外伝その444『綱渡り8』


――日本は扶桑を都合の良い資源と人材の供給地と仕立て上げつつ、上手く政治コントロールをしようと目論んだ。だが、日本にはその実能力はなく、逆に日本側の優位性の薄さが強調される結果に終わる。それを認めない警察関係者や一部の自衛官らは扶桑を現代の武力で制圧、扶桑の体制を(皇室除く)解体し、日本の傀儡国家とする計画を立てていた。だが、扶桑軍が急激に近代化していき、頼みの綱のはずの軍事面での優位性が薄れた事、一騎当千の強者である歴代プリキュアが続々と転生してきたことで完全に破綻した。また、ドイツ連邦の政治的失敗も、日本が共存共栄政策に舵を切るきっかけとなった。扶桑の軍事力は『日本の憲法の縛りに囚われずに運用できる』。その利点を活かす方向に転換し、ドイツ連邦の失敗を尻目に、扶桑に最新兵器を続々と与えた。その成果により、リベリオン海軍空母機動部隊は史上空前絶後の規模を誇りながら、軽空母、護衛空母を潜水艦の誘導魚雷、ないしは護衛艦や航空機の対艦ミサイル攻撃で次々と損傷、喪失。正規空母も複数が損傷するに至った――




「敵エセックス級、炎上しています」

「上々だ。これで6隻目か」

「隊長、いかが致しましょう」

「うむ、我々の任務は敵空母を炎上させ、後方に下げさせることだ。深追いせず、引き上げよう」

自衛隊からようやく派遣されたF-2部隊は対艦ミサイル攻撃の命を帯び、出動を重ねていた。空母をドック送りにするのが仕事なので、重装甲の戦闘艦は相手にしていない。ダイ・アナザー・デイでは、海軍空母航空隊に夜間飛行技能がなかったため、夜間の空中戦闘はGフォースに丸投げであった。(それが問題視されたため、ジェット時代からは夜間飛行訓練もカリキュラムに入る)また、ウィッチであっても、夜間飛行技能に乏しい者が多く、太平洋戦争までに再訓練が全部隊で実施されるわけだ。また、ミサイルや誘導魚雷は節約しているため、ピンポイント攻撃に徹している。ウィッチ達の少なからずは開店休業になったが、この戦いでは『人を殺すことは必然的なもの』であるため、ウィッチは邪魔者扱いになり始めた。社会的に『穀潰し』扱いされるのも時間の問題とされたため、『別世界の勢力の排除』を謳う過激派が生まれるのも必然的であった。だが、ウィッチを期間雇用するメリットよりもデメリットの方が目立つようになってしまった事、 時空管理局の存在で、ウィッチ最大のデメリット『純潔を保つ』事も宮藤家の存在で『迷信』とされた。それが、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケが『錯乱した』要因である。




――では、なぜ、彼女が混乱の原因となったのか?キュアコスモは事後に改めての調査を命じられていた。圭子はある日に一つの仮説を立てた。

「あたしの年齢が25を過ぎてたからだな。元々、20代はウィッチとして『引退して久しいロートル』だ。だから、猫かぶったんだよ。素出しゃ、あのカタブツは危険視するだろうからな。ロンメルとモンティの懇願もあったが」

「最初から、素出しゃよかったのに」

「あいつと問題起こすなって言われてたんだっての。言われてなきゃ、あいつのデコに銃口をその場で突きつけてたぜ」

「あなたの伝説、どういうものだったの」

「42年頃のことだ。怪異相手に大暴れしてやったのさ、トブルクで。トマホークとゲッターマシンガンで。まぁ、ティターンズのアトミックバズーカよりはかわいいもんだ。あれは核兵器への恐怖を決定的にこの世界に植え付つけたが、敵は軍事的合理性を優先して、南洋のどこかに原爆を落とすだろうよ」

圭子は自分の活躍をそう例えた。ティターンズのアトミックバズーカよりはかわいいと。物騒だが、行った事はゲッター流の情け容赦ないもの。完全に高齢の元ウィッチに為せる業ではない上、あまりの情け容赦なさに、見ていた者達がシェルショックを患った結果、現実と扱われなかった。それも、公式記録にモントゴメリーが記さなかった理由である。だが、そのことがミーナに誤った判断材料を与えることになり、冷遇に繋がったのは、モントゴメリーへの最大の皮肉となった。扶桑の皇室が懸念を抱いていると伝わったことで、ミーナは司令部の構想の一つを潰してしまう格好となり、守りたかった部隊の指揮権を懲罰的に停止させられる。64Fの復活は事実上の『Gの教官配置』の代替的な措置であり、クーデターを経た後に位置づけが常設とされる(本来は『統合戦闘航空団の代替措置であり、有事の際に編成されるとされていた)。扶桑内部でも、この事変世代主体の『特殊部隊』への反発は大きかったが、敵の『数の暴力』の前に、少数精鋭を謳っていたウィッチ部隊は次々と後送される事態に陥っている。歴戦のエースでもない限り、三次元的機動は取れないのは、軍事的な空戦ウィッチの地位を低下させる理由の一つとなった。

「それ、皮肉ニャ?」

「ありえるだろ?それに、ヘルキャットやジャグとかのヤーボ(戦闘爆撃機)にも太刀打ちできない部隊が続出してやがるんだぜ?コックピットを撃てねぇガキしかいねぇからな」

圭子は元々は温厚な性格であったが、現在はガンクレイジーと自他ともに認める戦闘狂だが、理性はある方である。違うのは、倫理観がウィッチ世界からすれば、明後日の方向にぶっ飛んでることだ。

「世の中は綺麗事だけじゃやっていけねぇ。ゲッター艦隊じゃ、ダース・デス砲の射手した事もあるからな」

「星を腐らせる兵器ね。あなた、普通に撃ってたの?」

「やらされたんだよ、武蔵さんに。新入りの仕事だって。ゲッターに乗せてもらったのは、入ってしばらく経ってからだった」

圭子はゲッター艦隊にはそれなりに長くいたようで、ゲッター艦隊の指揮官格として活動している巴武蔵の量産体にこき使われる一兵卒から順当に昇進し、最終的にはエンペラーイーグル号の艦載ゲッターに乗れる立場の指揮官に選ばれていたと。エンペラーイーグル号に乗れることはゲッター艦隊では最高の名誉とされ、その指揮中枢にいる早乙女博士、流竜馬とも会話を交わせるほどの立場になっていたとも。これは竜馬との面識が生前にあったからでもあり、竜馬が呼んだのは、『使命を果たしてもらうため』と述べていたとも。

「竜馬さんは言ってた。お前を呼んだのは、使命を果たしてもらうためだと」

「使命?」

「ああ。綾香が泣いてたから、慰めに行ってやれとも。あいつ、大人ぶってても、本質は寂しがりでな。リョウさんも気になってたそうだ」

「綾香って、前世は二重人格状態の時期もあったというけど、その名残りにゃ?」

「多分な。だから、のび太が転生を選んだんだよ。のび太も様子が気になってるようで、それも転生を選んだ理由って」

「モテモテね」

「綾香はストイックに何かに打ち込むことで、幼少期の歪みを隠してるフシがあってな。転生してやった日の事だ。あいつ、だいしゅきホールドしやがってさ」

「寂しかったんでしょうね」

「で、それ以来、あいつの精神状態は概ね安定して、事情を同じ転生者だった姉御(赤松の事)に話して、姉御に面倒を頼んだんだよ。そうしたら、一人称が俺になってた」

「貞子はバンカラだからねぇ」

黒江の現在における性格は赤松の教育によるものであり、仕事の時に猫かぶりをしろと教えたためだと、圭子はいう。また、自身も姉御と呼び、頭があがらない事を明言した。

「綾香くんはサダコの秘蔵っ子だからな」

「大佐、いつこちらに?」

「今さっきだ。チャネリングを終えたばかりでな」

「誰とです?」

「どこかにいる同位体とだ」

ルーデルも話に加わる。同位体という単語を使うので、彼女も転生者の一人である。なお、同位体は同位体ではあるが、ハンナ・ルーデルとしての同位体ではなく、別の名を名乗る同位体である。

「同位体同士でチャネリングを?」

「私の同位体は日本の競走馬を経ているようでな…。話が弾んでね」

その競走馬とは、2010年代始めに活躍した競走馬であり、かのメジロマックイーンとサンデーサイレンスの血を受け継ぐ名馬『ゴールドシップ号』の事である。そして、そこから更に転生をした同位体と繋がりができたと教える。つまり、ウマ娘のゴールドシップは事前に『接触』が起こることを知っていて、そうなるように物事の流れを動かした事を意味する。

「チャネリングで得た楽曲を、綾香くんにデータとして渡したよ。あの子、すごく喜んでいたよ」

「チャネリングって…。そこまで便利なので?」

「向こうがノリノリで情報を渡してくれたのだ。名は……ゴールドシップとか言ったな」

「……大佐、日本一のぶっ飛びサラブレッドですよ、そいつ」

ゴールドシップ号のぶっ飛び具合は歴代随一である。ボス馬かつ、トーセンジョーダンと犬猿の仲、120億円分の売上の馬券を紙屑にした有名な事件、それでいて、当代最強クラスの競走馬であり、ステイゴールドの子としては最高の競走馬の一頭であった。オルフェーヴルに次ぐ実力者とも言われ、彼の子もオークスを制している。サンデーサイレンスの孫世代としては、まちがいなく最上級の一頭。

「どういうことだね」

「G1レースを六勝、それでいて、気分屋。妙に頭が良く、破天荒な性格で人気を博しつつも、実は1990年代以降の馬としては良血に属する…。良血から生まれた異端児ですよ…」

ゴールドシップは良血から生まれたにしては異端児な性格とも言われているが、実は祖父のメジロマックイーンによく似ており、マックイーンからの遺伝が強かったのでは?という憶測すらある。圭子はこの時点でさえ、ゴールドシップを異端児と評する。後に、本人と会った後は『ゴルシ』と呼び、親しくなるのである。

「異端児か。私の同位体らしい。いいことだ。いずれ会う機会もあるだろう」

ご機嫌なルーデル。彼女はこの頃から、ゴールドシップとチャネリングをしており、やがて、記憶の共鳴が起きる。後々、ゴールドシップがゲッタードラゴンを手慣れた手付きで動かせるのは、ルーデルから得た記憶のおかげであった。ゴールドシップはその頃、テイオーが最初の骨折を起こしていた時期を過ごしており、ルーデルとのチャネリングで、テイオーの史実を知ってしまうわけだ。彼女はチャネリングで得た知識でテイオーを支えていくが、テイオーは度重なる骨折で、心が折れかけてしまう。その時に連絡を受けたルーデルはフェイト・テスタロッサ・ハラオウンを動かし、ゴールドシップのいる世界を捜索させ、のび太とドラえもん、フェイトの三名が調査を正式に行ったことで、ゴールドシップが望む『変革』が始まるのである。

「大佐はまだ見ぬ世界の存在を?」

「プリキュアが転生してきた以上、未知の世界が多いのは感じている。夢原くんのいた世界はプリキュアの世界の派生世界だろう。基本世界では、ありえん出来事に逢いすぎている」

のぞみからの聞き取りで、のぞみは物語終了後に不幸が重なった世界線の住民であったのが確認された。朝比奈みらいたちからの情報と食い違いが多すぎるのである。また、シャーリーからの聞き取りで、キュアエールと初期世代の折り合いが悪くなる出来事も示唆されたため、のぞみ、シャーリーは『初期世代と新世代との間の世代間対立が起こってしまった世界線』を経ている事が確定している。他のプリキュアが諌めているが、紅月カレンを経ているためか、キュアエール/野乃はなの言うことを『いけすかねぇ』と言うなど、シャーリーは黒の騎士団時代の『友人と思った者の掌で踊らされた』事が未だに腹に据えかねている事、野乃はなの言うことが枢木スザクがブリタニアの軍人であった頃に言っていたものに似ていると感じているらしきフシがある。

「それと、シャーロット大尉の前世もわかった。紅月カレンだ」

「…あのガキ、コードギアスの世界の住人の経験者だったのか。通りで、號と初対面で殴りあったわけだ。合点がいきましたよ」

シャーリーが一文字號と初対面で殴り合った事、黒江とのび太に紅蓮聖天八極式を発注するなど、それっぽいのを薄々と感じていたが、本当に生まれ変わりだった。疑惑が確信に変わったようだ。ただし、キュアメロディでもあるので、黒江は「あれでプリキュアの経験者かよ。むぎのん要素も強いし」とため息である。なお、麦野沈利、アネモネの転生でもあるため、シャーリーの魂は元はアネモネで、そこから麦野沈利、北条響、紅月カレンを経た複雑な転生であり、レントン・サーストンの転生であるのぞみとの縁は意外に深い。

「うむ。夢原君もすごいぞ。レントン・サーストンだ」

「……エウレカセブンですか。カットバックドロップターンさせます?」

「魂が覚えとるだろうな。そうなると、リネット曹長もひいては……」

「エイラが発狂しますって」

圭子はため息である。部下が「コードギアス」、「エウレカセブン」の前世持ちであり、更に転生を重ねて、プリキュアに選ばれているとなれば、色々な問題もある。シャーリーの場合、麦野沈利が前世の一つなら、紅月カレン時代の不遇な家庭環境は麦野沈利としての行いの報いであり、罪を償うためにプリキュアに生まれ変わらせたのでは?という推測も成り立つ。そうなると、リーネの前世の一つも容易に推測可能となる。エイラが立ち入れない領域が二つ以上はある事でもある。

「ユーティライネン中尉は、リトヴャク中尉を好いていたな。だが……彼女の立ち入れん領域がリトヴャク中尉とリネット曹長にある事は分からせるしかないな。しかも、リネット曹長は両手に花だぞ、ケイくん」

「かたや、エウレカ。かたや、エーデルフェルト。反則気味の属性だな。お腹いっぱいになる」

圭子もため息だが、リーネは反則なほどに属性が多い上、ルルーシュの妹『ナナリー』の転生も経ている可能性もあるため、シャーリーとの縁も深い。サーニャ自身は派生世界におけるイリヤスフィール・フォン・アインツベルンなので、64Fは反則気味な転生者の巣窟であると言わざるを得ない。特にイリヤスフィール・フォン・アインツベルンとしての活動を始めたサーニャは、寝床をリーネの部屋にしている。芳佳が騒ぐと思いきや、角谷杏要素が強いので、からかう側。エイラはサーニャが変身して、リーネと共に行動することに憤慨しているので、最近はイリヤ、美遊と親しげに話すのぞみにつっかかっているという。なんとも中学生じみた行動であり、姉のアウロラは『妹は、恋愛については男子中学生並に奥手でして』と嘆いている。

「で、そのエイラは何をしているので?」

「今頃は夢原くんと模擬戦をしているよ。作戦も間近い。今一度、空中機動の確認をさせていてな。エイラ君の固有魔法はプリキュアの技にどの程度……お」

「あの閃光……。プリキュア・スターライト・ソリューションだな。あいつもなりふり構わずだな。この間の捕縛が効いてるようですね」

双眼鏡越しに、二人は、キュアドリームがこの時点での最強形態である『シャイニングドリーム』になり、スターライト・ソリューションを放ち、無数の閃光でエイラを蜂の巣にしようとするのを確認した。スターライトソリューションは把握されている『キュアドリームの技』では最大最強の大技。それをなりふり構わずに撃つあたり、エイラの未来予知は高く評価されていた。

「ふふーん、出る瞬間が読めれば、避けるのは楽勝ダナ」

エイラは元々、回避に定評があり、未来予知と組み合わせて、ニュータイプ並に避ける。閃光で敵を貫くスターライト・ソリューションであろうが、発射の間隔を予知することで避ける。

「当たったら痛そーダナ。こりゃ、近づくのはよそ……」

エイラは次の瞬間、ゾクッとし、振り返る。

「嘘だろ、今の一瞬で……」

「エイラさん。いいこと教えてあげます。未来世界の歴史に、あるボクサーがいました。そのボクサーのフットワークと戦いぶりは……」

――蝶のように舞い、鉢のように刺す――


1960年代ごろに名を馳せた伝説のボクサー『モハ○ド・アリ』の戦いぶりは大衆にそう評された。数十年後に生きるのび太もその名を聞いたことがあるほどの偉大なボクサーだった彼を表す標語であった『蝶のように舞い、鉢のように刺す』はいつしか格言となった。のぞみもその言葉を知っていた。そして、バラの力を得る前のプリキュア5の象徴は『蝶』である。

「まさか、今の技はフェイン……」

「前世由来じゃない技、食らってみます?」

「な……」

その瞬間、シャイニングドリームの拳を炎が包み込んだ。プリキュアとしての技ではなく、中島家の家伝である古武術を使った。その名も『草薙流古武術』。錦の肉体がのぞみの魂に馴染み始めたことで使用できるようになった手段。加減はするが、礼儀正しく『落とすため』に草薙流古武術を使った。エイラは軍人であるが、世代的に対人戦闘の訓練はあまり受けていない。そこがエイラが動けなかった理由だった。

「弐百拾弐式・琴月!!」

翼を用いての接近からの肘打ちでひるませ、そこから首を掴み上げ、腕から炎を奔らせ、爆破する。草薙流古武術の一端となる攻撃である。のぞみが対人戦で急激に腕を上げていった理由は『ティターンズの拷問がきっかけで、錦が継承していた草薙流古武術の記憶が解禁された』からというものである。後々に『双炎斬』も会得するに至るわけでもあるが、この第一歩であった。

「草薙流古武術か。錦の家はたしか、陽のほうだったな…。おもしれぇ事になった」

双眼鏡越しに微笑う圭子。エイラは炎のダメージで伸び、ストライカーも動作を停止する。ドリームはエイラをお姫様抱っこするのであるが、その様が凛々しいため、圭子はお得意の居合抜き撮影を瞬時に行う。アナログカメラを用いてはいるが、その早業は反則級だ。

「早いね」

「特技ですからね」

圭子の撮影した写真は即日で現像され、その翌日の連合軍発行の新聞で一面ぶち抜きに使われる。キュアドリームの存在誇示のための記事が添えられるわけだが、皮肉なことに、この類の連合軍の宣伝は日本ではあまり取り上げられていなかった。日本のメディアがプロパガンダの類を報道するのを嫌ったからだが、それが後に、のぞみの希望進路を図らずも妨げてしまう一因となる。のぞみが正規軍人の道をその後も歩む原因は、ダイ・アナザー・デイの戦況、連合軍の宣伝を日本の大手マス・メディアがそのまま報道することを良しとしなかったからであり、ある意味では不幸としか言いようがなかった。連合軍の必死の報道努力はある側面からは冷ややかに見られていた証でもあり、万事が上手くいくわけではないという事の証であった。



――キュアドリームの存在と、拷問からの生還は、『ティターンズという暴虐に傷つきつつも、自身を奮い立たせて、必死に抗う少女』という構図である。キュアドリームは元々、歴代プリキュア戦士の中でも『戦闘時には凛々しくなる』人物の代表格であったため、ダイ・アナザー・デイの時期にGフォースの自衛官であり、なおかつ、彼女の現役時代を知る者はプリキュアたちの助けになろうと奮闘する。たとえ、ティターンズの擁する南斗聖拳の餌食になろうとも。のぞみは自分が『プリキュア戦士のリーダー格』として扱われることを強く嫌ったが、ダイ・アナザー・デイ時点では正真正銘、事実上のリーダー格であった。統率力の高さのみならず、自然と『指揮官先頭』を実践している。その事実も綱渡り作戦に選ばれる理由であった。また、ティターンズがどのような暴虐を働いていたかを知る者は21世紀出身者であろうと、ティターンズを止めるために、Gフォースへの配属を希望していった。日本政府や官僚らよりも、ティターンズという組織の暴虐ぶりを知っていたのが、現場の自衛官らであり、市井の若者たちであるあたり、日本という国の歪さが表れていた。他国での非常事態を他人事のように考えてしまう政府や官僚の不手際の多さと裏腹に、連合軍の開示した情報を精査しつつも、憧れの少女らの力になりたい一心で、自衛隊に志願する者が2019年度から多く生じた。その翌年度から、Gフォースは部隊規模の拡大が認められたため、三自衛隊内のみならず、日本の市井からも隊員を募集し始める。プリキュアたちは奇しくも、扶桑の人員募集面の苦境を救う救世主となっていくのだった――



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