紅魔館の異変を解決した零児達一行。
そんな中、零児は懐に何かの違和感を感じた。
確認すると、それは一枚のタロットカードが入っていた。
その図柄には、『運命の輪』が描かれていた。
零児「何だコイツは?」
思わず拾った零児であったが、
承太郎「ん? 何だコイツは?」
十六夜「タロットカードか?」
他の仲間達にも、タロットが入っていたようだ。
―『星』が導いてくれたもの―
承太郎や十六夜達にも、タロットカードが入っていたのだ。
十六夜は『愚者』。
雪泉は『月』。
プルルートは『女帝』。
零児は『運命の輪』。
クラウスは『皇帝』。
霊夢は『正義』。
ダンテは『悪魔』。
承太郎は『星』。
なぜ、彼等の懐に入っていたかは不明だ。
それと同時に、何を意味するのかもだ。
小牟「何じゃ、そのカードは?」
零児「分からんが、何かを暗示してるかもしれん。 暫くは、様子見というところだな」
不信感を感じたが、彼等は紅魔館を後にした。
神社に戻ると、二人の男性が立っていた。
一人は褐色の肌にアラビア民族風の服を着ていて、もう一人は赤い髪に緑系統の学生服を着ていた。
??A「ここが博麗神社か?」
??B「しかし、ここの巫女は何処に?」
どうやら二人は、霊夢を探していたようである。
霊夢「何? ウチに何の用?」
二人に対し、霊夢はすぐに声をかける。
すると二人は、思わず振り返った。
承太郎「!?」
しかしその顔を見た承太郎は、驚きを隠せなかった。
否! 承太郎はこの二人を知っていたのだ!
承太郎「まさか、お前等は!?」
??A「ん!? まさか、承太郎か!?」
??B「信じられないが、承太郎なのか!?」
二人も承太郎に驚きを隠せなかった。
承太郎「ホントにお前等なのか!? 花京院典明! モハメド・アヴドゥル!」
花京院「Yes!」
アヴドゥル「I am!」
嘗て、宿敵DIOとの戦いで命を落とした、旅の仲間なのであった。
承太郎「しかし、何故お前らが?」
アヴドゥル「あの戦いで命を落としたんだが、魂がこの世界に流れ着いてな」
花京院「その時に閻魔様から、キミが異変解決に協力していると聞いてね、僕等も手を貸そうと思ったんだ」
承太郎「そうか……頼むぜ」
感動の再会に喜びを見せた承太郎。
それを見た零児達も、温かい目で見守ったのだった。
花京院とアヴドゥルと再会した承太郎であったが、ある事に気付いた。
承太郎「なあ、“アイツ”はどうした?」
アヴドゥル「アイツか……我々がここに着いたと同時に、何処かに行ったぞ」
花京院「まあ、彼の事ですから、すぐに戻って来るでしょ」
“アイツ”とは誰のことなのか……。
零児達は首を傾げたが、まさにその時だった。
ザップ「ん?」
??「ガァァァァ!」
ザップ「ギニャァァァァ!」
全員「!?」
何者かが、ザップに襲いかかって来たのだ。
襲いかかって来たのは、一匹の犬だった。
その犬は容赦なく、ザップの髪を毟り取っていく。
アヴドゥル「イギー!」
花京院「何処に行ってたんだ!?」
承太郎「やれやれ、相変わらずだぜ」
雪泉「あの、承太郎さん。 先程“アイツ”と呼んでいた相手とは……」
承太郎「ああ。 あの、犬のイギーだ。 相手の髪の毛を毟り取るのが好きなヤツでな。 ニューヨークの野良犬狩りにも捕まらなかったトコを、アヴドゥルがやっとの思いで捕まえたんだ」
小牟「仲間に入ってるっちゅう事は……」
ダンテ「あの犬も、スタンド使いなのか?」
承太郎「そうだ」
零児「………イギーの扱いについて、他に気を付けておく事は?」
呆れながらも質問する零児に、承太郎もイギーの癖を思い出す。
承太郎「確か……髪を毟ってる間に、屁をこく癖がある。 ソイツに気を付けてくれ」
ザップ「何ッ!? そう言う事をはや――」
慌てるザップが何かを言おうとしたが、イギーの屁がプゥと出たのだった。
ザップ「んがぁぁぁ!!」
これにより、ザップの絶叫が響いたのだった。
人間の里。
名前の通り、人間が住んでいる区部。
中には妖怪も混ざっているが、『妖怪は人里で人間を襲ってはならない』というルールを受けている。
霊夢達は夕飯の材料を買いに行く為、この人里に向かったのである。
その光景は、まるで時代劇に来たのかと思えるほどで、
零児「中々、古風があって良いな」
承太郎「全くだぜ」
普段から冷静な零児や承太郎が、感心を見せるほどであった。
霊夢「それじゃ、夕飯は鍋にするから、それに合いそうな食材を買って来てね」
そう言うと霊夢は、そのまま何処かへと向かったのだった。
雪泉「どうしましょう?」
小牟「折角じゃ、チームで買い物をしようかのぉ。 くじ引きでな」
この提案により、以下のチームとなった。
A:承太郎、アヴドゥル、花京院、四季、千鶴
B:雪泉、プルルート、十六夜、レオナルド、小牟
C:ダンテ、バージル、零児、夜桜
D:魔理紗、叢、クラウス、ザップ、美野里
(Cチーム)
零児達は鍋の食材に、大根を買おうとしていた。
夜桜「零児さん、何で大根を?」
零児「ん? 大根を下ろして鍋料理に使うと、意外と合うんだ。 小皿に盛って、ポン酢を少しかけ、そこに鍋で煮込んだ料理を口に運ぶ。 結構いけるんだぞ」
夜桜「ホントですか!? でも、薄切りにして鍋に入れるのも良いですよ?」
零児「成程、それは盲点だったな」
大根談議に盛りあがる二人とは対照的に、
ダンテ「鍋に合うような酒でも買うか」
バージル「焼酎が良いかもしれん。 ついでに、ガキでも飲める物も買っとけ」
ダンテとバージルは、酒屋で焼酎を瓶で3本ほど買ったのだった。
(Bチーム)
十六夜達は食材として、白菜を買うところであった。
小牟「やっぱし鍋と言ったら、白菜が定番じゃの♪」
プルルート「瑞々しくて〜、美味しいもんねぇ〜」
雪泉「栄養もありますしね」
女性陣三人がそう言うが、十六夜が不敵な笑みを見せる。
十六夜「甘い、甘いぜお前等……。 一番大事な事を忘れてる」
プルルート「大事な事ぉ〜?」
雪泉「それは一体?」
十六夜「それは『饂飩』だ! 鍋を食べ終えたと思った矢先! 更に追加された饂飩をすする!! これこそが、鍋料理の醍醐味だろうがぁぁぁぁ!!」
小牟「何……じゃと!?」
十六夜の熱弁を聞いた小牟は、稲妻が落ちるような衝撃を受けたのだった。
レオ「いや、そこまで驚くほどですか?」
本気で思ったレオナルドであった。
(Dチーム)
魔理紗達は森でキノコ狩りであった。
叢「ここのキノコは食せるものばかりで、たくさん取れたぞ」
美野里「魔理紗ちゃん、見て見てぇ〜!」
魔理紗「おっ! スゲェのが取れたな」
ザップ「なあ、旦那はどうした?」
叢「クラウスさんなら、奥の方へ行ったが……」
するとその時であった。
クラウス「すまない、遅くなってしまった」
そう言ってクラウスが戻って来た。
その肩には、一頭の猪が担がれていた。
コレを見た魔理紗達は、驚きを隠せず、
魔理紗「い……色んな意味で、負けたぜ」
本気でそう思った魔理紗であった。
(Aチーム)
承太郎達は豆腐を三つほど買うと、次の食材を買いに向かった。
アヴドゥル「次は……ネギも買っておくか」
四季「人参も意外とイケるよ」
すると、目の前に誰かが倒れていたところを発見した。
色白の肌の20代前半くらいの女性である。
女「う………」
承太郎「おい、大丈夫か?」
5人が駆け寄るが、女性は突然笑い始めた。
女「うフフフウ……空条……承太郎……」
承太郎「!?」
名乗っていない自分の名前を口に出した女性に、承太郎は思わず警戒してしまう。
まさにその瞬間だった。
女「ホーネット!」
女性の体から、スズメバチを人間型にした姿の虚像が出現した。
コレを見た承太郎達は驚いた。
承太郎「これは、スタンド!?」
アヴドゥル「まさか!?」
花京院「幻想郷の人間にも、スタンド使いが!?」
目の前のスタンド使いに、三人は驚愕以外の言葉が出ない。
承太郎「裏嶋、アンタは安全な場所に隠れろ!」
千鶴「了解。 終わったら呼んでね」
千鶴が隠れた事を確認し、
承太郎「『
星の白金』!」
アヴドゥル「『
魔術師の赤』!」
花京院「『
教皇の緑』!」
三人はスタンドを発現させた。
アヴドゥルは『
魔術師の赤』で、女に攻撃を放った。
猛禽類の頭部から吐き出される炎は、女のスタンド『ホーネット』へと放たれた。
しかし女は、両腕を交差させ、
女「甘いんだよ!」
真っ向から跳び込んだのである。
アヴドゥル「何!?」
女「無闇に避けるよりも、真っ向から跳び込むのが一番軽いけがで済むのさ」
花京院「なら、コレはどうだ!」
自身のスタンド『
教皇の緑』を構えた花京院。
緑色の体の『ハイエロファント』は、両手から破壊エネルギーのヴィジョンを放った。
花京院「エメラルドスプラッシュ!」
宝石状のエネルギー弾は、女へと放たれるが、
女「『ホーネット』!」
『ホーネット』は本体を護ろうと、拳でエメラルドスプラッシュを弾き落とす。
四季「だったら、本体を倒せば良いだけっしょ!」
背後に回った四季が、無数の蝙蝠を召喚し、
四季「秘伝忍法『シキソクZEX』!」
そのまま突進をしかけた。
しかし、女は軽々と避けると、
女「雑魚が!」
回し蹴りで四季を吹き飛ばした。
四季「がっ!」
女「オマケだね」
更に追い撃ちに、無数のナイフを彼女へと投げたのだ。
承太郎「四季! スタープラチナ・ザ・ワールド!!」
すぐさま承太郎は、全ての時を止め、
承太郎「残り5秒……」
四季の方へと駆け寄る。
承太郎「1……0……時は動き出す」
しかし四季を連れていける程の余裕が無く、
承太郎「くっ!」
彼女を庇うように背を向けた。
ナイフを『
星の白金』で弾き落としたが、弾き落とせなかった一本が、
承太郎「ぐぅ!」
四季「JOJO!」
承太郎の右肩に突き刺さった。
アヴドゥル「承太郎! 何時の間に!?」
花京院「いや、それよりも二人が危ない!!」
二人は駆け寄ろうとするが、女は再びナイフを投げ飛ばした。
女「串刺しになりな!」
四季「JOJO! アタシから離れて! このままじゃ、JOJOが危ない!!」
承太郎「くっ!」
しかし承太郎は離れようとせず、最後まで四季を護ろうとする。
だがナイフは、二人へと迫って来ていた。
アヴドゥル「ダメだ!」
花京院「間に合わない!」
四季「お願い……」
思わず四季は、涙目で叫んだのだった。
四季「お願い、誰か来てぇ!!」
悲痛にしか聞こえない叫び。
しかし、その時であった。
??「今、助けてやるぜ!」
そう言って、一人の男が現れたのだった。
男は体から、甲冑騎士の姿をした虚像を出現させた。
??「『
銀の戦車』!」
その騎士は、手に持った剣でナイフを弾き落とした。
女「な、何者だ!」
その問いに、男は名乗った。
ポルナレフ「我が名は、ジャン・ピエール・ポルナレフ! 我が友の危機に、ここに参上した!」
承太郎達と供に旅をしたスタンド使い、ジャン・ピエール・ポルナレフであった。
予想外の助っ人に、三人は驚きを隠せなかった。
承太郎「オメェは!?」
アヴドゥル「まさか、お前なのか!?」
花京院「キミも来ていたのか、ポルナレフ!」
ポルナレフ「おう、助けに来たぜ――って、アヴドゥルに花京院!? どどどどどうしてお前等が!?」
すると、一人の男が現れた。
??「ポルナレフ、ワシを置いていくんじゃあない!」
外見は若々しいが、年季を重ねた老人。
承太郎の祖父で供に旅をした、ジョセフ・ジョースターである。
アヴドゥル「ジョースターさん!」
花京院「まさか、アナタも!?」
ジョセフ「何ぃ!? 花京院にアヴドゥル!? 何故、お前が!? 承太郎、これはどういう事じゃ!?」
承太郎「そいつは後で説明する。 今は、目の前の敵に集中してくれ」
女「クソクソクソ! 邪魔すんじゃないわよ!」
ジョセフ「何じゃありゃ!?」
アヴドゥル「気を付けてください、ジョースターさん! その女はスタンド使いです! しかも、本体自身もかなり技量の持ち主です!!」
ジョセフ「なら、ワシに任せておけ!」
右手から茨状のスタンド『
隠者の紫』を出すと、女の方へと伸ばした。
女「ハッ! なんだ? こんなナマっちょろいスタンドで、アタシを倒せるつもりかい?」
しかし女は、難なくそれを避けた。
ジョセフ「ゲェェ!? Oh My God!!」
女「フハハハハハ! さっきの勢いは何処に行ったんだ?」
だがその時であった。
ジョセフ「お前は次に、「甘いんだよ、隠居しなジジイ!」と言う!」
女「甘いんだよ、隠居しなジジイ! ――ハッ!?」
ジョセフ「そぉれ!」
ジョセフが引っぱると、なんと角材が飛んで来たのだ。
女「なっ!?」
驚く女であったが、避ける事も出来ず、角材に頭を打ってしまった。
女「ぐっ!」
ジョセフの策に嵌り、女は怯んでしまうが、
ポルナレフ「行くぜ。 女に手を上げるのは好きじゃあないんだが、お前は俺の仲間を傷付けた! 容赦はしねぇ!!」
『
銀の戦車』の剣捌きが放たれたのだ。
空気と空気の間に溝を作り、炎をも切断できる腕前。
その実力は、承太郎からも「手加減できるほど甘い相手ではない」と言わしめる程である。
女「ぐあぁぁぁ!」
ポルナレフ「これで、終わりだァ!」
トドメの一閃が放たれ、女はその場で倒れたのだった。
TO BE CONTINUED...