Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■251 / 2階層)   『魔』なりし者 第二話A
□投稿者/ RX -(2006/01/10(Tue) 21:11:21)
    2006/01/10(Tue) 21:11:50 編集(投稿者)

    第二話 パルセンにてA

    |港町パルセンは、アヴァロン帝国北方に位置して第二の帝都と呼ばれるほど大きい街
    |だ。                                    
    |港からはヴァルフダリス共和国や東方諸国連合に行き来する大型商船や客船が   
    |ずらりと並んでいる。                            
    |また、冬になるとオーロラを見ることができ、南方からわざわざ見に来る人もいる。

    ガイガイワヤワヤ

    といった擬音が似合う大通りをバニッシュは歩いている。
    横ではナナシがバニッシュの袖をつかんではぐれないように必死になっている。
    そのまま歩いていき街の中央広場付近に着くとバニッシュは立ち止まった。
    (あーっと、教会はどこだ?)
    きょろきょろと見回しては見るが、それらしい建物は見当たらない。
    「教会なんてのは街のど真ん中にあると思ったんだがなぁ。・・・仕方ない。」
    そう言うと、ナナシを広場の花壇の側にあるベンチに座らせた。
    「ちょっと待っててくれよ?」
    と、ナナシに向かって言って自分は近くにいる人物に聞き込みに行った。


    「あの、すまないけど場所を教えてくれないか?」
    できるだけ綺麗な敬語を使ったつもりで俺は近くにいた人に聞いてみた。
    俺が話し掛けたのは現地民であろう恰幅のいいおばちゃんだ。
    「あら?結構いい男じゃない。何でも聞いとくれよ。」
    がはは、と威勢良く大きな声で笑っているおばちゃんだったが
    「有難う。教会を探してるんだが・・・?」
    俺が教会を探していると聞くと笑い声が止まった、そして、
    「・・・、あんたの探してる教会ってのは、どっちだい?」
    と俺の身なりや格好をじろじろ見ながら聞いてきた。
    「どっちって・・・、教会だよ。二つもあるのかいここの町は?」
    といって、俺は首をかしげた。
    (確か、依頼者の話では教会としか言わなかった、
             二つもあるなんて言って無かったよな?)
    仕方なく俺は、じろじろとこっちを見てくるおばちゃんに
    バックパックから依頼書を取り出して確認させる事にした。
    「ほら、この名前の人の方の教会だよ。
         ジェラルド=カスター神父って読むんだよな・・・、コレ?」
    自分で呼んどいてちょこっと不安になったりもしたが・・・。
    おばちゃんは名前を聞くとまたがははと笑い始めた。
    「ははは、すまなかったよ。カスター神父のほうだったのかい。」
    そう言って、背中をバンバンと叩いてきた。痛いんすけど・・・。
    「そうかぁ、カスター神父のほうかい・・・。よし、私が案内したげるから着いてきな!」
    そういうとくるっと背を向けて西のほうへ歩き始めた。
    「ちょっ、ちょっと待ってくれ!連れを呼んでくるから・・・っておお!?」
    そう言ってナナシを迎えに行こうとしたら後ろにナナシがいた。


    「なな、おおおお前何時から居たんだ?」
    俺がそういうと、先に行ってたおばちゃんが戻ってきて
    「何時からって、最初からあんたの後ろにいたよ?」
    と言って来た、はぁと溜息をつく俺
    「ちゃんと座ってろって言ったろ?」
    と、しゃがんで目線を合わせて少し怒った感じで言う。
    「あ・・、うう・・・」
    するとナナシは目に涙を浮かべて何度も頭を下げてくる、
    (参ったな、そこまで怒っちゃいないんだがな・・・。)
    「何いってんだい!あんたが悪いんだろうに!!」
    と、いきなりおばちゃんが怒ってきた。何故に?
    「知らない街で一人ぼっちにされちゃあ可哀想だし、不安に決まってるじゃないか!!」
    俺に向かって指を突きつけながら大きな声で怒鳴ってくるおばちゃん。
    (ああ、道行く人が何事かと俺を見ている・・・・。)
    「聞いてるのかい!!とにかくその子は何も悪くないよ!!」
    何故におばちゃんに怒られるのかはわからないが確かにナナシは悪くないと思い
    ナナシに向かって謝り始める俺。
    「そうだな、確かに俺が悪かった・・・。それに本当は全然怒ってなんかいないからな?」
    と言って、ナナシの頭をクシャクシャと撫でて、目じりに溜まった涙をふき取る俺。
    「な、悪いのは俺だから元気出せよ?」
    そう言って最後にぽんぽんと頭に手を乗せて立ち上がりおばちゃんに礼を言う。
    「なに、気にすることは無いさ。色々辛いんだろうけど子供に当たっちゃダメだよ。」
    と、またがははと笑うおばちゃん。
    確かにそうだなと思い深く頷く俺。
    「うんうん、こんなおばちゃんの言う事だけど・・・。」
    と言って、俺の背中をまたバンバンと叩いてくる。
    「頑張りなよ、お父さん。」

     ・・・・俺そんなに老けてますか?おばちゃん・・・・。




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