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幻想伝説譚 第1話:幻想郷へようこそ!
作者:亀鳥虎龍   2015/12/16(水) 12:48公開   ID:sBW/DnTGILc
 幻想郷の中心部となる『博麗神社』。

その巫女である博麗霊夢は……、

霊夢「ハァ、暇ね」

縁側にて、お茶を飲みながら和んでいた。

しかし、その時であった。

「「キャァァァァ!」」

霊夢「――って、えぇぇぇ!?」

突然裂け目から、複数の男女が降って来たのだった。









―幻想郷へようこそ!―









 裂け目から落ちた零児達であったが、

零児「おっと!」

小牟「ほいっと!」

承太郎「――っと!」

十六夜「ほいっと!」

クラウス「フン!」

零児、小牟、承太郎、十六夜、クラウスは上手く着地し、

クラウス「レオナルド君、大丈夫かね?」

レオ「あ、ハイ」

ソニック「ウキ」

レオナルドとソニックはクラウスに抱えられていた。

ザップ「んが!」

プルルート「ヒャッ!」

美野里「うわっ!」

四季「いった!」

夜桜「いっつ!」

叢雲「ぐっ!」

雪泉「きゃっ!」

千鶴「きゃん!」

ザップを下敷きに、他の女性陣が落ちてしまった。

承太郎「やれやれだぜ。 ここは神社か?」

零児「そのようだな」

小牟「さっきの裂け目、一体誰の仕業じゃ!?」

霊夢「ちょっと! 私を無視して話しを進めるな!!」

そう言って霊夢の叫びが響いたのだった。












 魔法の森にある一軒の建物。

その名は『霧雨魔法店』。

この建物の外で、主の霧雨魔理紗は……、

魔理紗「よし、やるぞ!」

興味半分で行った召喚魔法を試したのだが、

魔理紗「あれ、失敗か?」

ガシャァンと、何かが家の中に落ちたような音が聞こえた。

魔理紗「な、何だ!?」

驚いた魔理紗であったが、すぐさまドアを開けると、

ダンテ「――ふぅ〜……、とんでもないトコに落とされたもんだ」

赤いコートの男……ダンテが苦笑交じりにそう言った。










 ゆっくりと腰を下ろすと、ダンテは辺りを見渡す。

ダンテ「………」

その後に、彼は魔理紗に尋ねたのだった。

ダンテ「なあ、お嬢ちゃん」

魔理紗「な、何だ?」

ダンテ「俺の名はダンテだ。 お嬢ちゃんの名前は?」

魔理紗「き、霧雨魔理紗だ」

ダンテ「OK、魔理紗。 ここは魔理紗の家か?」

魔理紗「そ、そうだぜ」

ダンテ「そうか……家の中を散らかして悪いな」

魔理紗「いや、下から散らかってるから、気にしてないぜ」

ダンテ「そいつは良かった。 んで、ここはどこなんだ?」

魔理紗「え? 幻想郷だけど」

ダンテ「ゲンソウキョウ? 初めて聞いたな。 どんなとこなんだ?」

首を傾げたダンテに、魔理紗が分かりやすく説明したのだった。










 幻想郷……それは、現実世界で忘れ去られたものが『幻想入り』する世界。

この世界は人間と妖怪が共存して生きている。

人間は妖怪を恐れ、妖怪は人間に退治される。

そんな幻想郷の中心となっているのが、代々から存在する博麗神社。

この神社の巫女が管理する『博麗大結界』が消えた時、幻想郷は崩壊するとも言われている。

魔理紗から幻想郷の話しを聞いたダンテは、

ダンテ「成程な……つまり俺は、魔理紗の召喚魔法で幻想入りしたって事か」

それをすんなりと受け入れた。

魔理紗「いや、受け入れるのが早くね?」

ダンテ「考えても面白くないからな」

そう言うと彼は、不敵な笑みを見せたのだった。










 その頃、博麗神社では……、

霊夢「成程、話しは大体分かったわ」

零児達の話しを聞き、霊夢は溜息を吐いてしまう。

話しを聞く限り、幻想郷には『八雲紫』という女性の妖怪がいる。

彼女の能力は『境界を操る程度の能力』で、あらゆるモノを『スキマ』と呼ばれる裂け目に出し入れする事が出来るのである。

つまり零児達は、紫によって幻想郷に呼ばれてしまったのだった。

霊夢「紫がアナタ達を招いたって事は、今回の異変が普通じゃないって事ね」

零児「異変? 詳しく教えてくれないか?」

霊夢「ええ、良いわ」

そう言って霊夢は、今回の異変について説明する。

今回の異変は、特殊と呼んでもおかしくないものであった。

吸血鬼の『レミリア・スカーレット』が主を務める館『紅魔館』に、何人かが入っているというものであった。

更に次の日には、迷いの竹林にある屋敷『永遠亭』や、そして地下にある『旧都』でも不審な出来事が起きているのである。

零児「成程な……俺達が招かれたのは、この異変の解決を手伝えって事か……」

雪泉「どうやら、そのようですね」

プルルート「どうするのぉ〜?」

十六夜「やるしかねぇな」

クラウス「これも、何かの縁かもしれない」

承太郎「ああ、やろうぜ」

こうして零児達は、霊夢と供に異変解決に乗り出したのだった。










 同時刻、幻想郷の地獄にて……、

??「……ここは……もしや地獄か?」

オールバックの銀髪に青いコートを羽織った男が、辺りを見渡しながら呟いた。

彼の名は『バージル』。

ダンテの双子の兄であるが、家族の死をキッカケに悪魔として生きる道を選んだ。

バージル「(あの時……ムンドゥスに敗れた俺は……ヤツの傀儡にされ、そしてダンテに敗れて死んだ……)」

己が死んだ経緯を思い返しながら、彼はその足を進めたのだった。

バージル「(川が流れている……という事は、ここが“三途の川”という事か)」

辺りを見渡すバージルであったが、偶然見かけた木の陰で、

??「Zz〜……Zz〜……」

長身で赤い髪、そして和装姿の少女がぐっすり寝ていた。

バージル「(………無視したいところだが、聞きたい事があるしな)」

最初は無視しようと思ったバージルであったが、今の状況と疑問を解決するため、彼女の方へと歩み寄った。

??「Zz〜……Zz〜……」

バージル「おい、起きろ」

??「Zz〜……Zz〜……」

声をかけるバージルであったが、少女は一向に目を覚まさない。

バージル「面倒だが、踏みつけるか……」

そう言って足を片方上げ、そのままドスンと少女の顔面を踏みつけた。

??「んが!」

これにより、少女はようやく起きたのだった。

??「ぐおぉ〜……な、何するんだい!?」

バージル「貴様が起きんから、そのマヌケ面を踏んでやっただけだ」

??「ハッキリ言うのは良い事だけど、少しは加減しておくれ!」

バージル「だったら寝るな」

抗議する少女であったが、バージルは軽い返答だけであしらう。

バージル「それより女、貴様に聞きたい事がある」

??「人に尋ねる時は、まず自分から名乗るのが礼儀じゃないのかい?」

バージル「……バージルだ。 貴様の名は?」

小町「アタイは小町、小野塚小町。 ここの死神さ」

バージル「……死神が亡者に踏まれて起きるか……世の末だな」

小町「わ、悪かったね」

バージル「話しを戻すが、ここは三途の川か?」

小町「そうだよ」

バージル「そうか……なら、閻魔がいるのか?」

小町「ん? 閻魔さまに会いたいのかい? なら来なよ、案内するから」

バージル「そうさせて貰おう」

こうしてバージルは、小町に閻魔の元へと案内された。

そんな中、彼は心の中で呟いたのだった。

バージル「(ダンテの影響か……俺も甘くなったものだ」










 幻想郷の冥府にある施設『是非曲直庁』。

そこに、一人の少女がデスクワークに勤しんでいた。

彼女の名は『四季映姫・ヤマザナドゥ』。

この幻想郷の閻魔を務めている。

小町「映姫様ぁ〜、今お時間ありますかぁ〜?」

映姫「ん? 小町、どうしましたか?」

小町「映姫様にお会いしたい人がいるようです」

映姫「私にですか? では、すぐに呼んでください」

小町「はいな。 お許しがでたよ、入って来な」

映姫の許しを得て、バージルが入って来た。

バージル「俺の名はバージル。 色々と聞きたい事がある」

映姫「四季映姫・ヤマザナドゥです。 それで、私に聞きたい事とは?」

バージル「この世界は、一体何処何だ? 俺は本来は、この世界の亡者ではない」

それを聞いた映姫と小町は、驚いたような顔をした。

映姫「その話は、本当ですか?」

バージル「ああ。 俺の住んでる世界とは、少し違う様な気がする。 ここはどこなんだ?」

それを聞いた映姫は、幻想郷について説明した。

全てを聞き終えたバージルは、納得したように首を縦に振った。

バージル「成程……自分が死んだ事は確信していたが、異世界の地獄に落ちるとはな。 笑えん冗談だ」

映姫「では……私もバージルさんに聞いても良いですか?」

バージル「何だ?」

映姫「アナタは、どのような経緯で無くなったんですか?」

それを聞いたバージルは、魔帝ムンドゥスの事や『新羅』の事を伏せる形で答えた。

バージル「両親の仇を討とうとしたが、敵に返り討ちにされて殺された。 その後、そいつの傀儡にされ、袂を分かった弟と殺し合って死んだ」

それを聞いた二人は、再び驚愕するしかなかった。

一度殺したバージルを自身の傀儡にする……死者を操る事が出来る術師がいるとは考えられなかったのだ。

バージル「どちらにせよ、俺も真っ当な生き方をしていない。 地獄に落とすなり、何なり好きにしろ」

映姫「というと?」

バージル「何者にも屈せぬ、絶対的な力を欲して生きて来たからな。 どちらにせよ、後戻りの無い生き方をしたのは確かだ」

その目と言葉に、嘘も偽りも無い。

しかし映姫は、少し考えると、

映姫「分かりました。 ですが、イキナリ地獄行きというワケにも行きません」

バージル「どういう意味だ?」

映姫「バージルさん、アナタに頼みたい事があるのです」

バージル「頼みたい事?」

そう言うと、現在起きている異変の内容を説明した。

それを聞いたバージルは、半分呆れたような顔をする。

バージル「亡者を異変解決に行かせるとは、閻魔も人使いが荒いな」

映姫「否定はしません。 それに、この異変を解決できれば、アナタの罪も軽減できるはずです」

バージル「俺は自分の生き方に後悔はない。 無論、罪の軽減にも興味も無い。 それでも力を貸せというなら、それまでなら力を貸してやる」

映姫「あ、ありがとうございます! ところでバージルさん、何か得意な武器はありますか?」

バージル「ん? 剣術の心得なら親父に叩きこまれているし、刀剣なら日本刀が使いやすいが……それがどうした?」

映姫「いえ、流石に丸腰で戦いに行くワケにはいきませんので」

バージル「成程な」

父の形見でもある愛刀の『』は、もう自身の手にはない。

バージル「(閻魔刀があれば良かったが、贅沢は言えんな)」

そう思いながらも、苦笑せざる負えなかった。

小町「でしたら、アタイが『香霖堂』まで案内しますよ」

映姫「そうして下さい」

バージル「貴様の場合、さぼる口実が出来ただけだろ?」

小町「人聞きの悪い事言うなよ」

バージル「ほう……俺に顔を踏まれるまで、ぐっすり寝てた奴の台詞とは思えんな」

小町「ギクッ!」

それを聞いた映姫の目は、部下の不祥事を知った上司の顔をとなった。

映姫「こぉ〜〜〜まぁ〜〜〜ちぃ〜〜〜〜!」

小町「ひぃ〜〜〜!」

バージル「(こんなサボり魔が死神とはな。 文字通り、世の末だな)」

サボりがバレた小町は映姫の説教を喰らい、映姫も監視役という形で現世に向かう事にした。

因みに、説教は終わったのは約8時間後である。




続く...

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