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ラブ・ドラッグ 最後の晩餐
作者:青木   2016/01/11(月) 10:20公開   ID:aD/bcO1hwWA
 七日目              
 ついにこの日が来てしまった。     
 俺の人生で最終日もあと三時間。     
 この運命は逆立ちしても変えることはできないだろう。     
 「あと三時間であなたとの記憶も消えるのよね」      
 「そうなんだよ」        
 「残るのはただの人間として黒場 渉として残るだけ他人になってしまう」     
 八方塞がりだった人生で最後にこんないい思いでができて良かった。     
 「最後にまとめの料理食べたいな」      
 「何食べたい?」        
 「揚げ物」           
 この揚げ物にはまとめとの思い出が詰まっているだから最後に食べたいんだ。   
 「作るから待っててね」     
 まとめはキッチンに向かった。     
 いつ見ても女性のエプロン姿と言うのは美しい・・・・・・何考えてるんだ俺。   
 最後に考えることがこんなことじゃ天国で母さんたちに会わせる顔がないな。    
 「ねぇあなたちょっと来て」     
 俺はまとめのいるキッチンに向かった。     
 「なんだまとめ」        
 「隣に・・・・・・来て」    
 何考えてるんだこいつ手伝えってことか?     
 「そこにいるだけでいいから」     
 なんじゃそりゃ意味わからん。     
 「どうして隣で立っとらんといけないんだ?」     
 「どうしてって・・・・・・特に理由はないけどでも最後くらい隣にいて欲しいなと」
 そう言うことかまとめらしい。      
 正直なところ俺もそうなんだけどな。      
 「出来たわよテーブルまで持ってって」      
 俺は言われた通り皿に盛られた揚げ物をテーブルまで持っていき椅子に腰かけた。  
 「それにしても最後に揚げ物なんて他になかったの」    
 まとめがエプロンを脱ぎながら聞いてきた。     
 「まとめがよく作ってくれたじゃないか揚げ物それが美味しかったからまた作って貰ったってわけ」
 「そう・・・・・・ありがと」     
 「これが最後の晩餐か・・・・・・キリストの気持ちがわかる気がする」   
 「この場に及んでその話ですか」     
 「ねぇ食べ終わってもまだ時間あるけど」     
 「このまましゃべっていたいな俺は」     
 「ならいいけど」        
 確かに最後にしては寂しすぎるかもしれない。     
 でも思い付かないんだよな。     
 「美味しいわね今日も」     
 「自分で言うかそれ」      
 「美味しくないの」       
 「美味しいに決まってるだろ言わせるなよ」     
 こうやって好きなやつと喋っているだけで幸せだ。     
 俺はやはり幸せものだったんだ。     
 「そう言えばさまだ私たちってカップルらしいことやってないよね」     
 「そんなことないだろデートだって行ったし・・・・・・」     
 「そういう意味じゃなくて」      
 「は・・・・・・どういう意味だよ」     
 「分からないならいい」     
 なんだよそれ自分から言ったくせにそんなのありかよ。     
 「ごちそうさま」        
 カップルとしてやってないこと?なんだそりゃ。     
 「もう・・・・・・行くの」      
 「ああ行くよ一時間前にはこいだってよ」     
 「聞いてないんだけど」     
 「今、突然言われたんだよ」     
 「繋がってると言うことね」     
 「そう言うこと」        
 「目・・・・・・つぶってて」     
 「何を突然・・・・・・」    
 「いいから!つぶってて」    
 俺は言われるがまま目を瞑った。     
 何が始まるんだ一体。      
 まとめが肩に手を乗せてきた一体なんなんだ。    
 唇にやわらかい感触が・・・・・・     
 そうかこれが・・・・・・まとめの言ってたやってないことだったのか。
 「もういいわよ開けても」    
 「ごめんね突然・・・・・・これでわかったでしょ」
 「何もかも分かったこれで思い残すことは何もない」     
 「いってらっしゃい」      
 「いってきます」        
 俺は家の前で待っていた役人に未来までつれてかれた。
 そして、0:00死刑が執行された。     
 

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