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■321 / 2階層)  鉄都史論 03、魑魅魍魎の宴
□投稿者/ カムナビ -(2006/07/26(Wed) 14:54:18)
    注)好評第三弾です(笑

    第三の視点:旧王国貴族出身特務情報将校&特務裁定官

    戦時の復興途上のこの街で、ここはある意味一番ミスマッチな部分だ。郊外にある白亜のホール内部には赤い絨毯が敷き詰められ、シャンデリアが煌々と光を放っている、それにあれは確かすでに製作のできる工房が文字通り消滅してしまった魔術楽器だろうか?たしか、父の書壇で刺し絵らしきものを観た憶えもなくもない。

    「まったく・・・やりすぎではないか?」

    まったくもってそう思う。いかにこれが政治というものだと解っていても、今のご時勢、こうゆうことに資金を割くべきではない・・・。いやその資金を得るための先行投資なのだというのはわかっているのだが。

    「しかし・・・・・」

    思わずその先を口に出そうになって、慌てて続きを飲み干す。観られては・・・いないな?下手な言葉は彼らに警戒心を抱かせかねない。私の任務はいかに彼らにそれを抱かせないようにすることなのだから。それでも、この仕事は毎度の事ながらあまり気分が乗らない。これならば、さっさと王国貴族の称号なんて捨てればよかった。まぁ、今更言っても遅いが・・・・・。とりあえず諦めとともに少し心の中で嘆息する。よし、今は自分の本分を果たすことにしよう。周りを見渡し、対象を探す。見つけた。こちらから近づいていくと相手も気付いた。

    「すいません、ヘル。・・・私、こうゆうもので・・・・」

    腹の探りあいの始まりだ。くそっ、いつか必ずやめてやる!

    舞台は反転し、暗闇の中ディスプレイに会場の様子が映し出されている。

    「ブラボー13、<スネーク・ヘッド>と接触を開始」
    「出だしは順調ね・・・・。監視を続けて」

    ホール自体の華びやかさとは無縁のホールの地下。関係者以外が立ち入ることの出来ないある空間。ディスプレイに、通信用の機材。それは相手の動きを常に監視し続けている。ふと、通信がつながる。要監視対象に対し監視を続けている即応部隊の一人からだ。

    『裁定官、<レイニィ・デイ>の従者の一人が動きました。追いますか?』
    「・・・・泳がせておきなさい、主人の手前騒ぎを起こすような真似はしないだろうけど・・・・いざとなったときの処理は確実に、ね」
    『ヤー』

    通信が切れる。それからしばしの時間が経つ。変化はとくに見られない。飽いたのか、裁定官と呼ばれた女性がふと呟く。

    「ねえ?今日は血がおいしそうな奴はいるの?」
    「・・・・・姐さん、今任務中ですよ?」
    「あら、私達にとっては当然の権利よ?ちゃんと仲間にならないように注意してるんだからひとりくらい味見したっていいじゃない」
    「・・・・・<スペード・クイーン>のお付のメイドさんくらいじゃないですか?姐さんのお眼鏡にかないそうなのは」
    「あっそ、じゃあいってこよ・・・」
    『緊急、状況発生!状況発生!判断要請!』

    吸血族らしい裁定官が試食(本人曰く)に出かけようとした瞬間、緊急を知らせるコールが鳴り響く。

    「ちェ・・・状況、知らせ」
    『報告、要監視対象<サンド・ストーム>の従者の一人が予備敵性行動。処置許可要請!』
    「予備、ね。処置を許可します。いいわね、処置よ?処理しないように気をつけなさい」
    『ヤーヴォール!!』

    人知れず闇夜の中で魑魅魍魎と戦うものが居れば、その反対に白日の下で言葉を使い、戦うものもいる。だが、どちらも日夜戦い続けていることでこの街は生き延び続けている。誰もねぎらってはくれないかもしれない。だけど彼らは確かにそこに存在し、今も戦っているのだ。

    あとがき
    どうもカムです。テスト終わりました。これで晴れて夏休み突入です。さてちょっとわかりにくい話ゆえにすこし説明を。
    舞台的には前の話から数年程度すぎてある程度、勢力が安定してきたころのお話。

    ・将校さんのお話
    斬りつけ、魔法を打ち合うだけが戦争ではない。そんなコンセプトのお話。もうちょっと話をつめるべきと思い、次の更新はこの続き的なお話にしようかと思ってます。いわゆる腹の探りあいです。アイゼンブルクは小国ですので、コート下のナイフを使う情報戦は必須です。その始まり的なお話にも当たります。なお、元貴族なのにも理由があって、外交的に舐められないための手段です。貴族は基本、貴族であたった方が話しやすいですし。ちなみに下の裁定官殿より個人的にはこっちの苦労人な将校さんのほうが好き(ぉ

    ・裁定官のお話
    上のお話の裏進行話。もっと血なまぐさい話でもよかったような気がするが、結局上みたいな感じで。ちなみに次回の更新でもうすこし出番があるかと。
    ちなみに登場設備は採算度外視設計ゆえにかなり割高。だからこうゆう場所に設置されているわけで。
    裁定官殿を気に入っていただけるとまた違う話を書くかもしれません。

    まぁ、こんな感じでどうでっしゃろ?では、また次回。
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