Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■246 / 1階層)  『魔』なりし者 第二話@
□投稿者/ RX -(2005/12/21(Wed) 23:45:34)
    2005/12/21(Wed) 23:46:24 編集(投稿者)
    2005/12/21(Wed) 23:46:19 編集(投稿者)

    第二話 パルセンにて@


    余り人気の無い街道をバニッシュは歩いていた、
    その後ろにはナナシが一生懸命追いつこうとがんばっている。
    そのことに気がついたバニッシュは、少しゆっくりと歩き

    「あぁ、すまねぇな。」

    と言って、ナナシの頭をクシャクシャと撫でる。

    「少し考え事をしていたんだ。」

    バニッシュの考えている事とは、昨日の事である。

    昨日・・・あの事件の後始末をしていた時に気がついたことがあった
    街が近いのにデーモンが単独で表れるのは稀である。
    しかも、馬車が壊されていたと言う事は中身に何か用が会ったのかもしれない。
    それを馬車の護衛達がもって森の中に逃げたが追いつかれ殺されたのは考えやすい。

    しかし、それではあのデーモンが求めていたような物が何も無い。

    気の毒なようだが、死体が何か持っているかも調べてみたが
    路銀や他愛の無い物ばかりだった。
    とすると、一体何が目的でデーモンは馬車を襲ったのだろう?
    あの場所でデーモンが求める物、それは・・・・・・

    「ナナシか?」

    思わずそう呟いてしまった、

    「ん?」

    ナナシがこっちを向いて何か用かと目で訴えてくる。

    「あぁ、いやなんでもない。」

    そういって、頭の中でまさかなと思う。

    きっと、何か用があって森の中へ入ってしまったんだろう。
    そして、あの事件に遭遇してしまったんだろう、
    と、かってに解釈をしておく事にした。

    (何しろ、男の子かと思ってたら女の子だったからな・・・。)

    そう思い、今日の朝方を思い出した。

    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

    あの後、死体を埋葬していたら日がくれてしまったのでバニッシュは
    小川の近くで一晩野宿をした。
    その翌日、汚れたままだった自分の服や顔、ナナシを少しでも洗う事にした。

    「おい、ナナシ。川でちょっと洗うぞついて来い。」

    そう言って、川の側まできて顔を洗った。
    水は透き通り、晩夏の水は冷たくすがすがしい気分にしてくれる。
    隣にナナシがきて同じように洗おうとしている。
    その時バニッシュは、
    (服も結構ぼろぼろだし、体も泥が結構ついているな・・・、幸い浅いしな。)
    と思い、

    「ナナシ、泥が結構ついてるから洗って来いよ。」

    と言って、服を脱がせ始めた・・・。

    「ん?・・・・・・Oh!My God!!」

    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

    (俺は悪くないさ、何しろよくわかんなかったんだからな・・・。)
    そう思い、自己弁護をしているバニッシュだった。
    (だいたい、ナナシも反発してくれればいいのになぁ。)
    とか何とか考えていると、ふと思ったことが有る。

    ナナシが、何か秘密を持っているのではないのだろうか?と。

    服を脱がせようとした時に反発しなかったのは慣れているか
    それとも、常識的なことを学ばされていないのではないか。

    ナナシが『何か』関係しているとしたら?
    あの馬車にはナナシが乗っていたのでは?
    護衛が守っていたのは物ではなくナナシなのではないか?
    デーモンは、ナナシを狙っていたのではないか?

    そういえば、普通人を殺す時は抵抗力の少ない者から殺すのが一般的だったような、
    中級デーモンにもなれば知能はかなり高く人間に擬態する事も可能である。
    そのデーモンが恐らくあの中で一番弱い存在であるナナシを先に殺さなかったのには
    何か分けがあるのではないだろうか?

    (・・・・まさかな・・・・)

    そう思い、ナナシを見る。
    ナナシは、まだ小さい。歳は10歳前後だろうか?と思う。
    そんな子が、『何か』に関わっているなどと考えたくは無い。
    子供は元気に笑ってるのが一番だと思う。
    (ナナシも普通の子供だろう、考えすぎか。)

    クシャクシャと頭をもう一度撫でる、

    「ん〜〜。」

    ナナシはうれしそうに目を細める、そしてニコニコと笑う。

    (ま、パルセンについたら教会か孤児院に預けるとするか。
     俺の仕事の報告ついでに、教会に掛け合って保護してもらおう。)

    そんな事を考えながら、小高い丘を登りきると海からであろういい風と潮の匂いがした。
    そして、大きな街が見え始めた。

    「お、ようやくついたな。あれがパルセンだぞ。」

    そういって、街に向かって歩いていった・・・。





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