プルルートと叢の『仮面でヌイグルミチーム』は、
プルルート「え〜と……何処だっけ〜?」
叢「いかん、迷った…」
現在、竹林の中で迷っていた。
更にその時であった。
プルルート「ひゃっ!」
ドスンと、プルルートが落とし穴に落ちてしまったのだ。
―Aパート:『女帝』は常に笑みを忘れない―
深さ10メートル以上の落とし穴。
プルルート「いたぁ〜い」
叢「待っていろ、プルルート。 すぐに助けに――」
しかし、その時であった。
??A「おっと、そう簡単にさせるかい?」
ピンクのワンピース姿に、兎の耳が生えた少女と、
??B「すみませんが、ここで寝て貰いますよ」
銀髪でブラウスに緑のベスト、同色のスカートを履いている少女。
その隣には、人魂のようなものが浮かんでいた。
叢「何者だ!」
てゐ「この竹林の妖怪、因幡てゐだ」
妖夢「白玉楼の半人半霊、魂魄妖夢です」
腰の刀を鞘から抜く妖夢。
ニヤニヤと笑うてゐ。
それを見た叢は、胸元の巻物を構えた。
叢「忍・転・身!」
和風の鎧のような忍服に変わり、手には槍と鉈が握られていた。
叢「すまない、プルルート! 敵を倒したら、すぐに助けに行くぞ!」
長刀の『楼観剣』を握り、妖夢は一直線に斬りかかる。
妖夢「ハァァ!」
叢「くっ!!」
ガキィンと、楼観剣の刃を鉈で防ぐ叢。
叢「ハァァァ!」
咄嗟に槍で反撃を試みるが、
妖夢「甘い!」
それを見た妖夢は、すぐさま後ろへと飛んだ。
叢「空中か!」
妖夢「流石に、空は飛べませんよね?」
叢「確かに、我は空は飛べん……だが!」
背後の竹へと飛び、それを踏み台にして飛び上がった。
叢「忍を甘く見過ぎだ!」
鉈を振り下ろすが、妖夢は楼観剣でそれを防いだ。
この時、叢は忘れていた。
プルルートの存在自体を……。
その頃、プルルートはというと、
プルルート「叢ちゃ〜ん! 早く助けてぇ〜!!」
助けを呼ぶが、誰かが来る気配が無かった。
すると、てゐが顔を出してきた。
てゐ「どうだ〜い? 落とし穴に嵌った気分は?」
ケラケラと笑うてゐに、プルルートは不満げな顔をしていた。
プルルート「お願い〜! ここから出してぇ〜!」
てゐ「や〜だよ! 何で私が、そんな面倒な事しなきゃならないんだい? 登ってくれば良いだろ?」
プルルート「それが無理だからぁ〜、お願いしてるのぉ〜!」
しかし、てゐの返事はこうであった。
てゐ「や〜〜〜〜だよ! アンタみたいなスッとろいヤツ、そこで一生を終えな。 キャハハハハハ!」
それを聞いた瞬間、プルルートの何かがプッツーンと切れた。
プルルート「へぇ〜……そうなんだ……」
てゐ「!?」
口調が代わり、今までにない凄味を見せるプルルート。
てゐ「(な、何だいコレ!? 今までない凄味を感じる!?)」
プルルート「あたし〜〜、もう怒っちゃったかもぉ〜!!」
そして、次の瞬間……。
叢と妖夢の激戦は、更なる激しさを増していった。
妖夢「ハァ……ハァ……やりますね」
叢「ハァ……ハァ……互いにな」
体中は傷だらけ、服は砂埃で汚れていて、
妖夢「こんなに楽しくなるとは、思ってみませんでした」
叢「我もだ。 いくぞ、妖夢!」
妖夢「ハァァァァ!」
叢「ウオォォォォ!」
再び真っ向からぶつかろうとした二人。
しかし、その時であった。
ヒューと、何かが二人の間を通りすぎ、
叢「え?」
妖夢「へ?」
ドガァァと、そのまま竹林へとぶつかった。
飛んで来たのは、
てゐ「きゅ〜……」
目を回しながら倒れたてゐであった。
倒れたてゐを見て、二人は驚きを隠せなかった。
妖夢「て、てゐさん!?」
叢「一体……何が!?」
すると、その時であった。
??「全く……何をやってるかと思えば……」
長身で妖艶な雰囲気を纏った、ボンテージ服のような衣装を着た女性が現れた。
??「アタシの事を忘れて、青春の1ページをめくってたなんて……本当に酷い話ね」
女性の姿に、二人は凄まじい悪寒を感じ取った。
??「叢ちゃんが早く倒さないから、一人で登って来たのよ? あの落とし穴から」
“落とし穴”という言葉に、二人は「まさか」と言う顔をする。
叢「まさか……プルルートなのか?」
アイリスハート「ええ、そうよ。 この姿の時は、『アイリスハート』って呼んでるけど」
彼女――アイリスハートはニッコリと笑う。
しかしその笑顔には、とんでもないドSなオーラが纏っていた。
妖夢「あ、あの……てゐさんを吹き飛ばしたのも、アナタですか?」
アイリスハート「そうよ。 あの落とし穴から助けてくれなかったから、ちょっとお仕置きしてあげたの♪」
それを聞いた二人は、体がガタガタと震えてしまう。
妖夢「(てゐさん……)」
叢「(御愁傷様……)」
だがその時、アイリスハートの背後から、
バンガード「キャハハハ!」
悪魔のヘル=バンガードが現れたのだ。
アイリスハート「あら?」
しかしアイリスハートは、手の持った蛇腹剣を振るい、
バンガード「!?」
ヘル=バンガードを地面に叩き付けたのである。
更に、そのまま頭を踏みつけると、
アイリスハート「ちょぉ〜〜〜っと、アタシのストレス解消に付き合って貰うわね!」
蛇腹剣を鞭のように振るい、何度も何度も打ちつけたのであった。
アイリスハート「フハハハハ……アーーーハハハハハハハ!」
もはやその姿は、『女神』というよりは『女王』という感じであった。
コレを見た妖夢と叢は、
二人「ヒィ〜〜〜……」
互いに抱き合いながら、その光景を涙目で見るしか出来なかった。
ヘル=バンガードを撃破したアイリスハート。
アイリスハート「アラアラ、見かけ倒しだったようね。 さぁ〜て……」
すると彼女は、妖夢と叢の方へと顔を向ける。
アイリスハート「最後に、デザートを味わおうかしら♪」
妖夢「ででででデザートって!?」
叢「まさか、我等の事を言ってるのか!?」
アイリスハート「他に誰がいるの?」
徐々に歩み寄って来るアイリスハート。
叢も妖夢も逃げ出したいが、互いの激戦による体力の消耗により、動きたいけど動けなのである。
アイリスハート「全く、これでも怒ってるのよ? 誰もアタシを、あの落とし穴から助けてくれなかったもの」
叢「す、すまない。 それに関しては、忘れてしまった事は謝る! だから……」
妖夢「みみみみ、見逃して下さい!」
涙目で訴える二人であったが、
アイリスハート「フフッ、ダ〜メ」
バッサリと、切り捨てられてしまった。
アイリスハート「というワケで、いっただきまぁ〜す♪」
二人「イヤァァァァァァァァ!」
こうして二人は、アイリスハートの毒牙に掛かったのだった。
因幡てゐ――肉体的なトラウマを植え付けられ、
再起不能!
魂魄妖夢&叢――精神的なトラウマを植え付けられ、
再起不能!
―Bパート:『法皇』の結界からは逃げられない―
有栖零児と花京院典明の『五行と法皇チーム』は、
零児「他は大丈夫なんだろうか?」
花京院「心配ですが、今は異変の解決が最優先ですね」
仲間達の身を案じながらも、竹林の奥へと進んでいく。
すると、その時であった。
??「そこまでよ!」
ブレザーを着た、兎耳の少女が現れた。
零児「どうやら、ここの妖怪のようだな」
鈴仙「「鈴仙・優曇華院・イナバよ。 悪いけど、アナタ達には退場して貰うわよ?」
花京院「そういうワケにはいかないんでね」
鈴仙「なら、実力行使ね!」
こうして、月の兎との激戦が始まった。
スペルを発動し、鈴仙は弾幕を放つ。
鈴仙「波符『
赤眼催眠』!」
しかし、花京院が『法皇の緑』で迎え撃つ。
花京院「エメラルドスプラッシュ!」
その戦いはまさに、幻想郷の『弾幕ごっこ』そのものである。
鈴仙「くっ、やるわね!」
すると鈴仙は後ろに跳ぶと、再びスペルを発動させる。
鈴仙「これでどう? 狂符『
幻視調律』!」
上下に移動しながら、壁のように隙間なく並んだ弾丸型の弾。
これには二人も避けることが困難であった。
零児「くっ! これは、距離を詰めるのが難しいぞ!」
攻撃が届かない事を感じる零児であったが、花京院がある事を思いついた。
花京院「零児さん、少し時間を稼いでくれませんか?」
零児「何か、方法があるのか?」
花京院「ええ。 少し準備が必要ですが」
零児「どのくらいかかる?」
花京院「10秒で」
零児「分かった。 頼むぞ!」
花京院「はい!」
そう言って花京院は、一度零児と離別した。
鈴仙の放つ弾幕を、零児はショットガンの『
柊樹』で迎え撃つ。
零児「このまま! 火燐! 霜鱗!」
更に火を宿す刀と氷を宿す刀で、無数の弾幕を防いでいった。
この戦闘技術に、流石の鈴仙も驚きを隠せなかった。
鈴仙「(くっ! なんて腕なの!? 私の弾幕を全て防ぐなんて!)」
流石に不利と感じた鈴仙は、すぐさま再び距離を取ったのである。
鈴仙「(もう一度、距離を取って――)」
しかし、その時であった。
花京院「時間稼ぎ、助かりました」
何処からか、花京院の声が聞こえたのだった。
距離を取った鈴仙であったが、カチッと何かが肩に当たった。
鈴仙「え?」
そして、まさにその瞬間だった。
バシュゥンと、エメラルドスプラシュが背後から放たれたのだ。
鈴仙「なっ!?」
驚いた鈴仙は、すぐさまエメラルドスプラッシュを紙一重でかわす。
しかしカチッと、何かが肘に当たると、
鈴仙「えっ!?」
再びエメラルドスプラッシュが放たれたのだった。
鈴仙「一体、何処から飛んでくるのよ!?」
今度は弾幕で相殺させる。
驚きを隠せない鈴仙であったが、辺りを冷静に見渡すと、
鈴仙「え!?」
『
法皇の緑』が紐状になって、随所に張り巡らされていた。
鈴仙「何なの、これは!?」
花京院「結界さ」
そして彼女の前方に、竹の頂上に立つ花京院の姿があった。
花京院「キミが零児さんと戦っている間に、僕が『
法皇の結界』を張って置いたのさ。 気付かない内にね」
鈴仙「こんな結界、すぐに抜けだせば!」
そう言って空から逃げようとする鈴仙であったが、背中が結界に触れてしまい、
花京院「無駄だ」
再びエメラルドスプラッシュが放たれた。
鈴仙「きゃっ!」
花京院「結界は半径20メートルも張られている。 キミの動きは、手に取るように探知できる!」
それを聞いた零児は、腕を組みながら、
零児「この戦術……承太郎が接近戦最強なら、花京院は遠距離戦最強と呼べるかもしれんな」
納得するように頷いたのだった。
花京院「これで終わりだ! 半径20mのエメラスドスプラッシュゥゥゥゥ!!」
結界から一斉に放たれたエメラスドスプラッシュ。
鈴仙「キャァァァァァァ!」
これには鈴仙も、直撃を受けるのだった。
鈴仙・優曇華院・イナバ――
再起不能!