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Fate/Silver or Heart 第十八訓:激突! “白”vs“赤”!!
作者:亀鳥虎龍   2018/02/12(月) 00:37公開   ID:L6TukelU0BA
 前回のあらすじ。

お妙を訪ねに、柳生家を訪れたジーク達。

そこで銀時達が、道場破りとして九兵衛と対面していた。

だがその最中でバーサーカーが、逮捕状を見せながら叫んだ。

「柳生九兵衛! 未成年法違反、そして暴行罪の罪で逮捕する!」

逮捕状を見せられ、九兵衛は顔を青ざめてしまい、

「オイィィィィ! アイツ等、普通に仕事で来てたよぉぉぉぉ!」

本家新撰組の仕事ぶりに、流石の銀時も驚きを隠せなかったのだった。





―激突! “白”vs“赤”!!―





 逮捕状を前にし、九兵衛は顔が青ざめたままだ。

まさかあの深夜の一件が、ここまで大事おおごとになるとは思ってなかったのだろう。

「若! ここは私にお任せを!」

「東城…」

長い髪に細めの男が、セイバーの元に歩み寄る。

彼の名は東城歩。

九兵衛の側近で、彼の守護する『柳生四天王』のリーダー。

「柳生四天王の東城歩と申します」

「真選組一番隊特別副官、セイバーと申します」

「若の罪は私が被ります。 幾らで引き受けますか?」

懐から小切手を出し、セイバーに差し出す東城。

「堂々と買収しに来やがった!?」

これには銀時もツッコミを入れるが、セイバーも懐から手錠を取り出す。

ガチャリと東城の片手に手錠をかけると、彼女は笑顔でこう言った。

「警察を買収しようとした罪で逮捕です♪」

「えっ!?」

「しかも効果ゼロだし、笑顔で手錠を掛けやがったよあの!」

不利を感じた東城は、すぐさま小走りで立ち去る。

そして九兵衛の元へと駆け寄り、彼に一礼したのだ。

「若、やれるだけの事はやりました!」

「どこがだ!」

これには流石の九兵衛も、その場でツッコミを入れる。

「さて、お縄を頂戴しようじゃねぇか…。 それと……」

不敵な笑みを見せるバーサーカーであったが、視線を銀時達6人に向けた。

「テメェ等もしょっ引くから、覚悟しとけよ!」

「「「「ええええええ!?」」」」

コレを聞いた新八と銀時、土方と沖田は思わず驚愕してしまい、

「待つアル! 私達は姉御を取り戻しに来ただけアル!」

「そうだぞ、歳三さん! 俺達には捕まる理由がねぇ!」

神楽と近藤も、すぐに抗議に入ったのだ。

「道場破りに暴行罪、コイツは立派な犯罪だろうが!」

「……ですよねぇ〜」

しかし堂々と返され、反論すらできなかった。

「なんて恐ろしい男だ」

これには東城も、顔を引きつらせながら呟くのである。





 バーサーカーが銀時達と口論する中、セイバーが九兵衛に声をかける。

「では九兵衛さん、大人しく逮捕されて下さいな」

「ま、待ってくれ!」

「はい?」

慌てた表情で、九兵衛は彼等にこう言ったのだ。

「新八君達は妙ちゃんを連れ戻しに、キミ達は僕を逮捕しに来たんだろ?」

「だから?」

「先程彼等が……」

――剣で生き、剣で死ぬのが侍でさぁ。 だから…

――女も剣で奪えよ。

「――と言ったんだ」

「つまり?」

「キミ達も剣で挑み、勝利したら、僕も大人しく捕まろう」

「それ、見苦しい提案じゃないですか?」

セイバーの言うとおりで、九兵衛も内心は無理があると感じていた。

「まあ…サーヴァントの気配が、この屋敷中に感じられますから、丁度良いかもしれませんがね」

「気付いていたか。 この屋敷にいるのは、“赤”の陣営のサーヴァント。 僕や四天王も、そのマスターの権利を持っている。」

「えっ!?」

「マジでぇぇぇ!?」

それを聞いた銀時は、思わず驚愕してしまう。

実際に九兵衛も、自身の手にある令呪を見せる。

「知らなかったのかよ……」

これにはランサーもツッコミを入れてしまい、アーチャーとライダーも呆れてしまった。

「あの、その事なんですが…」

そう言って看護師が、その場で挙手をする。

「私は勝負に参加しません」

「えええええ!?」

サラリととんでもない事を言った為、東城が驚きを隠せなかった。

「本気で言ってるのですか、バーサーカー殿!」

「本気です」

「えっ、あの人バーサーカーだったの!?」

看護師がサーヴァントだと知った事より、彼女が“赤”のバーサーカーだと知った事に驚く新八。

「勝負に負けたら、若は警察に捕まるのですよ!?」

「自業自得です。 それと私には、負傷者の手当てという使命があります」

「柳生家の看板と患者、どっちが大切なんですか!?」

「患者です」

「ですが――」

何としても“赤”のバーサーカーに参加を頼もうとする東城であったが、まさにその時だ。

バァン!と、彼女は銃を放ち、弾丸は東城の右頬を掠った。

「邪魔をするなら、実力を行使しますよ」

「………はい、すみませんでした!」

コレに恐怖した東城は、その場で土下座して謝罪し、

「いや、もうしてますよね!? 思いっきり銃をぶっ放しましたよね!?」

流石の銀時も、思わずツッコミを入れたのである。





 バーサーカーの離脱宣告により、“赤”側は戦力が減ってしまった。

「よっしゃぁ! これで俺達に勝機が舞い込んだぞ!」

近藤が喜ぶが、“白”のバーサーカーがこう言ったのだ。

「言い忘れたが、俺も参加しねぇぞ」

「えっ!?」

「はぁぁぁぁ!?」

これには流石に、銀時も土方も驚く。

「何でだよ!?」

「俺達の目的は“柳生九兵衛の逮捕”であって、お妙さん奪還が目的じゃねぇ」

「そんな!」

「それに、道場破りの片棒を担ぐつもりはねぇしな」

「………そうですよね」

そんなワケで、“白”側もバーサーカーは不参加となったのであるが、

「私も同意です」

「セイバーさんも!?」

「マスターが仕事サボるので、その腹いせです」

「言っちゃったよこの子! 参加しない理由をサラリと言っちゃったよ!」

更にはセイバーも、自ら参加を拒否したのである。

「仕方ない。 では、私が参加しよう」

しかしアサシンだけは、戦う気満々であった。

「小次郎さん!」

「勘違いするでないぞ、近藤殿。 道場破りが逃げないように、監視役が必要だと思ったからだ」

「それでもいい! 感謝する!」

「んじゃ、俺も参加するか」

「俺も出よう」

「仕方ねぇ、俺も出るよ」

更にはユーリとジーク、そして翔太郎も参加すると言ったのだ。

「じゃあ、私は怪我人の手当てをするわね」

「僕もそっちをするよ」

「私も行きます」

「僕もそっちに回るよ」

「では先生、僕等も怪我人の手当てを♪」

「うん、そうだね」

「ワン!」

ジュディス、カロル、ジャンヌ、フィリップ、ネウロ、弥子、ラピードは、怪我人の手当てに回る為、“赤”のバーサーカーの手伝いとなる。

「助かります。 では、すぐにご案内を」

“赤”のバーサーカーに連れられ、ジュディス達は怪我人の治療へと向かった。

治療へ向かう際に、ジャンヌはジークにこう言ったのだ。

「ジークくん、あまり無茶はしないでくださいね」

「ああ、分かってる」

「では、気をつけて」

こうして、“白”の陣営と“赤”の陣営のが、柳生家で勃発したのだった。





 遂に始まった“白”と“赤”の聖杯大戦。

今回は“赤”の陣営である柳生の屋敷で行われる為、柳生流の試合形式が組み込まれる。

そして銀時達は、柳生流の試合形式が説明された。

1…各陣営に分かれて、身体に皿を付ける。

2…皿を割られたら失格。

3…大将を倒したら、その時点で勝敗が決まる。

4…試合が行われるのは、柳生の敷地内全て。

5…獲物は木刀のみ。

6…1対1でも1対多数でも勝ちは勝ち。

7(特別ルール)…聖杯戦争のルール上、サーヴァントは得意な武器や宝具を使ってもよい。

との事である。

しかも柳生側は、ルール説明の後に銀時達を挑発して去って行った。

「ちくしょー! ムカつくぜアイツ等! こっちも対抗して、大将丸出しで行こうぜ。 いつ襲ってきてもOK的な感じで!」

「OKな訳ないでしょ! 一発K.O.されるわ! ってか、僕が大将なの!?」

柳生流の態度に怒り狂う近藤は、新八の股間に皿を設置した。

当然、新八からはツッコミが入る。

「仕方ねーだろ。 俺達は不本意だが、恒道館道場の門下って事になってるんだ」

「ま、そー言うこったな。 気張れよ、新八」

その後も銀時は土方に皿で眼帯を作らせたり、沖田がそれを煽ったりと収拾が付かなくなり始めていた。

「(大丈夫なんだろうか、この状況で……)」

戦う前から仲間割れを起こす彼等に、ジークは内心で不安を感じる。

暫く考えていたが、いつの間にか殆ど居なくなっていた。

残っているのは新八と近藤、ユーリと翔太郎だけである。

そして、ジークを含めれば5人だ。

「あれ、皆は?」

「実はな……」

ユーリから話を聞くと、神楽が自分の皿を割ってしまったらしい。

更に銀時と沖田が勝手に行動し、土方と神楽は代わりの皿を貰いに行ったらしい。

しかもランサーとライダー、アーチャーとアサシンも別々に行動したのだ。

「……不安が的中した」

「まあ、アイツ等に団体行動とか、チームワークなんざ無理な話しだしな」

「俺は銀さんと沖田を探す。 近藤さんは新八を頼むぜ」

「んじゃ、俺は適当に探してみるか」

「俺は土方さんと神楽を探してみる」

「えっ!?」

「お、おい!」

こうして翔太郎とユーリ、そしてジークは即座に行動に移った。

残ったのは新八と近藤のみ。

「どうしましょう、近藤さん?」

「ここで俺達が別行動するのも不味いからな。 ジークくんを追って、万事屋と総悟と合流しよう」

置き去りになった新八と近藤は、今後の流れも踏まえて行動する事となった。





 一方で、近藤達から離れたジークは、

「……どうなってるんだ?」

神楽と沖田を発見したのだが、二人は柳生四天王の西野と南戸と戦っていた。

戦っていたのだが、沖田が南戸と戦って圧勝していた最中、神楽は西野に劣勢。

神楽は西野の不意打ちに腕を折られたらしく、苦戦をしていたのだ。

それを治療と称して、沖田が折れた腕を更にねじり上げる。

痛みに叫ぶ神楽は、仕返しに沖田の右脚をへし折った。

汚い仲間同士の揉め事兼同士討ちで、劣勢になってしまう神楽と沖田。

トドメを刺そうと西野が二人を追い詰め、神楽と沖田は屋敷の中へと這って逃げて行った。

「……何をしてるんだ、あの二人は?」

「ああ、全くだな」

「ん?」

助けに行こうとしたジークであったが、声の主がゆっくりと歩み寄って来たのだ。

派手な着流しを纏い、如何にも女遊びが好きそうな外見の男。

彼こそ柳生四天王の一人、南戸粋である。

「改めて、南戸粋だ」

「ジークだ」

軽く挨拶を済ませ、ジークは木刀をゆっくりと構えた。

「おいおい、肩に力が入り過ぎだろ? もうちょっと気楽にいこうぜ」

「アナタは一応敵だからな。 構えるのは当然だろ?」

「まあ、普通はそうだわな」

構えを解かないジークに、南戸はこんな提案をした。

「なあ、提案があるんだが、聞いてくれるか?」

「何だ?」

「ここはどうだ? お互い、顔を狙うのはナシにしようぜ」

「それは構わないが、何故だ?」

「顔に傷なんか付いて、それ見て泣く女がいるだろ?」

「泣く女か……」

一瞬だが、ジークの脳裏にジャンヌの顔が過る。

「泣きはしないと思うが、心配はするかもな」

「そうかい。 でも、あの金髪の、なかなかの上玉じゃねぇか」

ニヤリと笑う南戸に、ジークはピクリと反応した。

「なんだと?」

「なに、ちょいと頼みがあるんだ。 俺が勝ったら……あのを一回だけ、俺に抱かせてくれねぇか?」

「……本気で言ってるのか?」

「当然だろ? あんな良い女、興味を示さねぇ男はいねぇって」

「そうか…良いだろう。 ただし俺が勝ったら、彼女には手を出すな」

「おいおい、強気で言うもんじゃねぇぞ? 相手は柳生だぜ、柳生。 オメェみたいなガキンチョが、簡単に勝てるとでも思ってんの?」

「勝てるかどうかは、実際にやってみないと分からない」

「はっ、そうかよ。 ほら、掛って来いよ」

挑発する南戸であったが、まさにその時だった。

ダッ!と、ジークは真っ先に突進したのである。

そして飛び上がると同時に、南戸の顔面へと一撃を叩き込んだ。

「んが!」

突然の攻撃に南戸は、その場で怯んでしまう。

「さっき、「お互い、顔面を狙うのはナシ」と言ったな? そして俺も、「構わない」と返事をしたが、先に謝っておく」

「へ?」

「すまない、アレは嘘だ」

この一言と同時に、ジークの猛攻が放たれた。

反撃の隙を与える事を許さず、南戸は手も足も出せない。

「うぐっ……」

ボコボコにされてしまった南戸であったが、内心でジークの強さに驚く。

「(こいつ…めちゃくちゃ強ぇだと!?)」

そんな彼に、ジークは鋭い眼つきで睨み、

「コレだけは、コレだけは言っておく。 彼女には、指一本触れるなァ!」

ドゴォ!という轟音と共に、トドメの一撃を叩き込んだである。

「(コイツ…下手すりゃ…東城さんレベルだ…ぜ……)」

ジークの圧倒的な強さに敗れ、うつ伏せになるように倒れた南戸。

「確かルールでは、先に相手の皿を割った方が勝ちだったな。 なら、俺の勝ちだ」

彼の後頭部にあった皿を奪い取ると、その場で割ったジークなのであった。





続く……。


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■作者からのメッセージ
南戸「えっ? 俺の出番、ここで終わり!?」

西野「全くお前は幼稚な。 人様の恋人にまで手を出そうとしたのが間違いだったな」

北大路「原作同様、東城殿にやられるよりは良かったと思え」

東城「全くですよ、この全身男性器」

南戸「そのネタ止めてくんない!?」
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