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俺の片目は戦争兵器 捕縛パート2
作者:青木   2016/05/03(火) 12:33公開   ID:aD/bcO1hwWA
 グラウンドの並木がぼやけて見える。なんか波みたいに曲がって・・・・・・はっ! 
 俺の頂頭部に誰かの軽いチョップが投入される。
 おもわず見上げると記憶にある顔が一つあった。      
 「夏と言えばなんだと思う?」     
 その人物はやはり将錯だった。透かした顔で夏の風物詩を問い詰めてくる。
 「水着じゃね」     
 俺は率直な答えを返した。    
 「さすがは変態ロリコンハーレム大魔王・・・・・・レベルが違う」
 以前よりも誇張されているような。
 「俺の聖剣でも成す術がないのか」
 両手、両膝を付け項垂れる将錯。聖剣はどこだよ。     
 俺はひとつ大きく溜め息。
 「で? テストどうだった?」
 「・・・・・・」
 不意を突かれ狼狽する俺を興味津々に凝視する将錯。
 「聞きたいか?」
 「俺は安定してたけど」    
 嫌味かそれは。
 事実なので仕方ないのだが。
 「赤点ではなかったよ・・・・・・俺も安定」
 「安定の低め?」
 「愚問だないちいち」
 将錯の余裕ぶりが羨ましい。
 「これで学園祭も夏休みも遊べるな」     
 嬉しい限りです。
 そんなことを話しているうちに教室内は昼食タイムに突入していた。
 「ヒサーシブリーにタイイクカンウラでタベマしょう」    
 日本語が片言の外人か。
 「俺たちも昼食にするか」
 俺たちは校内で一番涼しい体育館裏を目指した。
 「今日は遠市先輩が弁当作って来てくれるってよ」
 「すまん俺はもう明夏からもらった手作り弁当」     
 将錯からの恨みがましい視線がおっかないのが気に触ったが俺たちは体育館裏に到着。
 「遠市さんまだ来てないのか」
 口裏合わせてたのか遠市さんと珍しいな。
 そして壁にもたれた将錯。俺も座ろう。
 突然、目の前が真っ暗になった。
                 
 意識が戻り目を開く。
 そこには暗くはっきりわからない天井があった。
 「やっと起きたわね」
 聞き覚えのある声が、これは・・・・・・遠市さんだ!
 体を起こそうとするがうまくいかない。何かで固定されているみたいだ。
 目が慣れてきたのか天井がはっきりしてきた。ここは美術室だ。
 「ちょっといいかな蝉島君」
 「はい? なんでしょう」
 どうやら口は塞がれていないようだ。
 「私のお願い聞いてくれるかな」
 「お願いって?」
 「イエスかノーか!」
 そんなめちゃくちゃな要求あるか!
 遠市さんの口調が少し色っぽいのは気のせいだろうか?
 「ノーで」
 まずは回避をしてみる。くだらない要求なら見込まない。
 「学園祭の出し物についてだから、イエスでいいだろ」
 鶴の一声を使ったところで俺の信念は揺らがない。
 「こうなったら横暴だけど」
 「改造手術?」
 「確かに仮面○イダーの○ョッカーみたいな手口だけど」
 ものすごくどうでもいい。
 「いきまーす」
 くすぐったい。ヤベー息が絶えそう。
 「イエスって言うまでやめないわよ」
 「くずぐりはやめてー、イエスできゃっ! いいからうっつ!」
 やっとのことでくすぐりを制止した遠市さん。死ぬかと思った。
 突然部屋が明るくなる。眼孔に入る光が俺を襲う。
 「眩しいわね目がバチバチする」
 「だから注意したのに、うおー目が」
 二人の目も光に慣れてきたところで俺は解放された。
 「学園祭って何するんすか?」
 俺の素朴な疑問に腕を組んで考える遠市さん。
 「まぁ楽しいこと」
 答えになっていない。
 「ごめんな、蝉島。で俺ら部活なんだけど・・・・・・」
 将錯が言いあぐねていると遠市さんが口を開いた。
 「海水浴部よ」
 「くだらん」
 「別名水着部」
 はっ! 思い出した。教室での将錯からの質問に答えた俺が言ったのは水着。
 「その表情思い出したみたいだね」
 「何でですか」
 「理由なんて忘れちゃった」
 遠市さんの不敵な笑み。不条理過ぎないかなぁ?
 こうして海水浴部。別名水着部に新たな部員が増えたのだった。
                 
 一方その頃。
 「バカだよね、所詮この街は崩壊するというのに」
 おっかない発言するなこの方も。
 ほくそ笑むこの人を見るたび自分までも失笑してしまう。
 「でも確かにその通りだよねー、お姉ちゃん」
 「紅にもわかるでしょ」
 二人は楽しそうに首を左右に揺らしている。気ままでいいな。
 まっでも私もこの作戦には同意したわけだしここまで来たら後には引けない。それがどんなおっかなくて残虐でも理不尽でも、人の上に立つ喜びに比べたら小さなものだ。
 
 史上最悪な事態が巻き起こる時間まであと・・・・・・。やめておこう。
 実際我々もわかっていても止められないのだから。

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