第6の神魔王、ウロボロスゾディアックを倒したエストたちだったが、駒虎に衝撃的なことを告げられた。
駒虎「俺には、仮面ライダーと神魔王の血が流れている」
エスト「う、うそ…!?」
その言葉に思わず凍りつくエスト。
駒虎「つまりだ。お前らが倒す神魔王の仲間でもあるんだよ」
そう告げた彼の瞳には闇に染まっている。エストは体を震えながら駒虎の元を離れていく。
エスト「あんたが…神魔王の、味方!?」
駒虎「エスト、俺が神魔王の血を継いでること…これだけは誰も言うな」
エスト「うん…」
翌日、神魔王との戦いで疲れを取ったエストたちは再び校長室へ。
クウガ「よく頑張ったね。第6の神魔王を倒してくれてありがとう。でも、本当はあの魂が原因だったのか…」
らぁら「はい。ザナークって言いました」
クウガ「本当の魂が本当の肉体に食べられるのは珍しいケースだよ」
USAピョン「しかし、奇跡的に魂は成長して別の魂を追い出したんダニ」
トリン「ふむ、それも珍しいケースだ」
だが、残る神魔王は第1の神魔王と第0の神魔王だ。その謎も解いておかなければならない。
クウガ「しかし、第1の神魔王は人や生物を愛するものの…ストレスが溜まると八つ当たりしてしまうかもしれない。
それに、第0の神魔王は……」
ほんのわずかだが、クウガは曇ったような表情でうつ向いた。
ゴースト「どうしたんですか?」
クウガ「あのね、第0の神魔王は…裏世界そのものを破壊するかもしれない」
エスト「えぇ!?」
エックス「う、裏世界を…ですか!?」
第0の神魔王が裏世界を破壊すると聞いて、エストたちは目を丸くした。
クウガ「奴の目的は余分なものを完全に消すこと。それが裏世界だとしたら……」
ジバニャン「もう裏世界に未来も希望もないってことニャン?」
コマさん「オラ、ここで死んじゃうズラ?そんなの嫌ズラ〜!!」
エスト「コマさん、泣きたいのは僕もだよ。ディケイドさんも、捕らわれているし……」
クウガ「…ディケイド?どうして、君が?」
エスト「えっと、それは…」
エストは表世界でディケイドに会ったこと、そして魔法少年たちとの戦ったことを話した。
クウガ「なるほど…ディケイドは運命のパワーを手にいれ、君たちと協力して魔法少年たちの野望を止めた…と」
トリン「それに、黒幕がディケイドの息子だったとは……」
ウィスパー「すべては鎧武様を救うためだったのですけどね」
ジバニャン「その鎧武様をさらったのも、フライングという悪い魔法少年ニャン!」
クウガ「鎧武も成長したんだね。久しぶりに会いたいな」
エスト「……そうですか」
ジバニャン「ん?エスト…」
エストは悲しげな表情だったがすぐに笑顔に戻った。
エスト「ううん、なんでもない!」
ウィスパー「エストくん、なんかおかしいですよ?」
ゴースト(きっと、大切な仲間のことを思ってるんだな…)
クウガとの話も終わり、エストたちは校長室を出た。
らぁら「なんか最後の戦いが近くなってきたね」
バルバトス「そうだね」
USAピョン「このままだとエストや他の妖怪たちも帰れなくなるし、ミーたちも危ないダニ…」
裏世界は彼らにとって大切な場所だ。滅んでしまえば、絶望しか道はないだろう。
エストもそう思っているが、何よりも仲間が消えてしまうのが一番嫌だった。
ウィスパー「…エストくん?」
エスト「ディケイドさんが、消えるなんて…嫌だ」
バルバトス「ディケイドって、破壊者だよね?なんでそいつのこと思ってるの?」
らぁら「ちょっと、言い過ぎだよ…」
エックス「エスト。今は神魔王のことを…」
すると、エストはエックスの手を強く振り払った。
エスト「あんたらは黙ってろよ!!」
ジバニャン「エスト…」
ウィスパー「あ、エストくん?ここはお菓子でも食べて…」
エスト「もういいよ、あんたらなんかもう知らないっ!!!」
と、エストは怒ってエックスたちから離れ、走って逃げていった。
らぁら「エストくん…」
ジバニャン「バルバトス!お前言い過ぎニャン!!」
バルバトス「だって、ディケイドはさ…」
エックス「バルバトス、それ以上言うな。ここは私が…」
ゴースト「いや、ここは俺が行くよ」
ウィスパー「私もついていきます!」
ジバニャン「オレっちもニャン!」
コマさん「オラも」
エックス「…でも」
ゴースト「大丈夫、俺にはちゃんと分かってるから」
ゴーストと妖怪3匹はエストの後を追った。
___屋上
青空がきれいな日だったが、エストの心は雨模様だった。
エスト「ディケイドさんに会えないなんて…」
彼にとってディケイドなかけがえのない存在だ。これまで力を合わせ、世界を救えたのもディケイドがいたからこそである。
エスト「もう、嫌だよ…。ディケイドさんがいない世界なんて、めちゃくちゃにされたっていいんだから……」
「それは…どうかな?」
すると、隣で景色を見ていた白い仮面ライダーが近づいてきた。あれは、かつてゴーストを救い、イバラの森で偶然出会った仮面ライダー斬月・真だった。
エスト「真さん…」
斬月・真「ディケイドを救いたい…そう考えてるよね。私も同じ。ディケイドは、愛する息子や仲間のために、耐え続けている」
エスト「じゃあ、ディケイドさんは生きているってことですか!?」
斬月・真「そういうこと。でも、一筋縄では通用しなくてよ」
エスト「どういうこと…?」
斬月・真「彼はね……」
「記憶を消されている」
エスト「!?」
すると、複数の少年たちが現れた。それを見てエストは、ハッと思い出す。
エスト「イナズマレジスタンス!?どうしてここに!?」
「斬月・真…ようやく見つけたぞ。キナコ・ナノバナを殺した悪魔!!」
エスト「あ、悪魔!?」
斬月・真「…悪魔は困るね。私はただ、キナコちゃんの願いのためにここに来ただけさ」
エスト「あ、あの!キナコの願いのためってどういうことですか!?」
その時、斬月・真は静かな声で信じられないことを口に出した。
斬月・真「そう。私はキナコちゃんの願いを叶えるために来たの…未来からね!」
エスト「み、未来!?」
斬月・真「さ、別の話に移ろうかな♪この世界は第0の神魔王に滅ぼされ、やがて表世界も滅ぶことになります」
エスト「表世界まで!?」
斬月・真「ですが、第0の神魔王を殺すには第1の神魔王からドロップする殺神刀をゲットしなければなりません。
それにねー、君たちこの白いバラ…意味は知ってる?」
と、斬月・真は手のひらから純白なバラの花を出した。
「…お前、何者だ!?」
斬月・真「…知らないよね。このバラはクイーンセレニティと呼ばれる珍しいバラの一種です。その花言葉は誕生と正義を意味します。
私は外見が綺麗だけじゃなくて、気高く強く生きるお花が大好きなんだよねぇ」
エスト「へ…?」
「だからなんだ…お前は一体何者だと聞いてるんだぞ!?」
斬月・真「ふーん、何者か…ねぇ。ところで君たち、お月様って好き?」
「月…?」
すると、斬月・真が動くたびに白いバラの花が咲いた。
斬月・真「私は好きだよー。暗い夜で一生懸命に輝いているし、癒されるんだよねー。
でも、その優しさの中には正義ってもんがある。君たちのような別世界から来た奴なら当然分かるでしょ?」
なんと、イナズマレジスタンスたちは、別世界から来たのだった!
斬月・真「ま、私は月と誕生を司る第1の神魔王だから当然なんだけどさ。特別に君たちの心を覗いてあげる。
君たちは必ず、私を倒そうと思っている!
でしょ?」
「…あぁ。お前を倒し、裏世界を平和にしてみせる!」
斬月・真「しかし、私は同時に世界の秩序を守るもの。必ずしも神魔王は最低一人存在しなければなりません。君たちは神魔王をただ倒すと思っているものの、神魔王を事実を知らなければハッピーエンドは…無い」
斬月・真は前へ体を向けると、優しげに左手を掲げた。そして……
斬月・真「…裁きを受けなさい」
と、白く巨大なイバラが一瞬にしてエストを除く全員を圧倒した。
エスト「…!!」
その時エストは斬月・真の恐ろしさを味わった。
斬月・真「大丈夫。こいつらは私を殺そうとしていただけ。最低神魔王が一人でも生きるのは本当だからね。
それに、ディケイドが記憶を奪われたのも本当のこと。異次元獣にされたんだから」
エスト「え…!?」
斬月・真「まぁまぁ安心してよ、私は反対だからさ!」
エスト「ディケイドさんが…異次元獣に!?」
ディケイドがさらわれた後の真実を知り、エストは体の震えが止まらなくなった。
エスト「嘘だ…嘘だ……嘘だあぁぁぁぁぁ!!!」
エストの悲しい声が、こだまに響いた……。
その頃……
駒虎「この世界は神魔王によって滅んでしまう…。俺は一体どうすれば……」
駒虎は悲しげに胸に手をそえた。
エスト「どうして、どうして……」
エストは異次元になったディケイドを救うか倒すか、葛藤していた。
「あ、いた!」
その時、ゴーストたちがやっとのことでエストを見つけた。
ゴースト「エスト、探したんだよ?どうしたの?」
エスト「ゴースト…僕、どうすればいいのかな…」
ウィスパー「エストくん?」
エスト「ディケイドが、異次元獣になって、この世界を、破壊してしまったら!!」
コマさん「もんげ〜!?ディケイドさんが!?」
ジバニャン「ニャニャ!?」
エストが知った真実を聞いて妖怪たちは驚いた。
ゴースト「エスト…そのディケイドさんって、仲間なの?」
エスト「うん…」
すると、ゴーストはエストの体をそっと抱いた。
ゴースト(分かる…この気持ち。ディケイドさんは彼にとって、大切な仲間なんだ…!)
ジバニャン「何やってんだニャン?」
ウィスパー「えぇと、む!彼は相手の体に触れることで気持ちが分かるそうです!」
ディケイドを救いたい…でも、異次元獣になった彼をどう受け入れるか…。葛藤してるエストの心がゴーストの心にも響いた。
ゴースト「エスト。ディケイドさんを救おう」
エスト「え?」
ゴースト「君には、強い星の力がある。その星の力で救えばいいよ!」
エスト「ゴースト…。うん!僕、ディケイドさんは大切な仲間だもん!だったら救うしかないっしょ!!」
ウィスパー「よかったでうぃす。再び元気に彼に戻って!」
ジバニャン「一見落着ニャン!」
ゴースト「さあ、みんなのところへ戻ろう」
エスト「うん!」
エストは異次元獣になったディケイドを救うことを決意し、再び仲間たちのところへ戻った。
一方、校長室では…
トリン「クウガ校長、まだあのことを…?」
クウガ「あぁ。彼らは第0の神魔王の真実を知らないままでいる。あいつは…あいつは……」