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彼らがが異世界へ旅立ったそうですよ? 第5話「兎は宇宙を見て何跳ねる?後編&勇者王誕生!」
作者:変態技術者   2015/12/26(土) 16:24公開   ID:IySD9ddTaY6
 カタカタとツクヨミの作戦司令室では次々ととあるデータが表示されていた。どれもこれも一つのパワードスーツに関係する資料だ。

 主任ことハングドマンとその補助を務めるキャロリはネットワークを通してツクヨミのコンピュータの中にいた……AIだから出来ることだ


ナンシー「これって、ISのかなり初期の機体ね」

束「初めての実戦投入機……白騎士だよ。で、君は何でいるの?」

ニンジャスレイヤー「私では分からないことが多いから来てもらったのだ。ナンシーさんはプログラミングでは私の世界では伝説のヤバイ級だ。信じてくれないか?」

束「君がいうなら信じるよ」

一夏「束さん、これって……!」

千冬「第一世代……史上初のIS。かつて私が最初に乗った機体、白騎士だな」


 データ表示されたこの機体こそ史上初のIS……全身装甲型機体《白騎士》である。


リュウガ「今では白式のコアになっているんだろう?」

束「リュー君にはお見通しか……」

リュウガ「白騎士→しろきし→しろ→びゃく→きし→しき→びゃくしき→白式ってことだろ?織斑教諭?」

千冬「よく気がついたな」

一夏「あ、ほんとだ」

リュウガ「それどころか、かつての愛機《暮桜》のコアにもなっていたんだろ?」

束「すっごいね……そこまでわかるなんて」

リュウガ「あそこまで信頼している顔からして、最も古くからISに関わっている……つまり最初期のテストパイロットか、その機体のコアを知っているかが問題だ。故に白騎士のパイロットである織斑教諭に目を付けた。そして一夏はその弟、つまり政府はそのための専用機調整を束博士に頼んだ。経歴からして短時間でコアの調整までできるのは貴女しかいないからな。ここまでの仮想で行くと共通しているのは『コアは必ず同じものを使っている』」

束「参ったね、ここまで予測されるなんて……」


 と、そこで凱が「話を戻していいか?」と言った。それを聞いて「ごめんごめん」と束はデータ表示に動きを戻した


凱「……IS《インフィニット・ストラトス》はコアを中心として外部装甲を骨格として操縦者をセットすることによって動くマルチフォームスーツ……それを開発し提唱した。そして……それを実演する舞台となってしまったのが『白騎士事件』か」


 凱は神と名乗る存在によってこの世界で『起きるはずだった内容』を聞いていた。本来なら人格破綻者である束博士によって世界のミサイル基地はすべて乗っ取られそれを全て親友である織斑千冬の白騎士で破壊するマッチポンプでISを宣伝するはずだった……。

 それがこの世界ではどうだ、束博士はまともな人格で、所属不明の者によってハッキングされたミサイルを迎撃させるために白騎士を発進させ、それをすべて破壊するために自衛隊や日本駐在米軍等との共闘によってミサイルを撃破するも、その後中国がシモンの世界にある筈のガンメンである高性能強襲型可変機《カトラ・ゲイ》で襲撃しその攻撃も絶対防御のおかげで何とかなるなど凄まじい非常事態になったという。そのせいでか白騎士=織斑千冬であることは知られそれが女尊男卑に拍車をかけてしまっている。


シモン「カトラ・ゲイ……確かに俺たちの世界の機体だ。だけど螺旋エンジンの光じゃないな、装甲の発電パネルからのエネルギーで動いてる」


 証拠に映像の中では螺旋エンジンの光である緑色の光ではなく、太陽光発電の青白い光を放っていた。


主任『なる程ね。ガンメンはその螺旋エンジンとかいうのと、非常に高度な太陽光発電システムを積んだ非常に高度で、しかも人の体のように柔軟な装甲で出来ているんだね?』

キャロリ『興味深い……世界が違えば技術も違いますね?やはり貴方のラガンもそのガンメンの一種……しかもかなり『スペシャル』な機体のようですね』

一夏「確かシモンさんのラガンは、遥か昔……500年以上前の《螺旋界大戦》で使われていた最強の決戦兵器でどんなマシンとも合体してコントロールする事や取り込むことが出来た……であってますよね?」

シモン「話は聞いていたけどやっぱりえっと、アニメだったけ?それで伝わっていたんだな俺達の生きざまやガンメンの情報が……」


 シモンにとってこれは複雑なことなのだ。自分の生きた全ての記録がこの世界では知られている……それは辛い挫折や大切な人との永遠の別れを知られているということにもなるのだから。


主任『AIである俺もこの世界でお前のことを見たよ……お前は優しいよ、残酷な程にな』

千冬「お前は評決の日VERDICT DAYを見たからか?……『見たさ』そうか」

主任『だから……この世界は眩しいんだ……。こんなにも自然が綺麗で…………子供が笑っている世界だからさ』

テルミドール「だからこそ……我々を呼んだのだろう?篠ノ之束博士」


 束は無言で資料データを表示した。それは『宇宙進出パワードスーツ』と名をつけられていた。



ナンシー「これは……ISの基礎理論ね?しかも数年も前……貴女は本当に凄いわよ。だけど……」

束「言いたいことはわかるさ。私はね……宇宙を夢見てたんだ。いつまで経っても一部の人間しか宇宙を体験出来ない世界でより多くの人が宇宙を身近にできないかっ……てさ。だからISを作ったんだ……けど何故か私の性……女性にしか動かせなくて女尊男卑こんな世界になったりもううんざりするしさ……このところ思うんだ、どこで間違えたんだろってさ……」


 次に表示したのは『IS誕生以来の非合法研究所の数と女性権利団体の比例関係。雇用問題に伴う虐めと教育現場における自殺者と自殺行為の増加傾向』というデータと『鎮守府運営における妨害工作やブラック鎮守府の数。及び大本営の被害データ』と記名された比較的新しいデータである。


リュウガ「……ふざけんなよ、何なんだこのデータはッ!?対IS兵器開発の研究所における人体実験やISの新型装備に対する拉致被験者による殺害実験、それは女性権利団体の数が増えれば増える程増加の傾向にあり……就職では女性優遇権における一方的な決定やイジメの容認だと……!?」

一夏「……輸送途中の資源を強奪、さらにデータ改ざんによる艦娘の強奪!?」

シエル「……なんでこんなことが平気でできるんですか!?」

束「馬鹿みたいな欲にくらんでるからできるのさ。みんなの為にと思ったのに……いつも得するのは一部の奴らで努力しても……必死に働いても苦しい生活を強いられる人……ワーキングプアが余計に悪化してるし…………宇宙を身近にするどころか宇宙からはるか遠くになって、コアを作ることを断ったら国際指名手配だってさ…………」

シモン「国際指名手配ってなんだ?」


 念のために言っておくがシモンの世界では国が……というか政府が『カミナシティ』しかないので国際指名手配もないし知らないのも仕方が無いのだ。


凱「国際指名手配というのは何らかの理由で世界中で捜索される特殊な人物の事だ。過去でもテロ組織のリーダーや行方をくらませた独裁者がその対象となっているけど……これはいくら何でも身勝手に程があるぞ!」


 凱の一言になるほどという顔をしながらシモンはメモをしていた。

 凱は国際指名手配に対して疑問を感じていた。元々の原作であるならミサイル発射やハッキング等で仕方が無いとしても、この世界では特に悪いことはしていないのだから。


束「私が欲しいからだよ、現段階で最強のパワードスーツのコアを作り出せる女性優遇の象徴を作る道具としてさ」



 束の目には涙が溜まっていた、良かれと思ったことが逆に苦しみを増やしてしまったことを酷く後悔しているのだ。

 それに対してナンシーは苦笑しながら束を見ていた。


ナンシー「呆れた、そんな事で国際指名手配なんてマッポーも待ったなしね……だけど貴女の夢は嫌いじゃないわ。私はロマンチストじゃないけど、常にほとんど分かりきった場所よりまだ何があるかわからない宇宙に誰もが行ける方が面白いもの」

ニンジャスレイヤー「……俺たちの世界は世界規模の電子戦争の結果、宇宙開発は永久に閉ざされた……呪われたニンジャの力で破壊しかもたらさないこの手が…………俺たちの世界の再来を防げるというのなら手を貸そう。無論、ニンジャは殺す」


 ニンジャスレイヤーが手を貸すことを告げたのを皮切りに次々とほかの声も出た。


凱「俺たちGGGも手を貸すぜ!GGGは宇宙活動の経験もあるし俺も宇宙飛行士だからな!」

シモン「ラガンも宇宙活動を想定しているんだ、データは役に立つ筈だ!」

主任『キャロり〜ん、ACのデータや装甲って役に立つ?』

キャロリ『データは役に立ちませんが、装甲なら使えます』

リュウガ「これでも技術者の端くれでな……俺も宇宙には興味があるからな。手伝わせてもらうぜ」

一夏「俺は……白騎士事件を引き起こした奴を追います。どこにいるか分からないけどな……」

千冬「私は女尊男卑の撲滅だな、私を絶対的力の象徴に担ぎ上げるのは辞めてもらいたい。むしろ私が女尊男卑を勧めてるような広報を繰り返されてるから我慢ならんのだ」

テルミドール「私も宇宙に希望があると信じ、戦ってきた。私も協力しよう。宇宙に関する工学知識はある程度は持っている。私のネクストも役に立つはずだ」

束「みんな……!本当にありがとう!」


 束はこの時ほど嬉しいことは無かった。まだ合ったばかりの人々が自分の夢に協力してくれることをだ。しかも複数の世界線の異なる技術も提供してくれるというのも科学者としても最高の喜びである。


主任『……そういえば白騎士事件を引き起こした奴を追うらしいね?織斑一夏くん?そいつの手がかりはあるのかな?』

一夏「そのエンブレムと思われるものと音声が残っています」


 一夏はそのデータを収めたUSBを差し込み表示した。そこには黒い獅子が二足で立ち上がり槍を真上に掲げたエンブレムが複数存在し、その中心にはGGGのマークに似た配列の四つ灰色の四角の内、右を除く三つが繋がっていたエンブレムが記録されていた。そして次の音声が残されていた。


『黒い鳥……人の中から発する可能性。そんなものはただの幻想に過ぎない。世界を滅ぼすのは……人間自身だ!』


一夏「音声はこれでおしまいです……このあと世界中のミサイルが日本に飛ばされました」
 
主任『一夏くん……落ち着いて聞いてくれ。俺はコイツを知っている』

一夏「……え!?」

キャロリ『私もです……まさか彼がこの世界にいたとは予想外です。彼は私たちの存在意義のための倒すべき敵……!』

   その一言に一夏達は戦慄を覚えた。それが本当なら相手はテルミドールや外にいるエヴァンジェからしたら遥か先の未来、主任からしたら同じ時代の存在であるという事なのだ。

 と、その時である。ドアを勢い良く開けてきたのはフォレスト・サワタリである。


サワタリ「学園の生徒が艦娘を人質にしている!」


 その知らせを聞いてリュウガは窓を蹴り破り50メートルの下の地面に向かって飛び降りた。その後さらにもう1人女性が入ってきた。


凱「命!」


 彼女は獅子王凱の妻であり、超進化人類エヴォリュダーと対をなす超進化人類《セミエヴォリュダー》の卯都木命である。


サワタリ「貴様は?」

命「私は卯都木命、凱の妻です」

ニンジャスレイヤー「……凱、お前結婚していたのか……!」

凱「まあな……IDアーマーは!?」

命「出来てるわよ!」


 命は持っていた専用トランクケースを開けた。すると中に入っていた金色の鎧が勝手に浮き上がり凱に向かっていった。
 すると凱は窓の外に飛び降りたのだ。しかも全身をエメラドグリーンの光に包まれてだ。


凱「ウィーク・イップ!」


 凱の叫びに応じて金色の鎧が凱の周りを飛び回り、次々と装着された。これはかつて《サイボーグ・ガイ》の時の体を元にした強化スーツであり、エヴォリュダー能力の強化を行うスーツでもあるのだ。

 この時の凱はこう呼ばれている……《エヴォリュダー・ガイ》と



 ~第4話後編終了~


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 ~第5話「勇者王誕生!」~


 野営基地に戻ったダークニンジャは誘拐され人質された艦娘の把握を急いでいた。


ダークニンジャ「……鳳翔=サン、人質にされたのは一体誰だ?」

鳳翔「白露型2番艦の駆逐艦《時雨》と、陸軍の揚陸艦《あきつ丸》、時雨と同じ白露型駆逐艦《夕立》の改二です……何でこんなことに……!」


  ダークニンジャは艦娘とISとの関係が、ネオサイタマの闇よりも暗い暗黒であることを悟った。確かに自分達ニンジャは殺戮を求めるもするが必要以上には殺しもしないし何もしなければ相手もしない。だが、この世界はなんだ?他のところはGGGやほかのニンジャの手によって防げたが最悪にもこのその3人には護衛はいなかったのだ!


ダークニンジャ「泣くより先に聞きたいことがある、艦載機……零式水上観測機は飛ばせるか?」


 鳳翔は首を横に振った。ダークニンジャは知らなかったが、ISにはハイパーセンサーと呼ばれる非常に高度なレーダー探知機が装備されているのだ。そのためダークニンジャが来る前に零式水上観測機の中にいる妖精が撃墜されたが、パイロットは何とか戻ってきた。


ダークニンジャ「ハイパーセンサーか、厄介な物を……!全方位を常にチェックできるセンサーだとヘルカイトは不利。学園の生徒が関わっているとなるとこの付近も……いや、いるな」


 ダークニンジャはこの基地の周りに何かが飛んでいるのを察知して、ニンジャ装束を展開し、腰の妖刀《ベッピン》を抜いた。


 数は全部で8機、内部に侵入して変に騒ごうとしているのか?だが、こちらは人質を取られているのだ!


ダークニンジャ「切り捨て……ゴーメン!!」


 瞬間、ダークニンジャの姿は消えて何かが……金属でできたものが落ちた音がした。その手のベッピンの金色の刀身には傷はなかった。


ダークニンジャ「これはドローンか、丁寧にスタンドガンも装備しているとは……「ダークニンジャ=サン!」簪=サン。ここに来たらあなたも危ないぞ「簪さん、ここなの?」何者だ!?」

簪「私がいる4組のクラスメイトと1組と2組の一部のみんなです」

鳳翔「……味方、ですか?」

簪「みんなは味方です!」

ダークニンジャ「……なら、この中でデータに関する仕事が得意なものは?」

「は、はい!」

「何かあるんですか?」

ダークニンジャ「なら、このドローンを解析してくれ」


 ダークニンジャは山のように積み上げたドローンを指さした。


ダークニンジャ「この中にスパイは?それと”ニンジャ”についての情報を持っているモータルはいるか?スパイがいたら……ベッピンの錆になってもらう」


  キィイィイイインとベッピンが震えた、ベッピンはダークニンジャこと《ハガネ・ニンジャ》の専用装備である。


鳳翔「ダークニンジャ=サン……!」

ダークニンジャ「ニンジャにとって、裏切りは死を表す。故に相手がモータルであってもそれを忘れてはならないのだ……!先に聞いておく……人質の場所は知らないか?」

「アリーナの第三倉庫に人が集まっていたよ!」

ダークニンジャ「……そうか」


 ダークニンジャはベッピンを戻した。ダークニンジャは経験上嘘はついてないと判断したのだ。


ダークニンジャ「鳳翔=サン、彼女達を野営基地で保護してくれ。このまま外で解析を続けさせたら、ヤバイ……いいな?」

鳳翔「ア、ハイ……ダークニンジャ=サンは?」

ダークニンジャ「私には……」


  ニンジャ動体視力によってこちらに接近するISを捉えていたのだ。


ダークニンジャ「倒すべき敵ができた」



 ダークニンジャは静かに建物から建物へ飛び移りアリーナ上空の黒い機体……《シュヴルツェア・レーゲン》に接近していった。








 一方でリュウガはガイが到着するのを待っていた。アリーナ付近のコンピューターの一部をバレないように様々なところに外部から接続できるようにしておいたのだ。


ガイ「済まない遅れた!」

リュウガ「よし、エヴォリュダー能力でアリーナの監視カメラを調べてくれ」

ガイ「……!」


 サイボーグ・ガイの体が光り輝き左腕からはGの紋章が浮かび上がった。
 これこそ超進化人類の特殊能力の一つ《ハッキング》である。通常ハッキングと複数の媒体が必要なわけだが、エヴォリュダーは全身の細胞に無限情報サーキットであるGストーンを組み込み更にサイボーグ時代の能力を継承……更にエヴォリュダー能力の一つである《生機融合》によって物質の構造変化や情報を読み上げることなどが可能となっている。


 現在、ガイの目は非常に高度な網膜ディスプレイとなっていた。その中ではアリーナ全ての映像が次々と早変わりしていった。ふと、第三倉庫……ISの武装の倉庫なのだがその中にいなくなっていた三人の姿があった。



ガイ「……いたぞ、アリーナ第三倉庫!」

リュウガ「了解、一夏!」



 同時刻、リュウガからの情報を得た織斑一夏は千冬からの特別な許可を得てアリーナの第三倉庫に突入していた。



一夏「邪魔だなこのバリケード!『ならそこ退いてくれ』うわ!?」


 直後に突っ込むのは鉄の塊……VACだ。無論、主任だけである。全体重を乗せた蹴り《ブーストチャージ》をぶつけたのだ。だいたいVACはISをロボットにして太くしたような機体で全高はISを2回り大きいぐらいだ。


主任『どうやら2手に分かれた方がいいね?』

一夏「なら「2:2で分かれた方がいいだろう」「な、なんとか間に合ったぜ」リュウガ先生!?獅子王さん!?」


 崩れたバリケードを押しのけて地面から現れたのは、リュウガとガイであった。


リュウガ「まったく……外ではゲンドーソーとダークニンジャにボルフォッグがシュヴルツェア・レーゲンと戦闘するわ、鎮守府の部下が拉致られるわ……全く持って面白い!」

ガイ「り、リュウガ?」

リュウガ「戦争も知らないで、前線も知らないで、自分達こそ選ばれたものだと威張り散らす……宜しいならば説教戦争だ」


 リュウガは主任を引っ張り地面を砕きながら走っていった


ガイ「…………ゴッドイーターって強いんだな」

一夏「そうですね……って、獅子王さんはエヴォリュダー能力で中を見たんですよね?誰がいたか分かりますか?」

ガイ「時雨……正確には時雨改二と呼ばれてる状態だがかなり衰弱している。この先の右の扉だ!」

一夏「わかりました……!」


 2人は高速で移動してバリケードを砕きながら扉に向かった。問題の扉は一夏の零落白夜で切り、崩れかかった残骸をガイがGストーンの内蔵エネルギーであるプロテクトエネルギーで弾きながら中に突入した。


 中に入って最初に見たのは、檻の中に入れられボロボロになった時雨の姿であった。学生服にも見えるその黒い服は殆どが血に濡れていた。


ガイ「時雨ぇー!」


 ガイは時雨をよく知っていた。この世界に飛ばされた時に妻の命と共にGGGをこの鎮守府に連れてきてくれたのだ。その時でさえGGGは全員の損傷も激しくいつ死んでもおかしくなかった。今生きているのは時雨が鎮守府に連れてきてくれなかったら転生してもすぐに全滅という笑い話にもならないことになっていだろう。
 ガイはすぐさま檻を壊さんとする為、右腕を振り下ろそうとしたその時である。複数のISがガイを取り囲んだ。


???「動くな!動いたらこの兵器を破壊する」


 檻の後ろから現れたのは、ポニーテールで長い髪をまとめた女子生徒であった。その身には打鉄を纏っていた。


一夏「何をやってるんだよ、箒!」


 この生徒の名は篠ノ之箒。篠ノ之束の妹であり織斑一夏の幼馴染でもある。しかしその性格は非常に自己優先的であり、気に入らなければすぐさま暴力を振るうなど問題点が多い生徒だ。織斑一夏に酷く依存しており自身のいうことを優先させようなどとする動きもある。剣道の全国中学生大会で優勝しているがその道に通じてる者からは「憂さ晴らしの為の剣」などと言われているほど酷いやり方であった。幾ら篠ノ之束を押さえつけようとするために作られた『重要人保護プログラム』でストレスを感じていたからとしてもこれは酷すぎると評価されている。


ガイ「なぜ、こんな事をする!時雨は……彼女達は何もしていない!」

箒「得体の知れない輩を排除して何が悪い!?それに奴らは兵器だ、人権などないだろう!?」

ガイ「だからってこんなことをしていいはずが無い!」

箒「それになぜ一夏はこんな奴らを助けようとする?」

一夏「深海棲艦と戦って一番苦しいのは彼女達だ!」


 一夏の雪片弐型と打鉄の近接ブレード《葵》が激突する。その隙にガイもIDアーマーの新機能を解放しようとしていた。


一夏「それをなんで理解しようとしない!?」

箒「奴らが人間と呼ばれたことはあるか!?」

一夏「そんな理屈……!」


 一方で複数のISに囲まれたガイも能力を開放した。


ガイ「はぁぁぁぁぁぁ……!ハイパー・モード!」


 サイボーグ時代の能力《ハイパー・モード》を使えるようにしたのだ。いわゆるTRANS-AMであるが、TRANS-AMが赤に対してハイパー・モードは金色である。

「何よ、光ったぐらいで!」

ガイ「ウィル・ナイフ!」


 右腕のウィル・ナイフを瞬間的に周りのISの装甲に突き刺して即座にハッキングした。制御バランサーを1、2分程使用不可にしたのだ。


「ちょ、なんで動かないのよ!?」

「そ、装甲が溶けてくっ付けられているわよ!?」


 さらにエヴォリュダー能力の融合で、転げたISの装甲をくっ付けてしまったのだ。


ガイ「時雨、今そこから出してやるからな!」


 うおおぉぉぉぉぉぉぉ!!と力み鉄格子を一つずつちぎって投げ捨てて時雨を取り出した。現在のガイの握力は、人間時代の握力+サイボーグ・ガイ時代の握力+Gストーンの肉体活性強化によるものなので既にt単位になっている。


時雨「凱……さ……ん?」

ガイ「済まない時雨、来るのが遅くなってしまった!」


 直後背後の壁が吹き飛び、そこから一体のISが両手からレーザーブレードを展開しながら一夏に向かっていった。


???「織斑一夏!」

一夏「ラウラ・ボーデヴィッヒか!?」


 ラウラ・ボーデヴィッヒは織斑一夏を酷く嫌っている。何故なら織斑千冬の汚点として見ているため、殺害も考えているからだ。全ての始まりは第2回モンド・グロッソの時に起きた織斑一夏誘拐事件である。織斑千冬は一夏を助けるために決勝戦を放棄した、その際に何故か手際良く現れたドイツ軍の援護の恩を返すためにドイツで教官となった……その時にラウラは織斑千冬と出会いそして一夏を排除せんとするようになった時でもあるのだ。


ラウラ「教官の汚点はここで死ねぇえええええええ!!」


 おお、ブッダ!一夏は現在鍔迫り合いの状況で背後を取られている!これでは回避のしようもないでわないか!



???「イヤーッ!」

ラウラ「っ!」


 ゴウランガ!一人のニンジャ装束を着た老人が散乱していた機材の破片を足場にしながらも、音もなく頭上からスリケンをレーザー発信機から伸びるブレードに向けて投げ四散させたのだ!さらに音もなくそこからいたように紫色のロボットが右腕のマシンガンを放った。さらにクナイ・ダートが凄まじい速度で向かうも、ラウラの目の前で止まってしまった。


ラウラ「本当に何なんだ貴様らは……!?」

ゲンドーソー「ドーモ、ラウラ・ボーデヴィッヒ=サン。ローシ・ニンジャです。その程度で動きを止めるなどまだまだひよっこよ!」

ボルフォッグ「凱機動隊長、こちらビッグボルフォッグです。只今到着しました!」

ダークニンジャ「見えない結界……インダストリによるジツか?」

ラウラ「(……AICがなかったら危なかった!)」


 AIC……シュヴルツェア・レーゲンの第三世代兵器慣性停止結界アクティブ・イナーシャル・キャンセラーのことで、その名の通り慣性を停止……移動する物体の動きの完全停止を行う結界を生み出しているのだ。第三世代兵器の特徴として強いイメージが求められる。それによって強力な一連の攻撃はラウラに触れる前に意味を無くしていた。


ダークニンジャ「インタビューの時間だ……ビスマルク、プリンツ・オイゲン、Z1(レーべ・レヒトマース)、Z3(マックス・シュルツ)、U511、グラーフ・ツェッペリンをそのレールカノンで襲ったのは貴様だな?」

ラウラ「それがどうした?貴様らをおびき出せるなら何だってする、織斑一夏を殺すための布石にしかならないがな!」


 空かさずラウラは慣性停止結界の起動をしようとした


ダークニンジャ「そうか、ならば……切り捨て……ゴーメンッ!」

ラウラ「消え─────!?」


 直後レーゲンの両腕のレーザー発信機部分と背後のレールカノンが切り落とされた。

  いくら強力な慣性停止結界でも、一度に認識できるものは限られており肉眼で確認出来なければならない。しかしダークニンジャのデス・キリは認識を超えるニンジャの技ゆえに捉えられなかったのだ。


ボルフォッグ「三位一体、超分身殺法『捕獲バージョン』!」


 続いてビッグボルフォッグが三つに分かれた。それぞれボルフォッグ、ガングルー、ガンドーベルの三体に分かれた。

 ガンドーベルが右足を横から蹴り上げて転ばした後、ガンドーベルが縄を左足に巻き付けて上にぶん投げて、ボルフォッグが何所からか用意した漁に使う網でボーデヴィッヒを捕獲した。


ラウラ「まだだ……!」


 隠していたワイヤーブレードをゲンドーソーに向けて発射した。ラウラは慢心していたのだ。相手は最後のリアル・ニンジャにして太古の暗殺拳《チャドー》の正当後継者なのだ!


ゲンドーソー「未熟者め!」


 が、鋼鉄以上の硬度のワイヤーブレードをゲンドーソーは指に挟んでちぎってしまったのだ!

ラウラ「ば、馬鹿な!?最新性の新型合金の軍事用ワイヤーが指で千切れただと?!」

ゲンドーソー「ワシは鍛錬によって人を超えた最後のリアル・ニンジャ……ドラゴン・ニンジャクランが継承者、ドラゴン・ゲンドーソー。またの名をローシ・ニンジャ!」


箒「な、なんだ!?」

一夏「(今だ!)血刀流……波の型!」


 突然の光景に驚いた箒に対して、鍔迫り合いを崩した一夏はゴッドイーターとしてリュウガが獲得していた技を発動させるための準備を整えた。
 雪片弐型が徐々に黒くなり、ついでに発動させた零落白夜もそのエネルギー刃を青白い光から紫色に変えていった。零落白夜発動に伴う体の光も血のように紅くなった。この技は発動するには戦闘に突入……ISでは起動してから3分経過しなければ使えなかった技であるのだ。



一夏「零式・斬!」


 放たれた斬撃は実体となって天上……ISの運用も考えた設計の為20mはあっただろう。それほどの高さまで登った。


箒「がぁあああ!?」


 斬撃を食らった為打鉄は解除され床を転がっていき檻にぶつかった。


箒「なぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだ!?!?!?!?!?!?なぜお前は篠ノ之流を捨てたのだ!!なぜお前はあの得体の知れない男の剣術を選ぶ!?」


 元々一夏は篠ノ之道場と呼ばれいる篠ノ之箒の実家で習っていた流派の剣道を習っていたのだが、自分の限界を確信して自らの師となる人物を探していたのだ。そんな時街中でかつての師範であった篠ノ之龍玄に出会い後に教師となるリュウガのことを聞かされて今に至るのだ。つまり、篠ノ之流を捨ててリュウガが編み出したブラッドの神機使いやそれに感化された者だけが使えた血の力《ブラッドアーツ》を常任でも使い同じ力を発揮させる《血刀流》を受けることとなった。


一夏「篠ノ之流では限界があったんだ……だから俺は血刀流を求めたんだ」

箒「だから幼馴染みを捨てたのか!?「違うな」何が言いたい!?」


 話に割り込んだのはダークニンジャだ


ダークニンジャ「貴様はまさか幼馴染みだからすべてが許されるとでも思っているようだが、そんなものは貴様の幻想に過ぎないのだ。現実は多くの人間の意思によって動いている。それはいい意味でも悪い意味でもだ」

箒「それがどうした!一夏は私だけを見ていれば良いのだ!「おかしいよ……そんなの」兵器までもが私に!」


 さらにガイに抱き抱えられた時雨が話に入った


時雨「なんで、一人だけしか見ちゃいけないのさ?そんなの……ただの自己満足じゃないか……!ちゃんとわかり合えばみんなと笑えるのに……「兵器が偉そうに!」……!」


 艦娘は兵器。それがこの世界でのIS関係者たちが決めつけてきたイメージである。それは にとって最も苦しいことでもあり最大の傷でもあるのだ。


箒「お前達みたいな得体の知れないやつがいると、こちらは落ち着いてねることも出来ないのだ……お前達は前線に行って敵を倒していればいいのだ!友達だの下らない事を言っているなら前線にいけ!そして沈んでしまえ、お前達は変えがいるのだろうが!」


 直後ガイやゲンドーソーを襲うのは鉄の嵐だった。転がっていた打鉄が装甲の一部をはずして動き出したのだ。


ガイ「うぐぅぅ!」


「あーもう男に転ばされるなんてムカつくわね!」

「だったらあの艦娘殺さない?篠ノ之さん、やっていい?」

箒「ああ、こんな危険な輩をほうっておけば何されるかわからないからな?ここで始末したほうが学園のためだろう」

「じゃあ誰が早く殺すか競争ね、遅かったのが夕飯奢ってね」

「じゃあお先もーらい!」


 瞬時にバズーカやらミサイルランチャーなどオタッシャ重点な武装でガイを集中砲火の十時火線に包み込んだ。


ガイ「ぐあぁぁ!!」

時雨「うわぁぁ!!」


 いくら超進化人類でも限度もある。爆発で吹き飛ばされたガイは、時雨と離れてしまった。


ダークニンジャ「(なんだ、何なんだこの狂気は……これはニンジャではないか!?私もかつてはこうだったのか!?)」


 この時ダークニンジャはこの異常性に危険を感じていた。自分たちニンジャごかつてはこんな狂気を孕んでいたことに恐れを抱きながらも、このどす黒い狂気は危険で何として止めなければといけないと!急いで動こうとしたとき何かが破れる音が聞こえた。


ラウラ「……す、潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す!!!」


 ラウラのレーゲンが一部パーツを新しいものに変えていたのだ。その証拠に両腕と肩のレールカノンが新しい物になっている。


ダークニンジャ「馬鹿な……?!なぜ再生している?」

一夏「ISには拡張領域パススロットと呼ばれる量子変換倉庫があるからそれで新しいものに変えたんだ!」

ダークニンジャ「量子変換だと!?ネオサイタマ以上の科学力か!ならば一夏=サン、連携で奴を倒すぞ!」


 一夏も瞬間加速で突き進み、零落白夜を発動させていた。
 ラウラもワイヤーブレードで迎撃をしつつも、レーザーブレードを展開し尚もレールカノンを発射していた。


ラウラ「潰す潰す潰す潰す潰す!!!」

一夏「力だけに、頼っているんじゃねぇえええええええ!!!」


 零落白夜を黒く変色させて3ステップの短距離移動で背後に周り神速の速さで切り上げた。
  秘剣・昇り飛竜である。

 そこにダークニンジャとドラゴン・ゲンドーソーが同じスピードで突っ込んできた。


ゲンドーソー「ダークニンジャよ、タイミングを合わせるのだ!」

ダークニンジャ「了解した」


 ワイヤーの1本一本が止まったように見える、脳のアドレナリンが過剰分泌を引き起こし体感時間を引き伸ばしているのだ!レールカノンが頭に直撃しそうになる。だがクナイ・ダートで上に弾いたのだ!


ラウラ「ば、馬鹿なー!!」

ダークニンジャ、ゲンドーソー「「イィィィイイイヤァァァァアアアアッ!!」」


二人のニンジャ脚力が生み出した加速の一撃がとっさにガードしたラウラに直撃した。しかしその一撃はガードした椀部装甲をネギトロに変えたのだ!これは、ドラゴン・トビゲリだ!

 一方で箒は近くにあった別の打鉄を起動させていた。このままではヤバイ……!とそんな時、時雨から異常な反応が観測された。


時雨「友達は作ってはいけないの?僕たち艦娘は人間と仲良くなってはいけないの?そんなの嫌だよぉ……!嫌だよぉ……!」


 よく見ると時雨の頭には謎の結晶体が引っ付いていた。歪な楕円型の紫色のクリスタル。中にはZの文字にも見える模様が掘られていて輝きは増していた。
 そんな時雨の脳裏に映るは嘗ての大戦の記憶、大切な友人や仲間がみんな沈み一人だけになって……最後まで一人で死んだ記憶。


時雨「一人ぼっちは……嫌だよぉー!!」


 時雨の絶叫が響いたその直後、閃光と共に時雨の姿が異形の怪物へと変わっていく。


ガイ「(この光……まさか、ゾンダー化現象!?これはマズイ!)全員急いで逃げろー!」


 そして周りの機械やコンクリートを次々と飲み干していく中で、それも目覚めた……



ラウラ「(私は負けたのか?なぜ負けた!?ナゼだ!?)」

???『――願うか……? 汝、自らの変革を望むか……? より強い力を欲するか……?』

ラウラ「(奴を……織斑一夏を、艦娘を、奴らを殺す力をよこせ!)」


???『
 Damage Level……D.

 Mind Condition……Uplift.
 
  Certification……Clear.

《Valkyrie Trace System》………boot. 』


 絶望の果てに現れた数多の力の欲望は溢れ出す光とともに飲み込まれていった。システムの名は《ヴァルキリートレースシステム》。過去の世界王者を肉体を無視して再現する暴走システムである。それも巨大化していく”何か”に飲み込まれていった。


 なんとか脱出した一同を待っていたのは、異形の怪物が変化した巨大ロボットであった。体長30メートル、艦装と思われる背部の2門の砲口と、シュヴルツェア・レーゲンの装甲と何故かかつての暮桜を混ぜたような装甲がくっ付いていた。右腕には紫色になった雪片、片方にはビームを放てる手刀形態の腕があった。その頭部のディアルフェイスには紫色の光が怪しく灯った。


???「ゾオオオォォォォォンダァァァァァァァァァァアアアア!!」


 甲高い声で雄叫びを上げついに動き出した。


一夏「なんだよあれは!?」


 一夏は直感であれはさっきまでいた時雨であることはわかっていた。でもあの光とあの現象は思い当たる節が多すぎるのだ。


ボルフォッグ「まさか……この反応は素粒子ZO!?」  

一夏「ZO!?まさかゾンダーなのか!?」


 ゾンダーとは獅子王凱のいた世界にて誕生していた機械生命体。元は普通の生物だがゾンダーを生み出すマスタープログラムの集合体《Zマスター》によって支配される。エネルギーは感情から生まれるエネルギー……感情エネルギーを全て取り込むために感情が一切ない。そんなぞゾンダーが発生させる粒子こそ”素粒子ZO”である。これが体内に入るか、その結晶体であるZクリスタルに触れているか……その前後で深い絶望や苦しみを受けた時全てを同じゾンダーにするために破壊つくし、Zメタルを大量発生させその星のすべての生命を機械生命体にしてしまう《機界昇華》を引き起こすのだ!
 時雨の心の闇……かつて一人だけ生き残ってしまったことによる親しい友人を求める心と夢、それを壊された事によって、時雨が入手していた紫色のクリスタル……ゾンダーメタルが認知する感情エネルギー─マイナスエネルギー─として時雨をゾンダーへと導いてしまったのだ。



ダークニンジャ「なんだあのロボットは!?」

ボルフォッグ「あれはゾンダーロボ、世界をすべて感情のないロボット生命体にしてしまう《機界昇華プログラム》であるZマスターの末端の兵です!」

ゲンドーソー「馬鹿な!?感情なくしてなんのための生命か!感情がなければそれはただの植物と変わらん!」

一夏「ガイさん、何とかならないんですか!?」


 ガイやボルフォッグは元々ゾンダーと戦うためのGGGに所属していた。一夏はそれを知っていたので聞いたのだ。


ガイ「Gストーンや、GストーンをエンジンにしたGSライドを持たないメカはゾンダーに取り込まれてしまう!生身の人間やメカは全員逃げろ!『ガイ、聞こえる!?』どうした命?」


 ツクヨミにいる命から緊急の連絡が入った。


命『先に救助を終えたリュウガの体を調べたんだけど、リュウガやシエルさんの体は素粒子ZOを捕食する性質があって生身でも機界昇華に至らないからそっちに向かってるわ!』


 素粒子ZOを捕食する。それを聞いてガイは本当かどうか分からなかった


リュウガ『そうゆうことだ、今港の方に誘導するから校舎に向かったラオモトやニンジャスレイヤーたちとともに校舎の生徒に絶対に外に出さないように指示してくれ!一夏達も向かわせてくれ!』

シエル『艦娘の皆さんは、私が誘導支持をしますのでこちらは任せてください!』

命『あとガイ、”アレ”が完成したわ!後はあなたが呼ぶだけよ!』


 直後に通信が切れた。遂に自分も再び勇者として戦う時が来たのだ。海の方から可視不可能な高速弾が次々と飛んでくる。よく見ると空母組が扱う艦載機が機銃で仕掛けているのもわかるし学園の教師部隊や専用機組等も遠距離攻撃で対応しているのだ。網膜ディスプレイに元は時雨であったゾンダーにEI-75のコードが付いたのを見た。


 意を決してガイはその名を呼んだ。



ガイ「ファントム・ガオー!!」


 空間が歪み青い戦闘機が現れた。その形は普通の戦闘機とは違い非常に分厚く複雑な形をしていた。その名はファントムガオーという。


ガイ「フュージョン!」


 そしてコックピットブロックの中に入り叫んだのと同時に、翼は折りたたまれエンジンは変形して足となり、胴体部分が形成されると腕が生えて、遂には人の頭と同じような頭が出てきた。遂にはファントムガオーは全身の骨格を再形成し、人型になった。


???『ガオファー!』


 嘗ての地球を守った勇者の代わりに、新たに地球を守ることを使命として生まれた新たな勇者であり、エヴォリュダー・ガイはこれとフュージョンすることにより《GBR-11ガオファー》となるのだ。


ガオファー『うぉおおおお!!』


 高速で飛行してEI-75──便宜上ゾンダーロボと呼ぶが──に体当たりをしたガオファーだったが、ワイヤーブレードに足をつかまれて遠くに投げられた。さらにゾンダーロボはレールカノンで砲撃しつつ雪片で切りかかってきた。


ゾンダーロボ「ゾォーンダァー!!」

ガオファー『ファントムリング+プロテクトリング+ファントムクロー!』


 ガオファーも攻撃強化のファントムリングと防御強化のプログラムリングを右腕と左腕のクローパーツ《ファントムクロー》に装備して防御しつつも攻撃を再開した。


 ゾンダーロボはその取り込んだ性質や、素体となった存在によって性能に大きな乱れが出る。このゾンダーロボは禁止された力である《ヴァルキリートレースシステム》に戦艦の力を受け継いだ転生体《艦娘》、ドイツが生み出した遺伝子強化兵士、さらにその場にあった複数の未起動のIS等によって非常に驚異となる戦闘力になってしまったのだ。


ガオファー『なんてパワーなんだ!?ウルテクエンジンを積んでるのにパワーが足りない!』

ゾンダーロボ「……ゾォォォンダァァァ……!」


 ゾンダーロボはガオファーに興味をなくしたのか、それともゾンダーロボとしての本能かゾンダーの素体とする人間が多くいる校舎に向かっていった。


ガオファー『やらせるかぁぁぁぁ!!』


 ゾンダーロボの目の前に移動したガオファーは、伸ばしていたワイヤーブレードの一つを掴み、エネルギーの逆流を促した。


 この瞬間しかない、そう思い合体プログラム起動要請を出した。
  ツクヨミオーダーブリッジでは、GGG隊員や戦闘向きではない艦娘や学園関係者等がサポートを行っていた。そして合体プログラム起動要請が届き一人の男が立ち上がった。

 男の名は大河幸太郎。GGGの総司令官にしてGGGの創立メンバーの1人だ。


命「長官、ガオファーからファイナルフュージョン要請が発信されました!」

鹿島「作ったばかりなんですけど大丈夫なんですか?」


 心配そうに声を上げるのは、着任したばかりの練習艦である鹿島だ。合体システムに関係する機体の調整をやったのだがまだテストはしていない事に疑問を持っていた。


???「心配はいらないよ、凱はこれまでに不可能を可能にしてきたんだ」


 そういったのはGGGのチーフオペレーター兼諜報部隊オペレーターの猿頭寺耕助だ。ほとんど徹夜しているのでふけがボロボロ落ちているが、IQ300の天才でGGGの全プログラムのプロテクトを担当している。


大河「心配はいらない、後は勇気で補えばいい!ファイナル・フュージョン承認!!」


 承認の言葉を聞いて命は起動プログラムの立ち上げをおこなった。


束「みっちゃん、本当に本番でテストしていいの!?」

命「心配はいらないわ、凱は勇者なんだから!」


 それは根拠なのかと千冬は思ったのだが、隣に座っていたGGG作戦参謀長の火麻激に「心配はいらねえよ!」と言われて信じてみることにした。

  プログラムが完成したため、目の前の画面が光りプログラムボタンが出てきた 。

 命は一息吸って叫んだ。


命「了解!ファイナル・フュージョン、ブログラム・ドラァァァイブ!!」


 全力でブログラムボタンに拳を叩きつけて、バリン!とカバーガラスを粉砕しながら起動プログラムにスイッチを入れた。

  《〈FINAL・FUSION〉》

  [GUY]DRIVE

  [GAOFER]DRIVE

  [LINERGAOII]DRIVE

  [STERTHGAOV]DRIVE

  [DRILEGAOII]DRIVE

  《〈FINALFUSION〉》

  《〈GAOFAIGAR〉》


ガオファー『ファイナルゥゥゥウウウ……フュージョォォォォオオオオオオン!!!』



 大空高くガオファーが飛び上がる。するとツクヨミからステルス戦闘機《ステルスガオーV》が、学園のモノレールからH2型ロケット《ライナーガオーII》が、グラウンドの地面からドリル装甲車《ドリルガオーII》が飛び出してきた。


 ガオファーから合体プログラムリングが発せられその上を走り、次々と変形していく。

 ガオファーの腰から下が回転して向きが逆になるがまるでそれを想定したような黒い装甲が展開されていた。そこにドリルガオーIIが先端を上にせりあげて脚とドッキングする穴を展開して、中でロックがかけられた。

 両腕が背中に移されて胴体に空いた空洞に、ライナーガオーIIご変形しながら突入して煙を上げながらロックをかけた。

 更にステルスガオーIIがガオファーの腕をバックパックの接続口としてドッキングした。

 肩部分になっていた装甲が胴体に持っていかれ胸部装甲となる。

 ステルスガオーVのジェットエンジンパーツがライナーガオーから下ろされた上腕パーツと合体して腕となった。左右で形がそれぞれ異なるのが特徴だ。

 コックピットブロックのシールドが更に3~4枚展開されて、頭部にフェイスガードを備えた兜が取り付けられ、兜中央にGストーンが展開されてGの紋章が輝きフェイスガードも展開されその両目にエネルギーアクチュエイターも展開してついに完成した。


『ガオ!ファイ!ガァァァァァアアアッ!!』


 かつて世界のために戦って散り。新たな世界で地球を、未来を、そして一人の少女の希望を守るために新たに新生したファイティングメカノイド。



 その名は勇者王ガオファイガー!!





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■作者からのメッセージ
次回第6話「ゴルディオンハンマー」
(2015/12/31 12:21:21)一部修正
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