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幻想伝説譚 第12話:空の旅は意外と目立つ
作者:亀鳥虎龍   2016/01/15(金) 16:15公開   ID:EMVWN4iz2mQ
 永琳を撃破したと同時に、彼女の懐から、

十六夜「こいつは……」

紅魔館の時と同じタロットカードが落ちたのだった。

出てきたのは、以下の6枚であった。

『魔術師』。

『女教皇』。

『法皇』。

『戦車』。

『恋人』。

『隠者』。

最初の八枚を含めると、14枚回収した事になる。

タロットカードは、全部で22枚存在する。

残りはあと8枚。








―空の旅は意外と目立つ―








 十六夜達が永遠亭を出てから暫くして、

輝夜「ホント、あのヘッドホンの子は何者かしらね?」

永琳「全くです。 私のスペルを拳一つで無効化……いえ、破壊するなんて」

依姫「そ、そんなに凄い方が相手だったんですか!?」

永琳「多分、一撃で死ぬ呪いとかも効かなそうね」

妖夢「それ、幽々子様が聞いたら泣きますよ!? まさか、薬を貰いにここへ来たら、トンデモない目に遭いましたよ」

永琳達は、相対した相手の顔を思い出していた。

鈴仙「冗談じゃないですよ! 半径20mの結界を張れるなんて、その一斉攻撃は絶対に避けきれないですよ!!」

輝夜「ある意味その子、弾幕勝負に向いてるんじゃあないかしら?」

妖夢「他の皆さんは、まだいい方ですよ! 私なんて、一生癒えないトラウマを植え付けられたんですよ!!」

思い出しただけで、妖夢は全身が震えてしまう。

てゐ「ま、全くだよ! プルルート様の前じゃ、下手な事は出来ないよ!」

思わずプルルートを『様』付けにして呼ぶてゐ。

「(一体、どんなトラウマを!?)」

それを見た他は、本気で驚いたのだった。










 そんな中で依姫は、ダンテとバージルの顔を思い出す。

正確には、彼等が使った『魔剣スパーダ』を思い出したのである。

依姫「ハァ……思い出しただけでも、信じられないモノです。 まさか、あの魔剣スパーダを使って来るとは……」

豊姫「そうよね。 あの二人だけでも厄介なのに、そこに伝説の魔剣を使われるもの。 勝てるワケが無いわ」

永琳「え!? 魔剣スパーダ!? それは本当なの!?」

依姫「はい、間違いなくあの剣は魔剣スパーダでした」

輝夜「でも、スパーダは暗黒王を封じた後、幻想郷を去ったのよ? 自身の愛刀を誰かに託したってことよね?」

するとその時であった。

??「それについては、私が説明しましょうか?」

そう言って、紫がスキマから出て来たのだった。









 紫を姿を目にし、依姫は強く警戒する。

依姫「八雲紫……」

紫「あの〜、そんなに睨まないで欲しいんだけど?」

依姫「月の都の地酒を盗んでおいて、そんな奴を睨まない方がおかしいぞ」

紫「あら? 私を捕まえれば一件落着と思った、アナタ方が悪いのではなくて」

永琳「やめなさい、二人とも。 それで、何しに来たの? これだけの為に来たんじゃないわよね?」

呆れながら紫を睨む永琳に、彼女は普段の調子を見せる。

紫「ご安心を。 先程の話の答えを教えに来たの」

妖夢「紫様はご存じなんですか?」

紫「勿論。 本人達から聞いたから」

豊姫「それじゃ、教えて貰おうかしら。 あの二人は何者なの?」

その問いに、紫はゆっくり口を開いた。

紫「ダンテとバージル……二人はスパーダの実の息子よ。」









 魔剣士スパーダの息子……。

それを聞いた全員が、驚きを隠せなかった。

輝夜「スパーダって、あの魔剣士スパーダ!?」

永琳「それは本当なの!?」

紫「ええ、それも双子の兄弟。 けどバージルは本来故人だから、ダンテが年上に見えるの」

豊姫「だから魔剣スパーダを持ってたのね!?」

依姫「まさか、スパーダ様のご子息とは……道理で強いワケだ」

紫「私も、あの二人から聞くまでは知らなかったわ」

永琳「それにしても、スパーダか……その名前が出るなんて、ホントに懐かしいわね」

紫「全くよ! あの戦いを終わらせた途端、少しした後に黙って元の世界に帰るんだもの! しかも、人間の女性と結ばれて子供まで出来るなんて……」

普段とは違う荒れた口調に、妖夢は思わず聞いてしまった。

妖夢「もしかして紫様、スパーダ様に惚れていたんですか?」

紫「なっ!? ////」

それを聞いた紫は、思わず顔を真っ赤にした。

紫「そ、そんなわけないわ! ////」

鈴仙「あの〜……波長がかなり乱れてますよ。 事実ですね?」

紫「うぅ〜……」

否定する紫であったが、波長を操れる鈴仙がいた為、素直に認めるしかなかった。

永琳「妖怪の賢者が意外な一面を見せるなんて……ホントに凄いわね」

呆れた永琳であったが、輝夜が悪戯っぽく言った。

輝夜「あら〜? 永琳も人の事が言える立場?」

永琳「何がです?」

輝夜「私、知ってるのよ? アナタが彼宛ての恋文を書いてた事」

永琳「わぁぁぁ!////」

それを聞いた永琳は、思わず顔を真っ赤にする。

永琳「ひ、姫様! 何で知ってるんですか!? 出来るだけ隠れて書いてたんですよ!? ////」

輝夜「コレでも長い付き合いなのよ? アナタが隠れてまでやってる事は、全部お見通しよ♪ うどんげ、永琳の波長は?」

鈴仙「はい、思いっきり乱れてますよ? それもかなり」

永琳「うぅ〜……、黙ってたつもりだったのにぃ〜////」

輝夜「私を欺こうなんて、10年……いえ、100年は早いわよ♪」

妖怪の賢者と月の賢者、二人の賢者の意外な一面を目にし、

輝夜「ホント、凄い人よね。 魔剣士スパーダは」

依姫「え、ええ……そうですね」

思わずそんな事を口にした輝夜達であった。









 その頃、博麗神社にて、

零児「どうだ?」

紅魔館と永遠亭、二つの異変発生地で回収したタロット。

アヴドゥルの本業を聞いて、零児はすぐに彼にタロットを見せた。

アヴドゥル「フム……スタンド能力は有していないようだが、不思議な力を感じるな」

零児「本当か?」

アヴドゥル「だが、やはりタロット全てを回収しないと、何とも言えないな」

零児「そうか……確か、次の異変発生地は……」

霊夢「地下……旧都よ」

零児「それで、その地下に行くには?」

霊夢「妖怪の山の麓に間欠泉地下センターがあるわ」

零児「……何でそんなモノがあるんだ?」

ジョセフ「まさか、山登りをしろと言うんじゃあないじゃろうか?」

承太郎「ちょい待ちな、俺達は飛べねぇぞ」

すると、裏嶋千鶴がこんな事を言った。

裏嶋「それなら、一番いいものがあるのよね」

全員「へ?」

一度外へ出ると、裏嶋は何かのボタンを押した。

裏嶋「カモぉ〜ン、亀龍一號きりゅういちごうかい!」

すると空間が歪み、何かが出現してきたのだ。

その形は、何処か亀の甲羅を思わせるデザイン。

零児「亀龍一號か!」

裏嶋「その通り。 だけどこれは、旧型をベースに更なる改良を施した……名付けて『亀龍一號・改』!」

小牟「せめてそこは、『亀龍二號』と名付けるべきじゃろ?」

裏嶋「細かい事は気にしないの。 さあ皆、コレに乗っていくわよ。 これでも約50人以上は乗れるから」

ポルナレフ「せめてそこは、「100人まで乗れる」と言って欲しかったぜ」

承太郎「ところで裏嶋、コイツは車なのか?」

裏嶋「通常はね。 だけど、飛行形態と潜水形態も持ち合わせているわ」

十六夜「それなら、早く空の旅に行こうぜ!」

こうして彼等は、亀龍一號に乗り込み、

裏嶋「全員乗ったわね? それじゃ、発進!」

上空へと飛び上がったのだった。








 亀龍一號の機内にて、

零児「博士、操縦の方は大丈夫なのか?」

裏嶋「自動操縦に切り替えておいたから、それは大丈夫なのよね」

アヴドゥル「しかし、この機内は色々あるな」

ジョセフ「将棋にトランプ、チェスまで……というより、本やゲームもあるのか」

裏嶋「機内で暇を持て余せるように、娯楽施設も設けてあるのよね」

零児「殆どは小牟の趣味みたいなもんだがな」

雪泉「どおりで、殆どがいないと思ってました」

レオ「まあ、良いんじゃないですか? 連戦続きで、皆ピリピリしてましたし」

承太郎「やれやれ。 ところでこの機内、図鑑や哲学本はねぇのか?」

一行はそれぞれ、束の間の時間を過ごしていたのだった。









 神社を出発して暫くすると、何かが飛んで来てたのである。

2メートルもある巨躯に蝙蝠に様な翼、そしてヤギのような頭部を持った怪物だ。

その数は約10体。

ポルナレフ「何じゃありゃぁ!?」

ダンテ「悪魔だ。 ゴートリングか、久しぶりに見たぜ」

バージル「悪魔は俺達で片付ける。 裏嶋、屋根のシェルターを開けろ」

裏嶋「了解なのよね。 それじゃ、気を付けて」

屋根を展開させ、ダンテとバージルは外へと出る。

ダンテ「さて、行かれたパーティーの始まりだ」

バージル「騒がしいのは嫌いだがな」

襲いかかるゴートリングの群れ。

ダンテとバージルは互いの剣を構える。

そして―――。









 戦ってから数分後、ダンテとバージルは、

バージル「この程度か。 無駄な時間を労したな」

ダンテ「行き急ぐなよ、バージル。 ゆっくりでいいじゃねぇか」

ゴートリングの群れを全て壊滅させた。

零児「流石はプロだな」

夜桜「本当にお強いですね」

小牟「袂を分かってるわりには、見事な連携じゃったの」

誰もが安堵したが、まさにその時であった。

背後から不気味なデザインの怪物が飛んで来た。

巨大悪魔の『ギガピード』である。

ギガピードの突進によって、亀龍一號はエンジンを損傷してしまう。

ダンテ「あのヤロッ!」

バージル「ちっ!」

突然の攻撃に、二人も苛立ちを隠せなかった。









 一方で、機内はというと、

ジョセフ「マズイ、このままでは墜落する!」

墜落を感じ、殆どがパニック状態になる。

裏嶋「不味いわね、手動操縦に切り替えるわ。 ジョースターさん、アナタも手を貸して!」

操縦席に座り、裏嶋はハンドルを強く掴む。

ジョセフ「え、ワシもやるの? プロペラ機は経験あるけど」

裏嶋「それで十分よ! 早く座って!」

ジョセフも操縦席に座り、不時着の準備に掛かる。

そんな中、思わずジョセフはこう言ったのだった。

ジョセフ「しかし承太郎、ワシはこれで5じゃぞ?」

それを聞いた全員が、「え?」という顔をする。

ジョセフ「5回も飛行機に乗って落ちるなんて、そんな経験あるかのぉ?」

それを聞いたジョースター一行のメンバーは、

アヴドゥル「そういえば、思い返してみれば……」

ポルナレフ「ジョースターさんが乗る飛行機は……」

花京院「必ず墜落するのがオチでしたね……」

承太郎&イギー「………」

その他「………」

思わず納得してしまい、他も黙ってしまった。

承太郎「ジジイ……前にも言ったが、もう一度言うぞ」

そして最後の最後に、承太郎が呟いたのだった。

承太郎「二度と……二度とテメェとは一緒に乗らねぇ……」

その後、亀龍一號は無事に不時着したのだった。



TO BE CONTINUED...

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■作者からのメッセージ
 ジョセフの墜落ネタは、どこかで使いたいと思いました。
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