異次元獣となったディケイドを救ったのもつかの間、今度は第1の神魔王の驚異が迫る……
VFD学園のフリースペースにエストたちはいた。
表世界のことについて、エストとディケイドは話しているところである。
ディケイド「俺の息子…想磨は憎しみで魔法少年を操って世界を真っ白に変えようとした。だが、今は闇の魔力も無くなり、元気に暮らしているってとこだな」
ウィスパー「鎧武様は法王様であり、エスト君たちと共に戦ってきたのでうぃす!」
らぁら「へぇ〜!そうなんだ!」
エックス「表世界にもそんなところがあったんだな」
ゴースト「いつか、俺も行ってみたいな…」
ウィスパー「ですが、表世界と裏世界は繋がっていません…。このまま我々表世界組は帰れないのでしょうか…」
エスト「そんなことないよ!第1の神魔王は優しい人だし、きっと殺神刀に
へ〜んしんっ!してくれるって!!」
トキニャン「いや、それは出来ない」
その時、背後からトキニャンが現れた。
ウィスパー「おや、ざんげ…」
ジバニャン「ウィスパー!それいっちゃダメニャン!!」
USAピョン「トキニャン、どういうことダニ?」
トキニャン「彼が殺神刀になるには、殺神刀で痕をつけなければならない。つまり、他の殺神刀がなければ不可能だ」
エスト「でも、他の神魔王は殺神刀になっても声出なかったよ?」
トキニャン「肉体を失った者は永遠の眠りにつく。第1の神魔王と第0の神魔王を除いてはな」
ディケイド「つまり、第2から第6は肉体を失ったから一生起きないってことか」
トキニャン「そういうことだ。しかし、第1の神魔王と第0の神魔王だけは、封印された魂の眠りを覚ますことが出来る」
ウィスパー「なんか胡散臭いですね〜」
バルバトス「うん」
トキニャン「さて、話は一区切りにし…本題に入る」
トキニャンの目がキリっとなった。
らぁら「本題?」
トキニャン「第1の神魔王…斬月・真を、助けて欲しい」
エスト「た、助ける!?」
エックス「しかし、殺神刀でしか倒せない相手だぞ?なぜそいつを…」
トキニャン「彼の持っているソウルジェムが完全に汚れてしまったからだ。それに、あのソウルジェムは彼のではなく、かつての仲間のものだった…」
USAピョン「ちょっと待つダニ!そのソウルジェムって魔法少女の魂そのものだったはず…なのに、それがどうしてあるダニ!?」
確か、魔法少女は危険とされた種族であり、緑を枯らし、水は干からび、命を壊したとされている。
エックス「私たちの学校の教科書にも載っていた、魔法少女はグロンギやアンデッドより恐ろしい存在だったな…」
コマさん「でも、魔法少女は神様やヒーローたちがやっつけたズラよ?」
トキニャン「確かに、今はいない。だが未来では魔法少女が復活されたと言われている」
ジバニャン「えぇ!?未来では魔法少女が復活してるのかニャン!?」
トキニャン「あぁ。謎の生物や種族によってな」
エスト「でも、その斬月・真って…どこにいるの?」
トキニャン「白バラが咲いている道…そこに彼は結界を張ってキミたちを待っている。何かを知りたいために…」
エスト「よし!いこう!!」
エストたちはVFD学園を出て白バラが咲いている道を探した。
VFD学園から離れて数分後、森に白バラが咲いている道を見つけた。恐らく彼処に斬月・真がいるに違いない。
トキニャン「白バラが…あそこに斬月・真がいる!」
エスト「本当だ、確かに咲いている…」
らぁら「きれいだな〜」
ウィスパー「でもきれいなバラにはトゲがありますよ」
トキニャン「あぁ…。すぐに向かおう」
エストたちは白バラで続いている道を進んだ。別れ道があっても白バラがはっきり教えてくれるように咲いており、斬月・真の元へ辿りつきやすいようになっている。
___白バラの丘
ジバニャン「あ、あそこに誰かいるニャン!!」
トキニャン「真…」
白バラの丘の真ん中に、斬月・真は立っていた。
ウィスパー「あの…斬月・真様……」
斬月・真「来てくれてありがとう…。私は光栄だと思うよ」
と、斬月・真は振り向いた。
トキニャン「久しいな、お前と会うなんて」
斬月・真「旦那…」
辺りには白バラの花びらが舞い散り、地面を白く染めた。
そして斬月・真は優しげな声で言葉を放つ。
斬月・真「神魔王を倒し、殺神刀を手にした君たちに告げる。私は知りたい…本当の幸せとは何か、本当の愛とは何か、
その場で、私に全てを示して欲しい…」
エスト「い、いきなり言われても……」
斬月・真「私には、かつて大切な仲間がいました。宝石や高級品よりも大事で、デリケートなものだったのです…。
彼女は魔法少女だった。しかし、彼女には清き正義の心があった。それが傷を付けても、闇に負けようとも生きようとする…私は逞しく生きる彼女が美しかった。
このソウルジェムは彼女そのもの。しかし、汚れてしまったのです」
と、斬月・真は黒く染まったソウルジェムを出した。
斬月・真「彼女が汚れたなら…その汚れは私が洗い流す…!!」
その時、ソウルジェムは彼の口に運ばれた。そして、そのソウルジェムは汚れが無くなり、斬月・真は姿を変えようとした。
斬月・真「キナコちゃんの罪は、私が背負う…!さあ、見せてよ。君たちの力を!!」
斬月・真の体から白い光が放たれ、美しい竜の姿へと変えていく…。
ウィスパー「うぅ…なんですか、この光は…!!」
トキニャン「本気なんだな…」
白く美しい竜になった斬月・真は、白銀の翼を羽ばたかせる。
ミスティックセレニティ「私は第1の神魔王にして月を統べる者、ミスティックセレニティ!!
愛とは何か、希望とは何か、幸せとは何か…私は知りたい!!」
エスト「真さん…、分かった。僕たちが教えてあげる!!」
ミスティックセレニティ「それでいい…!ならば私も全力で戦う!!」
エストたちは武器を手に取り、それぞれ強化形態に変わった。
ジバニャン「オレっちたちも戦うニャン!」
USAピョン「ミーもダニ!」
妖怪たちも戦いに加わり、最強の神魔王との戦いが始まった。
エスト「星魔法で!!」
『レジェンドレア・マギ!ジュエルコメット!!」
宝石のような星がメテオのように流れ、放たれる。
エックス「エクシードエックスでも魔法は強い!フレア!!」
エクシードエックスの姿のエックスはフレアを放ち、ゴーストはムゲン魂でアルテマを、らぁらは肉体を限界まで上げる最高の歌を歌った。
ウィスパー「私だって!えーと、あ!ダーク!!」
闇の魔法を放ったウィスパーだったが、ミスティックセレニティはあっさりと吸収してしまった。
それどころか、他の魔法もあまり効いていない。
エスト「そんな…」
ミスティックセレニティ「何も感じない…何も伝わってこない…」
トキニャン「奴は魔法に強い。効果を発揮できるには、愛のパワーだけしかない」
コマさん「愛のパワー?」
トキニャン「仲間を殺された憎しみ、尊い命が無くなる憎しみを背負っている。だとすれば憎しみを打ち消す愛の力を放てればいいだろう」
らぁら「そっか!愛は憎しみを消すと言われてるもんね!!」
USAピョン「でも、日属性の魔法が唯一効くと言われてるけど…それはあるダニ?」
エスト「確か月と太陽って反対同士だったはず!でも…」
トキニャン「だったら、太陽の力を使うといい」
と、トキニャンはレジェンドゴッドレアのアルカナチップ、サンストーンを渡した。
エスト「よーし、これがあれば!!」
エストはさっそくアルカナチップ・サンストーンをライヴフォンにスキャンした。
『レジェンドゴッドレア!!輝け命、輝け太陽!!サンストーンパワー!!』
ウィスパー「おぉっ!新たな音声も斬新ですね〜!!」
ジバニャン「そんな場合じゃないニャン!!」
エストは輝く太陽のようなルビーレッドの鎧にドラゴンのような翼を生やしたサンストーンフォルムに変わった。
手にはアマテラスノカタナが握られている。
エスト「貴方の悲しみは、全て僕が照らしてあげます!!」
と、アマテラスノカタナを振ると、紅の光がミスティックセレニティの体を包んだ。
ミスティックセレニティ「これは…愛と希望の結晶が集まった、光…!?」
エスト「そうだよ…大切な仲間の愛や希望も詰まっている…。貴方は一人で生きてる訳じゃない、キナコちゃんは貴方の心の中で生きてるんだよ!」
ミスティックセレニティ「キナコちゃんが…私の心で…?」
すると、ミスティックセレニティの口から金色の光が飛び出し、第6の殺神刀デスブレイカーに纏った。
ウィスパー「おぉ!キナコちゃんも彼を救いたいと思ってるのですね!よーし、エストくん!彼の悲しみを消しちゃってください!!」
エスト「うん…!!」
エストはデスブレイカーとアマテラスノカタナの二刀流で、ミスティックセレニティの悲しみと憎しみの二つを断ち切ろうとした。
エスト「とどけ、この希望と愛の力をっ!!!」
第1の神魔王は崩れようとしたその狭間に、斬月・真は生きていた。
斬月・真「キナコちゃん…君ないなくなっても私のことを…」
「忘れてなんかいないやんね」
すると、目の前にカチューシャをした長髪の少女、キナコが現れた。
キナコ「うちね、ずっとあなたのことを見てたやんね。ずっと辛い思いをしたのね…。
でも、もう大丈夫やんね!うちはずっと、あなたの側にいるやんね!」
と、キナコは斬月・真にゆっくり近づき、そっと優しく抱いた。
キナコ「これからはずーっと、うちと一緒やんね…」
斬月・真「キナコちゃん…ありがとう、ずっと一緒にいてくれて……」
その時斬月・真の目から大粒の涙が零れた。
そして、愛と希望の光に満ちた竜は、ハッピーエンドという形で消滅した。
斬月・真「ありがとう、君たち…おかげで私は本当の愛と幸せを理解することが出来た…。そして、メロンの旦那。これは私をいつも見守ってくれたご褒美だよ…」
その時、トキニャンは一瞬でアーマードライダー・斬月の姿に変わった。
斬月「真…ありがとう。この気持ちは忘れない」
ウィスパー「おぉ!これが斬月様の姿!!いや〜、生で見るともっと格好いいですね〜!!」
斬月・真「私は殺神刀として、君たちの力になろう。さあ、受けとりなさい…」
すると、斬月・真は月のように美しい刀の姿に変わった。
エスト「よかったね、真さん。キナコちゃん、きっと喜んでいるよ」
斬月「今のお前は、ムーンフォルテシモだが…それでも私の息子だ。共に、邪悪なる存在を倒そう」
斬月・真は、夢の中でいつもキナコと一緒に幸せそうにいる…。彼の瞳は優しい月の光のようだった…。
斬月・真「キナコちゃん、夢の中でもずっと一緒だよ!」