永琳を撃破したと同時に、彼女の懐から、
十六夜「こいつは……」
紅魔館の時と同じタロットカードが落ちたのだった。
出てきたのは、以下の6枚であった。
『魔術師』。
『女教皇』。
『法皇』。
『戦車』。
『恋人』。
『隠者』。
最初の八枚を含めると、14枚回収した事になる。
タロットカードは、全部で22枚存在する。
残りはあと8枚。
―空の旅は意外と目立つ―
十六夜達が永遠亭を出てから暫くして、
輝夜「ホント、あのヘッドホンの子は何者かしらね?」
永琳「全くです。 私のスペルを拳一つで無効化……いえ、破壊するなんて」
依姫「そ、そんなに凄い方が相手だったんですか!?」
永琳「多分、一撃で死ぬ呪いとかも効かなそうね」
妖夢「それ、幽々子様が聞いたら泣きますよ!? まさか、薬を貰いにここへ来たら、トンデモない目に遭いましたよ」
永琳達は、相対した相手の顔を思い出していた。
鈴仙「冗談じゃないですよ! 半径20mの結界を張れるなんて、その一斉攻撃は絶対に避けきれないですよ!!」
輝夜「ある意味その子、弾幕勝負に向いてるんじゃあないかしら?」
妖夢「他の皆さんは、まだいい方ですよ! 私なんて、一生癒えないトラウマを植え付けられたんですよ!!」
思い出しただけで、妖夢は全身が震えてしまう。
てゐ「ま、全くだよ! プルルート様の前じゃ、下手な事は出来ないよ!」
思わずプルルートを『様』付けにして呼ぶてゐ。
「(一体、どんなトラウマを!?)」
それを見た他は、本気で驚いたのだった。
そんな中で依姫は、ダンテとバージルの顔を思い出す。
正確には、彼等が使った『魔剣スパーダ』を思い出したのである。
依姫「ハァ……思い出しただけでも、信じられないモノです。 まさか、あの魔剣スパーダを使って来るとは……」
豊姫「そうよね。 あの二人だけでも厄介なのに、そこに伝説の魔剣を使われるもの。 勝てるワケが無いわ」
永琳「え!? 魔剣スパーダ!? それは本当なの!?」
依姫「はい、間違いなくあの剣は魔剣スパーダでした」
輝夜「でも、スパーダは暗黒王を封じた後、幻想郷を去ったのよ? 自身の愛刀を誰かに託したってことよね?」
するとその時であった。
??「それについては、私が説明しましょうか?」
そう言って、紫がスキマから出て来たのだった。
紫を姿を目にし、依姫は強く警戒する。
依姫「八雲紫……」
紫「あの〜、そんなに睨まないで欲しいんだけど?」
依姫「月の都の地酒を盗んでおいて、そんな奴を睨まない方がおかしいぞ」
紫「あら? 私を捕まえれば一件落着と思った、アナタ方が悪いのではなくて」
永琳「やめなさい、二人とも。 それで、何しに来たの? これだけの為に来たんじゃないわよね?」
呆れながら紫を睨む永琳に、彼女は普段の調子を見せる。
紫「ご安心を。 先程の話の答えを教えに来たの」
妖夢「紫様はご存じなんですか?」
紫「勿論。 本人達から聞いたから」
豊姫「それじゃ、教えて貰おうかしら。 あの二人は何者なの?」
その問いに、紫はゆっくり口を開いた。
紫「ダンテとバージル……二人はスパーダの実の息子よ。」
魔剣士スパーダの息子……。
それを聞いた全員が、驚きを隠せなかった。
輝夜「スパーダって、あの魔剣士スパーダ!?」
永琳「それは本当なの!?」
紫「ええ、それも双子の兄弟。 けどバージルは本来故人だから、ダンテが年上に見えるの」
豊姫「だから魔剣スパーダを持ってたのね!?」
依姫「まさか、スパーダ様のご子息とは……道理で強いワケだ」
紫「私も、あの二人から聞くまでは知らなかったわ」
永琳「それにしても、スパーダか……その名前が出るなんて、ホントに懐かしいわね」
紫「全くよ! あの戦いを終わらせた途端、少しした後に黙って元の世界に帰るんだもの! しかも、人間の女性と結ばれて子供まで出来るなんて……」
普段とは違う荒れた口調に、妖夢は思わず聞いてしまった。
妖夢「もしかして紫様、スパーダ様に惚れていたんですか?」
紫「なっ!? ////」
それを聞いた紫は、思わず顔を真っ赤にした。
紫「そ、そんなわけないわ! ////」
鈴仙「あの〜……波長がかなり乱れてますよ。 事実ですね?」
紫「うぅ〜……」
否定する紫であったが、波長を操れる鈴仙がいた為、素直に認めるしかなかった。
永琳「妖怪の賢者が意外な一面を見せるなんて……ホントに凄いわね」
呆れた永琳であったが、輝夜が悪戯っぽく言った。
輝夜「あら〜? 永琳も人の事が言える立場?」
永琳「何がです?」
輝夜「私、知ってるのよ? アナタが彼宛ての恋文を書いてた事」
永琳「わぁぁぁ!////」
それを聞いた永琳は、思わず顔を真っ赤にする。
永琳「ひ、姫様! 何で知ってるんですか!? 出来るだけ隠れて書いてたんですよ!? ////」
輝夜「コレでも長い付き合いなのよ? アナタが隠れてまでやってる事は、全部お見通しよ♪ うどんげ、永琳の波長は?」
鈴仙「はい、思いっきり乱れてますよ? それもかなり」
永琳「うぅ〜……、黙ってたつもりだったのにぃ〜////」
輝夜「私を欺こうなんて、10年……いえ、100年は早いわよ♪」
妖怪の賢者と月の賢者、二人の賢者の意外な一面を目にし、
輝夜「ホント、凄い人よね。 魔剣士スパーダは」
依姫「え、ええ……そうですね」
思わずそんな事を口にした輝夜達であった。
その頃、博麗神社にて、
零児「どうだ?」
紅魔館と永遠亭、二つの異変発生地で回収したタロット。
アヴドゥルの本業を聞いて、零児はすぐに彼にタロットを見せた。
アヴドゥル「フム……スタンド能力は有していないようだが、不思議な力を感じるな」
零児「本当か?」
アヴドゥル「だが、やはりタロット全てを回収しないと、何とも言えないな」
零児「そうか……確か、次の異変発生地は……」
霊夢「地下……旧都よ」
零児「それで、その地下に行くには?」
霊夢「妖怪の山の麓に間欠泉地下センターがあるわ」
零児「……何でそんなモノがあるんだ?」
ジョセフ「まさか、山登りをしろと言うんじゃあないじゃろうか?」
承太郎「ちょい待ちな、俺達は飛べねぇぞ」
すると、裏嶋千鶴がこんな事を言った。
裏嶋「それなら、一番いいものがあるのよね」
全員「へ?」
一度外へ出ると、裏嶋は何かのボタンを押した。
裏嶋「カモぉ〜ン、
亀龍一號・
改!」
すると空間が歪み、何かが出現してきたのだ。
その形は、何処か亀の甲羅を思わせるデザイン。
零児「亀龍一號か!」
裏嶋「その通り。 だけどこれは、旧型をベースに更なる改良を施した……名付けて『亀龍一號・改』!」
小牟「せめてそこは、『亀龍二號』と名付けるべきじゃろ?」
裏嶋「細かい事は気にしないの。 さあ皆、コレに乗っていくわよ。 これでも約50人以上は乗れるから」
ポルナレフ「せめてそこは、「100人まで乗れる」と言って欲しかったぜ」
承太郎「ところで裏嶋、コイツは車なのか?」
裏嶋「通常はね。 だけど、飛行形態と潜水形態も持ち合わせているわ」
十六夜「それなら、早く空の旅に行こうぜ!」
こうして彼等は、亀龍一號に乗り込み、
裏嶋「全員乗ったわね? それじゃ、発進!」
上空へと飛び上がったのだった。
亀龍一號の機内にて、
零児「博士、操縦の方は大丈夫なのか?」
裏嶋「自動操縦に切り替えておいたから、それは大丈夫なのよね」
アヴドゥル「しかし、この機内は色々あるな」
ジョセフ「将棋にトランプ、チェスまで……というより、本やゲームもあるのか」
裏嶋「機内で暇を持て余せるように、娯楽施設も設けてあるのよね」
零児「殆どは小牟の趣味みたいなもんだがな」
雪泉「どおりで、殆どがいないと思ってました」
レオ「まあ、良いんじゃないですか? 連戦続きで、皆ピリピリしてましたし」
承太郎「やれやれ。 ところでこの機内、図鑑や哲学本はねぇのか?」
一行はそれぞれ、束の間の時間を過ごしていたのだった。
神社を出発して暫くすると、何かが飛んで来てたのである。
2メートルもある巨躯に蝙蝠に様な翼、そしてヤギのような頭部を持った怪物だ。
その数は約10体。
ポルナレフ「何じゃありゃぁ!?」
ダンテ「悪魔だ。 ゴートリングか、久しぶりに見たぜ」
バージル「悪魔は俺達で片付ける。 裏嶋、屋根のシェルターを開けろ」
裏嶋「了解なのよね。 それじゃ、気を付けて」
屋根を展開させ、ダンテとバージルは外へと出る。
ダンテ「さて、行かれたパーティーの始まりだ」
バージル「騒がしいのは嫌いだがな」
襲いかかるゴートリングの群れ。
ダンテとバージルは互いの剣を構える。
そして―――。
戦ってから数分後、ダンテとバージルは、
バージル「この程度か。 無駄な時間を労したな」
ダンテ「行き急ぐなよ、バージル。 ゆっくりでいいじゃねぇか」
ゴートリングの群れを全て壊滅させた。
零児「流石はプロだな」
夜桜「本当にお強いですね」
小牟「袂を分かってるわりには、見事な連携じゃったの」
誰もが安堵したが、まさにその時であった。
背後から不気味なデザインの怪物が飛んで来た。
巨大悪魔の『ギガピード』である。
ギガピードの突進によって、亀龍一號はエンジンを損傷してしまう。
ダンテ「あのヤロッ!」
バージル「ちっ!」
突然の攻撃に、二人も苛立ちを隠せなかった。
一方で、機内はというと、
ジョセフ「マズイ、このままでは墜落する!」
墜落を感じ、殆どがパニック状態になる。
裏嶋「不味いわね、手動操縦に切り替えるわ。 ジョースターさん、アナタも手を貸して!」
操縦席に座り、裏嶋はハンドルを強く掴む。
ジョセフ「え、ワシもやるの? プロペラ機は経験あるけど」
裏嶋「それで十分よ! 早く座って!」
ジョセフも操縦席に座り、不時着の準備に掛かる。
そんな中、思わずジョセフはこう言ったのだった。
ジョセフ「しかし承太郎、ワシはこれで
5度目じゃぞ?」
それを聞いた全員が、「え?」という顔をする。
ジョセフ「5回も飛行機に乗って落ちるなんて、そんな経験あるかのぉ?」
それを聞いたジョースター一行のメンバーは、
アヴドゥル「そういえば、思い返してみれば……」
ポルナレフ「ジョースターさんが乗る飛行機は……」
花京院「必ず墜落するのがオチでしたね……」
承太郎&イギー「………」
その他「………」
思わず納得してしまい、他も黙ってしまった。
承太郎「ジジイ……前にも言ったが、もう一度言うぞ」
そして最後の最後に、承太郎が呟いたのだった。
承太郎「二度と……二度とテメェとは一緒に乗らねぇ……」
その後、亀龍一號は無事に不時着したのだった。
TO BE CONTINUED...