これまでの話。
エストたちはメリケンヒルズで買い物を終えると、駒虎という美少年と出会った。彼は超能力者であり、何でも知ってるとのこと。
その翌日、第3の神魔王である仮面ライダードレイクが現れ、メリケンヒルズが危機に晒されてしまう。
しかし、ゴーストは仲間を守りたい気持ちが強くなり、ムゲン魂へと姿を変え、第3の神魔王を倒した。
そしてポセイドンアテナという殺神刀も手にいれたのだ!
ふたつの殺神刀を手にいれたエストたちは今、雪山にいる。冬ではないが、一年中雪が降っているという。
らぁら「さ、さむ〜い」
らぁらはノースリーブのため、肌に冷たい空気が触れるのも当然だ。ゴーストやエストも寒く感じるが、なぜかエックスだけは様子が変だった。
エックス「な、何かイヤな気配を感じる…」
エックスは寒さと、魔物の恐ろしい気配ふたつとも感じているのだ。その魔物は彼にとってとても苦手なものらしい。
バルバトス「俺は寒さなんて感じないけどさ、あんたら人間みたいだから寒いのは当たり前だよね」
寒さを感じないバルバトスはいつもの飄々とした口調でつぶやく。
ゴースト「でも、この雪山にいるのはガムートとかティガレックスぐらいしかいないんだっけ?」
USAピョン「いや、もうひとつあるダニ…。それは、沼地にも生息している、白くて目がない魔物ダニ」
らぁら「それって…」
ウィスパー「ん?」
その時、ウィスパーが魔物の気配を感じた。
何かが近くにいる…、というような感じである。
ウィスパー「なんか、魔物がいるような気がしません?」
バルバトス「…そう?」
エックス「な、何を言っているんだ?早く雪山を出よう」
ゴースト「いや…そんなこと言われても…」
エックス「いるわけがないだろ、あははは……」
エスト「いるよ…?」
らぁら「う、うん…」
エックス「なに、魔物がいるわけ…」
エックスが後ろを振り向くと、仲間5人が魔物に指をさしているようなポーズをとっていた。そして、その後ろには……
エックス「……」
ゴースト「ん?どうしたの?」
らぁら「なんかブヨブヨしてるし可愛いんだけど…」
エックス「ふ、ふる…フル、フル……」
フルフルという白い魔物を見てエックスの顔は一気に青ざめた。
USAピョン「フルフル?あぁ、ミーたちの前にいる白い魔物のことダニね」
確かに、フルフルは目が無く、白いブヨブヨした皮膚の魔物だ。
らぁら「エックス、大丈夫?」
エックス「く、来るなーーーーー!!!!」
エックスは悲鳴をあげ、すごい速さで逃げた。
エスト「ちょ!?待ってくださいよエックスさん!!」
ゴースト「もう、相変わらずフルフル苦手なんだから…」
ウィスパー「えーと、フルフルは首を伸縮可能です!しかも電撃ブレスは遠くにいても当たるし威力も高いです!!」
らぁら「えぇ!?じゃああたし達電撃ブレスにやられたら…」
バルバトス「恐らく食われるね」
エスト「いやだ…いやだああぁぁぁぁぁ!!!」
エストたちもフルフルの恐ろしさを知ると、エックスと同じくらいの速さで逃げた。
ウィスパー「あと声もうるさいです!!」
ゴースト「それ咆哮でしょ!知ってるよそのくらい!!」
エストたちはフルフルの攻撃を避けながら逃げる。電撃ブレスだったり、首で攻撃してきたり…。
エックス「ぎゃああああああああ!!!もういやだああああああああああ!!!」
別のエリアに移動したエストたちは、なんとかフルフルから逃れることに成功した。
らぁら「なんだったんだよ〜、あのフルフルっていうの〜」
ゴースト「しかも、あいつ飛ぶし…」
エスト「なんとか逃げれたけど…」
フルフルの襲撃も驚いたが、それより最も驚いたのはエックスがフルフルが苦手だったことだ。
ウィスパー「エックスさんって…フルフル嫌いでしたっけ?」
エックス「あぁ、もう見たくない」
と言ってエックスは両手で顔を隠す。
USAピョン「お!もうすぐ町が見えてくるダニ!」
エスト「と、とりあえずあそこで避難しようか」
らぁら「うん」
エストたちは町までゆっくりと歩いていった。フルフルや他の魔物には警戒もしながらも。
____怪獣王国
エックス「ここは怪獣王国。様々なウルトラ怪獣が暮らしているんだ」
辺りをよく見ると、確かにウルトラ怪獣たちが楽しそうにしている。
USAピョン「あ、でも…。ウルトラ怪獣ってウルトラマンの敵じゃないかダニ?」
エックス「いや、私はゴモラという怪獣に育てられたんだ。だから、ここの怪獣たちとは仲がいい」
ゴースト「なんかヤバい怪獣もいるけど…。でも、メリケンヒルズくらいに賑やかだから大丈夫だよ!」
怪獣がいる王国の通り、M78青雲出身のウルトラ戦士が戦っていない怪獣もいた。それに、怪獣だけでなく個性豊かな宇宙人もいる。
ウィスパー「宇宙人も結構いるそうでうぃす。例えば、ナックル星人とかイカルス星人とか…そういう面白い宇宙人もいますよ!」
らぁら「へぇ、会ってみたいなぁ〜」
「おや?エックスさんじゃなイカ〜!」
すると、大きな耳と宇宙人と金色の顔に赤い瞳の宇宙人と体が毛に覆われている宇宙人に出会った。
エックス「イカルス、ナックル!えーと、あとは…」
「オイ!ミーのこと忘れないでくれよ!ほら、覚えてるだろ?」
ゴースト「あぁ、君確かババルウ星人だっけ?」
「イェス、そうそう変身できる宇宙人…ってちがーう!ミーはバルキー星人だってばよ!!」
バルバトス「それ、どっかの忍者のマンガで見たことある口癖だけど」
らぁら「宇宙人でも仲がいい人はいるんだね!」
怪獣と宇宙人は違っても、仲良しであるならそれでいいと彼らは思った。種族が違っても人間関係が良ければそれでいいからだ。
バルキー「てか久しぶりだな〜!エックス!」
エックス「あぁ、こうやって会えて嬉しいよ」
イカルス「俺様もイカ〜」
エックスは3人の宇宙人と握手をかわした。
エスト「仲がいいんだね」
エックス「もちろん、堅い絆で結ばれているからさ」
ウィスパー「あの、3人とも〜。いいですか〜?」
すると、ウィスパーがエックスと3人の宇宙人の間に割り込んできた。
ウィスパー「雪山のことですけどさ…」
ナックル「あら、雪山に?」
バルキー「んで、それでどうしたんだよ?」
ウィスパー「フルフルに出会いまして…エックスさんがすごい悲鳴をあげたんですよ!」
と、エックスがフルフルが嫌いであることを話してしまった。
エスト「ちょっと!ウィスパー!」
イカルス「ほうほう、それは大変だったイカね」
ウィスパー「…うぃす?」
だが、なぜか3人は驚かない。
バルキー「ミーたちは知っているんだよ。エックスがフルフルが嫌いだってことをさ」
ナックル「それはね、とても悲惨だったことなのよ…」
ウィスパー「どういうエピソードだったのでしょうか?」
ゴースト「ああ、それ俺が話すよ。年は違うけど幼馴染みだったからね」
確かにゴーストなら知っているだろう。
らぁら「なんでエックスはフルフルが苦手なの?」
ゴースト「それはね、幼稚園の頃……」
時は約13年くらい前、幼稚園児全員で動物園に行ったところだ。
その頃エックスとゴーストもいた。
動物園には地球にはいない動物がいっぱいで、その中にフルフルもいた。
悲劇はフルフルと対面する時に起こった。
ゴースト「見て、フルフルだ!」
エックス「本当だ、白くて目がないけど可愛い!」
間近で見るとなんか可愛いかったフルフル。
エックスの好奇心が高まり、さらにフルフルに近づいた、その時!
ガブッ
と、フルフルがエックスの頭をパクッと口にいれ、そこで電撃を放ったのだ。
なんとか命に別状は無かったが、これ以来エックスはフルフルが嫌いになったという……
ゴースト「…というわけだったんだ」
バルキー「ミーたちは雪山で遭遇した時、初めて知ったけどな!」
エックス「…すまない」
らぁら「いやいや、いいんだよ!フルフル嫌いは私たちがカバーするから!」
「お〜い!」
すると、モンスターに乗った宇宙人、ケムール人が現れた。
らぁら「あれは何?」
らぁらはあれはなんだと尋ねる。
エックス「あぁ、あれか。モンスターライダーと言うモンスターと協力して行動する人のことだ」
ケムール「いやぁ、皆さんお揃いで。あれ?なんすか、その女の子と見たことない二人は?」
エックス「私の仲間だ」
らぁら「はじめまして、私はらぁらです!かしこまっ!」
バルバトス「俺はバルバトス」
エスト「えーと、エストです!そ、それにしてもそのモンスターかっこいいですね!」
ケムール人は、ナルガクルガというモンスターに乗っている。他にもラギアクルスをパートナーとしているラゴンや、ティガレックスと共に戦っているブラックキングなどがいるそうだ。
ウィスパー「それにしても、この町は変わってますねぇ」
バルキー「だろ?怪獣と宇宙人の絆で出来た町!って言えばいいさ」
「いいね…その絆をバラバラにしたいよ」
ウィスパー「あぁ、バラバラですか〜……ってちょっと!何言ってんですか!!」
ウィスパーが振り向くと、そこには緑の鬼のような戦士がいた。
イカルス「おぉ!斬鬼さんじゃなイカ!」
トキニャン「とぼけている場合か!やつは第4の神魔王だ!!」
トキニャンがいきなり顔を出し、斬鬼の正体を口にする。
らぁら「ここにも神魔王!?」
斬鬼「フフ、らぁらちゃんじゃないか…」
なぜか斬鬼はらぁらの名前を口にした。
エックス「どうしてらぁらのことを!?」
斬鬼「知ってるさ。カリスから聞いたからね…!」
ゴースト「カリス…!ライダーで一番危険とされていたはず!!」
エスト「あんた、何者!?」
ウィスパー「いや、だから第4の神魔王です」
斬鬼「スマート。そうさ、ボクは力と木の承知である第4の神魔王…斬鬼さ」
バルバトス「絆をボドボドにすると言ったらやはりね。それより、なんでトキニャンがいんの」
トキニャン「奴の気配がしたからね。当然、顔は出すさ」
神魔王の気配がすると思い、顔出したというトキニャン。斬鬼は顔を撫でながら彼らに指をさす。
斬鬼「キミたち…特にウルトラマンの君、ボクには勝てないさ。苦手を克服しない限りね。
明日、スパークドール遺跡で決着をつけよう。そこで君たちに終わりの花を咲かせよう…」
と、斬鬼は去っていった。
夜は怪獣アパートに泊めてもらい、そこでナックル星人がハンバーグなどのご馳走を作った。
エスト「ありがとう!ナックルさん!」
エックス「今日は私の好きなハンバーグか!」
ゴースト「うーん、俺お好み焼き食べたかったけど…」
らぁら「でも、ハンバーグも美味しいよ!」
ナックル「さあ、ゆっくり味わってちょうだい」
エスト「はーい!いただきまーす!」
エストたちはそれぞれハンバーグを口にいれた。すると、肉の味がぶわっと口の中に広がり、塩加減も結構効いていた。ただ、熱かったが。
らぁら「おいしい〜!」
バルバトス「あ、あひゅい…」(あ、あつい…)
USAピョン「バルバトスって猫舌ダニか?」
エックス「そのようだ」
ウィスパー「いやぁ、こんな美味しいハンバーグを作るとは、さすが有名な宇宙人ですね!」
ナックル「あら、そう言われても…照れるわ」
イカルス「俺様はお菓子が作れるイカ〜!」
バルキー「ミーだって料理作れるぜ!」
ナックル「あ、あなたちょっと…下手でしょ」
バルキー「なんだと!」
エスト「あはは…」
こうして、夕食を終えたエストたちは明日に備えて作戦を立てたり、特訓を重ねた。
エックス「はぁ…」
静かな夜。誰もが眠りについた頃になぜかエックスだけは眠れなかった。
エックス「私は、本当に生徒会長をやって正解だったのか…」
「眠れないの?」
すると、エストがエックスの部屋に入ってきた。
エックス「あぁ、なぜか眠れない」
エスト「そうですか。でも生徒会長だからみんなのこと心配なんでしょ?」
エックス「…あぁ。それに、私は生徒会長をやって本当に正しいだろうか…」
エックスは自分が生徒会長であっていいのか不安だった。
エスト「それは僕にも分からないけど…、なんで生徒会長になったんですか?」
エックス「あぁ、それは2年前のことだ…」
それは2年前のこと。
エックスはまだ高等部に入ったばかりの頃だった。
エックス「わ、私が生徒会長!?」
トリン「あぁ…どうしても君がやらなければならない」
エックス「ですが、私は大切なものを失ったのですよ?それを守ることが出来ない私にその資格など…」
トリン「確かに君は大空大地という青年という相棒を失った。だが、VFD学園の生徒を守れるのは…エックス、君だけだ」
エックス「意味が分かりません!」
トリン「前の生徒会長に悪の心があった、それだけだ。君はその心を持っていないだけでなく、絆を大切にする力もある」
エックス「トリン理事長…分かりました」
と、エックスは生徒会長になったのだ。
エスト「そういうことだったんですか…」
エックス「確かに私には悪の心も無いし、絆を大切にする…。だが、前の生徒会長にもその心があった気がするんだ」
エスト「へぇ…」
エックス「私の話に付き合ってくれてありがとう。君は自分の部屋に戻って寝たほうがいい」
エスト「はい!だって、明日は神魔王と戦うんですから!」
一方、らぁらの部屋では…
「らぁら…私を癒してくれるのは、君しかいない…」
白いライダーが月に照らされながら、らぁらのふもとで呟いていた…。