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ラブ・ドラッグ 両親の手紙
作者:青木   2016/01/07(木) 15:26公開   ID:aD/bcO1hwWA
太字の文 五日目。          
 時間が過ぎるのは早い。          
 今日を入れて三日しかないのだ。     
 まぁでも今は幸せだから思い残すことはないのかな?     
 自分でもイマイチわからない。     
 今日も結局、家でくつろいでいる。     
 「ねぇちょっと」          
 「なんだよ人がダラダラしてるのに」     
 「この家を今から掃除しようと思うんだけど」     
 そういうことか。      
 「じゃあやるか死ぬときに家が汚いのも気分悪いからな」     
 「いやそういう意味じゃなくて・・・・・・まっいっか」      
 「俺は二階の自分の部屋掃除してくる」     
 俺は階段をかけ上がった。      
 いつ見ても平凡な部屋だ。          
 タンスに机・椅子など必要なもの以外置いていなかった。   
 自分の勉強机の棚を出して中を見た。           
 入っていたのは本やらノートだった。     
 「全部出して要らないもの捨てるか」     
 そして本やノートをすべて出した・・・・・あれ奥に何かある。      
 出してみたところそれはほこりまみれた封筒だった。     
 中には一枚の写真と手紙が入っていた。     
 手紙には2010年9月10日と記してある。     
 俺は文章を読むことにした。     
 字は自分の両親の字だ。                      
                 

 ごめんね渉     
 私達のせいで苦労ばかりだったね。     
 先に行っちゃうけど渉ならやっていけると思ったから。     
 自殺なんてあり得ないよね親失格だよね。     
 でも渉が私達のことが嫌いでも私達はずっと見守っているから。     
 世界で一組だけの渉の親なんだから。     
 あと渉も子供が出来たら私達みたいに死んだらダメよ。     
 どんなに苦しくても絶対にダメだよ。     
 いいお嫁さん見つけなさいよ。     
 母・父より           
                 
                 
 写真は俺と両親が最後に三人で撮ったものだ。          
 俺は両親の期待に答えられなかったわけだ。          
 なぜなんだなんで俺はどこまでもダメな息子なんだ。     
 本当にごめん。         
 「掃除進んでる」          
 まとめが階段を上がってきていた。     
 「何やってるのよあんた」          
 まとめは俺を見て戸惑っていた。      
 俺はまとめの方に歩み寄った。     
 「お前は俺がいなくて寂しくないか」     
 「突然過ぎてよくわからないんだけど」     
 「それ何?」          
 まとめは俺が持っている手紙に気付いたらしく見せてほしいらしい。       
 まとめを手紙を読み始めた。      
 「これって遺書?」       
 世間で言うとそういうものだろう。     
 「寂しいも何もあなたという記憶が消されると思うからまだわからない」
 そうなのか俺のことを覚えてくれるやつはいなくなるのか。
 「でも両親は悲しんだりしないと思うわよ」     
 「なんで」           
 「自分の息子がいろんな人から愛されたり必要とされたんだから嬉しいと思うはずだと考えたけどなぁ」
 そうか確かに今の俺は幸せ者だ。
 俺にはたくさん大切な人が出来た、そしてみんなも大切にしてくれた。
 ただそれだけで幸せなんだと。     
 「分かった俺は幸せ者だ」    
 「そうよそうしてないと悲しむわよ」
 俺は本当に大切なことを知ったのかも知れない。

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