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幻想伝説譚 第10話:(Aパート)『女帝』は常に笑みを忘れない、(Bパート)『法皇』の結界からは逃げられない
作者:亀鳥虎龍   2016/01/12(火) 20:12公開   ID:EMVWN4iz2mQ
 プルルートと叢の『仮面でヌイグルミチーム』は、

プルルート「え〜と……何処だっけ〜?」

叢「いかん、迷った…」

現在、竹林の中で迷っていた。

更にその時であった。

プルルート「ひゃっ!」

ドスンと、プルルートが落とし穴に落ちてしまったのだ。









―Aパート:『女帝』は常に笑みを忘れない―








 深さ10メートル以上の落とし穴。

プルルート「いたぁ〜い」

叢「待っていろ、プルルート。 すぐに助けに――」

しかし、その時であった。

??A「おっと、そう簡単にさせるかい?」

ピンクのワンピース姿に、兎の耳が生えた少女と、

??B「すみませんが、ここで寝て貰いますよ」

銀髪でブラウスに緑のベスト、同色のスカートを履いている少女。

その隣には、人魂のようなものが浮かんでいた。

叢「何者だ!」

てゐ「この竹林の妖怪、因幡てゐだ」

妖夢「白玉楼の半人半霊、魂魄妖夢です」

腰の刀を鞘から抜く妖夢。

ニヤニヤと笑うてゐ。

それを見た叢は、胸元の巻物を構えた。

叢「忍・転・身!」

和風の鎧のような忍服に変わり、手には槍と鉈が握られていた。

叢「すまない、プルルート! 敵を倒したら、すぐに助けに行くぞ!」









 長刀の『楼観剣』を握り、妖夢は一直線に斬りかかる。

妖夢「ハァァ!」

叢「くっ!!」

ガキィンと、楼観剣の刃を鉈で防ぐ叢。

叢「ハァァァ!」

咄嗟に槍で反撃を試みるが、

妖夢「甘い!」

それを見た妖夢は、すぐさま後ろへと飛んだ。

叢「空中か!」

妖夢「流石に、空は飛べませんよね?」

叢「確かに、我は空は飛べん……だが!」

背後の竹へと飛び、それを踏み台にして飛び上がった。

叢「忍を甘く見過ぎだ!」

鉈を振り下ろすが、妖夢は楼観剣でそれを防いだ。

この時、叢は忘れていた。

プルルートの存在自体を……。










 その頃、プルルートはというと、

プルルート「叢ちゃ〜ん! 早く助けてぇ〜!!」

助けを呼ぶが、誰かが来る気配が無かった。

すると、てゐが顔を出してきた。

てゐ「どうだ〜い? 落とし穴に嵌った気分は?」

ケラケラと笑うてゐに、プルルートは不満げな顔をしていた。

プルルート「お願い〜! ここから出してぇ〜!」

てゐ「や〜だよ! 何で私が、そんな面倒な事しなきゃならないんだい? 登ってくれば良いだろ?」

プルルート「それが無理だからぁ〜、お願いしてるのぉ〜!」

しかし、てゐの返事はこうであった。

てゐ「や〜〜〜〜だよ! アンタみたいなスッとろいヤツ、そこで一生を終えな。 キャハハハハハ!」

それを聞いた瞬間、プルルートの何かがプッツーンと切れた。

プルルート「へぇ〜……そうなんだ……」

てゐ「!?」

口調が代わり、今までにない凄味を見せるプルルート。

てゐ「(な、何だいコレ!? 今までない凄味を感じる!?)」

プルルート「あたし〜〜、もう怒っちゃったかもぉ〜!!」

そして、次の瞬間……。











 叢と妖夢の激戦は、更なる激しさを増していった。

妖夢「ハァ……ハァ……やりますね」

叢「ハァ……ハァ……互いにな」

体中は傷だらけ、服は砂埃で汚れていて、

妖夢「こんなに楽しくなるとは、思ってみませんでした」

叢「我もだ。 いくぞ、妖夢!」

妖夢「ハァァァァ!」

叢「ウオォォォォ!」

再び真っ向からぶつかろうとした二人。

しかし、その時であった。

ヒューと、何かが二人の間を通りすぎ、

叢「え?」

妖夢「へ?」

ドガァァと、そのまま竹林へとぶつかった。

飛んで来たのは、

てゐ「きゅ〜……」

目を回しながら倒れたてゐであった。










 倒れたてゐを見て、二人は驚きを隠せなかった。

妖夢「て、てゐさん!?」

叢「一体……何が!?」

すると、その時であった。

??「全く……何をやってるかと思えば……」

長身で妖艶な雰囲気を纏った、ボンテージ服のような衣装を着た女性が現れた。

??「アタシの事を忘れて、青春の1ページをめくってたなんて……本当に酷い話ね」

女性の姿に、二人は凄まじい悪寒を感じ取った。

??「叢ちゃんが早く倒さないから、一人で登って来たのよ? あの落とし穴から」

“落とし穴”という言葉に、二人は「まさか」と言う顔をする。

叢「まさか……プルルートなのか?」

アイリスハート「ええ、そうよ。 この姿の時は、『アイリスハート』って呼んでるけど」

彼女――アイリスハートはニッコリと笑う。

しかしその笑顔には、とんでもないドSなオーラが纏っていた。

妖夢「あ、あの……てゐさんを吹き飛ばしたのも、アナタですか?」

アイリスハート「そうよ。 あの落とし穴から助けてくれなかったから、ちょっとお仕置きしてあげたの♪」

それを聞いた二人は、体がガタガタと震えてしまう。

妖夢「(てゐさん……)」

叢「(御愁傷様……)」

だがその時、アイリスハートの背後から、

バンガード「キャハハハ!」

悪魔のヘル=バンガードが現れたのだ。

アイリスハート「あら?」

しかしアイリスハートは、手の持った蛇腹剣を振るい、

バンガード「!?」

ヘル=バンガードを地面に叩き付けたのである。

更に、そのまま頭を踏みつけると、

アイリスハート「ちょぉ〜〜〜っと、アタシのストレス解消に付き合って貰うわね!」

蛇腹剣を鞭のように振るい、何度も何度も打ちつけたのであった。

アイリスハート「フハハハハ……アーーーハハハハハハハ!」

もはやその姿は、『女神』というよりは『女王』という感じであった。

コレを見た妖夢と叢は、

二人「ヒィ〜〜〜……」

互いに抱き合いながら、その光景を涙目で見るしか出来なかった。










 ヘル=バンガードを撃破したアイリスハート。

アイリスハート「アラアラ、見かけ倒しだったようね。 さぁ〜て……」

すると彼女は、妖夢と叢の方へと顔を向ける。

アイリスハート「最後に、デザートを味わおうかしら♪」

妖夢「ででででデザートって!?」

叢「まさか、我等の事を言ってるのか!?」

アイリスハート「他に誰がいるの?」

徐々に歩み寄って来るアイリスハート。

叢も妖夢も逃げ出したいが、互いの激戦による体力の消耗により、動きたいけど動けなのである。

アイリスハート「全く、これでも怒ってるのよ? 誰もアタシを、あの落とし穴から助けてくれなかったもの」

叢「す、すまない。 それに関しては、忘れてしまった事は謝る! だから……」

妖夢「みみみみ、見逃して下さい!」

涙目で訴える二人であったが、

アイリスハート「フフッ、ダ〜メ」

バッサリと、切り捨てられてしまった。

アイリスハート「というワケで、いっただきまぁ〜す♪」

二人「イヤァァァァァァァァ!」

こうして二人は、アイリスハートの毒牙に掛かったのだった。

因幡てゐ――肉体的なトラウマを植え付けられ、

魂魄妖夢&叢――精神的なトラウマを植え付けられ、







―Bパート:『法皇』の結界からは逃げられない―








 有栖零児と花京院典明の『五行と法皇チーム』は、

零児「他は大丈夫なんだろうか?」

花京院「心配ですが、今は異変の解決が最優先ですね」

仲間達の身を案じながらも、竹林の奥へと進んでいく。

すると、その時であった。

??「そこまでよ!」

ブレザーを着た、兎耳の少女が現れた。

零児「どうやら、ここの妖怪のようだな」

鈴仙「「鈴仙・優曇華院・イナバよ。 悪いけど、アナタ達には退場して貰うわよ?」

花京院「そういうワケにはいかないんでね」

鈴仙「なら、実力行使ね!」

こうして、月の兎との激戦が始まった。












 スペルを発動し、鈴仙は弾幕を放つ。

鈴仙「波符『赤眼催眠マインドシェイカー』!」

しかし、花京院が『法皇の緑』で迎え撃つ。

花京院「エメラルドスプラッシュ!」

その戦いはまさに、幻想郷の『弾幕ごっこ』そのものである。

鈴仙「くっ、やるわね!」

すると鈴仙は後ろに跳ぶと、再びスペルを発動させる。

鈴仙「これでどう? 狂符『幻視調律ビジョナリチューニング』!」

上下に移動しながら、壁のように隙間なく並んだ弾丸型の弾。

これには二人も避けることが困難であった。

零児「くっ! これは、距離を詰めるのが難しいぞ!」

攻撃が届かない事を感じる零児であったが、花京院がある事を思いついた。

花京院「零児さん、少し時間を稼いでくれませんか?」

零児「何か、方法があるのか?」

花京院「ええ。 少し準備が必要ですが」

零児「どのくらいかかる?」

花京院「10秒で」

零児「分かった。 頼むぞ!」

花京院「はい!」

そう言って花京院は、一度零児と離別した。









 鈴仙の放つ弾幕を、零児はショットガンの『柊樹ハリウッド』で迎え撃つ。

零児「このまま! 火燐! 霜鱗!」

更に火を宿す刀と氷を宿す刀で、無数の弾幕を防いでいった。

この戦闘技術に、流石の鈴仙も驚きを隠せなかった。

鈴仙「(くっ! なんて腕なの!? 私の弾幕を全て防ぐなんて!)」

流石に不利と感じた鈴仙は、すぐさま再び距離を取ったのである。

鈴仙「(もう一度、距離を取って――)」

しかし、その時であった。

花京院「時間稼ぎ、助かりました」

何処からか、花京院の声が聞こえたのだった。









 距離を取った鈴仙であったが、カチッと何かが肩に当たった。

鈴仙「え?」

そして、まさにその瞬間だった。

バシュゥンと、エメラルドスプラシュが背後から放たれたのだ。

鈴仙「なっ!?」

驚いた鈴仙は、すぐさまエメラルドスプラッシュを紙一重でかわす。

しかしカチッと、何かが肘に当たると、

鈴仙「えっ!?」

再びエメラルドスプラッシュが放たれたのだった。

鈴仙「一体、何処から飛んでくるのよ!?」

今度は弾幕で相殺させる。

驚きを隠せない鈴仙であったが、辺りを冷静に見渡すと、

鈴仙「え!?」

法皇の緑ハイエロファントグリーン』が紐状になって、随所に張り巡らされていた。

鈴仙「何なの、これは!?」

花京院「結界さ」

そして彼女の前方に、竹の頂上に立つ花京院の姿があった。

花京院「キミが零児さんと戦っている間に、僕が『法皇ハイエロファントの結界』を張って置いたのさ。 気付かない内にね」

鈴仙「こんな結界、すぐに抜けだせば!」

そう言って空から逃げようとする鈴仙であったが、背中が結界に触れてしまい、

花京院「無駄だ」

再びエメラルドスプラッシュが放たれた。

鈴仙「きゃっ!」

花京院「結界は半径20メートルも張られている。 キミの動きは、手に取るように探知できる!」

それを聞いた零児は、腕を組みながら、

零児「この戦術……承太郎が接近戦最強なら、花京院は遠距離戦最強と呼べるかもしれんな」

納得するように頷いたのだった。

花京院「これで終わりだ! 半径20mのエメラスドスプラッシュゥゥゥゥ!!」

結界から一斉に放たれたエメラスドスプラッシュ。

鈴仙「キャァァァァァァ!」

これには鈴仙も、直撃を受けるのだった。

鈴仙・優曇華院・イナバ――


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■作者からのメッセージ
 『女帝』と『法皇』の活躍でした。
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