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俺の片目は戦争兵器 夜空の下で
作者:青木   2016/03/28(月) 08:37公開   ID:aD/bcO1hwWA
 人生と言うものは必ず生きなければならない。       
 どんな境遇でも懸命に生きなければ死んでしまった人に対して無礼だから。  
 ほとんどの人が大切な何かを持っているはずだ。大切なものをなくした瞬間生きるのが辛くなる。     
 そんな人生を嘆きながら歩んでいくのが生物なのかもしれない。    
 「蝉島さんには好きな人はいますか?」      
 「恋愛対象として?」      
 まいったなー。どう答えよう。       
 「はい・・・・・・そうですけど」      
 未琴は少し緊張したおももちで問いかけてくる。      
 「いつかできるといいな」      
 好きな人とはずばり、大切なもの。しかし、それは1つしか持っていけないと言われる。人を好きになると言うことはその大切なものを身を挺して守ることを意味していているように思える。     
 「何をボッーとしてるんですか」       
 「ごめんな少し考え事を」     
 もう少しで自宅に着くぞ。腹減ったなー。      
 「蝉島さん、家の前に誰かいますよ」      
 自宅を凝視している? 俺と同じ高校の制服に見えるけど?     
 進む度に少しずつ自宅を凝視している正体が見えてきた。      
 明夏だ! 何やってるんだあいつ。      
 俺は明夏のところへ走り寄った。     
 「突然どうしたんですか」     
 突然走り出した俺を見て動揺する未琴。俺は未琴には目もくれず明夏のところへ。  
 「あ・・・・・・菊」      
 明夏はいつもより明らかに弱々しい声で俺の名前を口にする。    
 「どうしたんだよ明夏」     
 明夏は俺の顔を凝視するだけで何も言わない。だが感情があることは確かだ。明夏の目に少しずつ涙が溜まっていっているからだ。      
 「菊・・・・・・何も言えないのはなぜだろう」      
 「知らないよ、突然自宅の前に立ち尽くして」     
 溜めきれなくなった涙が頬を伝わりコンクリートの地面に落ちていく。      
 「なんで・・・・・・私ってこんなに自分勝手なんだろう」     
 明夏はボロボロ涙を落としている。      
 明夏がここまで泣いている姿は初めて見た気がする。      
 「菊の胸に飛び込んでいい?」       
 「はい? 突然何を」      
 明夏は俺の答えを聞く前に飛び込んでくる。      
 「菊のバカ」          
 それ以外は何を言っているか泣きながらなので聞き取れなかったがその言葉はハッキリと聞き取れた。    
 「ごめんな明夏」        
 明夏は俺から少し離れて涙を袖で拭く。     
 「これでまた元に戻れるよね」      
 なんのことやらわからないがここは頷いておく。     
 「ああ、やっとな」      
 「で? そこの女の子は誰かな」      
 「こいつは久堂寺 未琴って言うんだけど」      
 未琴は俺が話している最中に明夏に堂々とした態度で歩み寄る。      
 「私の名前は宗友 明夏って言うんだけど未琴さん? 菊と何してたのかな?」
 「あなたこそ突然何ですか、私は蝉島さんと話してたのに」     
 なんだこれ明夏の方が年齢が上のはずなのに未琴の恐れることを知らない武士道精神があるのか同じ立場で言い争っている。
 「まだ小学生でしょ高校生と討論しようだなんてあきれるわ」    
 「私は久堂寺よ、大富豪よ、逆らったらどうなっても知りませんよ」    
 「もう、やめろよ」       
 喧嘩を止めに入ったが逆効果だったか二人は俺に向かって睨みつける。      
 「すいません」      
 「だいたい菊! 私がいながらなんで他の女に手を出すのよ」    
 「そうですよ二股とは人としてどうかと思います」     
 なんで共同して俺が責められるんだよ。      
 「二人とも俺の女じゃねぇだろ」      
 「私、帰る」     
 「私も帰ります」     
 二人はそれぞれの帰路に着く。背中合わせの逆方向だ。      
 なぜこんな展開に? 俺が悪いの? 
 「なんでだよー」        
 天空を拝見する。きれいだなぁ。       
                 
 「これで蝉島の人間関係はだいたいつかめましたね」      
 「あぁそうだな」     
 「それにしてもいいんですか自分の学校の生徒なんですよ」
 「この綺麗な夜空に賭けてみないか」      
 「もちろんですとも」     
 裏の世界で何かが動き出していることを誰も知るよしがなかった。

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