ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

幻想伝説譚 第16話:ディエゴの世界
作者:亀鳥虎龍   2016/02/05(金) 19:22公開   ID:I3wrEmfpACI
 亀龍一號を博麗神社前の石段に降下させ、機内から承太郎達が降りて来る。

ジョセフ「ふぅ、なんとか無事に戻れたわい」

承太郎「もう二度と、ジジイとは一緒に乗らねぇからな」

ジョセフ「おい、承太郎! 少しは実の祖父を信用せんか!」

そんな二人の会話を微笑ましく思う者もいれば、呆れる者もいたのだった。







―ディエゴの世界―






 石段を登り終えた一行であったが、

全員「!?」

そこで、敷地内で倒れる咲夜を発見した。

全身が血だらけであったが、意識はあるようだ。

霊夢「咲夜!」

咲夜「か、帰って来るのが……遅いわよ……」

魔理紗「何があったんだ!?」

咲夜「実は……」

咲夜は承太郎達に、何が起きたのかを放したのだった。







 数分前の博麗神社。

レミリアの気まぐれにより、彼女の散歩を同行する事になった咲夜。

神社に着いた二人であったが、そこで一人の男とであった。

??「フン。 ヤツの命令に従うのは不本意だが、仕方ないか」

金髪に『DIO』の装飾の付いたヘルメットを被り、緑の上着にベージュのズボン姿。

レミリア「あら、この神社にお客なんて珍しいわね」

??「ん? レミリア・スカーレットか」

レミリア「私を知っているのね? 光栄だわ」

何を思ったのか、男は不敵に笑った。

??「神社で待ち伏せしろと言われたが、予定変更だ。 レミリア、貴様には『餌』になって貰うぞ!」

そう言うと男は、レミリアへと突進したのだった。

それを見た咲夜は、すぐさま時を止めたのだった。

咲夜「これで、終わりよ!」

手に持ったナイフを振るい、男を攻撃したが、

??「ほう、やるじゃあないか」

咲夜「!?」

男は咲夜の腕を掴むと、手に持っているナイフで彼女を刺したのだった。

??「時は動き出す」

時が動き始めたと同時に、咲夜は血を流しながら倒れてしまう。

レミリア「咲夜!」

??「おっと」

駆け寄ろうとするレミリアであったが、男に捕らわれてしまう。

??「お前は承太郎や博麗霊夢をおびき寄せるための『餌』なんでな、一緒に来て貰うぞ?」

レミリア「………」

捕まったにも関わらず、レミリアは冷静であった。

レミリア「捕らわれの姫を演じるのも悪くないわね」

??「フン、良いだろう。 シルバーバレット」

すると一頭の馬が、男の前に走り出した。

レミリアを抱えながら馬に跨り、動けない咲夜に男は、

ディエゴ「俺の名はディエゴ・ブランドー、通称『Dio』! 承太郎達に伝えておけ、魔法の森で待っているとな!」

そう言い残し、レミリアを連れて行ったのだった。







 話しを聞いた霊夢達は、ゴクリと唾を飲んだ。

霊夢「つまりそいつは、アンタの能力に対応できるって事?」

咲夜「そういう事になるわね。 気をつけなさい、ディエゴは厄介な相手かもしれないわ」

それを聞いた零児は、すぐさま行動を開始する。

零児「よし、承太郎と霊夢は行くとして……ザップと魔理紗にポルナレフ、それとジョースターさんも同行してくれ」

ジョセフ「了解じゃ」

ポルナレフ「おうよ!」

ザップ「ったく、何で俺が……」

魔理紗「任せな! 魔法の森なら、私の家があるから案内出来るぜ!」

霊夢「それじゃ、行きましょ!」

承太郎「(ディエゴ……ブランドー……か……)」

こうして一行は、魔法の森へと向かった。








 魔法の森に到着した承太郎達。

ジョセフ「此処が魔法の森か……」

辺りを警戒しながら、先へと進んでいく。

するとその時であった。

??「来たか」

全員「!?」

突然の声に、全員が立ち止る。

ディエゴ「初めましてだな、空条承太郎。 俺はディエゴ・ブランドー、通称『Dio』」

堂々と姿を見せたディエゴに対し、承太郎ジョセフにポルナレフは驚きを隠せなかった。

承太郎「(コイツが……ディエゴ!? 似てやがる……あのDIOに!?)」

その顔つきが、あまりにもDIOにそっくりであった。

ジョセフ「Oh My God! でぃ、DIOに瓜二つじゃ!? しかし、ヤツに兄弟がいたなんて話しは聞いた事も無いぞ!?」

ポルナレフ「ウソだろおい!?」

霊夢「アンタも、DIOの部下で良いのね?」

その質問にディエゴは、バツの悪そうな顔をする。

ディエゴ「部下だと? バカを言うな。 ヤツとはあくまで利害が一致しただけで、互いに相手を利用し合う関係なのだ。 そこらへんの雑魚と一緒にするな」

魔理紗「それより、レミリアを返しやがれ!」

ディエゴ「フン、良いだろう。 その奥に縛り付けてある。 好きにしろ」

魔理紗が走り出し、ディエゴの横を通り過ぎる。

承太郎「人質を盾に使わねぇとはな」

ディエゴ「意外か? 人質を盾に使うのは、三下以下の雑魚のやる事だ」

承太郎「だろうな!」

地を蹴り、承太郎はディエゴへと向かう。

承太郎「『スタープラチナ・ザ・ワールド』!」

そして同時に、時が止まったのだった。







 時が止まり、承太郎とディエゴだけが動ける。

ディエゴ「ほう、それが『スタープラチナ』の本領という事か」

承太郎「コイツで、決めるぜ!」

スタープラチナ「オラァ!」

スタープラチナの拳が炸裂するが、まさにその時であった。

ディエゴ「『THE WORLDザ・ワールド』!」

ディエゴの体から、スタンドが出現したのだった。

承太郎「!?」

スタンドを目にした承太郎は驚いてしまうが、

ディエゴ「俺だけの時間だ」

??「無駄ァ!」

承太郎「うぐぅ!」

ディエゴのスタンドの攻撃を受けてしまった。

ディエゴ「時は動きだす!」

それにより承太郎は、その場で吹っ飛ばれてしまった。








 時が動いたと同時に、承太郎は吹き飛ばされてしまう。

ドガァと背後の木にぶつかってしまい、仲間達が驚いてしまう。

ジョセフ「何ぃ!? 承太郎が、ふっ飛ばされた!?」

ポルナレフ「どうなってんだ!?」

承太郎「オメェ等、気を付けろ。 アイツのスタンドを」

全員「!?」

ジョセフ達がディエゴの方を見ると、彼のスタンドが姿を見せた。

ディエゴ「『THE WORLDザ・ワールド』、コイツが俺のスタンドだ」

その姿に、ジョセフとポルナレフは驚愕した。

ジョセフ「何ぃ!? まさかあのスタンドは!?」

ポルナレフ「DIOの……『ザ・ワールド』!?」

スリムな体格に関節部の装飾などの細かな相違点が見られるが、その姿はDIOの『世界ザ・ワールド』と瓜二つだった。








 同じタイプのスタンドなら、承太郎達も見た事がある。

しかし姿と名前、そして能力までも同じスタンドは初めての経験である。

立ち上がった承太郎は、再びディエゴの前に立つ。

承太郎「ウオォォォォ!」

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラ……」

『スタープラチナ』の連打が放たれ、それを見たディエゴも、

ディエゴ「連打の速さ比べか……面白い、受けて立とう」

ザ・ワールド「フン! フン!」

THE WORLDザ・ワールド』の凄まじい連打で迎え撃つ。

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラァ!」

ザ・ワールド「無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」

二人のスタンドの拳が、凄まじいパワーとスピードの連打でぶつかり合う。

スタープラチナ「オラァ!」

ザ・ワールド「無駄ァ!」

最後の拳はクロスカウンターとなり、互いに拳が顔にヒットする。

そのダメージも、二人に跳ね返る。

ディエゴ「面白い。 承太郎、確かにお前は厄介なスタンド使いだ。 それでこそ越える事に値する」

承太郎「越えるだと?」

ディエゴ「そうだ」

時を止めたディエゴは、その中を移動する。

無論、それが見えるのは承太郎のみ。

ディエゴ「止まった時の中を動けるとは。 互いに、相手のスタンドが厄介に感じるハズだ」

承太郎「そうだな」

時が動き始め、承太郎以外が驚く。

ディエゴ「だが、このDioは考える。 承太郎、お前は何秒まで動けるのかと……。 もしかすると、俺と同じで5秒間だけ動けるが、動けないフリをしているんじゃあないかとな」

承太郎「(マズイぜ……コイツは5秒も動けるのか……。 咲夜とやり合ったときは、偶然5秒止められたが、今は2秒が限界だ。 2秒じゃ、勝負にならねぇ)」

ディエゴ「まあ、知られたくないのは当然だ。 俺の推測では、お前が動けるのは2秒から5秒の間だ」

承太郎「………」

ディエゴ「話しは変わるが、俺は人生とはレースと同じだと思っている」

承太郎「レースと同じ……だと?」

ディエゴ「そうだ。 人生はレースと同じで、その先に必ず試練という名の障害が立ちはだかる。 このDioにとって、お前の存在がその試練なのだ。 試練とは、必ず克服しなければならない」

不穏な空気が漂い、ディエゴはある行動に移った。

ディエゴ「だから承太郎! 俺はお前という試練を克服するぞォ!」

何と彼は、両手に大量のナイフを構えたのだ。

承太郎「!?」

ディエゴ「青ざめたな? このナイフを見た瞬間、お前は自分の『死』を悟っただろう?」

承太郎「(や、ヤロウ……なんてこと考えやがる!)」

ディエゴ「もう遅い! 『THE WORLDザ・ワールド』!」

そして再び、時が止まったのだった。







 時を止めた瞬間、ディエゴはナイフを投げ飛ばした。

ディエゴ「5秒前……」

投げ飛ばされたナイフは、承太郎の眼前で止まる。

ディエゴ「時が動き始めた瞬間、いくらお前のスタンドでも、果たして全てのナイフを弾き落とせるかなぁ? あと4秒!」

再びナイフを投げるディエゴ。

ディエゴ「フッ、見えているのが逆に恐怖だな!」

スタープラチナ「オラオラオラオラァ!」

『スタープラチナ』がナイフを弾き落とすが、活動時間が限界を越えてしまった。

承太郎「………」

ディエゴ「それだけか、動けるのは? これで動けるのは2秒というのが証明された。 残り1秒……」

時間停止が限界を越え、そして……、

ディエゴ「……0」

時が動き始めたのだった。







 飛んでナイフが襲いかかり、承太郎も『スタープラチナ』で弾き落とすが、

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラァ!」

弾け落とせなかったナイフが、承太郎の体に突き刺さった。

右肩に二本、左脇腹に一本、そして右足に一本である。

承太郎「ぐっ!」

ジョセフ「承太郎!」

ディエゴ「来い、シルバーバレット!」

シルバーバレット「ヒヒーーーン!」

愛馬に跨ると、ディエゴはその場から走り去る。

ディエゴ「お前に相応しい死に場所がある。 追いたければ追って来な!」

承太郎「ヤロォ!」

すぐさま承太郎は、ディエゴを追いかけたのだった。

ジョセフ「承太郎!」

ザップ「追いかけるぞ!」

それを見たジョセフ達も、すぐさま追いかけたのだった。







 ディエゴを追いかける承太郎であったが、

承太郎「ヤロウ、何て技術だ」

森の中で馬を走らせているとは思えない技術。

ディエゴは元々、天才ジョッキーとしてその名を轟かせた男。

馬の走り方や癖を、誰よりも見抜いているのである。

そんな中、承太郎は何かに足を引っ掛けた。

すると、ワイヤーと供に缶が飛んで来たのである。

咄嗟にそれを避けるが、中から出てきた液体を被ってしまう。

承太郎「ぐっ!」

しかし気にせず、再びディエゴを追いかけた。







 森の奥まで追いかけ、遂にディエゴはシルバーバレットを停止させる。

勿論、ジョセフ達も追い付いた。

ディエゴ「これで、準備プランは整った」

承太郎「ここが、俺に相応しい死に場所ってところか?」

ディエゴ「トラップを仕掛けはつもりだったが、お前には小細工は意味が無かったな。 ならば、俺も覚悟を決めなければな」

承太郎「いくぜ、ディエゴ!」

拳を握る承太郎であったが、ディエゴがこう言ったのだった。

ディエゴ「ところで承太郎、何か臭わないか?」

承太郎「!?」

その言葉に全員が、何かの臭いを嗅ぎ取った。

ザップ「そういや、さっきからガソリンの臭いがすんぞ?」

そして、その臭いのする先は、

ポルナレフ「承太郎だ! 承太郎の体からガソリンの臭いが!」

なんと意外!承太郎の体からであった。

まさかという顔で、承太郎は自身の体を嗅ぎ取る。

承太郎「まさか、あのトラップは!?」

ディエゴ「そうだ! お前の体に、ガソリンを浴びせる為だったのだ!」

そして大量のマッチに火を付けると、

ディエゴ「流石に貴様でも! 炎から逃れる事は出来ん!」

上にマッチを投げ飛ばし、承太郎はそれを避けようとする。

しかし全て避けられず、マッチの火が燃え移った。

その瞬間、承太郎の体が燃えて上がった。









 ガソリンによって、承太郎の体が燃え上がった。

承太郎「ぐおぉぉぉぉぉ!」

ジョセフ「承太郎!」

ザップ「ダメだ、ジョースターさん!」

ポルナレフ「迂闊に動けば、ディエゴの思う壺だ!」

承太郎「うぐぅぅぅぅ!」

徐々に体に力が無くなっていき、

ジョセフ「承太郎ォォォォォ!」

承太郎の体は、遂にうつ伏せになって倒れたのだった。

ディエゴ「URYYYYYY! 遂にDioは、承太郎を打ち破ったぞォォォ!!」

勝利を確信したディエゴは、思わず歓喜の叫びを上げた。

ディエゴ「勝った! 第3部・完だァ!!」

しかし、まさにその時だった。

承太郎「ほう? それで、誰がこの空条承太郎の代わりを務めるんだ?」

ディエゴ「何っ!?」

承太郎「まさか、テメェなワケがねぇよな?」

地面から承太郎が、学ランの無い姿で這い上がってきたのだった。

まさかという顔で、ディエゴは燃えているのが何であるかに気付いた。

ディエゴ「『スタープラチナ』で、地面にトンネルを掘ってきたのか!? 燃えたのは上着だけかぁ!」

承太郎「ところでテメェ、さっき試練がどうとか言っていたな?」

ディエゴ「くっ!」

承太郎「確かに、テメェの言うとおりだ。 目の先の試練は、乗り越えなきゃならねぇ。 というワケだから、この空条承太郎が直々に教えてやる」

その瞬間、『スタープラチナ』が出現し、

承太郎「試練の克服ってヤツをなぁ!」

スタープラチナ「オラァ!」

凄まじい一撃が、ディエゴに放たれる。

ディエゴ「うぐっ!」

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」

反撃の隙のない連打が、完全にディエゴを捉える。

ディエゴ「グガァァァ!」

愛馬と供に倒れたディエゴ。

ディエゴ「くっ! このDioが……こんなところで……負けて……たまるかぁぁぁ!!」

悪足掻きといわんばりに、ディエゴは拳銃を構えるが、

スタープラチナ「オラァ!」

承太郎が足に刺さったナイフを抜き、それを手に取ったスタープラチナが投げ飛ばした。

ナイフはディエゴの胸に突き刺さり、彼の体から力が抜けていく。

ディエゴ「こ……この……Dio……が……」

そしてディエゴの体は、この場で息絶えたのだった。

そんな彼の姿に、承太郎は帽子を深く被りながら呟いた。

承太郎「ディエゴ・ブランドーか……ある意味、恐ろしい敵だったぜ」

ディエゴ・ブランドー――死亡。





TO BE CONTINUED...


■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
 ジョジョ第7部より、並行世界のディエゴ・ブランドーが参戦しました。
テキストサイズ:11k

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.