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Fate/Silver or Heart 第十六訓:Oの襲撃/南国リゾートの恐怖
作者:亀鳥虎龍   2018/02/02(金) 21:02公開   ID:L6TukelU0BA
 それは、商店街で起こった事だった。

カランカラン!という音が、町中に響いたのだ。

「おめでとうございまァァァす! 一等賞! 南国リゾート三名様の旅行券、大当たりィィィ!」

「あら」

お妙が福引で、一等賞を当てたのである。

本人的には二等賞である、『バーゲンダッシュ一年分』が欲しかったのだが……。

「でも明日、仕事で行けないし……そうだわ!」

少し考えたお妙は、ある場所へと向かうのだった。





―Oの襲撃/南国リゾートの恐怖―





「えぇぇぇぇぇ!?」

万事屋の事務所にて、新八の声が外まで響く。

「リゾートの旅行券!? ホントですか姉上!?」

「ええ、ホントよ。 でも明日、仕事の都合で行けないの。 銀さん達で行ってくれません?」

「おいおい、良いのかよ? オメェが当てた旅行券、俺等が使っても?」

「あら、たまには羽を伸ばす必要もあるでしょ?」

「そうだぞ、万事屋。 まさかお前、お妙さんのご厚意を踏みにじるつもりか!」

旅行券を貰う事に戸惑った銀時に、何故か近藤も会話に加わる。

「いい加減にしねーか、このゴリラァァァァ!」

「グハァァァァァ!」

勿論、すぐさまお妙にぶっ飛ばされたが……。

「まあ、使わせて貰うがよ」

すると、ユーリと翔太郎が帰って来る。

「なあ、旅行券当てたんだけどよ、行きたいやつはいるか?」

「銀さん、旅行券使うか?」

そのままジークとネウロも帰って来て、

「旅行券を当てたんだが、誰か使うか?」

「ヤコ、旅行に行くぞ♪」

そして最後に、アーチャーが帰って来る。

「お〜い、福引で旅行券を当てたぞ♪」

偶然か必然か、万事屋メンバーの殆どが旅行券を当てたのだ。

お妙がくれた旅行券を含めれば、合わせて5枚。

旅行できる人数は、定員3名まで。

合わせると、合計15名が旅行に行ける。

万事屋メンバーも15人で、全員で旅行に行ける。

「行けるぜ、旅行ぉぉぉぉ!」

行く気満々の銀時であった。






 そして翌日、港の方では……、

「いやぁ〜まさか旅行が出来るなんて思ってませんでしたよ」

新八が嬉しそうな顔で荷物を背負っていたが、

「でも、以前の宇宙旅行みたいなトラブルが起こるかもしれないアル」

「あ…うん。 僕もそれは気にしてる」

神楽の発言で、一瞬当時の事を振り帰ってしまう。

実は万事屋トリオは、神楽が当てた旅行券で宇宙旅行に行った事があるのだ。

しかしそこで、テロリストに襲撃された経験がある。

お陰で彼等は、旅行先とは違う星に落ちてしまった事があるのだ。

だが、新八は内心で思う。

今度は地球での旅行だから、他の惑星に落ちる事は無いと――。

「あれ、銀さん達じゃねぇか?」

するとサングラスをかけた中年男性が、彼等に声をかけたのだ。

「長谷川さん!」

彼の名は長谷川泰三。

元入国管理局の局長であったが、銀時に関わったせいでフリーターとなったオッサン。

「んだよ、長谷川さん。 何でアンタが此処にいるんだよ?」

「何でって…俺も旅行券を当てたからだよ」

「マジか!? 世の中って広いな!!」

「ああ。 こんな俺にも、幸運の女神が舞い降りたって事さ」

嬉しそうに笑う長谷川であったが、その時である。

「そこの男性、止まりなさい!」

セイバーが隊士達を連れて、長谷川と歩み寄って来たのだ。

「貴方に聞きたい事があるのです」

「へ、俺?」

「長谷川さん、アンタ真選組に目ぇ付けられることしたのか?」

「してねーよ! そんな証拠がどこにあるんだよ!」

「言いがかりだよ!」と叫ぶ長谷川であったが、セイバーがその場で叫ぶ。

「拾った旅行券を使おうとしたでしょうが! 持ち主の名前が右端に書いてある筈です。 筆跡鑑定と指紋鑑定ですぐに分かりますよ!」

「ゲェェェェ!」

コレを聞いた長谷川は、「何で分かった!?」という顔になってしまう。

「……アンタ、落としもんで旅行に行こうとしたのかよ?」

「いろんな意味で最低ですよ」

「最悪アル!」

「さあ、屯所まで御同行願いますよ?」

にっこりと笑うセイバーであったが、明らかに目が笑っていない。

「嫌だぁぁぁぁ! 銀さん、助けてくれぇぇぇぇ!」

長谷川は銀時達に助けを求めるが、三人は当然の如く、

「長谷川さ〜ん。 今まで世話になったなぁ〜」

「今日までの事、一生忘れませんから〜」

「安心するネ、骨は拾ってやるからナ〜」

「それ、俺が死んでんじゃねぇかぁぁぁ!!」

笑顔で見捨てる気満々で、長谷川の叫びが山彦となって響くのであった。





 旅客船に乗って、出航すること3時間、

「スゲェェェェェ!」

目的の場所となった、リゾート地へと辿りついたのだ。

「おいおい、連載時期が冬の時期に南国リゾートたぁ、作者も太っ腹じゃねぇか!」

「銀さん、メタいです」

「早くホテルに良くアル」

「オメェ等、もう少し大人しく出来ねぇのかよ」

「でも、早く部屋に荷物を置いて行くわよ」

ホテルのロビーまで歩くと、意外な人物と遭遇した。

「あれ、近藤さん?」

「おっ、新八くんじゃないか!」

それは真選組局長、近藤勲である。

「近藤さんも旅行に?」

「ああ。 昨日、俺が万事屋に来た事を覚えてるか?」

「ええ、姉上にぶっ飛ばされましたよね」

「実は旅行券を当てたから、お妙さんを誘おうとしたんだけど、お妙さんも旅行券当てて、それをキミ等にあげただろ? コレはチャンスだと思ったんだが……」

「その結果、姉上にぶっ飛ばされたんですね?」

「……うん。 でも帰る途中、旅行券を失くしたみたいでさ…一応警察にも捜索届けを出したんだけど……」

「警察が警察に落とし物の捜索届けって……」

「それで、旅行券は見つかったんですか?」

ジャンヌが尋ねると、近藤が「うん!」と答えた。

「総司ちゃんが見つけてくれたんだよ」

「セイバーさんが……え?」

「実は俺、失くさないようにと思って、旅行券の右端に自分の名前を鉛筆で書いたんだよ。 それが決め手になってさ」

「…………」

それを聞いた新八は、沈黙しながらある事を思い出す。

セイバーが長谷川をしょっ引いた時の事だ。

長谷川の旅行券は、元々は落とし物であった。

拾った旅行券を使おうとして、彼は真選組に連行される。

簡潔的にまとめるとこうだ。

近藤が落とした旅行券を拾った長谷川が、そのまま旅行に使おうとして真選組に連行され、旅行券はセイバーによって無事に持ち主である近藤の手に戻った。

この推理に対し、銀時が内心で突っ込んだ。

「(オイぃぃぃぃ長谷川さぁぁぁぁぁぁん! アンタ、真選組局長の落とし物で旅行に行こうとしてたのかよぉぉぉぉぉ!)」

「(そりゃ真選組に目ぇつけられるわ! 完全に彼等の怒りを買ってるよ!!)」

勿論、新八も内心でツッコミを入れたのであった。

因みに真選組からの旅行者は、近藤とアサシンの二人だけである。





 海に出ると、多くの人達は水着を着た男女ばかりである。

コレに対し、銀時は苛立ちを覚えた。

「ったく、浮かれたカップルが多いじゃねぇか。 モテねぇ男の気持にもなれよなコノヤロー」

「銀さん。 折角の旅行なんですから、そこは弁えて下さいよ」

呆れる新八であったが、後からユーリ達もやって来る。

「場所は確保できたか?」

オレンジのアロハシャツに紫のハーフパンツ姿、カチューシャで髪を留めたユーリ。

「そろそろシート敷こうよ」

額にゴーグルを着け、青い水着を着けたカロル。

「女性陣がまだ来ないみたいだな」

オレンジのパーカーに黒のハーフパンツ姿のジーク。

「女性の身支度ってのは、結構時間がかかるもんだぜ」

「ん? そんなものなのかい?」

何時ものスーツ姿とソフト帽の翔太郎に、何時ものラフな格好のフィリップ。

「まあ、気長に待つも良いぜ」

「つっても、夏の女はデンジャラスな格好になるからな……」

アロハシャツに黒いズボン姿のランサーに、半袖のレザージャケットにズボン姿のライダー。

「しかし、リゾートというのは、興味深いな」

全く服装の変化なしのネウロ。

男性陣はほぼ、こんな感じである。

「お待たせ」

すると、女性陣が歩み寄って来た。





 女性陣の登場に、(ネウロとフィリップ以外の)男性陣が驚く。

黒いビキニ姿により、妖艶な容姿に色気が増したジュディス。

白いビキニの上から、ピンクのパーカーを羽織ったジャンヌ。

ワンピース風の赤い水着姿で日傘を差し、麦わら帽子を被った神楽。

半袖のTシャツに短パン姿、手にはペットボトルを所持している弥子。

軍帽に『Buster』と書かれた赤いTシャツ、その上からスカジャンを羽織った姿のアーチャー。

文字通り、色とりどりの格好である。

「すまんな、少々時間がかかったわい」

高らかに笑うアーチャーであったが、新八は内心で思った。

「(どこで買ったんだ、そのTシャツ。 明らかにア●バとかその手の店に売ってそうだけど!?)」

彼女が来ているTシャツが気になってしまい、どこで買ったんだとツッコミを入れたかったのだ。

「つーか、そんな格好してたら、周囲の目とか気になんねぇか?」

「あら、心配してくれてるの?」

「ああ、ナンパした側がな。 オメェ、絶対に返り討ちにするだろ?」

「失礼ね。 まあ、投げ飛ばすくらいはするけど」

「返り討ちにしてんじゃねぇか」

常に余裕を見せるユーリと、妖艶さを絵に描いたような容姿のジュディス。

どこからどう見ても、カップルと呼んでもおかしくない関係である。

しかしこれが、同じギルドの仲間という関係なのが凄過ぎだ。

「あの、ジークくん…。 どうでしょうか? 変じゃ…ないでしょうか?」

顔を赤らめながら、ジークに自身の水着姿を見て貰うジャンヌ。

ジークも恥ずかしながらも、彼女の水着姿を目にする。

「その…目のやり場に困るんだが……」

頬を軽く掻き、思った事を口にした。

「よく似合ってるよ」

「あ、ありがとうございます」

「(リア充爆発しやがれコノヤロォォォォ!)」

恋人同士で仲睦ましい関係である二人に、銀時は内心で嫉妬の炎を燃やしたのである。





 海岸の何処か。

「おのれ、旅行などとはしゃぎおって!」

「我等の星が、天人に侵略された事を忘れたのか!」

「こうなれば、奴等に分からせるしかない!」

三人の男達が、メモリを自分達の体に挿したのだ。

《オクトパス》

《マンティス》

《リザード》

そして彼等の肉体は、異形へと変わったのである。





 皆がビーチで休息を満喫している。

「お腹が好きましたね」

「銀ちゃん、お昼にしたいアル」

「わーったわーった! 早く飯にすんぞ」

「そうだな」

「儂、ラーメンが良いのう。 マズイようで美味いという、あの微妙な味がいいじゃよなぁ〜」

「なんで海の家に出て来るもんをチョイスすんの!?」

食事に向かおうとした一行であったが、まさにその時だった。

バシャァ!と、何かが海面から出現したのだ。

その正体は触手で、シュルルルとジャンヌの腹部に巻き付く。

「キャァァ!」

「ジャンヌ!」

触手はジャンヌを海中へと引きずり、ジークも海中へと潜った。

「ジーク!ジャンヌ!」

銀時達も追いかけようとしたが、「キャァァァァァ!」という叫び声が聞こえる。

振り返ると、カマキリの怪人と蜥蜴の怪人が暴れていた。

「まずは、アイツ等を片付けてからだ!」

旅行者を襲う彼等に、翔太郎はダブルドライバーを装着し、

「フィリップ!」

《JOKER》

「ああ!」

《CYCLONE!》

「「変身!」」

《CYCLONE・JOKER》

そしてフィリップと共に、仮面ライダーWへと変身したのである。





「うわぁぁぁぁ!」

男性旅行者を襲うカマキリ怪人であったが、

「おらぁ!」

「ぬっ!」

Wの出現により、阻止されてしまう。

「早く逃げろ!」

「ひぃ〜!」

男性が逃げるのを確認し、Wは怪人と向き合った。

「流石に、2対1はキツそうだな」

『正確には2対2だけどね』

カマキリ怪人が腕の鎌を振るってくるが、Wは即座にメモリを取り替え、

《METAL》

《CYCLONE・METAL》

サイクロンメタルへとチェンジしたのである。

ガキィン!と、カマキリ怪人の刃を防いだW。

「ほらよッ!」

風邪を纏ったメタルシャフトで、容赦なく薙ぎ払う。

「うぐっ!」

「シャァァァァ!」

今度は蜥蜴怪人が襲いかかるが、Wは再びメモリを挿し替える。

《HEAT》

《HEAT・METAL》

ヒートメタルにチェンジすると、その剛腕をその場で振るったのだ。

ドガァ!という重い一撃が、蜥蜴怪人にダメージを与える。

「何だ? あんまり大した強さじゃねぇな?」

『翔太郎、油断しちゃだめだよ。 もしかすると、そう思わせてるだけかもしれない』

「だな。 んじゃ、一気に決めるか!」

《METAL》

メタルメモリをシャフトのスロットに挿し込むと、端から炎が噴き出す。

《METAL・MAXIMUM DRIVE》

「『メタルブランディング!』」

炎の推進力で加速し、Wは凄まじい一撃を叩き込んだ。

ドガァッ!と、必殺技『メタルブランディング』が決まり、

「グギャァァァァァ!」

蜥蜴怪人――リザード・ドーパントは、ボカァァァァン!と爆散する。

男が倒れ、体からはメモリが排出された。





「貴様ァァァ!」

カマキリ怪人が襲いかかるが、Wは再びメモリを挿し替えた。

《LUNA》

《TRIGGER》

《LUNA・TRIGGER》

右半身は『幻想の記憶』を宿した黄色、左半身は『狙撃中の記憶』を宿した青。

射撃形態の『ルナトリガー』にチェンジし、専用武器のトリガーマグナムから弾丸を放った。

「オラッ!」

放たれた弾丸を喰らい、カマキリ怪人も「うぐっ!」と声を上げる。

「サービスだ! コレでも喰らえ!!」

Wは銃口を向け、再び弾丸を放つ。

弾丸はルナメモリの能力で、軌道が変則自在に曲がる。

これにはカマキリ怪人も、翻弄されてしまうしかない。

「おのれぇ! 真っ二つにしてやらぁ!」

「やれるもんなら、やってみやがれ!」

《TRIGGER》

Wはトリガーメモリをマグナムのスロットに挿し込むと、

《TRIGGER・MAXIMUM DRIVE》

「『トリガーフルバースト!』」

銃口から一気に、無数の弾丸が放たれた。

「えぇぇぇぇ!?」

これにはカマキリ怪人も驚きを隠せず、Wの必殺技『トリガーフルバースト』を叩き込まれた。

ボカァァァン!という爆音とともに、「ぐぎゃぁぁぁぁ!」という叫びが響き渡る。

コレによってWは、カマキリ怪人――マンティス・ドーパントも撃破したのだ。

「あとは、海ん中のヤツだけだ」

『ジークがジャンヌを助けに向かったが…』

「ああ。 流石にアイツだけじゃ、ドーパントに太刀打ち出来ねぇ!」

果たして、ジークとジャンヌは無事だろうか!?





 海中の方では、ジャンヌが触手に身体を引き寄せられていた。

息が長続き出来ず、このまま海底に引きずられてしまう。

「(くっ!)」

必死でもがくが、触手は更に締め上げる。

「(ダメっ…息が……)」

体内の酸素が不足し、ジャンヌの力が抜けていく。

「(この…ままじゃ……)」

意識が朦朧となるが、その時だった。

何者かが手を掴み、彼女を引き寄せようとしている。

「(ジーク…くん……)」

ハッキリとは認識できなかったが、手を掴んだのはジークだ。

「(理導シュトラセ/開通ゲーエン!)」

彼は触手に触れると、その場で触手が破裂した。

「ピギィィ!?」

触手の主が驚愕で叫ぶ中、ジークはジャンヌを抱えて海面へと上がろうとする。

しかしジャンヌは酸素不足で、意識は朦朧としていた。

だがジークは迷う事もなく、彼女の唇を自身の唇と重ねる。

自身の酸素を、彼女に移したのだ。

「(ん……)」

意識を取り戻しかけ、ジャンヌもジークの体にしがみ付く。

そして二人は、そのまま海上へと上がったのである。





「「プハッ!」」

『翔太郎、ジークとジャンヌだ!』

「うっしゃ!」

《JOKER》

ジークとジャンヌの姿が確認され、Wはジョーカーメモリを挿し込むと、

《LUNA・JOKER》

ルナジョーカーにチェンジし、右手を伸ばしたのだ。

「腕が伸びたぁぁぁ!?」

「マジで!? ゴ●●ムの実を食ったのか!?」

「スゲェ!」

万事屋トリオが興奮する中、Wは気にせず二人を引き寄せた。

「大丈夫か!?」

「ああ、平気だ」

「ゲホッ、ゲホッ……ええ、こちらもです」

「よし、このままいくぜ!」

《METAL》

《LUNA・METAL》

ルナメタルにチェンジすると、Wは何かを待っている。

恐らく、先程の触手を狙っているのだろう。

そして予想通り、触手が伸びて来た。

『思った通り、来ると思ったよ!』

「おっしゃぁ!」

メタルシャフトを鞭のように伸ばすと、そのまま触手に巻きつく。

『神楽ちゃん、任せたよ!』

「了解アル!」

駆け寄った神楽が、Wからメタルシャフトを託されると、

「ほわちゃぁぁぁぁぁ!」

夜兎特有の剛腕で、一気に釣り上げたのだ。

「あああああああああああああ!」

変な叫びと共に、触手の主は地面へと落ちてしまう。

その正体は、蛸の様な姿をした怪人――オクトパス・ドーパントだった。






「ようやく御対面だな、蛸のバケモンめ!」

「おのれぇぇぇぇぇ!」

オクトパスは触手を伸ばし、Wへと襲いかかる。

「させるかよ!」

《CYCLONE》

《CYCLONE・METAL》

サイクロンメタルへとチェンジしたWは、メタルシャフトで触手を弾いていく。

シャフトを振るいながら、オクトパスへと突進し、

《JOKER》

「このままいくぜ!」

《CYCLONE・JOKER》

サイクロンジョーカーに戻り、接近戦に持ちこんだのだ。

拳や蹴りを放つWであったが、オクトパスも負けていない。

勝負は互角で、どちらも引けを取らなかった。

先程の二人との戦闘の後だけに、流石にWも苦戦を強いられる。

「こいつ、敵の親玉だけに…」

『ああ、かなりの強さだ。 翔太郎、アレを使うしかない』

「だな! いくぜ、相棒」

「『エクストリームだ!』」

だが彼等には、切り札が残っていた。

『キューーー!』

鳥の様なガジェットが現れ、フィリップの肉体を吸収したのだ。

そしてガジェットはダブルドライバーに装着され、Wは再びスロットを展開する。

《XTREME》

「『ハァァァァァ!』」

真ん中の境界線『セントラルパーテーション』が開き、クリスタルサーバーが出現。

Wの顔も、『X』を思わせる形状へと変わる。

今までとは違うWに、銀時達も驚愕した。

「『さあ、お前の罪を数えろ!』」

仮面ライダーWの最強形態『サイクロンジョーカーエクストリーム』が、ここに降臨したのだ。





 極限の記憶エクストリームの力で強化されたWは、クリスタルサーバーから盾と剣の一対いっついとなった武器『プリズムビッカー』を出現させる。

手に取ると、オクトパスへと接近した。

《PRISM》

プリズムメモリを挿入し、盾の『ビッカーシールド』から剣の『プリズムソード』を引き抜く。

「ハァっ!」

剣を振るい、オクトパスに斬撃を与える。

攻撃を受けたオクトパスも、これには怯んでしまう。

「ぐっ! くそっ!」

口から墨の弾丸を放つが、Wはビッカーシールドで防ぐ。

そのままプリズムソードを納めると、シールドのスロットにメモリを挿し込んでいく。

《CYCLONE・MAXIMUM DRIVE》

《HEAT・MAXIMUM DRIVE》

《LUNA・MAXIMUM DRIVE》

《JOKER・MAXIMUM DRIVE》

風、熱、幻想、切り札…四つのメモリの力がビッカーシールドに集中し、光の光線が放たれたのだ。

「『ビッカーファイナリュージョン!!』」

必殺技『ビッカーファイナリュージョン』を喰らい、オクトパスは「ぐあぁぁぁぁ!」と叫んでしまう。

「うぐっ……」

かなりのタフさを見せるオクトパスに、流石のWも感心する。

「敵ながらとんでもねぇ執念だ」

『どうやら大技を叩き込まないと、メモリブレイクは出来ないようだね』

「それじゃあ、連続でブチかましてやるぜ!」

《CYCLONE・MAXIMUM DRIVE》

《HEAT・MAXIMUM DRIVE》

《LUNA・MAXIMUM DRIVE》

《JOKER・MAXIMUM DRIVE》

再び四つのメモリのマキシマムが発動し、Wはそのままプリズムソードを引き抜く。

「『ビッカーチャージブレイク!』」

真正面から突進し、そのまま刃を振るった。

プリズムソードを用いた必殺技『ビッカーチャージブレイク』を喰らい、オクトパスは「うぐぅ!」と唸り声をあげる。

後退したオクトパスであったが、Wは止まる事は無い。

『翔太郎、メモリブレイクだ!』

「ああ、コレで決まりだ!」

《EXTREME・MAXIMUM DRIVE》

エクストリームメモリの中心部から、膨大な竜巻が発生し、

「『ダブルエクストリーム!』」

その勢いを利用し、Wは必殺技『ダブルエクストリーム』を叩き込んだ。

ボカーン!という爆発が起こり、爆炎の中でオクトパスが「ぐわぁぁぁぁ!」と叫ぶ。

オクトパスは元の男の姿に戻り、メモリもその場で砕けたのだった。





 深夜、ジークは一人で海を眺めていた。

「………」

星が輝き、月が海と空を照らしている。

そんな彼の元に、ジャンヌが歩み寄ってきた。

「隣、いいですか?」

「あ、ああ。 構わない」

「失礼します」

隣に座るジャンヌに、ジークは声をかける。

「体は、もう平気なのか?」

「ええ」

「そうか……」

今度は彼に、ジャンヌが声をかけた。

「ジークくん」

「ん?」

「あの時は、ホントにありがとうございました」

それを聞いたジークは、少し戸惑ってしまう。

「助けたのは翔太郎とフィリップだ。 俺が礼を言われる様な事は…」

「いいえ。 あの時、私は息が続かなかった。 貴方が来てくれなかったら、あのまま溺れ死んでたんです」

「………」

「ですから今、こうやって生きてるのも、ジークくんのお陰なんですよ」

自身の頭をジークの肩に置くと、ジャンヌは恥ずかしがりながら呟く。

「だから…せめて…このままでいいですか?」

そんな彼女に対し、ジークは優しい笑みを見せた。

「ああ、構わない」

こうして二人は、長い夜の時間を過ごしたのである。


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■作者からのメッセージ
銀時「その後、俺たちは無事に江戸に帰れましたとさ」

新八「え、後書きで言っちゃうんですか!?」

銀時「次回からは最終章を書くそうだからな」

新八「マジで!?」

銀時「次回からはこの小説の最終章! 『柳生&赤の陣営篇』だ!」

新八「もう言っちゃったよ!?」
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