午後8時30分。仮面ライダードライブは公園にいた。何かの怪しい気配を辿っていたそうだ。
ドライブ「…誰かいる。きっと誰かが……」
ベルト「うむ、まるでどんよりしているのと同じだ」
ベルトさんも気配を察知していた。その時、ドライブの前にいきなり暴風が吹いてきた。
ドライブ「うっ…!!なんだ、この風!!」
ベルト「ああ、やはり普通ではない!!」
だが暴風はピタリとすぐ勢いを止めた。代わりに、ひとりの少年がポツンと立っていた。
「……」
しかし少年は人形のように喋らない。だがドライブはその気配に寒気を感じた。
ドライブ「この気配…、ただの少年じゃない。魔法少年か!!」
少年を魔法少年と口に出すドライブは、ハンドル剣で少年を攻撃しようとした。
しかし……
ドライブ「……!!」
少年はなんと、ドライブのハンドル剣を片手で受け止めていたのだ。
「…この程度か。仮面ライダードライブ」
冷たい笑みを浮かべながら少年はドライブの名前を呼ぶ。少年の瞳は赤く、ギラギラと不気味に光っていた。
ドライブ「なんだ、お前は!?」
「七つの大罪すべてを司る者さ。今の風はルシファーの力を使ってた」
ベルト「やはり、魔法少年か!?」
「正解だ。何故なら俺は第7の魔法少年……。12天王の一人、サーヴァンプ・マギカだからね」
ドライブ「サーヴァンプ…マギカ!?」
サーヴァンプ「さあ、力を見せてくれ。君の力を……」
ドライブ「ああ、見せてやるさ。たっぷりとな!!」
ドライブはシフトトライドロンを使い、姿を変えた。
『ドライブ!タイプトライドロン!!』
サーヴァンプ「ほう……」
ドライブ「いくぞ!!」
物凄いスピードでダッシュしたドライブは、サーヴァンプに殴りかかろうとした。が、サーヴァンプは何も動かず、ただドライブの拳をこれも片手で受け止めた。
サーヴァンプ「弱くない。だが、強くもない」
ドライブ「バカな!?」
ベルト「トライドロンの力も止めるとは…!!」
サーヴァンプ「…誠につまらん。中途半端なやつは嫌いだ。まあ、まずはゆっくり眠らせてやろう」
ドライブ「そうはいくか!!」
ドライブはシフトトライドロンを3回動かし、必殺技を放つ。
『ヒッサーツ!フルスロットル!!トライドロン!!』
ドライブ「くらえ!!」
ドライブは強烈なキックを放った。だが、サーヴァンプは簡単に跳ね返してしまった。
ドライブ「ぐあぁぁぁぁ!!」
勢いよく吹き飛ばされ、地面に激しく叩きつけられたドライブ。さらにサーヴァンプは、七つの大罪のひとつ、強欲の王マモンの力を使った。
サーヴァンプ「強欲の王マモン。仮面ライダードライブの力を全て俺のものに」
すると、ドライブから全身の力が抜け、その力はサーヴァンプの体に溜まっていく。
ドライブ「ぐ、ああぁぁぁ……」
サーヴァンプ「…苦しめ。そして俺がリメイクしてやろう……」
ドライブ「リ、リメイク…だと…!?」
サーヴァンプ「そうだ。君は魔法少年、俺たちの仲間になる」
ドライブ「そ、そんなこと…させ…る……か……!!」
サーヴァンプ「おやすみ。ドライブくん」
ついにドライブは完全に力を失い、言葉も途絶えた。サーヴァンプは冷たく微笑むと、ドライブを拐って公園から消えた。
ドライブ(……ここは、どこだ……?)
ドライブが目を覚ますと、自分は手足を縛られ、暗くて狭い部屋に実験台のようなものに張り付けられていた。
ドライブ(!!ベルトさんが、いない…!?)
いつの間にか、自分の腰には相棒のベルトさんがいなくなっていた。
「あ、あんなところに……」
その声はウィスパーだった。更にジバニャン、そしてベルトさんまでいた。
ベルト「ドライブ!どうやら君は、拘束されているようだ」
ジバニャン「エストとはぐれたらついここに来たんだニャン。オレっちたちは助けたいけど……」
ウィスパー「残念なことに、入れないんですよ……」
ドライブ(嘘だ…!そんなこと…!!)
その時、3人の少年がドライブの元にやってきた。
「ほう、こいつが仮面ライダーか」
一人は、青い髪にクリスタルのヘアアクセをつけた高貴を纏うような少年。
「妬ましくなるやつなんですけど……」
もう一人はやる気の無い声にピンクの瞳をした少年。
「まあまあ、まずはこいつをゆっくり改造していこうぜ?」
そして最後の一人は、黒いロングコートに金髪ロングヘアの少年。
「ディアルガくん、パルキアくん、準備はいいな?」
パルキア「分かってますよ…、ギルティ・マギカ」
ピンクの瞳をした少年、パルキアは静かに答えた。隣にいる青い髪の少年、ディアルガも頷いた。真ん中にいた金髪の少年、ギルティ・マギカはドライブに声をかける。
ギルティ「さあて、ドライブくん。これから手術に入るけどいいよな?いいんだな。じゃあ…初めますか」
すると、三人は強力な魔力をドライブに送った。呪文を揃いながら復唱し、ドライブの頭を
侵していく。
ドライブ「うああぁぁ…!ベルトさん、ベルトさん!!助け…て…くれ……あああぁぁぁ!!」
ベルト「ドライブ!!」
しかし、三人はベルトさん達には振り向かずただ復唱を続ける。
ドライブ「ベルトさんっ…!!ベルトさん!!!うあああぁぁぁぁっ!!!」
ジバニャン「そんニャ…!!」
ウィスパー「なんてひどいでしょう……」
だが、何も出来ぬまま、ベルトさん達は見守るしかなかった。しかしそれだけではない、魔力はベルトさん達の脳にも激しく伝わり出したのだ!
ジバニャン「ニャ…苦しいニャン…!!」
ベルト「だが、ドライブは私の……!!」
ウィスパー「ここは危険でうぃす!逃げましょう!!」
ベルト「そんな…!!ドライブーーー!!!」
ジバニャンはベルトさんを抱え、ウィスパーと共に逃げていった。一方、ドライブは……
ドライブ(ああ…俺は、魔法少年に……)
すでに洗脳されてしまった……
ジバニャン「ベルトさん。オレっちたち何も出来なくて……」
ウィスパー「ごめんなさいでうぃす」
遠くへ逃げたジバニャンとウィスパーとベルトさん。二匹はドライブを助けられなかったことをベルトさんに謝る。
ベルト「二人のせいではない。だが、なぜドライブは狙われてしまったのか……」
さくらシティより離れたとこにある、闇の塔。そこで魔法少年たちは集まっていた。そう、洗脳された彼も。
フライング「フフフ…、見事だ。ギルティ、ディアルガ、パルキア」
ギルティ「ええ、光栄ですよ。フライング様」
ディアルガ「フライング様。今日は特別なものを用意しました」
フライング「分かっておるぞ。…貴様が、かつて仮面ライダーだった……」
フライングの前には新たな魔法少年が立っていた。少年は、赤い髪に白いメッシュ。そして、機械的な衣装を身に包んでいた。
その少年の名は……
フライング「トライエッジ・マギカ……。期待しているぞ」
トライエッジ「はっ…、フライング様」