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Fate/Silver or Heart 第七訓:月は人を狂わせる
作者:亀鳥虎龍   2018/01/11(木) 21:57公開   ID:L6TukelU0BA
 銀時達が似蔵との死闘から逃れた中、

「おい。 オマエ、この船の船員アルか?」

「ちょいと、中を案内させて貰おうかのう。 頭をぶち抜かれたくなかったらな」

船首に立つ男に、神楽とアーチャーが銃口を向けた。

「おい、聞いてんのか?」

まさにその時だ。

男は一度だけ振り返り、狂気に満ちた笑みを見せた。

コレを見たジュディスは、本能で感じ取る。

この男は危険だと――。





―月は人を狂わせる―





 背後に銃口を向けられながら、男は不敵な笑みを浮かべる。

「今日はデケェ月が出てるもんだから、かぐや姫が降りて来る夜かと思ったら、とんだじゃじゃ馬姫が二人も来たもんだ。 だが、かぐや姫も驚く別嬪さんもいたようだな」

煙管を吹かす男であるが、神楽達三人は本能で感じ取った。

「(ヤバイ…)」

「(こやつ…)」

「(危険なニオイがするわ)」

しかしその時、背後から銃声が聞こえたのだ。

「「「!?」」」

三人は一度散ると、弾丸を何度も回避する。

「チッ!」

狙撃の主は舌打ちをすると、その場で走り出したのだ。

「!」

コレを見たジュディスも、即座に相手の方へと走り出す。

互いに真っ向から近付き、相手は銃口、ジュディスは槍の穂先を互いの顔に向けた。

「貴様等ぁ、何者だ! 晋助様を襲撃するなんて、絶対に許さないッス!」

狙撃手の正体は、金髪のサイドテールにヘソ出しミニスカの和服を着た女のようだ、

「武器を下ろせ! この来島また子の早撃ちに勝てるとでも思ってるんスか!?」

女――来島また子が叫ぶが、ジュディスはニヤリと笑う。

「確かに、この距離なら、貴方に勝てるとは思ってないわ」

「だったら武器を――」

「でも、後ろは確認する事ね」

「え?」

「「ほわちゃぁぁぁぁ!」」

背後から神楽とアーチャーの飛び蹴りが放たれ、また子は吹き飛ばされてしまう。

「逃げるわよ、二人とも!」

「アイツ等ぁ! 武市先輩ィ、そっちに行ったっス!」

この叫びと共に、スポットライトの光が三人を照らし出す。

和装で丁髷頭の男がライトの横に立ち、部下達に叫んだのだった。

「皆さん、女子供を殺めては、侍の名が廃ります。 生かして捕えるのです」

「先輩! ロリコンも大概にするっス! ここまで侵入されておきながら、何を生ぬるい事を!」

叫ぶまた子に対し、男――武市変平太は当然のように答える。

「ロリコンじゃありません、フェミニストです。 例え敵といえど、女子供に優しくするのがフェミの道というもの」





 浪人達が一斉に襲いかかるが、神楽達は簡単にやられない。

「ホワチャァ!」

「そらァ!」

神楽が傘と体術を活かし、アーチャーが愛刀の『圧切長谷部』で薙ぎ払う。

「ハッ!」

更にジュディスが、槍と蹴り技で蹴散らすのだった。

「な、何だコイツ等は!?」

「強過ぎるぞ!?」

三人の強さを前に、浪人達も圧倒されてしまう。

「ヅラァ! どこアルか!? そこにいるんでしょぉぉぉ!? 返事するアル!」

神楽が大声で叫ぶが、まさにその時である。

パァン!と、左肩を撃たれたのだ。

撃ったのは、背後に立っているまた子だった。

更に彼女に左足を撃ち抜かれ、神楽はその場で倒れてしまう。

「神楽ぁ!」

マスターの危機を前に、アーチャーは即座に駆けだす。

「今だぁぁぁぁ! 捕えろぉぉぉぉ!」

捕縛の為、浪人達も駆け寄ったが、

「ふんごぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

神楽は根性で立ち上がったのだ。

依頼人エリザベスの為、万事屋の使命を果たす為に、ここで止まるワケにはいかなかったのだ。

負傷した体に鞭を打って…。

「な、なんてガキだ!?」

驚愕する浪人達に、アーチャーが容赦なく刃を振るう。

「そこをどけぇ!」

そんな中、また子が冷酷に呟く。

「やれ、アサシン」

まさにその時だった。

何者かが、アーチャーの背後を押さえ込んだ。

「がっ!」

うつ伏せにされたアーチャーは、自身を押さえ込んでいる相手を見る。

そこには黒い肌に、髑髏を模した仮面を被った集団がいた。

「貴様等…サーヴァントか!? しかも、全員がアサシン!?」

「我等は“黒”のアサシン、真名は『ハサン・ザッバーハ』。 我等は“個”にして“群”。 数で我等に勝てるとでも思ったか?」

“黒”のアサシンの人海戦術を前に、アーチャーは手も足も出ない。

「アーチャー!?」

叫ぶジュディスであったが、背後からの声が聞こえた。

「よう、お前さんは俺が相手してやるよ」

「!?」

振り返った彼女の前に、男が歩み寄って来る。

ニヤリと笑う彼の目を見て、ジュディスはゴクリと唾を飲む。

「(この男は危険だわ……勝てる気が――)」

額から汗が流れ出てしまうほど、彼女はこれまでにない恐怖を感じ取ったが、

「おいおい、考え事か?」

「しまっ――」

既に接近してきた事に気付かず、ジュディスは防御の余裕すらなかった。

男の放った一閃により、彼女はその場で倒れてしまう。

「安心しろ、峰打ちだ」





 アーチャーとジュディスが倒されたと知らず、神楽は船内へと入っていく。

そこで彼女は、ある物を見てしまった。

見た事もない複雑な機械カラクリによる、あまりにも異質過ぎる空間――。

「なんだ……ココ」

まさにその時である。

背後からガチャリと、神楽のこみかみに銃口が向けられた。

「そいつを見ちゃあ、もう生かして帰せないな」

また子の冷徹な台詞と共に、銃声が鳴り響いたのだ。









 その頃、真選組屯所の道場にて、

「フン! フン!」

上半身の肌を晒し、木刀で素振りをする近藤。

そんな彼の元に、沖田総悟が入って来る。

銀時達を万事屋に運び、諸々の後始末をセイバーに任せて(というよりは押しつけて)戻って来たのだ。

そんな彼等の元に、土方とバーサーカーもやって来る。

「噂は本当だったようだ」

「噂?」

素振りを途中でやめた近藤に、土方はある人物に関する情報を提出した。

「高杉が、遂に動きだした」

「何っ!?」

近藤が驚く中、沖田がゆっくり口を開く。

「攘夷浪士で最も過激で危険な男、高杉晋助……の事ですよね?」

「ああ。 奴は岡田似蔵を、仲間に引き入れたようだ」

「あの、“人斬り似蔵”か……」

「ついさっき、万事屋の旦那達とやり合ってるところを見てきやした。 あらぁ、間違いなく岡田似蔵でさぁ」

「似蔵のほかにも、“紅い弾丸”と呼ばれる拳銃使い『来島また子』、変人謀略家の『武市変平太』、そして似蔵と同じ“人斬り”と呼ばれる剣豪『河上万斉』……高杉は奴等を引き入れ、『鬼兵隊』を復活させる気だ」

“鬼兵隊”…攘夷戦争時代、高杉が総督を務めた義勇軍の名称。

文字通り、鬼の如き強さといわれている。

「今更そんなモノ作って、何をするつもりだ?」

「恐らく強力な武装集団を作り、クーデターを起こすのが奴の狙いだ。 近藤さん、アイツは危険すぎる」

「でも、岡田似蔵だけであれだけ強いと厄介ですぜ? なんせ、万事屋の旦那達ですら歯が立たなかったんですから」

沖田がそう言うと、近藤は「うむ…」と深く考える。

銀時の実力は、自身も嫌と言うほど知っている方だ。

そんな彼ですら追い詰められる程、岡田似蔵は相当の実力を得ていたようだ。

「クーデターなど起こされたら、多くの犠牲が出てしまう。 それだけは避けないとならん。 ……トシ、奴等の情報を出来るだけ集めろ」

「了解した」

会話は終わり、近藤は再び素振りを開始する。

バーサーカーと共に道場を出る直前、土方は近藤にこう言った。

「それから近藤さん、素振りは全裸じゃなくても良いんじゃねぇか?」

実は近藤は、全裸で素振りをしていたのだ。

土方が指摘をするのは当然である。

というか、せめてズボンくらいは穿け。





 同時刻、万事屋の方では……、

「ん…んあ……」

ジークがゆっくりと、瞼を開けたのである。

「ジークくん!」

それを見てジャンヌは、誰よりも一番安堵した。

「ジャンヌ……」

「動かないでくださいね。 傷が治っていないので」

「傷? そうだ…あの時刺されて――!!」

するとジークは、思わず起き上がろうとするが、

「ぐっ!?」

「ジークくん!」

激痛が走り、自力で立つ事が出来ない。

「ダメです、まだ起きては!」

「それより、銀さんは!?」

「銀時さんも無事です。 ただ、腹部を刺されて重傷を……」

「!? そ…そうか……」

「あの後、真選組の方々が、此処まで運んでくれて……」

「失礼します」

すると隣の部屋から、セイバーが入って来た。

普段の真選組の制服姿ではなく、和装に浅葱色の羽織り姿であった。

「セイバー……」

「御無事でなによりです、ジークくん」

「こちらこそ、貴方達には借りが出来た」

「お固い事はなしですよ」

「岡田似蔵は?」

「あの後、隊士達が追ったのですが、撒かれてしまったようです」

「逃げられた――とうことか」

「情けない話ですが…。 ですが、彼のバックにいる相手が分かりました」

「本当か!?」

「ですが、ここからは警察の仕事です」

不敵な笑みを浮かべ、セイバーは彼等の前で背中を見せる。

そして背中には、大きく刻まれた“誠”の文字が――。

「この背の“誠”がある限り、我が士道は不滅です」

それだけ言い残し、彼女は万事屋を後にしたのであった。

「真選組の強さは知ってるが、大丈夫だろうか…」

「大丈夫ですよ。 それよりジークくん……」

「あ、ああ。 どうした――」

ジャンヌはジークの手を掴むと、同時に大粒の涙を流す。

「良かった…生きてくれて……本当に…本当によかった……」

彼の無事に安心したと同時に、押し殺した気持ちが面に出たのだ。

誰よりも彼を心配し、誰よりも彼を愛し、誰よりも彼の死を恐れた。

英霊ではなくなったジャンヌは、聖女と呼ばれただけの一人の少女。

だからこそ、誰よりもジークの身を案じていた。

「すまない…。 それと、ありがとう」

心配してくれた恋人の涙を見て、彼も優しく笑みを見せたのである。





 翌日の早朝、万事屋にて……、

「ん…んあ?」

「あっ、気が付きましたか?」

外は雨が降る中、銀時は目を覚ました。

横には、お妙が正座しながら顔を覗く。

「あの、私の事が分かります?」

「……バイオ兵器みたいな料理作る女」

自身の余計な一言が原因で、銀時は彼女の鉄拳を喰らってしまう。

明らかに自業自得であるが、怪我人相手に容赦無いお妙も恐ろしい。

「オマエ、何でここにいるの?」

銀時が問うと、お妙は薙刀を構えながら答える。

「新ちゃんに頼まれたんです。 銀さんを看病してあげてって」

キラリと光る薙刀を見て、銀時は青ざめながら再び問う。

「何で看病する人が、薙刀持ってんの?」

「これも新ちゃんに頼まれたんです。 絶対安静に、出ていこうとしたら止めてくれって」

「止めるって何を? 息の根?」

「ふふっ、面白い。 冗談が言えるほど、元気になったみたいですね」

「冗談かなぁ〜」

絶対に冗談じゃない――そう思った銀時であったが、ユーリ達の事を思い出す。

特にジークは、最初に似蔵に刺されたのだ。

念の為、彼の安否を確認する。

「そういや、ジークはどうした?」

「隣の部屋で寝てますよ。 あっちはジャンヌちゃんが看病してあげてます」

「羨ましい……」

恋人ジャンヌに看病して貰ってるジークに対し、思わず本音が出てしまった銀時。

「そういや、新八と神楽は?」

「用事でちょっと出てます」

「用事って?」

「いいからいいから、怪我人は寝てて下さいな」

お妙の態度を見て、何かを隠していると察した銀時。

「おい、何か隠して――」

上体を起こした彼であったが、まさにその時だった。

ドスーン!と、お妙が薙刀を突き刺したのだ。

咄嗟に避けた銀時に、彼女は鋭い眼光で睨む。

「動くなっつってんだろう。 傷口が開いたら、どうするんだコノヤロー」

「………」

ドスのある台詞とガンを飛ばすお妙に、銀時は顔を青ざめるしかなかった。

その様子を別の部屋から覗いていたユーリと翔太郎は、

「おっかねぇ女……」

「ドーパントよりもヤバいぞ」

お妙の恐ろしさを改めて認識出来たのである。

「彼女なら銀さんを逃がさないだろうという、新八君の判断は恐ろしいね」

そしてフィリップは、彼女に看病を任せた新八を評価するのであった。




 その頃、村田邸の方では、

「何ですってぇぇぇぇ!?」

新八とランサーが村田兄妹に、事件の状況報告を伝えていた。

「では、紅桜はその辻斬りの手に!?」

「すいません。 なんとか取り戻そうとしたんですが…」

「それで、取り戻せたんですか!?」

「いや、出来なかったって言ってんでしょうが!」

「なんて事だぁぁぁ! 紅桜が人斬りの道具にぃぃぃ! ヤバイってレベルじゃあねぇぞぉ!」

「それで、生きてるのか? あの人…」

「銀時の事か? まあ、無事なのは無事なんだけどよ…怪我がヒデェ方だ……」

「………」

銀時の容体を聞いた鉄子は、ゆっくりと腰を上げる。

「兄者、気分が悪い。 外すぞ」

「ん!? どうした鉄子! 気分でも悪いのか!?」

「だから、気分が悪いって言ってんでしょうが!」

「アンタ、人の話聞いてた!?」

「すいませんね、なんか空気の読めないやつでして」

「「(オメェが空気読めてねぇよ…)」」

内心でツッコみながら、二人はすぐさま本題に入った。

今回の発端となった紅桜について…。

「ところで、聞きたい事があるんですけど…」

「あの紅桜って刀。 妖刀とは聞いたがよ……明らかに妖刀と呼ぶにゃ、生易し過ぎんじゃねぇか……」

その問いに対し、鉄矢は何時もの大声で答える。

「残念ながら、私も紅桜については何も知らないのだ。 決して人の手に渡すなと、蔵の奥に封じ込めていたのですから。 アレをごらんなさい」

鉄矢が外の方へと顔を向ける。

屋根から一滴の雨水が、一つの石板へと落ちていく。

何十回、何百回も。

それにより石板は、一点だけくぼみが出来ている。

「一滴ずつ落ちて来た雨水が、石板の一点に穴を開けた。 これを刀鍛冶の仕事に例えるとどうだろう? 鎚に乗せた思いが一つずつ鉄に打ち込まれ、それが一本の刀へと生まれるというもの!」

「つまり…親父さんの思いが、刀を妖刀に変えたと?」

「フハハハハハハ! 少々ロマンチック過ぎたかな?」

暫くした後、新八とランサーはお暇したのであった。





 街中を歩いている中、新八はある事を思い出す。

「そういえば…、神楽ちゃんとアーチャーさん、ジュディスさんが帰ってきてないような……」

「確かに、昨日は定春だけしか帰って来てなかったよな…」

桂の捜索に向かった三人が帰っておらず、心配になってしまう。

しかし、ある事を思い出した。

「「………あっ!」」

「確か、定春の首輪に紙が括られてたよな!?」

「そうだ! コレですよね!?」

紙を広げると、何かの図面が描かれていた。

「もしかしてこれって、地図…ですよね?」

「神楽の嬢ちゃんが、もしもの時に描き記したってことか?」

「ランサーさん…」

「行ってみるか?」

「はい」

互いに頷き合い、二人はすぐさま行動に移った。





 場所は変わって、万事屋の事務所。

――ピンポーン!

「はーい」

インターホンが鳴り、お妙がゆっくりと扉を開ける。

そこにいたのは、村田鉄子であった。

「どうしました?」

「え〜と…あの人は……」

「ああ、銀さんなら…」

「怪我で動けない」と言おうとしたお妙であったが、

「ここにいるぜ」

起きたところなのか、銀時は壁に背中をつける。

「おう、入れや。 来ると思ったぜ」




 場所は変わり、鬼兵隊の船では、

「こってりやられてきましたね。 紅桜を無断で持ち去ったあげく、更に深手を負って逃げ帰って来るとは…。 腹を切る覚悟はできてますよね、岡田さん?」

怒りのこもった声を発しながら、武市は視線を似蔵へと向ける。

彼等の視点から見れば、似蔵の行いは組織の秩序を乱す行為。

武市が怒らないのも無理もない。

そんな彼に対し、似蔵は平然と答えたのである。

「片腕を落とされても、コイツを持ち帰った勤勉さだけは評価してもらいたいよ。 コイツにも良い経験になったと思うんだがね」

「しかし岡田氏! お主の行動がキッカケで、幕府に紅桜の存在を知られたらどうするでござったか?」

上半身裸で黒い顎髯アゴヒゲを生やした男――“黒”のライダーがそう言うと、また子もそれに同意するのだった。

「最近のアンタの行動は目に余るんスよ。 実際に坂田銀時とやり合った時、真選組の連中もいたんでしょ? アンタ、正直言って晋助様の邪魔なんスよ。 しかも桂の次に坂田銀時? 晋助様を刺激するような連中を狙って、一体何がやりたいんスか? アンタ、自分が強くなったと思ってんの? 勘違いすんじゃないよ。 アンタがあの二人に勝てたのも、全部紅桜のおかげ――」

呆れるまた子であったが、まさにその時である。

「がっ!?」

シュルルル!と紅桜を持った似蔵の左腕から触手が生え、それがまた子の首に巻き付いたのだ。

「おっと、悪く思わないでくれよ? 最近は浸食が進んでるみたいでね…俺の体をもう、自分のものだと思ってるようだ。 俺への言動は気を着けた方が良いよ?」

バタンと落とされたまた子は、「ゲホッ! ゲホッ!」と嗚咽し、コレを見た武市と“黒”のライダーが恐怖する。

「お、岡田さん…」

「……どうにも邪魔でねェ。 俺達ァ、あの人とこの腐った国でひと暴れしてやろうと集まった輩だ。 言わば伝説になろうとしてるわけじゃないかィ。それをいつまでも後ろでキラキラとねェ」

そこまで言うと似蔵は、その盲目の目を強く見開きながら言い放つ。

「目障りなんだよ、邪魔なんだよアイツ等が。 そろそろ古い伝説には朽ちてもらって、その上に新しい伝説を打ち建てる時じゃないかィ? あの人の隣にいるのは、もうアイツ等じゃない。 俺達なんだよ」

そんな中で高杉は、とある一室で誰かと顔を合わせていたのであった。

果たして、その人物とは!?




 その頃の万事屋では、銀時達が鉄子と顔を合わせていた。

「本当の事を話しに来たんだろ? この期に及んで、妖刀だったとかはナシだぜ? ありゃ、なんだ? 誰が作ったんだ、あの化物」

銀時に問われた鉄子は、遂に真実を語ってくれたのだ。

「……紅桜とは、私の父が打った紅桜を雛型に作られた、対戦艦用機械からくり機動兵器」

「兵器だと?」

紅桜の正体を知り、ユーリも翔太郎も内心から驚きを隠せなかった。

「『電魄でんぱく』と呼ばれる人工知能を有し、使用者に寄生することでその身体をも操る。 戦闘の経緯をデータ化し学習を積むことでその能力を向上させていく、まさに生きた刀……」

「何それ? 寄生獣じゃん!? その内、刀が喋り出すんじゃないの!? 「私はミギーです」って名乗り出るんじゃないの!?」

「銀さん、ちょっと黙っててくれ」

「あんなものを作れるのは、江戸には1人しかいない」

鉄子は札束の入った封筒を置き、頭を深く下げながら叫んだ。

「頼む、兄者を止めてくれ! 連中は…高杉は…アレを使って、江戸を火の海にするつもりなんだ」


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■作者からのメッセージ
 鬼兵隊にもサーヴァントが登場しました。
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