斬月・真からディケイドが異次元獣にされてしまったことを知ったエスト。しかし、彼は救うことを決意した!
そして、ついに…ディケイドの異次元獣との決戦が近くなる頃になり…。
ひとつのニュースで騒動が始まった。それは、裏世界に仮面ライダーやガンダムに出た悪い怪物たちが暴れていること。しかも凶暴な妖怪までこの世界に現れた。
エックス「なんてことだ…!」
このニュースを見た生徒たちは思わず言葉を詰まらせた。恐怖に怯えるものや、怒っているものもいた。
ゴースト「許せない…!裏世界に何があったというんだ!!」
バルバトス「穏やかじゃないね」
らぁら「どうしよう…これじゃあ、裏世界が滅んじゃうよ!!」
ウィスパー「それに、我々妖怪たちとエスト君も帰れなくなるでうぃす」
裏世界が滅ぶとエストたちも帰れなくなると、ウィスパーは言った。
ジバニャン「でも、オレっちたちはもう帰れなくなったニャン。鎧武様がもし危ない目に合っていたら、オレっち想像できないニャン…!!」
コマさん「コマじろう、大丈夫ズラか心配ズラ…」
しかし、表世界に帰る方法など無く、帰ることは不可能だ。このまま裏世界と滅ぶのも嫌だが…
ウィスパー「これから先どうするか…ん?」
ジバニャン「トキニャン?」
何故か、学校に全く現れないはずのトキニャンが現れた。
トキニャン「…ウィスパー、ジバニャン、コマさん、そしてUSAピョン…来てくれないか?」
ウィスパー「あ、はい…」
呼ばれた妖怪4匹はトキニャンについていった。
らぁら「ん?みんな、どうしたの…?」
ゴースト「さぁ?」
トキニャン「ここなら、大丈夫だ」
ウィスパー「あの、トキニャン…どうしたんですか?」
ジバニャン「なんでオレっちたち妖怪だけ呼んだんだニャン?」
トキニャン「君たち妖怪族を呼んだのは、奇遇じゃない。ボクが君たちを呼んだ理由、それは第1の神魔王のことだ…」
USAピョン「ユーはよく知ってるのかダニ?」
トキニャン「フッ…当然さ。何故なら、ボクはね…」
トキニャンが鏡の前に振り向くと、なぜか鏡に白いアーマードライダーが映った。その時、ウィスパーたちは凄いリアクションで驚く!
ウィスパー「えぇーーー!!?」
ジバニャン「ニャ、ニャンと!!」
コマさん「もんげーーーーー!!?」
USAピョン「あ、貴方様は…!!」
斬月「そうだ。私は斬月・真の前世でもある、斬月だからだ」
そう、トキニャンの正体はかつて戦国時代で最強とも言えた伝説のアーマードライダー、斬月だったのだ!
ウィスパー「ざ、斬月様〜!!」
コマさん「はは〜っ!!」
USAピョン「な、なんでそんなことするダニ…?」
ジバニャン「斬月様は、戦国時代でとても強かった伝説の武将だニャン!!」
ウィスパー「しかも!初代のアーマードライダーなのです!!ほらほら、USAピョンさんもありがたく思ってください!!」
USAピョン「ミーはいいダニ…」
しかし、なぜ斬月はトキニャンとして彼らと一緒に旅してきたのだろう…。
斬月「さて、話に入ろう。なぜ私がトキニャンになって旅して来たのか、それは…第1の神魔王である斬月・真を見守るためでもあり、君たちが持っている殺神刀の力で表世界と裏世界を繋げるためだ」
ウィスパー「つ、繋げる…なんとーーー!!?」
ジバニャン「ウィスパー驚きすぎニャン!!」
ウィスパー「だって…斬月様は素晴らしいお方だからです!!」
コマさん「オラもそう思うズラ!」
USAピョン「でも…斬月・真は神魔王ダニよ。第1の殺神刀がなければ不可能ダニ」
ジバニャン「ちょっと待つニャン!殺神刀が全部揃うなんて聞いてないニャンよ!?」
ウィスパー「あ、確かに…」
神魔王を全て倒すのは分かったが、その後、殺神刀を全て揃ったらどうするかは分からない。
USAピョン「殺神刀が全て揃うと、何か起こるんダニ?」
斬月「それは…第1の殺神刀を手に入れてから話そう」
コマさん「それって、斬月・真を倒すことズラか…」
妖怪たちの表情が一気に暗くなった。
ウィスパー「斬月様の息子様ですよね。そしたら斬月様も悲しいお気持ちになるでしょうか…」
ジバニャン「でも、神魔王がいなくならないと裏世界は平和にならなくなるニャン」
USAピョン「うーん…」
翌日、エストたちは異次元獣になったディケイドを元に戻すべく、外に集まっていた。もちろん準備はしっかり整えたら、あとはトキニャンの力で異次元獣を誘き寄せるだけだ。
しかし、トキニャンが斬月であることは妖怪たち以外は知っていない。
エスト「みんな、準備はできた?」
らぁら「もちろんのかしこま!」
ゴースト「あぁ」
バルバトス「いつでも戦えるよ」
エックス「もちろんだ」
ディケイドが異次元獣になったことは、エストから聞いて分かった。さすがに驚いたが、エストが救いたいという想いに彼らも救うことを拒否せざるを得なかった。
トキニャン「さあみんな、今からボクが異次元獣を誘き寄せ、異次元空間に入る。油断は出来ないが、いいな?」
エスト「もちろん!ディケイドさんは僕の友達だから!!」
エックス「大切な友達を救いたいと思うなら、私たちも協力しよう」
ゴースト「彼には大切な人がいる…それなら俺だって!」
トキニャン「みんな、いい顔だ。よし…さあ、来い!異次元獣!!」
トキニャンが叫んだその瞬間、辺りは黒い霧に包まれ、暗い夜の都市にいるような景色に変わった。
エスト「な、何これ!?」
トキニャン「異次元獣のみが発生する空間だ。この空間は異次元獣の力が増すと言われている」
ウィスパー「異次元は恐ろしいですね」
トキニャン「…!異次元かっ!!」
その時、青いボディにたくさんの赤い目玉が不気味に光る魔物が現れた。あれが恐らく異次元獣と化したディケイドに違いない。
エスト「ディケイドさん…」
異次元獣「コワシテヤル…コワシテヤルゥゥゥ!!!」
異次元獣の低く不気味な声は大きい。
ジバニャン「これって、本当にディケイドかニャン!?」
トキニャン「あぁ、恐らくそうだ」
エスト「そんな…」
どうやら、ディケイドは怒りを静めなければまともに説得は出来ないようだ。
ウィスパー「どうやら戦うしかないですね!」
エスト「う、うん…」
戦う構えを取ったヒーローたちだが、エストだけ様子が変だった。彼にとってディケイドは大切な仲間なのか、傷つけるのを恐れているのだろうか…。
ゴースト「いくぞ!異次元獣!!」
エスト「…」
エックス「エスト…?」
らぁら「ほら、しっかりして!」
エスト「う、うん…」
バルバトス「…」
曖昧な空気のまま、異次元獣と戦うことに。
エックスはエクシードエックスに変身し、ゴーストはムゲン魂に変身。らぁらもスーパーサイリウムチェンジした。
しかし、エストはフォームチェンジしようとはしない。
エスト(出来ない…やっぱり出来ないよ…!)
エックス「エスト!何をしているんだ、異次元獣の怒りを静めるんだ!!」
エスト「でも…」
ウィスパー「くよくよしないでください!ディケイドさんがどうなってもいいんですか!?」
エスト「よくないよ。でも…」
バルバトス「だったら戦ってよ」
エスト「分かってるよ…でも、僕は……ディケイドさんを傷つけたくない!!」
やはりエストは、大切な仲間を傷つける訳にはいかないと躊躇った。
ウィスパー「ちょっと!何躊躇ってんですか!!」
ジバニャン「このままじゃディケイドが怒ってばかりで、静められないニャン!!」
異次元獣となったディケイドを助けたいのは確かだが、傷つけたくない…エストの心はそう思っていた。
その時、戦っていたエックスが突然エストに近づいてきた。
エックス「エスト…歯を食いしばれ」
エスト「…?」
そして、エストの顔に平手打ちをした!
エスト「いたっ…!」
コマさん「な、何をするズラ!?」
エックス「それで仲間が救えると思うのか!ただ躊躇っただけではディケイドは救えない!!」
エスト「エックスさん…」
トキニャン「その通りだ。ディケイドは記憶を消されていることは知っているだろう?しかし、君の力なら記憶を取り戻すことが出来るはずだ」
エスト「トキニャン…」
ウィスパー「傷つけたくないのは確かですが、ここは一肌脱いでおきましょう!!」
エスト「…そうだ。確かにディケイドさんを傷つけたくない…でも、ここで何もしなかったら救えないんだね…!!
わかった、僕はディケイドさんの記憶を取り戻す!!そして、救ってみせる!!」
エストはレジェンドゴッドレアのダイヤモンドパールチップを取りだし、ライヴフォンにスキャンした。
『レジェンドゴッド・エスト!ダイヤモンドパール!!』
エストは再び、光輝く鎧を纏った。
エスト「ディケイドさん、僕が貴方の記憶を取り戻してみせる!!」
ジュエルスターツヴァイを握り締め、エストは刃の先から銀色の刃を放った。その刃にはエストの想いが込められており、異次元獣となったディケイドの記憶を徐々に取り戻していった。
異次元獣ディケイド「ウ、ウアァァァ……ソウ…マ……」
自分の息子の名前を口に出すディケイド。
エスト「思い出して、ディケイドさん!!一緒に戦ったことを、出会ったをことを!!」
異次元獣ディケイド「エ、エスト……?ドウシテ、オレハ……ウウゥゥ……」
ウィスパー「カリスもいないですし、これは順調ですね!!」
ジバニャン「ディケイド、思い出すニャン!!」
エスト「僕の想いよ、届けぇぇぇぇぇぇっ!!!」
その時、目映い光がぶわぁっと空間全体に放った………
空間は消え、元の景色に戻った。そして、エスト、エックス、ゴースト、バルバトス、らぁら、トキニャン、妖怪4匹に…一人のライダーが気を失っていた。
そう、ディケイドが元に戻ったのだ。
エスト「ディケイド…さん?」
エストがディケイドが元に戻ったことを確認すると、エストから思わず涙が溢れた。
ディケイド「エスト…ここは?」
エスト「僕のこと、分かるんだね!?」
ディケイド「…当たり前だろ。仲間じゃないか」
エスト「ディケイドさん…よかった!!」
と、エストは嬉しさのあまり、ディケイドに抱きついた。
ディケイド「ちょっ、お前!苦しいぞ!」
トキニャン「よかったね。あとは、第1の神魔王を…」
エックス「改めて、はじめましてディケイド。そして…」
エスト「おかえり!ディケイドさん!!」
ディケイト「…ただいま」
こうして、異次元獣の驚異は去り、ディケイドも無事元に戻った。
しかし、本当の驚異はまだ去っていなかった。
斬月・真「どうすれば第0の神魔王の驚異を止めることが出来るんだ…。キナコちゃん」
金色のソウルジェムを見つめる斬月・真。が、次の瞬間…
輝いていたソウルジェムが一気に輝きを失い、黒く染まり始めたのだ。
斬月・真「嘘でしょ……!?」
登場人物紹介
仮面ライダー斬月
性別は男。6月23日の蟹座でO型。かつて戦国時代では最強の武将だったと言われ、そのカリスマ性は非常に高い。また、性格も冷静で真面目であり、嘘を一発で見抜くという。
トキニャンとして斬月・真を見守り、殺神刀を集めるためにエストたちを導いた。
好きなものはもなかと仲間。嫌いなものは悪の心を持つもの