ネクロムより、拉致された真中らぁら。彼女はプリズムボイスを持ち、特殊モンスターのDNAを持っていることを知る。
そしてエストたちに新たな壁が立ちはだかる!
ネクロム「私は君のような美しいDNAを持つ者に出会えて光栄だ」
優しい手つきでらぁらの輪郭を撫でるネクロム。
らぁら「DNA…。それより、何この格好?」
らぁらは自分の格好に気づき、ネクロムに尋ねる。
ネクロム「それは、君と同じDNAの紫毒姫リオレイアの鎧だ。とても美しいだろう」
らぁら「ネクロム…」
ネクロム「さあ、真中らぁら。私と契り交わすのだ…」
らぁら「い、いやだ!」
ネクロムは優しげに誘うが、らぁらはきっぱり否定した。
らぁら「だって私、あなたのことなんて知らないもん!確かにプリズムボイスを持ってることは理解したけど…でも、私は私でいたいの!!」
らぁらな何よりエックスや仲間たちを大切にし、自分も大切にしている。そんな格好にとってネクロムのものになるのは当然拒否することだ。
ネクロム「…もう遅い」
らぁら「え?」
ネクロム「お前はすでに、私のものだ…」
と、次の瞬間…ネクロムはらぁらの柔らかい唇にそっと口づけをしたのだ。
ネクロム「これで、君は私のものだ…。クク…さあ、私と愛の契約を交わすが良い……」
一方、エストたちは…
エスト「もう…いつまで続くの!!」
まだイバラの森に迷っていた。
ゴースト「らぁらちゃんもいなくなったし…不安だよ…」
エックス「あぁ、らぁらを一刻でも早く探さないと…」
らぁらがいなくなってから、彼是探し続けたものの、まったく見つからない。
バルバトス「…あれ、何?」
バルバトスは何かに指を差した。それは、大きな古そうに見える建物だった。
ウィスパー「お城…ですかね?」
USAピョン「そのようダニ」
エスト「よし、行ってみよう!」
エストたちはその建物に向かおうとした。その時だった!
エックス「…!?待て!!」
エックスが人影に気づき、立ち止まった。エストたちも立ち止まると、薄紫色の長い髪に鎧とドレスのような衣装を身に包んだ少女が立っていた。
エスト「らぁら…ちゃん?」
その人物がらぁらだと気づいた。だが、どこか不気味な気配がする。
エストはらぁらの異変に気づかず、近づこうとした。
エックス「よせ、近づくな。らぁらの様子を見ろ」
バルバトス「…この気配、らぁらの他に誰かが混じっているみたいじゃん」
確かに、らぁらの他に誰かがいるような雰囲気がする。しかしエストはそれは無いと思いらぁらの手に触れようとした。
エスト「らぁらちゃん、どうしたの?その格好…。ほら、早くこの森を出ようよ…」
だがその時、らぁらは強くエストを振り払う!
エスト「うわっ!」
らぁら「気安く触るな。憎き戦士たちよ…」
ゴースト「らぁら…?」
エックス「いや、お前はらぁらじゃない。お前は何者だ!」
エックスはいつものらぁらじゃないことに気づいた。
らぁら「私か…?私はらぁらだが、らぁらではない。彼女と契り交わした、仮面ライダーネクロムとでも言おう」
ゴースト「ネクロム…!?」
USAピョン「ダニ?ゴースト、知ってるのかダニ?」
ゴースト「エックスは知らないけど、彼は元々VFD学園にいた…!」
エックス「何!?なぜそれを知っている!?」
ゴースト「実は、資料室で少し見たんだ。名前と顔は知ってるけど、経歴は知らないけど…」
USAピョン「てか資料室に長くいたら校則チケット貼られるダニ!」
ゴーストによると、勝手に資料を見てしまったことでスペクターに校則チケットを貼られたのは事実らしい…。
だが今はそういう問題ではない。今はらぁらの体からネクロムを引き離さなければならないのだ。
らぁら「何ふざけたことを言っている。それよりお前、エックスと言ったな?今のVFD学園の生徒会長よ…」
エックス「な、なぜそれを…!?」
らぁら「ふふふ…教えてやろう。何故なら私はお前たちと同じVFD学園の生徒だった。そして、元生徒会長だったのだよ!」
ゴースト「せ、生徒会長!?」
らぁら「あぁ、そうだ。だが、校長により追い出され、私は名も無き存在となった。
そしてなぜ私が彼女を選んだのか……それは、私と彼女はプリズムボイスという思ったことを具体化する能力を持っていたからだ!」
ウィスパー「えぇーっ!?」
エスト「ねぇ、プリズムボイスって知ってるの!?」
トキニャン「あぁ…思ったことと願いが具体化され、そのままあったことになる。もちろん、無かったことだって出来る、とても危険な能力なんだ」
ウィスパー「それじゃあ、死ねって言われたら私たち死ぬことになるんですかぁぁぁ!?」
トキニャン「その可能性も有りだ」
らぁら「この復讐…果たしてもらおう。何も出来ぬままここでこの場で死ね!!」
らぁらに憑依したネクロムは、ベルのような武器を出した。
エックス「狩猟笛、レギーナリコーダーか!!」
らぁら「よく知っているなエックス。どうやら紫毒姫のDNAを持った者は狩猟笛で願いを誓う音色を奏でると願いが叶うものだ」
ゴースト「…!まさか、その笛を!?」
らぁら「フフ…見てるがいい。誓いという曲を演奏する私の姿を!!」
すると、らぁらはレギーナーリコーダーに口を添え、不気味な音色を奏で始めた。その音色を聞いたものは途端に苦しみ出す。
エスト「う、うわああぁぁ…!!」
ゴースト「なん…だ、この音色…」
バルバトス「苦しい……」
不気味な音色はイバラの森を通り残して世界中に届く。音色を聞いたものは苦しみ、夢を諦め、悲しむ…。
だが彼女の演奏は止むを得なかった。
ウィスパー「も、もうダメです…」
USAピョン「ぜ、絶望しそう…ダニ…ッ」
エックス「やめろ…らぁら……」
エックスは苦しみながら、らぁらに近づこうとする。しかし、音色が耳に伝わり、なかなか前へ進めない。
エックス「らぁらから出ろっ……ネクロム……!!うおおおぉぉぉ!!」
(無駄だ。真中らぁらは私の手にある。止めることは敵わないのだ…!!)
テレパシーで話すネクロムの声に対しても、エックスは進むのを止めない。
エックス「らぁらは、貴様のものではない…!!らぁらは私たちにとって、最高の仲間だ!!」
(それでも生徒会長か?生徒会長は生徒や教師を守るのが役目だろう)
エックス「そんなの関係ない!!エストと出会い、らぁらと出会い、私は強くなれた!!だから、らぁらを返せぇぇぇぇ!!!」
(エックス……?)
エックスは渾身の力でらぁらの顔に触れ、演奏を止めた。
らぁら「何故だ、何故私の演奏を!!」
エックス「その答えを教えてやろう。らぁらは私たちの大切な仲間だからだ!!」
らぁら「仲間だと!?ふざけた真似を、らぁらが仲間であると関係…な、うぅ……うわあぁぁぁ!?」
その時、らぁらの体が悲鳴をあげた。
らぁら「く、苦しい…!!なぜ、なぜわた…しの…づまをおぉぉぉぉ!!?」
(あたし、やっぱりあなたの妻なんかにはならない!!)
らぁらはエックスの声が届き、意識を取り戻した。
(あたしには、エックスやエストがいるから…!だから、あたしもあなたなんかには負けない!!)
らぁら「ふざ…ける…なぁぁっ!!おばえはぁ、わだじのぉ…づまにな……ぐっ、なんだ!?からだにちからがぬげるぅぅぅ!?ぐああぁぁぁぁ!!?」
らぁらが断末魔をあげると、体から白い仮面ライダー、ネクロムが飛び出した。らぁらは見事、ネクロムに打ち勝つことが出来たのだ!
ゴースト「あれがネクロム…!!」
ネクロム「ば、馬鹿な…!!なぜ私がまたこんなことに!!」
エスト「らぁらはお前の力なんかには負けない!!だって、らぁらの想いは仲間と一緒に強くなりたいことだから!!」
ネクロム「おのれ、貴様らあぁぁぁぁぁ!!!」
すると、ネクロムはグリム眼魂を出し、それをメガウルオウダーにいれた。
『テンガン!グリム・メガウルオウド!ファイティングペン!!』
ネクロム「死ねえぇっ!!」
ネクロムはパーカーに生えてる触手を伸ばし、エストたちを苦しめた。
らぁら「みんな!」
ネクロム「さあ、来るのだ…孤独の私を救う歌姫よ」
エックス「私たちは、負けない!!」
エスト「そうだ、僕たちはあんたなんかに負けるものか!!」
エストたちはそれぞれ強化フォームに変わり、反撃を行う態勢を取る。
ゴーストはガンガンセイバーをソードモードに、エックスはエックスラッガーを手に握りしめ、バルバトスは太刀を手に取り、エストはコズミックブレードにスペシャルグリモアチップをセットした。
エスト「エーススターフォーチュン!!いっけえぇぇぇ!!」
エックス「エックスラッシュ!!」
ゴースト「命ある限り、人の可能性は無限大だ!!」
バルバトス「あんた、邪魔だよ…!!」
四人の力が合わさった力が、ネクロムの野望を打ち砕いた…。
ネクロム「そんな…わた…しは……ぐああぁぁぁぁぁ………」
ネクロム「…なぜ、この私が…また一人に……」
ボロボロになったネクロムは孤独ばかりの日々に耐え切れず、一粒の涙が零れた。
その時、らぁらがそっと近づいてきた。
らぁら「ずっと、一人だったんだね。VFD学園を追い出されて、いじめられて…」
ネクロム「私は…眼魔世界の王子だった。しかし、神魔王により、私の故郷と居場所は失った……」
エスト「そんな…」
ネクロム「だが、私はプリズムボイスというものがあったおかげで命に影響は無かった。それでも私は、大切な兄上や姉上、父上を失い……もう……」
らぁら「一人じゃないよ、ネクロム」
と、らぁらは首を横に振って言った。
ネクロム「らぁら…?」
らぁら「お父さんやお兄さんたちのこと、愛していたんだね。あたしだって、その気持ちは分かるよ」
ネクロム「なぜそれを…?お前に憑依して不幸にさせた私を許してくれるのか…?」
らぁら「うん。だってみんな友達だもん!かしこまっ!」
ネクロム「かし…こま…」
『かしこま』と『みんな友達』という言葉がネクロムの胸に響いた。
その時、覆っていたイバラがすべて無くなり、辺り一面に可憐な花や大きな木が現れた。
ウィスパー「おぉ!これが本来の姿でしょうか!!」
トキニャン「そうだね」
エスト「良かったね、らぁらちゃん!」
らぁら「うん!」
らぁらも無事戻り、ネクロムとも仲良くなった………しかし、それは音を立てて崩れることになる。
「ククク…良かったなぁ、友達が増えて…」
エスト「誰…!?」
すると、黒い仮面ライダーがまがまがしいオーラを放ちながら現れ、ネクロムの胸を腕一本で貫通した。
ネクロム「カ、カリス…!!」
カリス「あぁそうだぜ。眼魔世界を破壊してネクロムの野郎を絶望させたあのカリス様だ!!」
エスト「お前、ジバニャンはどこへ!?」
エストはそう尋ねるが、カリスは知らないと呆れながら言った。
らぁら「ひどい…ひどいよ!どうしてそんなことを!?」
ネクロム「らぁ…ら……」
らぁら「…ネクロム?」
ネクロム「お前なら、その歌声で世界を救うことが出来る……かし、こま……だな?
フッ…お前と出会えて、うれし…かった……」
…これがネクロムの掠れた声で言った最後の言葉だった。
カリスの腕が離れた後、ネクロムはすでに息絶えてた。
らぁら「そんな…ネクロム……」
無惨な姿となったネクロムの顔には歌姫の涙が零れていた…。
登場人物紹介&用語辞典
仮面ライダーネクロム
性別は男。5月17日の牡牛座でAB型。かつて眼魔世界の王子だった冷酷かつプライドの高い男。
プリズムボイスを持っていたものと結婚すると幸せになると信じ、らぁらに憑依したが、らぁらの想いに負け、その後カリスに殺される
好きなものはたこ焼きとらぁら。嫌いなものはVFD学園に関わるもの、カリス
プリズムボイス
思ったことを具体化する恐ろしい能力