USAピョン「これで四つの殺神刀が手に入ったダニ!」
エストたちは怪獣の国から離れた後、雪道を抜け出し、晴れやかな道を歩いていた。
しかし、その途中で異変を感じる。
ゴースト「ん…?なにこれ…」
ふとよく見ると、怪しい植物が生い茂っており、イバラが特に多かった。そのイバラは木に巻き付いていたり、2mくらいの大きさのものがあった。
エックス「ここは早く出た方がいいな…私たちに危機が襲ってくるかもしれない」
早くここを抜け出さないと危険であるとエックスは悟った。その時、らぁらに異変が起きた。
らぁら「うっ…!」
口を抑え込み、吐きそうになったらぁらは思わず苦しそうに頭を抱えた。
ゴースト「大丈夫?らぁらちゃん…」
「やつが来るようだね」
と、現れたのは濃霧ノ森で出会った白い仮面ライダー。
トキニャン「シン…」
バルバトス「シン?」
「あぁ、まだ自己紹介してなかったね。あたしは仮面ライダー斬月・真!
出来ればマコちゃんって呼んで欲しいな!」
エスト「マコさんよろしくお願いします!」
ウィスパー「てか、なんでマコって呼んで欲しいんでうぃす?」
斬月・真「めんどいから♪」
バルバトス「確かに斬月・真って面倒くさそうだね」
不気味な森でも元気そうに話す斬月・真。そこでトキニャンはなぜ来たのかを問う。
トキニャン「なぜキミはここに?」
斬月・真「何って、分かるっしょ?君たちに大切な話を言いに来ただけ♪」
ゴースト「大切な話?」
斬月・真「うん♪らぁらちゃんについてだよ♪」
USAピョン「あ、確かに風邪気味っぽいダニ」
斬月・真「いや、風邪じゃないさ」
斬月・真は陽気そうな態度から一変、急に真面目になった。
ウィスバー「風邪じゃないってどういうことでうぃす?」
斬月・真「彼女のDNAだよ。DNAに異変が起こったんだ…。そう、やつが来るから……」
らぁら「や、やつって…」
斬月・真「元VFD学園の生徒会長だった仮面ライダー…、しかしあの子は悪の心と寂しい心を持っていた。
そして、彼はらぁらを利用しようとしている」
エスト「利用って、まさか…!」
斬月・真「彼の狙いはただひとつ。自分の子孫を作り、完璧な世界を作ること」
ウィスパー「なんと!」
斬月・真「君たちに命令します。彼を止めてください」
斬月・真の言葉にエストたちはうなずく。
トキニャン「さすが…ボクの子孫だ…」
斬月・真と別れたエストたちだが、まだ不気味なイバラの道は続いていた。
ウィスパー「はぁ…いつまで続くんでしょうね、この道」
エックス「確かに、これはまるで、紫毒姫リオレイアの毒で出来たようだ」
らぁら「しどくひめ?」
紫毒姫リオレイアは、雌火竜リオレイアの変異体で、強烈な毒を持つ。その毒は花びらのように散り、不毛の大地にすると言われている危険な存在である。
USAピョン「とにかく、紫毒姫リオレイアは強い毒を持つ危険な魔物ダニ!もしいたら気をつけるダニ!」
USAピョンの言った通り、エストたちは警戒しながら道を進んだ。しかし、気づいていない間に魔の手は迫っていた…。
らぁら「はぁはぁ…きつい」
なぜからぁらの体力が徐々に奪われ、意識がもうろうとしていた。
エックス「らぁら…?」
エスト「大丈夫?」
らぁら「うん、大丈夫だよ…」
しかし、状況を捉えてもらぁらは大丈夫そうではない。その時、背後から草木の間を通る音がした。
ゴースト「…!?誰かいるの?」
ウィスパー「あーっ!」
現れたのは、かつて雪山で出会った仮面ライダーネクロムだった。
ネクロム「見つけたぞ…。プリズムボイスを持つ歌姫……」
らぁら「…だれ?」
ネクロム「私は将来、君の夫になる者だ…。さあ、私のもとへ…」
と、らぁらを誘うようにネクロムは優しげな声で言った。しかし、どす黒いオーラを放つような気配を感じると思い、エストは無理矢理ネクロムを離す。
エスト「なにやってんだよもう!!」
ネクロム「…貴様っ、何をした!!」
ネクロムは急に強い口調で口に出した。彼はただの仮面ライダーではないと、みんなは眉をひそめる。
エックス「どういうことだ、らぁらのことを知っているのか…」
ウィスパー「それは分かりません…!ですが、こいつただ者ではありません!!」
激しく警戒するみんなに対し、ネクロムは突然牙を向いた!
ネクロム「エスト、エックス、ゴースト、バルバトス、妖怪ども…貴様らは邪魔だ。消えろ…」
と、ネクロムは不気味な色の嵐を起こした。
エスト「うわぁっ!!」
ウィスバー「な、なんですかこれ!!」
みんなは思わず尻餅がついてしまった。嵐が止んだ後、すでに二人の姿はいなくなっていた。
エスト「らぁらちゃん!」
エックス「くそっ、なぜこんな時に…!」
ゴースト「ト、トリン理事長が怒っちゃう!」
バルバトス「確かにね。でも、ネクロムもらぁらを必要としていたのかも」
エスト「どういうこと!?」
ここはどこだろう…。
らぁらが目を覚ますと、自分は薄暗い部屋のベッドで横になっていた。そして、自分はなぜか鎧とドレスが合体したような衣装を着ていた。
ネクロム「フッ、目を覚ましたか。私の妃よ」
らぁら「あなたは…ネクロム?」
ネクロム「ああそうだ。君と同じ、プリズムボイスを持つものだ」
らぁら「プリズムボイス…?」
彼女にとってプリズムボイスは聞いたことがない言葉だ。
ネクロム「教えてやろう。なぜ私が君を選んだ理由を…」
それは1年前にあたる。
彼は眼魔の世界の王子であり、死んだ者を召喚する力を持っていた。しかし、その眼魔の世界は黒い神魔王により、滅んでしまう。
唯一残ったのは、自分とその自分自身が持つプリズムボイスだった。
彼は生まれつきブリズムボイスを持ち主で、兄も姉もそれを持っていなかったという。
そこで、彼は神魔王に復讐するため、子孫を作る相手を探すことにした。
裏世界セブンスワールドに行ってVFD学園の生徒会長になろうとも。
らぁら「そんな…」
だがその危険な力が先生たちに警戒され、VFD学園から追い出されてしまった。
しかし彼は、プリズムボイスを持つ少女の気配を感じ、そして今、らぁらというプリズムボイスを持った者と出会った。
ネクロム「私は嬉しいぞ。同じプリズムボイスを持つもの同士としてな…」
らぁら「ねぇ、そのプリズムボイスって…」
ネクロム「思ったことを具体化する声を放つことが出来る素晴らしいものだ。だから…
真中らぁら、お前は私のものとなれ。そして、その紫毒姫のDNAを完全に覚醒してやろう!!」
らぁら「紫毒姫…うそ、私のDNAに、そんなものが……」
もはや絶望的な事になってしまったらぁら。
そして、ここからネクロムの狂気が暴走する……