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幻想伝説譚 第14話:暗黒王
作者:亀鳥虎龍   2016/01/29(金) 21:34公開   ID:EMVWN4iz2mQ
 勇儀を撃破し、遂に一行は先へと進む。

地霊殿の廊下を進み、一番奥の部屋へと辿りつく。

霊夢「ここが、主であるさとりの部屋よ」

承太郎「よし、開けるぜ!」

扉を開け、その中へと足を踏み入れた一同。

その奥には、とんでもない光景が彼等の前に会った。









―暗黒王―







 部屋の奥に、凄まじい闇のエネルギーを感じ取る。

??「ようやく来たか」

そしてそこから、一人の女が出現した。

長い茶髪に白い肌、そして鋭い眼つきの女だ。

暗黒王「初めまして、私が暗黒王だ」

そんな暗黒王の背後には、三つの十字架が建てられており、

霊夢「あれは!?」

その十字架には、屋敷の主である『古明地さとり』、火車の『火焔猫燐』、地獄鴉の『霊烏路空』が張りつけられていた。

零児「その三人をどうする気だ!」

暗黒王「フフッ、簡単な事だ。 私の完全復活の贄になって貰う」

雪泉「贄ですって!?」

暗黒王「そうだ。 地獄の妖怪など、悲しむ者などおらんからな。 別に気にする事はないだろう?」

霊夢「ふざけないで! そんなエゴの為に、命を奪う権利はないわ! 幻想郷を壊すって言うなら、私が退治するわ!」

払い棒と札を構え、暗黒王を強く睨む霊夢。

ダンテ「いいや、完全にブッた斬るほうが良いぜ」

魔剣スパーダを手に持ち、ダンテは不敵な笑みを見せる。

暗黒王「な、魔剣スパーダ!? 貴様、何故その剣を!?」

ダンテ「簡単だ、俺がスパーダの息子だからだ」

暗黒王「何っ!?」

スパーダの息子が現れたと知った暗黒王は、驚愕の顔を見せるしかなかった。

暗黒王「魔剣士スパーダの息子……良いだろう! まずは、貴様から潰してくれる!!」

指先の爪を鋭くし、暗黒王はダンテに襲いかかったのだった。








 暗黒王はダンテに襲いかかるが、ダンテ自身はものともせず、

ダンテ「良い直球だな」

スパーダをバットの様な持ち方で構え、豪快にスイングする。

カキーンと、暗黒王を容赦なく吹き飛ばしたのだ。

暗黒王「グガァァァ!」

ダンテ「よっしゃぁ! 今シーズンは頂きだぜ!」

何処か楽しそうなダンテとは対照的に、暗黒王は苛立ちを覚える。

暗黒王「おのれぇぇぇぇ! 殺してやる! その臓腑をバラバラにしてやる!」

ダンテ「やってみな」

十六夜「加勢するぜ、ダンテ」

承太郎「コイツ等は此処で叩き潰すぜ」

霊夢「ちょっと、博麗の巫女を忘れないでよ」

クラウス「ブレングリード流血闘術、推して参る」

雪泉「私も、鎮魂の夢に沈みましょう」

プルルート「いっくよぉ〜!」

零児「ああ、この場で滅ぼすぞ!」

此処に、各世界の代表者たちが心を一つにしたのだった。








 自身に立ち向かう八人に対し、不敵な笑みを見せる暗黒王。

暗黒王「まさか、貴様ら如きで私に勝てるとでも? スパーダの息子や博麗の巫女ならまだしも?」

零児「その言い方。 まさか、奥の手を隠し持っているというのか?」

暗黒王「フッフッフ……この姿になるのは私自身は好まんのだが、お前達を一掃するには丁度いい」

そう言うと、彼女の体から青黒いオーラだ出現する。

そして姿が変貌したのだった。

暗黒王「グオォォォォォ!」

アンモナイトの様な体にチョウチンアンコウのような顔、そして下顎に光る黄色い目。

体中には、無数の触手が出現している。

零児「コレが……これが暗黒王の真の姿なのか!?」

承太郎「やれやれ、思いっきり怪獣じゃあねぇか」

十六夜「でも、殴り甲斐がありそうだぜ」

ダンテ「悪いが、ここでブッ倒させてもらうぜ」

そんな中、零児がある事に気付く。

零児「ん? どうした、プルルート?」

それはプルルートが、今までにないほど震えていた事だった。

「恐怖を感じていたのか?」と思ったが、そうではなかった。

何故ならプルルートは、とんでもない行動を取るのである。

プルルート「フフッ……」

零児「え?」

プルルート「ウフフフフ……なぁ〜にあれ〜? 気持ち悪ぅ〜い」

なんと意外!その場で笑ったのである。

これには、他のメンバーも驚愕する。

零児「プルルート、大丈夫なのか?」

プルルート「大丈夫じゃないよぉ〜……あたし〜、アレを見てぇ〜おかしくなったかもぉ〜!」

徐々に口調が変わるプルルート。

叢から聞いていたので大抵は知っていたつもりであったが、実際に見ると怖い。

敵はおろか、味方ですら恐怖させる。

プルルート「でもぉ〜、この怒りを〜あの人が受け止めてくれるんでしょう? だ・か・ら〜……」

そして彼女は、女神アイリスハートへと姿を変えた。

アイリスハート「途中で死ななきゃいいけどねぇ! アッハハハハハハハ!!」

女王の如き笑い声に対し、暗黒王はというと……、

暗黒王「あ、ああああああ……」

恐怖で全身が震えていた。

承太郎「やれやれだぜ。 敵より味方の方が怖ェたぁ、シャレにもならねぇぞ」

レオ「いや、敵の方が怯えてるんですけど」

雪泉「人は怒りを通り越すと、逆に笑ってしまうと聞きますが……さすがにこれは……」

零児「戦力としては頼もしいが、後の事は……今は考えない方が良いな」

こうして零児達は、敵よりも味方を恐れながら戦う事になったのだった。








 全員が暗黒王へと駆けだす八人。

暗黒王「グォォォォ!」

全身の触手を伸ばし、暗黒王は彼等に襲いかかる。

零児「ゴールド柊樹ハリウッド!」

ダンテ「エボニー! アイボリー!」

零児「行くぞ、ダンテ!」

ダンテ「決めるぜ!」

二人「「銃の型!」」

しかしダンテと零児の放つ弾丸に、全てが撃ち落とされたのである。

本来この技は零児と小牟の連携技なのだが、小牟の分をダンテが補助する事で放たれた。

アイリスハート「そらそらそらぁ!」

アイリスハートも蛇腹剣を鞭のように振るい、暗黒王の触手を切り落とす。

暗黒王「ウオォォォォ!」

反撃を試みようとする暗黒王であったが、

雪泉「させません!」

既に雪泉の氷で、身動きが取れない状態であった。

そんな中、レオナルドが『神々の義眼』で暗黒王の全身を直視する。

そして彼は、頭上に何かがある事を発見する。

レオ「みなさぁーん! ヤツの頭上に、青い宝石の様な突起があります!! 恐らく、それが弱点です!!」

暗黒王「!?」

それを聞いた暗黒王は、ビクリと震わせる。

どうやら、弱点を気付かれた事に驚いたのだろう。

十六夜「それじゃ……一気に決めるぜ!」

駆けだす十六夜であったが、暗黒王は口から紫色の光を集束する。

暗黒王「ウオォォォォォ!」

そして口から、巨大な光線を一直線に放った。

十六夜「はっ! しゃらくせぇ!!」

だが十六夜は、それを拳だけで打ち消した。

暗黒王「!?」

驚きを隠せなかった暗黒王であったが、すぐさま触手を伸ばして襲いかかる。

因みにこの触手が、最後に一本だたりする。

十六夜に襲いかかった触手であったが、承太郎が『星の白金スタープラチナ』で掴み取る。

承太郎「やるじゃねぇか、十六夜。 ところでお前、相撲は好きか?」

ガシッ!と彼が拳を握り、同時に『スタープラチナ』が触手を引っぱった。

承太郎「特に土俵際の駆け引きを! 手に汗握るよなぁ!!」

引き寄せられた暗黒王の巨体は、

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラ……オラァ!」

『スタープラチナ』の拳の連打を喰らい、上空へと吹き飛ばされる。

十六夜「ああ、俺も相撲は好きだぜ。 けどな承太郎……」

そして十六夜は脚力を活かし、上空へと飛び上がる。

片足を天高く上げ、そして……、

十六夜「拳で殴んのは、反則だぜぇ!」

凄まじい踵落としを、暗黒王の突起に叩きこんだのだった。

地面へと叩きつけられた暗黒王は、元の姿へと戻ってしまう。

暗黒王「くっ!」

しかし彼女は、再び立ち上がったのだった。








 憤怒を見せる暗黒王。

暗黒王「オノレオノレオノレ!」

怒りが頂点に達したが、まさにその時であった。

クラウスが左手のナックルガードを、彼女の心臓に近い個所に打ち込む。

暗黒王「何を――」

そして、まさにその時であった。

クラウス「ガラバスタ=ゼル=ガタノ=ゾーア=ベルジ……」

暗黒王「!?」

クラウスが呟いた言葉に、暗黒王は驚愕した。

暗黒王「バカな!? 何故だ……何故ワタシの諱名なまえを知っているぅぅぅ!?」

クラウス「貴方を……密封する」

彼女は知らなかった。

レオナルドの『神々の義眼』は、血界の眷属ブラッドブリードと呼ばれる吸血鬼の『諱名』を見抜く事が出来るのである。

彼は弱点を見抜いたと同時に、この諱名を携帯電話のメールでクラウスに伝えたのである。

クラウス「憎み給え、許し給え、諦め給え、人界を護るために行う我が蛮行を!」

ブレングリード流血闘術の『奥義』と呼べる技が発動し、

クラウス「ブレングリード流血闘術999式『久遠棺封縛獄エーヴィヒカイトゲフェングニス』!!」

暗黒王の体は、小さな十字架へと『密封』されたのだった。








 暗黒王を倒し、さとり達を救出。

遂に、幻想郷を恐怖に陥れた戦いが終わったのである。

そして彼等の手元に、タロットカードが出現する。

すぐさま一行は、タロットを並べたのである。

愚者。

魔術師。

女教皇。

女帝。

皇帝。

教皇。

恋人。

戦車。

力。

隠者。

運命の輪。

正義。

吊るされた男。

死。

節制。

悪魔。

塔。

星。

月。

太陽。

審判 。

雪泉「これで、カードは揃ったみたいですね」

零児「ああ。 後は、『世界』のカードだけだな」

誰もがそう思ったが、レオナルドがふと思った。

レオ「あれ? でも、暗黒王に勝ったんだから、全てのカードが揃う筈じゃ?」

全員「え?」

レオナルドの疑問に、全員が「確かに」という顔をした。

アイリスハート「つまり……事件は終わってないという事かしら?」

零児「だとしたら、残りの一枚は何処に?」

誰もがそう思ったが、まさにその時であった。

全員「!?」

突如、地面が揺れ始めたのだった。








 突然の事に全員が驚きを隠せない。

レオナルド「じ、地震ですか!?」

零児「だが、この感じは何だ!?」

雪泉「急に、冷や汗が出てきました……」

アイリスハート「何なの、この圧迫感は?」

クラウス「背筋が凍るほどの気配は一体?」

ダンテ「パーティーはまだ、終わってねぇってことか?」

十六夜「そうみてぇだな」

霊夢「このドス黒い感覚は一体!?」

承太郎「………」

今までない邪悪な気配に、誰もが警戒を強くする。

そして、その瞬間であった。

彼等は地霊殿の室内から、全く別の空間へと移動していた。

零児「な、何だ此処は!?」

霊夢「地霊殿でもなければ、紫のスキマの中でもないわ!?」

すると、何者かが歩み寄って来た。

??「タロットで『世界』とは、“完成”と“統合”を暗示する。 お前達が集めたタロットが、私の持つ『世界』と一つになろうと、ここまで引き合せたのだ」

腰まで伸びた金髪に青白い肌、そして妖しい色気を漂わす男。

顔には、自身の名前と思いしき単語が刺青のように書かれている。

その姿は邪悪でありながら、神々さも持ち合わせていた。

誰もが驚いたが、承太郎が一番驚きを隠せなかった。

承太郎「やれやれだぜ……。 まさか、再びテメェのツラを拝む事になるとはな……」

その男の正体は、承太郎が誰よりも知っている相手であった。

承太郎「DIO!」

DIO「フン」

承太郎の一族『ジョースター家』と100年の因縁を持つ吸血鬼、『DIO』こと『ディオ・ブランドー』であった!





TO BE CONTINUED...


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