 一気にトドメを刺させて貰うぞ!」
ジョルノ「うおぉぉぉぉ!」
DIO「ジョースターの血統に対しては、手加減無用! 容赦無し! 全力で殺すと決めている!! ジョルノ! 貴様を始末するのはやはり、『
世界』の真の能力!!」
その瞬間、『
世界』の能力が発動され、
DIO「『
世界』! 時よ止まれぇ!!」
全ての時が止まったのだった。
時が止まり、その中をDIOだけが動けた。
DIO「ククク……これで、この世界を手にする第一歩に近付いた」
ジョルノに近付くと、勝利を確信した笑みをする。
DIO「さらばだジョルノ! ジョースターの精神を継ぐ、我が息子よ!!」
手刀を放とうとしたが、まさにその時であった。
ピクリと、ジョルノの手が動いたのである。
DIO「な、何ィ!? 動いた! 今、コイツの手が動いた!?」
コレを見たDIOは、咄嗟に後ろへと退いてしまう。
DIO「ジョルノ……こいつ……動けるのか!? それとも、無意識に動かしただけなのか!?」
ジョルノ「………」
全く動かないジョルノに、DIOは疑心暗鬼になったが、
DIO「チィ、時間切れか」
時間停止が制限を切ったのだった。
時が動き出したし、DIOはジョルノを睨む。
DIO「動けるのか、ジョルノ……」
ジョルノ「ん? 何の事だ?」
DIO「動けるのかと聞いているんだ!!」
ジョルノ「何を言ってるのか、分からないな」
するとジョルノは、そのまま上へと飛び上がったのだった。
DIO「良いだろう! 貴様が動けようが関係ない! 全力で始末するだけだ!!」
そう言ってDIOは、すぐさまジョルノを追った。
DIOが時を止められるようになったのは、生前の事である。
100年の眠りから目覚め、それから半年が経った時だった。
スタンドのパワーとスピード、そして精密さを試す為、部下に散弾銃を撃たせた。
その瞬間、弾丸が目の前で静止したのだった。
最初はDIO自身、幻覚かと思っていた。
訓練されたボクサーが相手の動きがスローモーションに見えた様に、事故に遭った人間が脳内のアドレナリンの分泌によって全てが止まって見える『アレ』だと思ったのだ。
しかし『
世界』は全体で弾丸を回り込み、指でその一つを掴み取ったのだ。
そう、幻覚ではなかったのだ。
この事を嘗ての部下『エンヤ婆』に伝えると、彼女は自分の事のように喜びながらこう言ったのだった。
エンヤ婆(DIO様! アナタはこの世の帝王! 時を止められるのは当然の事ですじゃ!! もっと時を止める事を認識しなされ! 時を止める事は即ち、人間が息をする事と同じ! HBの鉛筆をベキッと折る事と同じですじゃ!! 大事なのは、時を止められる事を認識する事ですじゃ!!)
そして時が止まった事を認識した瞬間、時の歯車が『
世界』とガッチリ噛み合ったのだった。
DIO「このDIOは、全ての生物とスタンドを! ぶっちぎりで超越したのだぁ! 今度こそ終わらせてやる! 『
世界』! 止まれ時よォ!!」
そして再び、時が止まったのだった。
再び時が止まり、DIOはジョルノへと近づいていく。
手を近付けると、ジョルノの手も動き出す。
DIO「フフ……フフフ……」
しかし、コレを見たDIOは笑い出した。
DIO「フハハハ……ハーーーハハハハハ!!」
するとDIOは、袖に付いていた『何か』をジョルノに近付ける。
そしてそれは、彼の袖に付いていた『何か』とくっ付いたのだった。
DIO「磁石を付けていたか……さっきのパワー比べの時に、私の袖に付けたか。 まさか、承太郎と同じ手口を仕掛けるとはな。 久々に騙された」
生前を思い出しながらも、DIOは再び勝利の笑みを見せた。
DIO「しかし、それは貴様の寿命がほんの少しだけ伸びたにすぎん!! これで終わりだ、ジョルノぉぉぉ!!」
『
世界』の拳が放たれようとしたが、まさにその瞬間だった。
バシィと、『ゴールド・エクスペリエンス』がそれを防いだのだ。
DIO「何ィ!?」
ゴールド・E「無駄ぁ!」
そして反撃の一撃が腹部へ放たれ、ダメージを受けたDIOは急降下で落ちてしまう。
DIO「ま、まさか!? コイツ、動けるのか!? 承太郎と同じように、磁石で俺を引き寄せるつもりで!?」
ドガァと、DIOは壁をぶち抜いて吹っ飛んだ。
それを確認したジョルノは、一旦紅魔館の屋根へと着地した。
ジョルノ「何とか……何とか動けた……ほんの一瞬だけだが……」
するとジョルノは、パチュリーから貰った腕を思い出す。
ジョルノ「この腕輪……時の力を……時を操る魔法が掛かっているようだな……何か、凄いものを借りた気がするよ」
そう思いながらも、ジョルノは屋根を降りたのだった。
地面へと降りて館内を確認すると、そこにはDIOが立っていた。
ジョルノ「どうやら、本気で頭を潰さないと効果は無いようだな」
その手には、メイドと思われる女性の妖精が息絶えていた。
恐らく、彼女から血を吸い取ったと確認できた。
ジョルノ「……それにしても、エネルギーの回復は済んだようだな。 風穴を開けた腹が元に戻ってる」
その瞬間、DIOの姿が消えた。
しかしジョルノは、それを目で追ったのだった。
DIO「目で追ったな? 止まった時の中を……何をしたかは知らんが、貴様も止まった時の世界に入門出来たようだな」
ジョルノ「お陰さまでな」
DIO「まさか、この首から下のジョナサンの肉体が、我等親子を引き寄せたというべきか……。 このDIOも子孫を残そうと、自分と同じ性質を持った女を何人か孕ませたが……まさかその子供の一人が、ジョースターの血統を受け継ぐ形で生まれるとはな」
再び時を止め、別の場所へと移動したDIO。
勿論、ジョルノもその後を追う。
DIO「まあ、そんな事はどうでもいがな。 問題はジョルノ、お前が止まった時の中で、どのくらい動けるかという事だ。 もしかすると、私と同じ11秒動けるのに、動けないフリをしているんじゃあないかとな」
それを聞いたジョルノは、タラリと冷や汗を流してしまう。
ジョルノ「(不味いな……DIOはそこまで動けるのか。 さっきのは無我夢中だったから、動けるのは一瞬だけだ。 この一瞬で勝負するしかない)」
DIO「まあ、知られたくないのは当然だな。 私の推測では、お前が動けるのは一瞬だと思う。 だが例え一瞬でも、止まった時の中で貴様に近付くというのは賢い者のする事ではない。 私の方が圧倒的に有利だとしてもだ」
ジョルノ「…………」
しかし、次の瞬間だった。
DIO「そこでだジョルノ! 貴様が何秒動けようとも関係ない処刑を思いついたぞ!!」
なんとDIOは、両手や腰に数えきれない量のナイフを構えた。
ジョルノ「なっ!?」
これを見たジョルノは、全身が凍るほど顔を青ざめた。
DIO「青ざめたな? このナイフは咲夜という娘から頂いてきたものだ。 コイツを見た貴様は、自分がどんな死に方をするのかを悟ったハズだ!」
ジョルノ「(マズイ! ここは逃げなければ!!)」
咄嗟にジョルノは、スタンドのパワーを活かして上空へと跳び上がった。
しかし、そんな彼にDIOは叫んだ。
DIO「無駄だ! 逃れる事は出来ん! 貴様は
詰みに嵌ったのだ! 『
世界』!!」
そして、時は止まったのだった。
跳び上がると同時に、DIOはジョルノの周囲にナイフを投げつけた。
DIO「さあ、ジョルノ! このナイフの雨を避けられるかァ!?」
投擲されたナイフは、ジョルノの間近でピタリと止まった。
DIO「フフフフ……気付いているのに動けないのは、逆に恐怖だな!」
前後左右に投げられたナイフ。
すれら全てが、ジョルノの間近で止まる。
その瞬間、『ゴールド・E』が拳を振るった。
ゴールド・E「URYYYYYY!!」
しかし、動けるのはほんの一瞬であった故、その場で時が止まった。
DIO「何だ、それだけしか動けんのか? これで一瞬しか動けない事が判明された。 カントダウンだ」
そう言ってDIOは、指を三本立てると、ゆっくりと折り曲げながらカントダウンを行う。
DIO「3……2……1……0……」
そして指を全て折り曲げた瞬間、
DIO「時は動き出す」
再び時は動き出した。
時が動き出すと同時に、ナイフの一斉射撃が放たれた。
ジョルノ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」
『ゴールド・E』の連打が、ナイフを弾き落としていく。
しかし、全てを弾けたワケではなかった。
ドスッと、ジョルノの身体に何本かのナイフが刺さった。
ジョルノ「がっ!」
これによりジョルノは墜落するが、DIOは更なる追い撃ちを仕掛けた。
DIO「終わったな、ダメ押しにもう一本!」
ジョルノ「!?」
残りの一本を投げ飛ばすと、ジョルノの顔へと命中した。
落下していくジョルノを見下ろしながら、DIOは小さく呟く。
DIO「正直言ってジョルノ、お前を殺せてホッとしているぞ。 ジョースターの次なる脅威を、この手で抹殺できたのだからな」
ドォンと地面に落下したジョルノ。
ジョルノ「くっ!」
しかし彼は、辛うじて生きていた。
地面に激突する瞬間、『ゴールド・E』のパンチで衝撃を半減させたのだ。
最後に放たれたナイフも、歯で上手く受け止めていた。
だが、身体にはナイフが刺さっていた。
右肩に一本、右の脇腹に一本、そして左足に一本……合計3本のナイフが刺さっていた。
ジョルノ「(マズイな……飛び道具を警戒して……博麗神社からくすねた本を服の中に忍ばせたが……あんなに投げてくるとは思ってもよらなかった)」
この状況の中、ジョルノは深く考える。
どうやってDIOを攻撃するかを――。
ジョルノ「(どうするか……DIOは僕の生死を確認するために、必ず近づいてくる。 そこを狙うのが最善の策だな。 やれやれだ……)」
するとその時だった。
ジョルノの生死を確認するために、DIOが降りて来たのだ。
DIO「念には念をだ……ヤツもジョースターの血統なら、死んだふりをして生きているかもしれん」
ジョルノ「(!?)」
するとDIOは、偶然見つけた薪割り用の斧を手に取り、
DIO「だから、この斧で首を刎ねて……トドメを刺す」
ジョルノ「(くっ……)」
徐々に近付いていく。
DIO「だが、念のために生死を確認せんとな……。 ヤツの呼吸音は……」
ジョルノ「…………」
息を止め、呼吸をしていない事を認識させるジョルノ。
DIO「……フム、呼吸はしていない……が、心臓の鼓動音はどうかな?」
一度斧を置き、地面に伏せるように耳を当てる。
心臓の鼓動音を聴かれたら、生きている事がバレてしまう。
この時、ジョルノはある行動にでたのだった。
ジョルノ「(ま、マズイな……自分のスタンドで心臓を止める事になるなんて……笑い話にもならない……ぞ……これじゃ………本当………に……死ぬ……)」
なんとスタンドに、自分の心臓を止めさせたのだ。
ジョルノの生死を確認したDIOは、斧を手に持ったのである。
DIO「どうやら、本当に死んだようだな。 だが、念には念を……首を刎ねて、ホントの安心を得なければな……」
ジョルノに近付き、斧を上に上げると、
DIO「最後のトドメだぁ! 死ねぇ、ジョルノォォォ!!」
豪快に斧を振り下ろしたのだった。
ジョルノの首は、その場で刎ねられてしまった――ハズだった。
DIO「な!?」
彼を護らんと、『ゴールド・E』が斧を破壊したのだ。
DIO「何ぃ!?」
拳を強く握り締め、DIOの頭へと放った。
DIO「時を止まれ――がっ!」
時間停止も間に合わず、DIOは渾身の一撃を喰らった。
ジョルノ「ハァ……ハァ……苦労したんだ……アンタが時を止めようが、その頭を打ち抜かせて貰うぜ! DIO!!」
あの時、心臓を止めたジョルノであったが、DIOが近付くと同時に心臓を動かし始めたのである。
それにより、DIOが攻撃するよりも早く復活したのだった。
DIO「何だと――」
ゴールド・E「無駄ァ!」
DIO「グガァァァァァ!」
頭を攻撃されたDIOは、勢い良く吹っ飛んで行ったのである。
ギリギリの賭けに勝ったジョルノは、ゆっくりと立ち上がる。
ジョルノ「やっと……やっとこそヤツの脳天に一発叩きこめた。 だが、安心はできない……DIOは100年も眠りについていた吸血鬼。 あれで死んでいるとは思えない」
すると、彼の隣にスキマが出現し、
紫「ジョルノ君!」
バケツを手に持った紫が現れた。
ジョルノ「紫さん、頼んでいた物は?」
紫「これよ」
バケツを受け取ると、ジョルノはすぐにDIOへと近づく。
頭に一撃を喰らったDIOは、そんなジョルノを強く睨む。
DIO「ヌゥ〜……殺してぇ〜やるぅ〜……」
立ち上がろうとしたが、まさにその時であった。
DIO「!?」
足に力が入らなくなったのだ。
DIO「何ぃ!? あ、足に……足に力が入らないだと!?」
それどころか、体調不良まで感じ取れた。
DIO「頭痛がする! 吐き気もだ!? まさかこのDIOが、気分が悪いとでもいうのか!? 頭を破壊されて、立つ事も出来んというのか!?」
徐々に近づいて来るジョルノに、DIOは危機感を覚えたのだった。
DIO「(マズイ……このままでは、承太郎の時の二の舞になってしまう……何か……何か方法は無いのか!?)」
すると、その時であった。
バシャァと、ジョルノに何かの液体をかけられたのである。
ジョルノ「臭いで分かる通り、ガソリンをかけてやった。 敗者に鞭を打つようなやり方は心が痛むが……いや、全然痛まないか……アンタを野放しにしたら、
幻想郷がメチャクチャにされるからな……業火に焼かれて死にな、DIO」
ライターの火を点け、焼き払おうとしたジョルノ。
しかし、その時であった。
DIO「くくくく………クハハハハハハハ……」
突然、DIOが狂ったかのように笑いだし、
DIO「『
世界』!!」
そして時を止めたのだった。
時を止め、DIOは這いずる様に逃げ出した。
DIO「は、はやく……早く……しなければ……」
ジョルノとの距離を置こうとするが、すぐさま時が動き始めた。
ジョルノ「……不利と感じて、すぐさま逃げるとはな……しかし、逃がすワケにはいかないがな」
DIO「くっ!」
すぐさまジョルノが接近し、振り返って彼を睨む。
ジョルノ「諦めろ、DIO」
DIO「………」
ジョルノ「………」
二人は睨み合い、そして―――、
DIO「時よ止まれ、『
世界』――」
懐からナイフを取り、DIOは投げ飛ばそうとした。
ゴールド・E「無駄ぁ!」
DIO「うぐっ!」
しかし、それよりも速く、『ゴールド・E』の拳が放たれた。
ゴールド・E「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
反撃の隙も与えず、そして凄まじく、
ゴールド・E「URYYYYYYY! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」
そして容赦無く、DIOを吹き飛ばしたのだった。
DIO「グガァァァァ!!」
吹き飛ばされたDIOは、そのままうつ伏せの状態で動かなくなった。
ジョルノ「………やったのか?」
警戒しながらも、ジョルノはDIOへと近づく。
生死を確認しようと、慎重に手を伸ばした。
しかし、まさにその時であった。
DIO「URYYYYY!!」
ジョルノ「!?」
DIOは右腕の腕力だけで跳躍し、左手でジョルノを押し倒したのだ。
ジョルノ「ぐっ!」
DIO「待っていたぞジョルノぉ! 貴様が近付いてくる、この瞬間をなぁぁぁぁ!!」
そしてそのまま右手の指でジョルノの胸を突き刺し、
DIO「搾り取るぞ、貴様の血を!!」
ジョルノ「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」
彼から血を吸い取り始めたのだった。
TO BE CONTINUED...