今日は休日。エストはシリウス荘でスマホのゲームを遊んでいた。お気に入りのゲームは『パズドラ』で、時には課金もしたらしい。
しかし、エストはなぜかウィスパーとジバニャンがいないことに気づく。
エスト「…あれ。ウィスパーとジバニャン、どこにいったんだろう?」
するとその時、ウィスパーとジバニャンが急に扉を強く開いてエストの部屋に現れた。どこか慌ててるようだが…
ウィスパー「大変でうぃす!!」
ジバニャン「ドライブが、ドライブが魔法少年たちにやられちゃったニャン!!」
エスト「二人とも!?どうしたの、そんなに慌てて…」
ウィスパーはドライブについて全て話した。
ウィスパー「仮面ライダードライブさんが謎の魔法少年に捕らわれ、大変なことになったのです!!」
更にジバニャンが詳しく話す。
ジバニャン「なんか魔法少年たちに洗脳されたんだニャン!これは事件だニャン!!」
エスト「えっ!?ドライブさんが…!?」
エストも二人の言葉に驚く。なぜドライブがこんな悲惨な目に合ったのだろうか。
エスト「ね、ねぇ。ベルトは?」
ウィスパー「ありますよ」
と、ウィスパーはドライブのベルトを出した。
ウィスパー「ほらベルトさん、起きて下さいよ〜」
ベルトさんはウィスパーの声に目を覚ます。
ベルト「…む、ここはどこなんだ?」
エスト「僕の部屋だよ。えっと、ベルトなんちゃらだっけ?」
ジバニャン「なんちゃらじゃないニャン!えーと……」
ベルト「クリム・スタイン・ベルトだ」
ウィスパー「面倒臭いんですけど」
ベルト「ベルトさんでいい。君は確か、エスト君だね?」
エスト「うん」
ベルト「二人の言った通り、私の相棒ドライブは魔法少年に捕らわれてしまった……」
そう言ってベルトさんは落ち込んだ様子で肩を落としていた。
ウィスパー「あ、すでに鎧武様とディケイドさんのお二人には連絡取ってます」
エスト「よかった…。連絡取ってなかったら大変なことになってたよね」
ウィスパー「そこでです!ベルトさんのために、ドライブを助けましょう!!」
エスト「うん!僕も助けるよ!!」
エストもウィスパーの言葉に賛成し、すぐにシリウス荘を出た。
ベルトさんの証言通り、さくらシティより約30kmにある闇の塔に来たエストたち。後に鎧武とディケイドも合流した。
鎧武「本当なのか!?ドライブが捕らわれたってこと!」
エスト「本当なんですよ!ベルトさん見たんですって!!ねぇ!?」
ベルト「ああ、その通りだ。そのために、君たちを呼んだのだ」
ディケイド「そうですか。じゃあこの塔を登るしかないってことか?」
ジバニャン「……」
ジバニャンは闇の塔を見ると、すごいプレッシャーを感じた。どうやらあの塔を攻略するのは難しそうだ。
ジバニャン「なんかヤバい気配しかしないニャン」
エスト「だ、だよね……」
ベルト「さあ、みんな。行く準備は出来たか?」
エスト「もちろん!」
ディケイド「当たり前だ」
鎧武「いつでも準備は出来ているぜ!」
ベルト「よし、行こう!!」
エストたちは、闇の塔の中に入った。
闇の塔には、危険がたくさんあり、魔物も強力だ。それでも、エストたちは前へ進んだ。
そして、ついに塔の最上階へついた。
エスト「あ!あそこにいるのは……」
最上階には、謎の少年がポツンと立っていた。だが、どこか様子がおかしい。その時、ベルトさんが突如口に開いた。
ベルト「…まさか、ドライブ!!」
ウィスパー「え?ドライブさん!?」
ベルト「ドライブ!私だ!!ベルトさんだ!!なあ、聞こえてるか!!?」
しかし、少年は聞こえてないどころか、エストたちに攻撃してきた。
「「うわあぁぁっ!!」」
なんとか体勢を直し、ベルトさんは少年の姿に驚愕する。少年の瞳には光が入っておらず、むしろ病んでいる状態だった。
少年は冷たい顔で言葉を放つ。
「何を言ってるんだ……」
ベルト「…!!」
「俺は、トライエッジ・マギカ……。仮面ライダードライブではない」
鎧武「何…!?」
トライエッジ「…消えろ!!」
その時、トライエッジは物凄いスピードでエストたちに襲いかかってきた。
ディケイド「来るぞ!!」
鎧武「ウィスパー、ジバニャン!ベルトさんを頼む!!」
ウィスパー「うぃっす!」
ジバニャン「わかったニャン!!」
ウィスパーとジバニャンはベルトさんを守り、エストたちは攻撃に入る。
エスト「いくよっ!アタックグリモア発動!!」
『グリモアコマンド・アタック!スターソード!!』
星のように輝く青白い光の刃がトライエッジに降り注ぐ。しかし、トライエッジは華麗に回避した。
ディケイド「じゃあ、これならどうかな!?」
ディケイドは専用の武器であるライドブッカーを構え、光彈を放った。だが当然のこと、トライエッジは二本の腕で弾き飛ばす。
トライエッジ「甘い…甘すぎる……」
トライエッジにはもう仮面ライダーという面影は無い。彼はサイボーグのごとく冷徹な魔法少年だ。
ジバニャン「頑張るニャン!!」
ウィスパー「そこです!そこでうぃす!!」
二人は三人のヒーローを応援する。今度は鎧武が、ヴィーナスアームズにフォームチェンジし、オレンジヴィオラで強烈な刃を放つ。しかし、結局これもトライエッジは回避してしまった。
鎧武「くっ…!これもダメか…!!」
ジバニャン「そんな!」
ウィスパー「まさか、鎧武様の攻撃も読み取るなんて……」
もうトライエッジになすすべは無いのだろうか……。
ベルト「ドライブ……」
エスト「何を言ってるんだよ!!ドライブは絶対止められるよ!!」
だが、エストは暗い顔をしてなかった。なぜならドライブを救える希望があるからだ。
エスト「よーし!頑張ってドライブ救うぞー!!」
ベルト「エスト君…。ああ、そうだ。ドライブは私にとって最高のパートナー。だから、私も全力でサポートしよう!!」
ウィスパー「おお!ベルトさんもやる気になりましたか!!」
ジバニャン「オレっちたちと一緒に応援するニャン!!」
ベルト「いや、私は彼らを指示しよう」
ジバニャン「どういうことニャン?」
一方、トライエッジにも変化が起きる。彼はあまりにもスピードやスタミナを使い過ぎて疲労してしまったのだ。
トライエッジ「燃料…切れ……」
エスト「あれ?なんかおかしいよ?」
ベルト「今だ!一気に叩き込みたまえ!!」
その時、ベルトさんは指示を出した。エストたちは指示通り、攻撃を何度も繰り出した。
エスト「ホワイトスターマイン!!」
ディケイド「十面封陣!!」
鎧武「黄金乱舞!!」
三人は強力な必殺技を放ち、ついに、
トライエッジ「ぐあっ……」
トライエッジを倒すことが出来た。後は彼を元に戻すだけ、だった。
だが、安心する暇は無かったのだ。
「ククク…。我が弟を殺すつもりかな?」
ベルト「…誰だ!!」
鎧武「お前は…、フライング!!」
突然現れた少年をフライングと呼ぶ鎧武。
エスト「え、知ってるんですか?」
ウィスパー「ええ、かつて鎧武様をさらった者です!!」
フライング「いかにも。我が鎧武の力を奪った魔法少年…、またの名を第1の魔法少年フライング・マギカである!!」
フライング・マギカと言うその少年は気高そうに名乗った。
ベルト「まさか、貴様がドライブを!!」
フライング「フッ、残念だが違う。ドライブを殺したのは七つの大罪を支配する魔法少年だ」
ディケイド「まさか、あいつ…か?」
ジバニャン「お前!ドライブを元に戻すニャン!!」
フライング「残念だが、その言葉は否定しよう。だが、その代わりに我が特別な持て成しをしてやる……」
すると、フライングはどす黒い玉を作り、それをトライエッジにぶちこんだ。トライエッジの体は急に変化し、人の形が無くなり、不気味な異形の怪物へと変わった。
フライング「我の力、『影と憎しみの進化』でトライエッジは『ドライブエッジ』へと変わった!!どうだ、我の力はすごいだろう?」
エスト「何がすごいんだ!!またひどいことしてるだけじゃん!!」
ジバニャン「そうだニャン!!ベルトさんに謝るニャン!!」
フライング「フン、いくら叱責しようが無駄な真似だ。さあ、ドライブエッジよ!こやつらを殺すのだ!!」
ドライブエッジ「グオオオオオオォォ!!」
ドライブエッジは凄まじい雄叫びを上げながら、エストたちに激しい攻撃を繰り出した。
エスト「うわっ!!」
鎧武「くっ…。戦うしかないのか!?」
ディケイド「そのようだな。いくぞ!!」
エストたちは、ドライブエッジと戦うことになった。彼ら三人は強力な技を繰り出したが、全く歯が立たず、その上に蜂の巣に合ってしまう。やはり、ドライブエッジは今までの怪物とは違うだろう。
エスト「まだまだ……」
しかし、エストたちも諦めていなかった。何より、ドライブを救いたいからだ。すると、エストはあることを閃いた。それは…
エスト「そうだ!ベルトさん、ちょっといいかな?」
ベルト「ん?なんだ…うおっ!?」
エストはベルトさんを持ちあげ、それをドライブエッジに見せた。
エスト「ドライブさん!ベルトさんだよ!ほら、ベルトさんのことを思い出して!!」
何度もベルトさんのことを呼び続けるエスト。そう何度も言われてるうちに、ドライブエッジの動きに変化が。
ドライブエッジ「グ…オオ……ベルトサン……」
ジバニャン「今、ドライブがベルトさんのことを言ったニャン!」
これは奇跡と言えるだろう。ドライブエッジは少しだけだが記憶を取り戻したのだ。
ベルト「よし、今だ!!三人で力を合わせ、ドライブを取り戻すんだ!!」
エスト「あいさー!!」
ディケイド「やるしかねぇか!!」
鎧武「ああ!!」
三人はそれぞれの方法でステッキを出した。エストはライヴフォンで、ディケイドはディケイドライバーで、鎧武はヴィーナスロックシードを変化し、そのステッキを手に持つ。
エスト「スターライトステッキ!!」
ディケイド「ディスティニータクト!!」
鎧武「スカイキングダムタクト!!」
「「フルイグニッション!!」」
三人は息を合わせ、大きな魔法陣を描いていく。そしてその魔法陣が描き終わると、三人はステッキを構えた。
エスト「煌めく白い星の光!!」
ディケイド「大いなる黒い運命の光!!」
鎧武「あらぶる青い法王の光!!」
「「三つの想い、今ひとつに!!フォーチュンスター・シャイニング!!!」」
三人がそう叫ぶと、魔法陣から大きな光線が放たれた。その光はドライブエッジの全身を包み込む。
ドライブエッジ「ミンナ…アリガ…トウ……」
ドライブエッジはそう呟いて消滅した。
鎧武「フライング、逃げたか…!!」
フライングは、エストたちが戦ってる間、すでに去っていった。
ウィスパー「それより!ドライブさんは!?」
だが、問題はドライブだ。しかしどこを見てもドライブの姿はない。ただあるのは、ふわふわと浮かんでいる光だ。
鎧武「あれは、ドライブの…魂!?」
エスト「じゃあ、ドライブさんは……」
ベルト「そんな……」
ドライブの肉体は、なぜか消えていた……。