ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

幻想伝説譚 第7話:『星』が導いてくれたもの
作者:亀鳥虎龍   2016/01/02(土) 21:39公開   ID:z6k37ApUwjM
 紅魔館の異変を解決した零児達一行。

そんな中、零児は懐に何かの違和感を感じた。

確認すると、それは一枚のタロットカードが入っていた。

その図柄には、『運命の輪』が描かれていた。

零児「何だコイツは?」

思わず拾った零児であったが、

承太郎「ん? 何だコイツは?」

十六夜「タロットカードか?」

他の仲間達にも、タロットが入っていたようだ。









―『星』が導いてくれたもの―









 承太郎や十六夜達にも、タロットカードが入っていたのだ。

十六夜は『愚者』。

雪泉は『月』。

プルルートは『女帝』。

零児は『運命の輪』。

クラウスは『皇帝』。

霊夢は『正義』。

ダンテは『悪魔』。

承太郎は『星』。

なぜ、彼等の懐に入っていたかは不明だ。

それと同時に、何を意味するのかもだ。

小牟「何じゃ、そのカードは?」

零児「分からんが、何かを暗示してるかもしれん。 暫くは、様子見というところだな」

不信感を感じたが、彼等は紅魔館を後にした。










 神社に戻ると、二人の男性が立っていた。

一人は褐色の肌にアラビア民族風の服を着ていて、もう一人は赤い髪に緑系統の学生服を着ていた。

??A「ここが博麗神社か?」

??B「しかし、ここの巫女は何処に?」

どうやら二人は、霊夢を探していたようである。

霊夢「何? ウチに何の用?」

二人に対し、霊夢はすぐに声をかける。

すると二人は、思わず振り返った。

承太郎「!?」

しかしその顔を見た承太郎は、驚きを隠せなかった。

否! 承太郎はこの二人を知っていたのだ!

承太郎「まさか、お前等は!?」

??A「ん!? まさか、承太郎か!?」

??B「信じられないが、承太郎なのか!?」

二人も承太郎に驚きを隠せなかった。

承太郎「ホントにお前等なのか!? 花京院典明! モハメド・アヴドゥル!」

花京院「Yes!」

アヴドゥル「I am!」

嘗て、宿敵DIOとの戦いで命を落とした、旅の仲間なのであった。

承太郎「しかし、何故お前らが?」

アヴドゥル「あの戦いで命を落としたんだが、魂がこの世界に流れ着いてな」

花京院「その時に閻魔様から、キミが異変解決に協力していると聞いてね、僕等も手を貸そうと思ったんだ」

承太郎「そうか……頼むぜ」

感動の再会に喜びを見せた承太郎。

それを見た零児達も、温かい目で見守ったのだった。










 花京院とアヴドゥルと再会した承太郎であったが、ある事に気付いた。

承太郎「なあ、“アイツ”はどうした?」

アヴドゥル「アイツか……我々がここに着いたと同時に、何処かに行ったぞ」

花京院「まあ、彼の事ですから、すぐに戻って来るでしょ」

“アイツ”とは誰のことなのか……。

零児達は首を傾げたが、まさにその時だった。

ザップ「ん?」

??「ガァァァァ!」

ザップ「ギニャァァァァ!」

全員「!?」

何者かが、ザップに襲いかかって来たのだ。

襲いかかって来たのは、一匹の犬だった。

その犬は容赦なく、ザップの髪を毟り取っていく。

アヴドゥル「イギー!」

花京院「何処に行ってたんだ!?」

承太郎「やれやれ、相変わらずだぜ」

雪泉「あの、承太郎さん。 先程“アイツ”と呼んでいた相手とは……」

承太郎「ああ。 あの、犬のイギーだ。 相手の髪の毛を毟り取るのが好きなヤツでな。 ニューヨークの野良犬狩りにも捕まらなかったトコを、アヴドゥルがやっとの思いで捕まえたんだ」

小牟「仲間に入ってるっちゅう事は……」

ダンテ「あの犬も、スタンド使いなのか?」

承太郎「そうだ」

零児「………イギーの扱いについて、他に気を付けておく事は?」

呆れながらも質問する零児に、承太郎もイギーの癖を思い出す。

承太郎「確か……髪を毟ってる間に、屁をこく癖がある。 ソイツに気を付けてくれ」

ザップ「何ッ!? そう言う事をはや――」

慌てるザップが何かを言おうとしたが、イギーの屁がプゥと出たのだった。

ザップ「んがぁぁぁ!!」

これにより、ザップの絶叫が響いたのだった。









 人間の里。

名前の通り、人間が住んでいる区部。

中には妖怪も混ざっているが、『妖怪は人里で人間を襲ってはならない』というルールを受けている。

霊夢達は夕飯の材料を買いに行く為、この人里に向かったのである。

その光景は、まるで時代劇に来たのかと思えるほどで、

零児「中々、古風があって良いな」

承太郎「全くだぜ」

普段から冷静な零児や承太郎が、感心を見せるほどであった。

霊夢「それじゃ、夕飯は鍋にするから、それに合いそうな食材を買って来てね」

そう言うと霊夢は、そのまま何処かへと向かったのだった。

雪泉「どうしましょう?」

小牟「折角じゃ、チームで買い物をしようかのぉ。 くじ引きでな」

この提案により、以下のチームとなった。

A:承太郎、アヴドゥル、花京院、四季、千鶴

B:雪泉、プルルート、十六夜、レオナルド、小牟

C:ダンテ、バージル、零児、夜桜

D:魔理紗、叢、クラウス、ザップ、美野里









(Cチーム)

 零児達は鍋の食材に、大根を買おうとしていた。

夜桜「零児さん、何で大根を?」

零児「ん? 大根を下ろして鍋料理に使うと、意外と合うんだ。 小皿に盛って、ポン酢を少しかけ、そこに鍋で煮込んだ料理を口に運ぶ。 結構いけるんだぞ」

夜桜「ホントですか!? でも、薄切りにして鍋に入れるのも良いですよ?」

零児「成程、それは盲点だったな」

大根談議に盛りあがる二人とは対照的に、

ダンテ「鍋に合うような酒でも買うか」

バージル「焼酎が良いかもしれん。 ついでに、ガキでも飲める物も買っとけ」

ダンテとバージルは、酒屋で焼酎を瓶で3本ほど買ったのだった。








(Bチーム)

 十六夜達は食材として、白菜を買うところであった。

小牟「やっぱし鍋と言ったら、白菜が定番じゃの♪」

プルルート「瑞々しくて〜、美味しいもんねぇ〜」

雪泉「栄養もありますしね」

女性陣三人がそう言うが、十六夜が不敵な笑みを見せる。

十六夜「甘い、甘いぜお前等……。 一番大事な事を忘れてる」

プルルート「大事な事ぉ〜?」

雪泉「それは一体?」

十六夜「それは『饂飩』だ! 鍋を食べ終えたと思った矢先! 更に追加された饂飩をすする!! これこそが、鍋料理の醍醐味だろうがぁぁぁぁ!!」

小牟「何……じゃと!?」

十六夜の熱弁を聞いた小牟は、稲妻が落ちるような衝撃を受けたのだった。

レオ「いや、そこまで驚くほどですか?」

本気で思ったレオナルドであった。








(Dチーム)

 魔理紗達は森でキノコ狩りであった。

叢「ここのキノコは食せるものばかりで、たくさん取れたぞ」

美野里「魔理紗ちゃん、見て見てぇ〜!」

魔理紗「おっ! スゲェのが取れたな」

ザップ「なあ、旦那はどうした?」

叢「クラウスさんなら、奥の方へ行ったが……」

するとその時であった。

クラウス「すまない、遅くなってしまった」

そう言ってクラウスが戻って来た。

その肩には、一頭の猪が担がれていた。

コレを見た魔理紗達は、驚きを隠せず、

魔理紗「い……色んな意味で、負けたぜ」

本気でそう思った魔理紗であった。








(Aチーム)

 承太郎達は豆腐を三つほど買うと、次の食材を買いに向かった。

アヴドゥル「次は……ネギも買っておくか」

四季「人参も意外とイケるよ」

すると、目の前に誰かが倒れていたところを発見した。

色白の肌の20代前半くらいの女性である。

女「う………」

承太郎「おい、大丈夫か?」

5人が駆け寄るが、女性は突然笑い始めた。

女「うフフフウ……空条……承太郎……」

承太郎「!?」

名乗っていない自分の名前を口に出した女性に、承太郎は思わず警戒してしまう。

まさにその瞬間だった。

女「ホーネット!」

女性の体から、スズメバチを人間型にした姿の虚像が出現した。

コレを見た承太郎達は驚いた。

承太郎「これは、スタンド!?」

アヴドゥル「まさか!?」

花京院「幻想郷の人間にも、スタンド使いが!?」

目の前のスタンド使いに、三人は驚愕以外の言葉が出ない。

承太郎「裏嶋、アンタは安全な場所に隠れろ!」

千鶴「了解。 終わったら呼んでね」

千鶴が隠れた事を確認し、

承太郎「『星の白金スタープラチナ』!」

アヴドゥル「『魔術師の赤マジシャンズレッド』!」

花京院「『教皇の緑ハイエロファントグリーン』!」

三人はスタンドを発現させた。









 アヴドゥルは『魔術師の赤マジシャンズレッド』で、女に攻撃を放った。

猛禽類の頭部から吐き出される炎は、女のスタンド『ホーネット』へと放たれた。

しかし女は、両腕を交差させ、

女「甘いんだよ!」

真っ向から跳び込んだのである。

アヴドゥル「何!?」

女「無闇に避けるよりも、真っ向から跳び込むのが一番軽いけがで済むのさ」

花京院「なら、コレはどうだ!」

自身のスタンド『教皇の緑ハイエロファントグリーン』を構えた花京院。

緑色の体の『ハイエロファント』は、両手から破壊エネルギーのヴィジョンを放った。

花京院「エメラルドスプラッシュ!」

宝石状のエネルギー弾は、女へと放たれるが、

女「『ホーネット』!」

『ホーネット』は本体を護ろうと、拳でエメラルドスプラッシュを弾き落とす。

四季「だったら、本体を倒せば良いだけっしょ!」

背後に回った四季が、無数の蝙蝠を召喚し、

四季「秘伝忍法『シキソクZEX』!」

そのまま突進をしかけた。

しかし、女は軽々と避けると、

女「雑魚が!」

回し蹴りで四季を吹き飛ばした。

四季「がっ!」

女「オマケだね」

更に追い撃ちに、無数のナイフを彼女へと投げたのだ。

承太郎「四季! スタープラチナ・ザ・ワールド!!」

すぐさま承太郎は、全ての時を止め、

承太郎「残り5秒……」

四季の方へと駆け寄る。

承太郎「1……0……時は動き出す」

しかし四季を連れていける程の余裕が無く、

承太郎「くっ!」

彼女を庇うように背を向けた。










 ナイフを『星の白金スタープラチナ』で弾き落としたが、弾き落とせなかった一本が、

承太郎「ぐぅ!」

四季「JOJO!」

承太郎の右肩に突き刺さった。

アヴドゥル「承太郎! 何時の間に!?」

花京院「いや、それよりも二人が危ない!!」

二人は駆け寄ろうとするが、女は再びナイフを投げ飛ばした。

女「串刺しになりな!」

四季「JOJO! アタシから離れて! このままじゃ、JOJOが危ない!!」

承太郎「くっ!」

しかし承太郎は離れようとせず、最後まで四季を護ろうとする。

だがナイフは、二人へと迫って来ていた。

アヴドゥル「ダメだ!」

花京院「間に合わない!」

四季「お願い……」

思わず四季は、涙目で叫んだのだった。

四季「お願い、誰か来てぇ!!」

悲痛にしか聞こえない叫び。

しかし、その時であった。

??「今、助けてやるぜ!」

そう言って、一人の男が現れたのだった。










 男は体から、甲冑騎士の姿をした虚像を出現させた。

??「『銀の戦車シルバーチャリオッツ』!」

その騎士は、手に持った剣でナイフを弾き落とした。

女「な、何者だ!」

その問いに、男は名乗った。

ポルナレフ「我が名は、ジャン・ピエール・ポルナレフ! 我が友の危機に、ここに参上した!」

承太郎達と供に旅をしたスタンド使い、ジャン・ピエール・ポルナレフであった。

予想外の助っ人に、三人は驚きを隠せなかった。

承太郎「オメェは!?」

アヴドゥル「まさか、お前なのか!?」

花京院「キミも来ていたのか、ポルナレフ!」

ポルナレフ「おう、助けに来たぜ――って、アヴドゥルに花京院!? どどどどどうしてお前等が!?」

すると、一人の男が現れた。

??「ポルナレフ、ワシを置いていくんじゃあない!」

外見は若々しいが、年季を重ねた老人。

承太郎の祖父で供に旅をした、ジョセフ・ジョースターである。

アヴドゥル「ジョースターさん!」

花京院「まさか、アナタも!?」

ジョセフ「何ぃ!? 花京院にアヴドゥル!? 何故、お前が!? 承太郎、これはどういう事じゃ!?」

承太郎「そいつは後で説明する。 今は、目の前の敵に集中してくれ」

女「クソクソクソ! 邪魔すんじゃないわよ!」

ジョセフ「何じゃありゃ!?」

アヴドゥル「気を付けてください、ジョースターさん! その女はスタンド使いです! しかも、本体自身もかなり技量の持ち主です!!」

ジョセフ「なら、ワシに任せておけ!」

右手から茨状のスタンド『隠者の紫ハーミットパープル』を出すと、女の方へと伸ばした。

女「ハッ! なんだ? こんなナマっちょろいスタンドで、アタシを倒せるつもりかい?」

しかし女は、難なくそれを避けた。

ジョセフ「ゲェェ!? Oh My God!!」

女「フハハハハハ! さっきの勢いは何処に行ったんだ?」

だがその時であった。

ジョセフ「お前は次に、「甘いんだよ、隠居しなジジイ!」と言う!」

女「甘いんだよ、隠居しなジジイ! ――ハッ!?」

ジョセフ「そぉれ!」

ジョセフが引っぱると、なんと角材が飛んで来たのだ。

女「なっ!?」

驚く女であったが、避ける事も出来ず、角材に頭を打ってしまった。

女「ぐっ!」

ジョセフの策に嵌り、女は怯んでしまうが、

ポルナレフ「行くぜ。 女に手を上げるのは好きじゃあないんだが、お前は俺の仲間を傷付けた! 容赦はしねぇ!!」

銀の戦車シルバーチャリオツ』の剣捌きが放たれたのだ。

空気と空気の間に溝を作り、炎をも切断できる腕前。

その実力は、承太郎からも「手加減できるほど甘い相手ではない」と言わしめる程である。

女「ぐあぁぁぁ!」

ポルナレフ「これで、終わりだァ!」

トドメの一閃が放たれ、女はその場で倒れたのだった。





TO BE CONTINUED...

■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
 遂に、第3部のメンバーが揃いました!
テキストサイズ:10k

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.