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Fate/Silver or Heart 第五訓:一方的に話しを聞かない人は信用するな!
作者:亀鳥虎龍   2018/01/08(月) 14:52公開   ID:L6TukelU0BA
 それは、夜の事であった。

編笠で顔を隠し、橋の上を歩いていた桂。

「ちょいと失礼。 桂小太郎殿とお見受けする」

背後から男に声を掛けられ、彼はその場で立ち止まる。

「人違いだ」

「心配するな。 俺は幕府の犬でもなんでもない」

「犬は犬でも、血に飢えた狂犬と見た。 近頃このあたりで、辻斬りが横行していると聞く。 噛みつく相手は選んだ方が良いぞ?」

それを聞いた男は、不敵な笑みを浮かべる。

「生憎、俺も相棒も、アンタみたいな強者の血が欲しくてね。 一つやり合ってくれんかね?」

「まさか!? 貴様、その刀は――」

刀を構え、振り返ろうとした桂であったが、

「あらら、この程度かい?」

男は既に、彼の背後に立っていた。

カチンと納刀の音が聞こえ、同時に桂の体が斬られたのだ。

傷口から血が噴き出し、彼はその場で倒れてしまう。

その後、桂の姿を見た者はいないのだった。





―一方的に話しを聞かない人は信用するな!―





 江戸では現在、奇妙な事件が起こっていた。

それは、浪人を中心的に狙った辻斬り事件である。

被害者は増えてい続けているが、犯人の尻尾は掴めないままなのだ。

そんな中、万事屋に一人の依頼人が訪れた。

ペンギンとオ○Qを足して2で割ったような姿の生物。

桂のペットで、良き相棒のエリザベスである。

「はい、コーヒーです」

新八がコーヒーを置くと、そのまま銀時達の座るソファーへと移動した。

「………」

一言もしゃべらないエリザベスに、彼等は困惑してしまう。

「おい、どうすんだよ!? どういう状況だよ!?」

「そう言われてもよ……」

これには全員が、困惑するしかなかった。

するとデスクの上にある電話が鳴りだし、銀時は電話へと向かう。

「はい、こちら万事屋です」

電話の相手と会話する銀時を他所に、神楽が新八達に告げた。

「新八、最終手段アル。 アレ出せ」

「ダメだよ。 アレ、銀さんのだし、怒られるよ」

「良いんだヨ。 アイツだって若くないんだから。 あんなんばっか飲み続けたら、ホントに糖尿になるネ」

「確かに、そういう健康管理も僕等の役目だと考えればね」

「つーか、年下のガキに健康管理される大人ってのもどうかと思うぞ?」

この会話に対し、ユーリも若干のツッコミを入れてしまう。

「はい、それじゃあそっちに伺いますね」

電話を切る銀時であったが、頭には定春が噛みついている。

これでも甘噛みの領域に入るのだが、

「おーう、俺ちょっと出るわ」

「涼しい顔して流血してますけど?」

滝のように流血しているので、絵的にはホラーなのだ。

「あの、どこに行くんですか?」

「仕事だ。 お前等、お客さんの相手は任せたぞ」

「嘘付けぇ! 一人だけ逃げるつもりだろ!!」

外へ出た銀時に、流石の新八も怒りを募らせる。

コレを見たユーリは、頭を掻きながら立ち上がり、

「――ったく、アイツだけじゃ心配だ。 ジーク、翔太郎、ラピード、ついて行くぞ」

「ワン!」

「えっ、俺達もか?」

「おい、待てよユーリ!」

「新八! 相手が無口なら、筆談でもやってみろ! 意外と効果あんぞ!」

新八に助言を与え、ユーリはジークと翔太郎、そしてラピードを連れて外へと出た。

「流石はユーリの兄貴ネ。 なんだかんだでアドバイスをくれるアル。 でも、念には念を。 新八、銀ちゃんがいない今、まさにチャンスネ」

「あっ」

すぐさま新八は、台所へと向かうと、

「はい、イチゴ牛乳です!」

イチゴ牛乳を淹れたグラスを、エリザベスの前に置いたのだ。

するとエリザベスは、桂との会話を思い出す。

――いいかエリザベス。 武士は既に、素朴で質素のある物だけ食せば良い。 イチゴ牛乳だのパフェだの、そんな軟弱なものを口にしたら、心まで惰弱してしまうぞ。

この言葉を思い出し、涙がこぼれ出た。

「泣いたぁぁぁぁ!?」

「グッジョブアル、新八!」

この反応に新八は驚愕し、神楽もサムズアップをする。

「でも、何で泣いたのかな?」

しかし泣いた理由が分からず、カロルは首を傾げてしまう。

「やっぱり、筆談をしてみないかい?」

フィリップが筆談を試した結果、エリザベスも筆談で答えてくれたのだった。





 その頃のかぶき町の何処か、銀時達はというと…、

「すいません、万事屋ですだけど…」

「フン! フン!」

何度も鉄を打つ二人組の家に来ていた。

「あのォ、万事屋です!」

「あん? なんだって?」

「万事屋です! お電話いただきましたァ!」

「隣の晩御飯は他所でやれぇ!」

「ヨ○スケじゃありませぇ〜ん!」

「不倫とかしてませんからぁ!」

「週刊文書じゃねぇっつぅの!」

作業中で聞こえない為か、遂に銀時は痺れを切らす。

「聞こえてねぇのか!? バーカバーカバーカ!」

まさにその時であった。

男の手から金槌が飛んできて、

「んが」

見事に銀時の顔面へと直撃したのだ。

「おい、大丈夫か?」

倒れた銀時を見下ろしながら、ユーリは本気で心配してしまった。





「いや〜、大変申し訳ない! 作業中故、手元が滑ってしまった! 申し訳ない!」

「いや、いいです…(絶対に聞こえてたろ…)」

大声で謝罪する男に対し、銀時は内心で呟いていた。

そんな彼の左右には、ユーリとジーク、そして翔太郎が座っている。

因みにラピードは、外でぐっすり眠っていた。

「申し遅れました! 私達は兄妹で刀鍛冶を務めている者で、私は兄の『村田鉄矢』。 こっちが妹の……」

「………」

大きな声で挨拶をする鉄矢であったが、妹は顔を横に逸らす。

「コラァ! 挨拶くらいせぬか『鉄子』! 名乗らねば坂田さん、お前を何と呼べばいいか分からぬだろうが! 鉄子ォ!」

「お兄さん、もう聞こえてるから。 デカイ声で妹さんの名前を言っちゃってるから」

「すみません、坂田さん。 コイツ、昔からシャイなやつでして」

そんな中、銀時達は辺りを見渡していた。

「それにしても、廃刀令のご時世に刀鍛冶とは大変ですね」

「でねっ! 貴殿に探して欲しいモノとは!」

「お〜い。 聞こえてる? 聞こえてなかったのかなぁ?」

「実は先代…つまり私の父なんですが、彼が作った傑作の『紅桜』が盗まれたのです」

「ほう! それで、その紅桜とは一体?」

「それを、貴殿に見つけて欲しいのです」

「あれぇ!? まだ聞こえてないの!?」

銀時も大声で対応するが、鉄矢の耳は入ってこなかった。

そして彼は、盗まれた刀について説明したのである。

「紅桜とは、江戸一番の刀匠と呼ばれた父の『仁鉄』が打った名刀で、その刀身は淡い紅色を放ち、その刃は鉄を斬り裂く。 まさに、二つとない名刀!」

「そりゃ、凄いっすね! それで、犯人に心当たりはあるんですか!?」

「しかァァァァし! 紅桜は、人が手にして良いものではない!」

「お兄さぁぁぁん! 人の話を聞こう! どこ見てる? 俺の事見てるぅ!?」

「何故なら、紅桜を打った父が一ヶ月後に死んだ事を皮切りに、紅桜を手にした人間は、謎の凶事に襲われた! あれは、アレは人に命を喰らう妖刀なのだ!!」

「ちょっと待って下さいよ! それじゃ俺にも、不吉な事が起きるじゃないですかァァァ!?」

「坂田さん!」

「ん?」

すると鉄矢は、頭下げながら叫んだ。

「紅桜が災いを起こす前に、どうかお願いいたします」

「って、聞けやぁぁぁぁ! リッスントゥーミィーィィィ! プリィィィィィズ!!」

完全無視で話しを進めた鉄矢に、銀時は怒号を上げるしかない。

この光景に、今まで黙っていたユーリは、

「いるよな…こういう人の話を聞かずに話しを進める商人が……」

深くため息を吐くしかなかった。

だがその時、無口でだった鉄子が口を開く。

「兄者と話す時は、もっと耳元で、腹から声を出さんと…」

「えっ、そうなの? 先に行ってよ…」

言われた通り、銀時は鉄矢の耳元で大声をだす。

「お兄さぁぁぁぁぁん! あの――」

「うるさぁぁぁぁい!」

「グハァ!」

しかし彼のストレートを喰らってしまうのだった。





 とある橋の方では……、

「じゃあ、ここで拾ったんだね」

エリザベスが血染めの所持品を見せ、新八が確認を取る。

「ここ最近、桂さんの姿を見てないなんて…。 どうして早く教えてくれなかったんだ、エリザベス」

『近頃このあたりで、辻斬りが横行してるって聞いて…』

「エリザベス、キミが知ってるはずだろ! 桂さんがそんな辻斬りに、やられるような人じゃないって!」

所持品を受け取った神楽は、そのニオイを定春に嗅がせる。

「でも、コレを見る限り、ヅラに何かあった事は事実アル」

「……桂さん」

するとエリザベスは、プラカードで『もうダメかも…』と答えた。

「バッカヤロォォォォォォ!」

だがコレを見た新八は、彼を思いっきり殴り飛ばす。

殴られたエリザベスは倒れ、新八は彼の胸倉(?)掴みながら叫んだ。

「お前が信じないで、誰が桂さんを信じるんだ!」

怒号を上げながら、新八は力強く叫ぶ。

「言え、エリザベス! お前が桂さんの為に出来る事は何だぁぁぁぁ! 言え、言うんだぁぁぁぁぁ!」

「いってぇな……」

しかしその時だ。

「いってぇな。 放せよ、ミンチにすんぞ」

エリザベスの口から目の様な二つの光が見え、同時に怪奇な声が聞こえた。

「す、すまっせぇーん!」

コレに驚き、新八は誠心誠意を込めて謝罪するしかなかい。

それも、土下座で。

コレを見たカロル達は、「情けない…」という顔で見るしかなかった。

すると神楽は、所持品を新八に渡すと、

「新八、私達はとりあえず、ヅラの行方を追うアル」

「お前はエリザベス達と一緒に、辻斬りを調べるんじゃ」

「あっ、私も同行するわ。 カロル、そっちはお願いね」

「うん、分かった」

アーチャーとジュディスと共に、定春の背中へと乗る。

そして三人を乗せた定春は、街の中を駆けだしたのだった。

「ぺっ!」

血と混ざった唾を吐き捨て、エリザベスは欄干へともたれかかる。

コレを目にしたランサーとライダーは、ポンと新八の肩に手を置き、

「まぁ…その、なんだ……」

「気ィ、落とすなよ」

「あっ、はい……」

二人に励まされた新八も、何も言えなかった。

「「うわぁ〜……」」

「あの、大丈夫なんでしょうか?」

「どうだろう。 今は、辻斬りを調べるしかないね」

「ふむ…この事件、『謎』の気配がするな」

カロルと弥子はジト目で眺め、ジャンヌは若干慌ててしまう。

しかしフィリップだけは、何時ものペースを崩さなかった。

そしてネウロは、ご馳走を前に口元が緩んだのである。






 日が暮れ、時刻は夜を迎えていた。

ユーリ達と二手に分かれた銀時は、ジークと共に一軒の建物を訪れていた。

その名は、『地球防衛軍基地』。

名前とは裏腹に、内容はリサイクルショップ店である。

初めて訪れたジークは、「名前負けしてないか?」と内心で思ったとか。

二人がこの店に来た理由は勿論、盗まれた紅桜の捜索である。

名の知れた刀匠の傑作なら、売り飛ばされていると察したからだ。

「妖刀? そんなもん、リサイクルショップに売ってるわけないだろ」

煙管を吹かせながら、店長の女性が呆れた顔を見せる。

「いやいや、妖刀も通販で買える時代になったしさ」

「アンタのはソレ、紛いもんだろ」

「まず、妖刀を通販で買える事自体がおかしい…」

銀時の発言に対し、店主とジークは冷淡にツッコミを入れた。

確かにジークの言うとおり、妖刀が通販で買えるのも如何なものか……。

因みに銀時の木刀は、『金剛樹』と呼ばれる異郷の星の樹木で造られたもので、刀剣と渡り合える強度を持つ。

しかも通販で『妖刀・星砕き』という名称で販売されており、購入者の好みで柄に文字を入れる事が出来るのだ。

その為彼は、必ず木刀の柄に『洞爺湖』と文字を書き入れている。

「質屋を当たってみたが、売られた形跡がなかった。 金目当てじゃねぇとすると……」

深く考える銀時であったが、店主がこんな事を言ったのだ。

「アンタ達の探してる妖刀かどうかは知らないけど、面白い刀の噂は聞いたことあるよ」

「噂?」

「最近ここいらで、辻斬りが流行ってるのは知ってるかい? 出会った奴等は皆斬られちまうんだってさ。 それを遠目で見た奴がいたらしくてね。 そいつの持ってる刀が、“刀というより生き物みたいだった”って」

そんな中でジークは、一本の刀に目をつける。

廃刀令の御世辞故か、刀もリサイクルショップで売られていたようだ。

その金額、なんと5円。

「安いな……」

しかし武器はあるに越した事はないと考え、彼はこの刀を購入した。





 一方のユーリと翔太郎、そしてラピードはというと、

「妖刀ですかぃ?」

街中でパトロール中の沖田と遭遇する。

警察なら、盗難品として預かっていると察したからだ。

「お前等、役人だろ? だったらそういういわく付きの刀を回収してんじゃねぇかと思ってよ?」

「ユーリの兄貴、期待を裏切るようで悪いんですが、そういう刀の報告はありやせんね」

「そっか……役人ならなんか知ってるかと思ったんだけどな……」

「仕方ねぇ、他を当たるか」

「だな…」

ユーリ達は立ち去ろうとするが、沖田が即座に呼び止めた。

「兄貴達、出来れば早めに帰った方が良いですぜぃ」

「んあ?」

「何でだよ?」

「知ってるでしょ? 最近ここいらで、辻斬りが流行ってる事を。 出会った奴等は皆、斬られちまうんですぜぃ」

「あ〜、そうだったな」

「実はそれを遠目で見た奴がいたらしくてね。 そいつの持ってる刀が、“刀というより生き物みたいだった”そうですぜ。 月明かり、紅色に光って……」

「紅色……」

「まさかな…」

この時、ユーリも翔太郎も嫌な予感が過ってしまう。

その目撃証言が事実なら、最悪の事態になってしまうからだ。

否、とっくになっているかもしれない。

「兄貴達、何を嗅ぎ回ってるんですかぃ?」

立ち去ろうとした瞬間、沖田に問い詰められてしまう。

警察だけあって、二人の表情から何かを察したのかもしれない。

「いや、別に?」

「ああ、全く無いぜ」

「嘘つけ! 明らかに嘘つくときの顔だ!」

適当に誤魔化そうとしたが、やはり嘘だとバレてしまい、

「あっ。 そう言えば、俺が夕飯当番だったなぁ〜」

「やっべ! 俺も早く帰んねぇとなぁ〜」

「ワン!」

棒読みで叫びながら、二人はラピードを連れて走り去る。

「あっ、待て!」

舌打ちをしながら、沖田も携帯電話を取りだすのだった。





 現場となった橋の近辺は、不気味なほど静かであった。

その路地に、エリザベスが刀を構えている。

額に“打倒辻斬り”と書かれた鉢巻きを着けて……。

「辻斬り、ホントに来るんでしょうか?」

「分かんないよ。 出来れば僕は、来ないで欲しいと思うよ」

ジャンヌとカロルは、辻斬りの横行に不安を募らせる。

「でも、一度ハマったものって、簡単には止められないよ思うよ」

しかし弥子は、当然の如く言いきった。

探偵としての経験上、そういったタイプの犯罪者を知っているからだ。

「ヤコの言うとおりだな。 一度知った“味”というのは、簡単に忘れる事はできない」

「僕も同感だ」

ネウロとフィリップも、彼女の意見には同感であった。

「ところで、新八はどうしたの?」

先程から新八の姿が見えず、カロルがそれを訪ねる。

その問いに対し、ネウロが真っ先に答えた。

「ヤツならついさっき、エリザベスに買い物を頼まれたぞ。 ランサーとライダーは、その付き添いだ」

「明らかに番長にパシられる下っ端の役割ポジションだ!」

コレを聞いた弥子は、顔を青ざめてしまうしかない。

そして数分後、新八達が帰って来た。

「ちゃーーーっす! エリザベス先輩、焼きそばパン買ってきました!」

敬礼のポーズを取りながら、見事な下っ端ぷりを見せる新八。

『俺が頼んだのはコロッケパンだ』

「あっ、コロッケパンは売り切れてました。 すみませんっス」

「よう、オメェ等も食っとけ」

「腹が減ったらなんとやらだぜ」

そう言ってランサーとライダーも、コンビニ袋の中身を見せたのである。





 新八達が買って来たパンや肉まんを食べ終え、一行は辻斬りが現れるのを待っていた。

「どうです? 辻斬りの方は来ましたか?」

「まだみたいですね」

「でも、流石に無理があるんじゃないかな? 辻斬りに直接聞きだすなんて……」

「それによ、辻斬りが犯人とは決まったわけじゃないしな」

すると、その時である。

「おいそこ! 何をやっている!」

「うわっ!」

突然の声に、新八達は驚いてしまう。

振り返ると、『御用』と書かれた提灯を手に持った男が立っていた。

どうやら男は岡っ引きで、見回りの最中に顔を出してきたようだ。

「なんだ、奉行所の人か…。 ビックリさせないでくださいよ。 あ〜、安心した」

「いや、安心しないで。 怪しんでるから、奉行所の人が怪しんでるから」

安心感で腰を下ろした新八に、岡っ引きの男はツッコミを入れる。

「お前等、分かってんのか? この辺りじゃ――」

新八達に帰るように促すが、次の瞬間であった。

ザシュン!という音が聞こえ、男の上半身が地面に落ちたのだ。

下半身の断面からは血が噴き出し、

「辻斬りが出るから危ないよ…」

編笠で顔を隠した男が、笑いながら呟くのだった。

「ウワァァァァァ!」

コレを見た新八は絶叫し、カロルやジャンヌ達は驚く。

「まさか!?」

「辻斬り!?」

「そんな!?」

「ヤベェぜ! ランサーの兄貴!」

「分かってらぁ!」

ライダーとランサーが戦闘態勢に入ろうとするが、エリザベスが新八を庇う為に前に出た。

「え、エリザベスゥゥゥゥ!」

男の刀がエリザベスに振るわれたが、まさにその時である。

刀はガキィン!と弾き飛ばされ、男の背後へと落ちていく。

地面に刺さり、同時に一人の男が現れる。

「おいコラ、ウチのお客さんに何しやがんだコノヤロー」

「銀さん!?」

それは昼間、外へと出掛けた筈の銀時であった。

「皆、無事か!」

「ジークくん!」

するとジークも駆けつけ、彼等の安否を確認する。

「――ったく、妖刀探しで此処まで来てみれば…どっかで見たツラじゃねぇか」

辻斬りと正面から睨む銀時は、まるで知ってるような口ぶりで、

「本当だ。 何処かで嗅いだ事のある匂いだねぇ……」

辻斬りも編笠を外し、素顔を露わにしたのだった。





紅桜編・開始!


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■作者からのメッセージ
 紅桜編は原作を基準に、実写版の内容も取り入れるつもりです。
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