ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

幻想伝説譚 第15話:衝撃の真実
作者:亀鳥虎龍   2016/02/05(金) 11:30公開   ID:L6TukelU0BA
 1988年のエジプト・カイロにて……、

DIO『どうだ! この血の目潰しは!!』

自身のスタンド『世界ザ・ワールド』を発現させ、凄まじい上段蹴りを放つDIO。

承太郎『オォォォラァァァ!』

視界を封じられながらも、承太郎は『星の白金スタープラチナ』の拳を叩きこむ。

ドガァと、二人の一撃がぶつかり合う。

拳にダメージを負った承太郎であったが、『ザ・ワールド』は蹴りを放った足から亀裂が入った。

DIO『なっ!?』

亀裂は足から全身へと入り、本体であるDIOにもその反動を受ける。

DIO『グガァァァァ! なぁぁぁぁにぃぃぃぃ!?』

己の敗北に、DIOは驚愕するしかなかった。

DIO『バカなッ!? こ……このDIOが……このDIOがァァァ!?』

そして最後、その体は右半身が吹き飛ぶと同時に倒れた。

承太郎『テメェの敗因は、たった一つだぜ……DIO………たった一つのシンプルな答えだ………「テメェは俺を怒らせた」』

激しい死闘の末、承太郎はDIOを葬った。

そのハズだった……。







―衝撃の真実―







 承太郎は、驚きを隠せない状況であった。

倒したはずの敵が、目の前に現れた。

それも、更なる姿へと変わって。

アイリスハート「どうやら、JOJOくんの知り合いみたいだけど……痛い目に遭って貰うわよ!」

そう言うと、アイリスハートが真っ向から突進する。

蛇腹剣を振るうが、DIOは軽い動作だけで避けると、

DIO「『ザ・ワールド・オーバーヘブン』!」

自身のスタンドを発現させたのだった。

承太郎「ザ・ワールド……オーバーヘブンだと!?」

初めて聞いた名前に、承太郎は驚愕する。

DIOのスタンド『世界ザ・ワールド』の配色は、基本的に金色である。

だが目の前の『世界ザ・ワールド』は、なんと白金色であった。

『ザ・ワールド』が拳で、アイリスハートを殴りつける。

ザ・ワールド「フン!」

アイリスハート「!!」

咄嗟に腕を交差させ、拳を防いだアイリスハートであったが、

プルルート「ほえっ!?」

元の姿に戻ってしまったのである。

驚きを隠せないプルルートであったが、

DIO「フン……女神の力も、大した事はなかったな」

『ザ・ワールド』の拳が、プルルートへと襲いかかった。

だが、咄嗟にクラウスが前に出る。

クラウス「ブレングリード流血闘術・117式『絶対不破血十字盾クロイツシルトウンツェアブレヒリヒ』!」

巨大な十字架の盾を出現させ、『ザ・ワールド』の拳を防ぐが、

DIO「それが、ブレングリード流血闘術か……。 だがっ! 『ザ・ワールド』の前では、全くの無意味だ!」

バリィーンと、盾がガラスのように砕けたのだった。

クラウス「何っ!?」

DIO「貧弱貧弱ぅ!」

今度はDIOが突進してくるが、今度は承太郎が駆けだした。

承太郎「『スタープラチナ』!」

スタープラチナ「オラッ!」

拳による一撃は、DIOの頭部へと命中する。

DIO「!?」

いくらDIOでも、頭を攻撃されたら一溜まりもない。

殴られた頭に手を添えたDIO。

まさにその時だった。

DIO「フハハハハハ!」

頭部の傷は綺麗に消え、何もなかったかのように立ちあがったのだった。








 全員が、驚きを隠せなかった。

『スタープラチナ』の一撃を喰らったにも関わらず、DIOは平然としていたのだ。

承太郎「(『スタープラチナ』の拳は、確かにヤツの頭を砕いた。 こいつは……吸血鬼の再生能力でもなければ、『世界ザ・ワールド』の時間停止でもねぇ!)」

DIO「フン。 『』では、承太郎がと聞いているが……甘っちょろいぞぉ!」

ザ・ワールド「無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

『ザ・ワールド』の凄まじい連打が、承太郎達を吹き飛ばした。

承太郎「ぐぅ!」

クラウス「くっ!」

プルルート「きゃぁ!」

雪泉「承太郎さん! プルルートさん! クラウスさん!」

零児「バカな!? 三人が押し負けただと!?」

霊夢「何なのアイツ!?」

DIO「無駄無駄無駄! 貴様等の攻撃など、我が『真実』の前では『上書き』されるだけにすぎん!」

驚愕する零児達であったが、DIOは一枚のカードを取りだす。

タロットの最後の一枚『世界』のカードである。

DIO「さあ、『世界ワールド』のカードよ! 奴等の持つタロットを引きよせるのだ!」

カードが光ると同時に、零児達の集めたタロットが、

全員「なっ!?」

DIOが持つ『世界』へと集まったのだった。

零児「しまった!」

十六夜「タロットが!」

雪泉「DIOの手に!!」

DIO「礼を言うぞ。 お前達がタロットを集めてくれたおかげで、このDIOは更に! 新たな高みへと到達するだろう!」

勝利を掴み取ったかのように、DIOは天高く笑う。

DIO「では、お別れだ。 お前達には、ここで消えて貰う」

パチンと指を鳴らした瞬間、零児達の周囲から黒い『モヤ』が出現したのだ。

霊夢「な、何なのアレ!?」

零児「分からんが、アレに触れたらまずいぞ!」

『モヤ』が近付き、まさに絶体絶命。

誰もが死を覚悟したが、まさにその時であった。

承太郎「!?」

突然、承太郎の懐が光り始めたのだ。

思わず懐から取り出すと、

承太郎「コレは!?」

DIO「何っ!?」

光っていたのは、タロットの『星』のカードであった。

それを見たDIOも、奪い取ったタロットを見る。

DIO「ない!? カードが一枚足りん!?」

そしてカードに導かれるように、彼等はその場から消えたのだった。

逃げられたDIOは、小さく呟いた。

DIO「空条承太郎……やはりこの世界でも、ヤツは最大の障害の様だな」








 零児達はいつの間にか、地霊殿の室内にいた。

霊夢「ここは、地霊殿の門前?」

零児「承太郎の持っていた『星』のカードが、俺達を救ってくれたのか!?」

承太郎「………」

驚きを隠せなかった一行であったが、一番の不安が残っていた。

それは勿論、DIOの能力である。

雪泉「それにしても、プルルートさんの変身が簡単に解けるなんて……」

プルルート「でもあたしぃ〜、変身してからぁ〜、そんなに経ってないんだよぉ〜?」

クラウス「私の時もそうだった。 今まで破られる事も無かったブレングリード流血闘術の盾が、拳の一撃で砕かれた」

クラウスやプルルートですら不安を募らせ、誰もが拳を握りしめてしまう。

零児「承太郎、お前さんの意見を聞こう」

その言葉に承太郎は、一度考え込むと、

承太郎「一旦、亀龍一號に戻ろう。 他の皆と合流して、話し合うべきだ」

彼の意見に賛同し、一行は亀龍一號へと戻った。








 
 亀龍一號にて……、

ジョセフ「そこじゃぁ!」

夜桜「うわっ!」

ジョセフと夜桜が、組み手を行っていた。

元々は、夜桜が暇を持て余す為に修行をしていたのだが、

ジョセフ(ワシも暇じゃから、少し付き合おうかのぉ)

そう言って、ジョセフが修行相手になったのである。

そんな光景を、一行は観戦していた。

ザップ「なあ、ポルナレフ。 夜桜とジョースターさん、どっちが勝つと思う?」

ポルナレフ「そうだなぁ〜……。 夜桜は拳による接近が主だからなぁ、ジョースターさんが有利じゃねぇか?」

四季「アタシ的には夜桜ちんと言いたいけど、どうみてもジョセフさんだね」

小牟「そうじゃな。 ジョセフは年長者じゃし、戦いには一番慣れておるしの」

そう言いながら彼等は、ジョセフが勝つと予想する。

DIOを目覚めさせた『石仮面』を生み出した存在、『柱の男』と激突したという過去を持つジョセフ。

彼のスタンド『隠者の紫ハーミットパープル』は本来、戦闘向きのスタンドではない。

主な能力はカメラによる念写や、相手の考えをテレビ画面に映すことである。

しかし若い頃に身に付けた仙道術『波紋』と、コレまでの戦いの年季でカバーしてるのだ。

ジョセフが突き出した腕から『ハーミットパープル』を伸ばすが、夜桜はそれを避け、

夜桜「はぁぁぁぁぁ!」

そのまま懐へと跳び込む。

夜桜「そこじゃぁ!」

そして、ジョセフへと拳を放った。







 ジョセフの懐に飛び込んだ夜桜。

これには、全員が驚きを隠せない。

アヴドゥル「おお! これは!?」

魔理紗「これは決まったぞ!」

誰もがそう思い、夜桜の拳がジョセフの体に接触した瞬間だった。

バチィと、電流のような感覚が彼女を襲った。

夜桜「キャァァ!」

これにより夜桜はふっ飛ばされ、ジョセフは安堵した顔をする。

ジョセフ「ふう、危なかった」

魔理紗「へ? 今のって、どうやったんだよ!?」

思わず魔理紗は困惑するが、花京院がすぐに気付いた。

花京院「体に巻き付けた『ハーミットパープル』に、波紋を電流の様に流したんですね?」

それを聞いたジョセフは、襟元を少し伸ばすと、

ジョセフ「流石は花京院、良く分かったのぉ」

電線の如く、波紋が流し込まれた『ハーミットパープル』が体に巻かれていた。

ジョセフ「接近戦に持ち込まれると厄介じゃったからの、保険を掛けておいたんじゃよ」

夜桜「さ、流石です。 見事にやられました」

ジョセフ「じゃが、お前さんも中々良い線までいったぞ」

こうして、勝負はジョセフの勝利となった。

すると、承太郎達が戻って来た。

ジョセフ「お、帰ってきおった」

美野里「皆、お帰り!」

零児「ああ、ただいま……」

暗い表情を見せる承太郎達に、ジョセフ達は首を傾げた。

叢「どうした?」

承太郎「実は……」

そして承太郎は、皆に地下での出来事を放した。








 状況を知ったジョセフ達は、驚きを隠せなかった。

ジョセフ「何ぃ!? それは本当か!?」

花京院「み、見間違いじゃあないのかい!?」

承太郎「俺も最初はそう思った。 だが、間違いなくアイツはDIOだった」

アヴドゥル「そんな……」

ポルナレフ「マジかよ……」

ジョースター一行メンバーは、奥歯を噛み締める。

宿敵のDIOが、新たな敵として現れたのだ。

アヴドゥル「しかし、なぜDIOが!?」

誰もが疑問に思うが、まさにその時であった。

??「やはり、此処まで辿りついたのね」

そう言ってスキマから、紫が姿を現したのだ。

霊夢「紫?」

ダンテ「どうしたんだ? 随分と顔色が悪いみたいだが」

承太郎「……何か知ってるのか?」

紫「ええ……」

その問いに頷き、紫は衝撃の事実を伝えたのだった。







 世界とは、一つとは限らない。

全ての基準となる『基本世界』を中心に、あらゆる数の『並行世界』が存在する。

紫は気分転換に、その並行世界の一つを観光していた。

辺りを見渡す彼女であったが、

??「ほう、見かけない顔だな」

紫「!?」

そこで『ヤツ』と出会ってしまった!

紫はその姿を見た瞬間、恐怖してしまった。

全身が痙攣し、胃液が逆流するような感覚。

恐怖が精神を支配し、彼女は「殺される」と感じた。

しかし『ヤツ』は、子供をあやすかのように優しく言った。

??「怖がる必要はないのだよ。 友達になろう」

紫「!?」

その言葉に彼女は、『ヤツ』の虜になってしまった。

これが、並行世界のDIOとの出会いであった。








 紫から衝撃に事実を聞いた一行は、言葉が出なかった。

承太郎「並行世界の……DIOか」

紫「その世界では、DIOがジョースター一行を返り討ちにし、思うがままに世界を支配していたの」

この時承太郎は、DIOの言葉を思い出す。

DIO( 『』では、承太郎がと聞いているが……)

承太郎「(あれは、そういう意味だったのか)」

紫「私はDIOのカリスマに惹かれてしまい、ヤツの言いなりになってしまった。 ヤツは暗黒王の封印を解くとスタンド『ザ・ワールド・オーバーヘブン』で、自身の部下に引き入れたのよ」

霊夢「暗黒王を!?」

零児「つまりこの異変は、最初からヤツの掌の上だったという事か」

紫「私は……私は自分を呪ったわ! あんな奴の言葉に耳を傾け、この世界に招いた自分自身を! 屈辱だった、許せなかった!」

奥歯を噛み締め、自身の行動を悔いる紫。

そんな彼女に、承太郎はこんな質問をした。

承太郎「何か、ヤツを倒す方法はないのか?」

紫「能力については分からない。 けど、倒せる方法が一つだけあるわ」

承太郎「本当か?」

紫「まず、コレを手に取って」

そう言うと紫は、一丁の拳銃を承太郎に投げ渡す。

承太郎がそれを受け取ると、彼女は再び同じ型の拳銃を手に取る。

紫「その銃は、私が最初に来た並行世界のものよ。 そしてこれが、その隣の世界の銃」

承太郎「何のつもりだ?」

紫「これを同時に投げるのよ!」

承太郎「!? オラァ!」

二人は拳銃を同時に投げ、二つの銃はぶつかった瞬間、バァーンと消滅したのだった。







 二丁の銃が消滅した瞬間、全員が驚きを隠せなかった。

紫「このように、『この世界のもの』と『違う世界のもの』がぶつかると、その場で消滅してしまうの。 ヤツはこの事を全く知らない」

そんな中、ジョセフはこんな事を言った。

ジョセフ「ちょ、ちょっと待った! もしもじゃぞ!? もしもワシの目の前に、『50年も前の若い頃のワシ』が現れたら、さっきみたいに消滅するのか?」

紫「アナタの場合は“時代”が50年も違うだけであって、あくまで“同じ世界”の同一人物。 だから、消滅の心配はないわ」

成程という顔をしながら、ジョセフはすぐさま納得する。

紫「だけど、DIOは違うわ! あの男は『並行世界』の住人! 承太郎君の住んでる世界を『基本世界』として、その世界のDIOは倒されていると聞いてるわ! その亡骸をぶつければ、ヤツも能力を使う暇も無く、消滅する事が出来るはず!」

期待をする様な顔になった紫であったが、承太郎は首を横に振りながら答えた。

承太郎「DIOの亡骸は、朝日に晒して塵にした。 もう、何処にも残っちゃいねぇハズだ」

それを聞いた紫は、希望を失った顔をしてしまう。

紫「そう……。 でも、必ずヤツを倒す方法は見つかるわ! アナタ達なら、必ずDIOを倒せると信じてるわ!」

そう言って紫は、スキマの中へと消えた。








 紫がその場を去った後、全員が沈黙になってしまった。

その中で、最初に第一声を上げた魔理紗。

魔理紗「今更だけど、えらくぶっ飛んだ話しになったよなぁ」

ザップ「そうだな」

レオ「じゃあ皆、紫さんの案に賛成で良いねですね」

零児「だが、問題はDIOの能力だ」

すると、十六夜がこんな事をクラウスに聞いた。

十六夜「なあ、クラウス。 アンタのあの『十字架』は、DIOの一撃で砕かれた。 間違いねぇな?」

クラウス「ああ。 あの技はブレグリード流血闘術の中でも、絶対硬度を誇る『盾』でもある。 今まで砕かれる事はなかった」

十六夜「という事は……」

承太郎「どうした?」

深く考えた後、十六夜はある結論に辿りついた。

十六夜「あの時の……DIOの言葉が引っ掛かってよ。 ホラ、『真実』がどうってヤツだ」

DIO(貴様等の攻撃など、我が『真実』の前では『上書き』されるだけにすぎん!)

十六夜「これは俺の勘だけど……DIOの能力は、『真実』を『上書き』するんじゃねぇか?」

雪泉「どういう意味ですか?」

十六夜「DIOの能力を受けたものは、アイツの望んだ『真実』に必ず到達――つまり『上書き』されるんじゃねぇか? 例えば『簡単に割れるガラスコップ』に“絶対に割れない”という『真実』を『上書き』することで、そのコップは『簡単には割れないガラスコップ』になる――と考えれば」

ダンテ「成程、という事は……」

十六夜「ああ。 さっきの戦いも、“俺達の攻撃が通用しない”という『真実』を『上書き』したんじゃねぇか?」

それを聞いた一行は、驚きを隠せなかった。

ポルナレフ「何だよそりゃ!? それが本当なら、倒しようがねぇじゃねぇか!」

ジョセフ「じゃが、ここで諦めるつもりはない!」

小牟「そうじゃ! 必ず倒す方法が見つかるはずじゃ!」

霊夢「そうね、必ずヤツを倒して見せるわ!」

承太郎「やれやれ、ちょいと疲れる旅になったぜ」

こうして再び、一行の心が団結したのだった。









TO BE CONTINUED...


■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
 ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』より、『天国に到達したDIO』が登場しました!
テキストサイズ:12k

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.