勇儀を撃破し、遂に一行は先へと進む。
地霊殿の廊下を進み、一番奥の部屋へと辿りつく。
霊夢「ここが、主であるさとりの部屋よ」
承太郎「よし、開けるぜ!」
扉を開け、その中へと足を踏み入れた一同。
その奥には、とんでもない光景が彼等の前に会った。
―暗黒王―
部屋の奥に、凄まじい闇のエネルギーを感じ取る。
??「ようやく来たか」
そしてそこから、一人の女が出現した。
長い茶髪に白い肌、そして鋭い眼つきの女だ。
暗黒王「初めまして、私が暗黒王だ」
そんな暗黒王の背後には、三つの十字架が建てられており、
霊夢「あれは!?」
その十字架には、屋敷の主である『古明地さとり』、火車の『火焔猫燐』、地獄鴉の『霊烏路空』が張りつけられていた。
零児「その三人をどうする気だ!」
暗黒王「フフッ、簡単な事だ。 私の完全復活の贄になって貰う」
雪泉「贄ですって!?」
暗黒王「そうだ。 地獄の妖怪など、悲しむ者などおらんからな。 別に気にする事はないだろう?」
霊夢「ふざけないで! そんなエゴの為に、命を奪う権利はないわ! 幻想郷を壊すって言うなら、私が退治するわ!」
払い棒と札を構え、暗黒王を強く睨む霊夢。
ダンテ「いいや、完全にブッた斬るほうが良いぜ」
魔剣スパーダを手に持ち、ダンテは不敵な笑みを見せる。
暗黒王「な、魔剣スパーダ!? 貴様、何故その剣を!?」
ダンテ「簡単だ、俺がスパーダの息子だからだ」
暗黒王「何っ!?」
スパーダの息子が現れたと知った暗黒王は、驚愕の顔を見せるしかなかった。
暗黒王「魔剣士スパーダの息子……良いだろう! まずは、貴様から潰してくれる!!」
指先の爪を鋭くし、暗黒王はダンテに襲いかかったのだった。
暗黒王はダンテに襲いかかるが、ダンテ自身はものともせず、
ダンテ「良い直球だな」
スパーダをバットの様な持ち方で構え、豪快にスイングする。
カキーンと、暗黒王を容赦なく吹き飛ばしたのだ。
暗黒王「グガァァァ!」
ダンテ「よっしゃぁ! 今シーズンは頂きだぜ!」
何処か楽しそうなダンテとは対照的に、暗黒王は苛立ちを覚える。
暗黒王「おのれぇぇぇぇ! 殺してやる! その臓腑をバラバラにしてやる!」
ダンテ「やってみな」
十六夜「加勢するぜ、ダンテ」
承太郎「コイツ等は此処で叩き潰すぜ」
霊夢「ちょっと、博麗の巫女を忘れないでよ」
クラウス「ブレングリード流血闘術、推して参る」
雪泉「私も、鎮魂の夢に沈みましょう」
プルルート「いっくよぉ〜!」
零児「ああ、この場で滅ぼすぞ!」
此処に、各世界の代表者たちが心を一つにしたのだった。
自身に立ち向かう八人に対し、不敵な笑みを見せる暗黒王。
暗黒王「まさか、貴様ら如きで私に勝てるとでも? スパーダの息子や博麗の巫女ならまだしも?」
零児「その言い方。 まさか、奥の手を隠し持っているというのか?」
暗黒王「フッフッフ……この姿になるのは私自身は好まんのだが、お前達を一掃するには丁度いい」
そう言うと、彼女の体から青黒いオーラだ出現する。
そして姿が変貌したのだった。
暗黒王「グオォォォォォ!」
アンモナイトの様な体にチョウチンアンコウのような顔、そして下顎に光る黄色い目。
体中には、無数の触手が出現している。
零児「コレが……これが暗黒王の真の姿なのか!?」
承太郎「やれやれ、思いっきり怪獣じゃあねぇか」
十六夜「でも、殴り甲斐がありそうだぜ」
ダンテ「悪いが、ここでブッ倒させてもらうぜ」
そんな中、零児がある事に気付く。
零児「ん? どうした、プルルート?」
それはプルルートが、今までにないほど震えていた事だった。
「恐怖を感じていたのか?」と思ったが、そうではなかった。
何故ならプルルートは、とんでもない行動を取るのである。
プルルート「フフッ……」
零児「え?」
プルルート「ウフフフフ……なぁ〜にあれ〜? 気持ち悪ぅ〜い」
なんと意外!その場で笑ったのである。
これには、他のメンバーも驚愕する。
零児「プルルート、大丈夫なのか?」
プルルート「大丈夫じゃないよぉ〜……あたし〜、アレを見てぇ〜おかしくなったかもぉ〜!」
徐々に口調が変わるプルルート。
叢から聞いていたので大抵は知っていたつもりであったが、実際に見ると怖い。
敵はおろか、味方ですら恐怖させる。
プルルート「でもぉ〜、この怒りを〜あの人が受け止めてくれるんでしょう? だ・か・ら〜……」
そして彼女は、女神アイリスハートへと姿を変えた。
アイリスハート「途中で死ななきゃいいけどねぇ! アッハハハハハハハ!!」
女王の如き笑い声に対し、暗黒王はというと……、
暗黒王「あ、ああああああ……」
恐怖で全身が震えていた。
承太郎「やれやれだぜ。 敵より味方の方が怖ェたぁ、シャレにもならねぇぞ」
レオ「いや、敵の方が怯えてるんですけど」
雪泉「人は怒りを通り越すと、逆に笑ってしまうと聞きますが……さすがにこれは……」
零児「戦力としては頼もしいが、後の事は……今は考えない方が良いな」
こうして零児達は、敵よりも味方を恐れながら戦う事になったのだった。
全員が暗黒王へと駆けだす八人。
暗黒王「グォォォォ!」
全身の触手を伸ばし、暗黒王は彼等に襲いかかる。
零児「
金!
柊樹!」
ダンテ「エボニー! アイボリー!」
零児「行くぞ、ダンテ!」
ダンテ「決めるぜ!」
二人「「銃の型!」」
しかしダンテと零児の放つ弾丸に、全てが撃ち落とされたのである。
本来この技は零児と小牟の連携技なのだが、小牟の分をダンテが補助する事で放たれた。
アイリスハート「そらそらそらぁ!」
アイリスハートも蛇腹剣を鞭のように振るい、暗黒王の触手を切り落とす。
暗黒王「ウオォォォォ!」
反撃を試みようとする暗黒王であったが、
雪泉「させません!」
既に雪泉の氷で、身動きが取れない状態であった。
そんな中、レオナルドが『神々の義眼』で暗黒王の全身を直視する。
そして彼は、頭上に何かがある事を発見する。
レオ「みなさぁーん! ヤツの頭上に、青い宝石の様な突起があります!! 恐らく、それが弱点です!!」
暗黒王「!?」
それを聞いた暗黒王は、ビクリと震わせる。
どうやら、弱点を気付かれた事に驚いたのだろう。
十六夜「それじゃ……一気に決めるぜ!」
駆けだす十六夜であったが、暗黒王は口から紫色の光を集束する。
暗黒王「ウオォォォォォ!」
そして口から、巨大な光線を一直線に放った。
十六夜「はっ! しゃらくせぇ!!」
だが十六夜は、それを拳だけで打ち消した。
暗黒王「!?」
驚きを隠せなかった暗黒王であったが、すぐさま触手を伸ばして襲いかかる。
因みにこの触手が、最後に一本だたりする。
十六夜に襲いかかった触手であったが、承太郎が『
星の白金』で掴み取る。
承太郎「やるじゃねぇか、十六夜。 ところでお前、相撲は好きか?」
ガシッ!と彼が拳を握り、同時に『スタープラチナ』が触手を引っぱった。
承太郎「特に土俵際の駆け引きを! 手に汗握るよなぁ!!」
引き寄せられた暗黒王の巨体は、
スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラ……オラァ!」
『スタープラチナ』の拳の連打を喰らい、上空へと吹き飛ばされる。
十六夜「ああ、俺も相撲は好きだぜ。 けどな承太郎……」
そして十六夜は脚力を活かし、上空へと飛び上がる。
片足を天高く上げ、そして……、
十六夜「拳で殴んのは、反則だぜぇ!」
凄まじい踵落としを、暗黒王の突起に叩きこんだのだった。
地面へと叩きつけられた暗黒王は、元の姿へと戻ってしまう。
暗黒王「くっ!」
しかし彼女は、再び立ち上がったのだった。
憤怒を見せる暗黒王。
暗黒王「オノレオノレオノレ!」
怒りが頂点に達したが、まさにその時であった。
クラウスが左手のナックルガードを、彼女の心臓に近い個所に打ち込む。
暗黒王「何を――」
そして、まさにその時であった。
クラウス「ガラバスタ=ゼル=ガタノ=ゾーア=ベルジ……」
暗黒王「!?」
クラウスが呟いた言葉に、暗黒王は驚愕した。
暗黒王「バカな!? 何故だ……何故ワタシの
諱名を知っているぅぅぅ!?」
クラウス「貴方を……密封する」
彼女は知らなかった。
レオナルドの『神々の義眼』は、
血界の眷属と呼ばれる吸血鬼の『諱名』を見抜く事が出来るのである。
彼は弱点を見抜いたと同時に、この諱名を携帯電話のメールでクラウスに伝えたのである。
クラウス「憎み給え、許し給え、諦め給え、人界を護るために行う我が蛮行を!」
ブレングリード流血闘術の『奥義』と呼べる技が発動し、
クラウス「ブレングリード流血闘術999式『
久遠棺封縛獄』!!」
暗黒王の体は、小さな十字架へと『密封』されたのだった。
暗黒王を倒し、さとり達を救出。
遂に、幻想郷を恐怖に陥れた戦いが終わったのである。
そして彼等の手元に、タロットカードが出現する。
すぐさま一行は、タロットを並べたのである。
愚者。
魔術師。
女教皇。
女帝。
皇帝。
教皇。
恋人。
戦車。
力。
隠者。
運命の輪。
正義。
吊るされた男。
死。
節制。
悪魔。
塔。
星。
月。
太陽。
審判 。
雪泉「これで、カードは揃ったみたいですね」
零児「ああ。 後は、『世界』のカードだけだな」
誰もがそう思ったが、レオナルドがふと思った。
レオ「あれ? でも、暗黒王に勝ったんだから、全てのカードが揃う筈じゃ?」
全員「え?」
レオナルドの疑問に、全員が「確かに」という顔をした。
アイリスハート「つまり……事件は終わってないという事かしら?」
零児「だとしたら、残りの一枚は何処に?」
誰もがそう思ったが、まさにその時であった。
全員「!?」
突如、地面が揺れ始めたのだった。
突然の事に全員が驚きを隠せない。
レオナルド「じ、地震ですか!?」
零児「だが、この感じは何だ!?」
雪泉「急に、冷や汗が出てきました……」
アイリスハート「何なの、この圧迫感は?」
クラウス「背筋が凍るほどの気配は一体?」
ダンテ「パーティーはまだ、終わってねぇってことか?」
十六夜「そうみてぇだな」
霊夢「このドス黒い感覚は一体!?」
承太郎「………」
今までない邪悪な気配に、誰もが警戒を強くする。
そして、その瞬間であった。
彼等は地霊殿の室内から、全く別の空間へと移動していた。
零児「な、何だ此処は!?」
霊夢「地霊殿でもなければ、紫のスキマの中でもないわ!?」
すると、何者かが歩み寄って来た。
??「タロットで『世界』とは、“完成”と“統合”を暗示する。 お前達が集めたタロットが、私の持つ『世界』と一つになろうと、ここまで引き合せたのだ」
腰まで伸びた金髪に青白い肌、そして妖しい色気を漂わす男。
顔には、自身の名前と思いしき単語が刺青のように書かれている。
その姿は邪悪でありながら、神々さも持ち合わせていた。
誰もが驚いたが、承太郎が一番驚きを隠せなかった。
承太郎「やれやれだぜ……。 まさか、再びテメェのツラを拝む事になるとはな……」
その男の正体は、承太郎が誰よりも知っている相手であった。
承太郎「DIO!」
DIO「フン」
承太郎の一族『ジョースター家』と100年の因縁を持つ吸血鬼、『DIO』こと『ディオ・ブランドー』であった!
TO BE CONTINUED...