Release 0シルフェニアRiverside Hole

HOME HELP 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 検索 過去ログ

■461 / 6階層)   鉄都史論 07、謀略大陸
□投稿者/ カムナビ -(2006/10/29(Sun) 02:38:26)
    お久方ぶりです・・・実験で後期暇がないカムナビですぅ(ぁ

    第七の視点:<ナイルの賜物>計画交渉班

    「くそ、足元みやがって!!」
    部屋に入ったとたん、彼がそばにあったごみばこに激情をぶつける。
    「抑えてください」
    「わかっている、だがあんたは悔しくないのか!?人的・経済的支援も何もやっていない奴らが、いまさらリディスタ=デルトファーネルルートの追加だと!?ほとんどの作業をこっちにやらせておいてなにいってやがる!!」
    <ナイルの賜物>計画が着工して、20年・・・すでに王国領ライルフォートからアイゼンブルク領内への基本的な掘削作業は終了し、あとは細かい掘削作業と水門などの設備などを設置を行えば開通を行うだけという矢先・・・王国からの要請の形でリディスタ=デルトファーネルルート追加−直線距離でライルフォート=アイゼンブルク間の約70%ほどの距離−を打診してきたのだ。
    「王国もようやく水上運輸のコストパフォーマンスの良さが理解できたようですね・・・まぁ、それだけとは思いませんが」
    あくまで冷静に対処する。
    「何?」
    「本国では、今回の一件、王国側の謀略の可能性もあるという意見がでています」
    「謀略とは・・・穏やかではないな」
    自分が冷静なせいもあるのだろう。この軍人としてはひどく優秀な中佐殿−ローテシルト勲章(ミスリル銀製)を三度受勲−は話題が話題なだけにすでに自分を取り戻したらしい。
    「そうですね・・・疑うべき要因は大きく二つ。
    1つはご存知の通り通知のタイミングがあまりにおかしい点です。完成間際になって仕様を付け足すなんていかに王国がこの大陸西部ではそれなりの力をもつとはいえ、あまりに乱暴すぎます。国際信条から逸脱しすぎです」
    「ふむ、確かに・・・」
    うむとうなづく、さすがに冷静になれば頭の回転ははやいのだろう
    「第二に・・・失礼ですが中佐は、王国の諜報組織についてどの程度ご存知で」
    「さほど多く知っているわけではないが・・・王国監査官などか?」
    「では、昨年の武器密輸組織の一斉検挙劇覚えておられますか?」
    「ああ、久々のおおとり物だったな・・・私も市内警備に借り出されたので良く覚えている・・・だが、それが何のつながりがある?」
    さっさと核心を話せということなのだろう。少々いらいらしながらも煙管を取り出し彼はそれに火をつける
    「率直に申し上げます・・・その武装密輸組織は王国の監査官と通じていました」
    「なっ・・・!?」
    彼は煙管を落としてしまう。だが、その中佐を追い詰めるようにいう。
    まだ、おわりではありませんよ、と。
    「彼ら自体はさほどたいした技術の持ち出しができたわけではありませんが・・・彼らが王国に流した各種資料の中にとある資料が含まれていました」
    ぐびりとのどを鳴らす音が聞こえる。
    「ここ10年間のアイゼンブルク領内のアグリレポート、つまり食料自給率を含めた農業酪農関連の各種資料の写しです・・・あの資料の重要性はこの計画に携わっり、王国国内にある各種問題を専攻して研究したあなたならご存知ですよね?」
    沈黙で周りが包まれる・・・
    「なるほど・・・つまり、こうゆうことか。
    王国は、無理難題をあえて押し付けることで、それに対し反抗するであろうアイゼンブルクを、国内における反逆行為とでも題目つけて侵攻し、うちの技術・資産収奪をおこなうことで国内安定のスケープゴートにでもするつもり、というわけか」
    「王国国内の他の勢力・周辺国へのけん制もかねて・・・という面もあるようですが」
    「まぁ、確かに王国は国内にはいろいろあるしな・・・国力レベルでいえば持久戦に持ち込めばアイゼンブルクは落ちる。食料とかはネックだからな。
    いい手だ・・・血反吐を出したくなるほど手段としては汚いがな」
    「救いは、王国全体でこの動きをしているというわけではないということです・・・特に南部諸侯はこちらには友好的です」
    労働者の落としている金や運河完成後流通による経済効果のは計り知れませんしね、と続ける。
    「なら、打つ手はある、か・・・」
    「もちろんです・・・そこで、中佐、いえ大佐に1つお願いいたしたいことが」
    「いいだろう・・・聞こうか」
    ふん、汚いのは・・・こちらも一緒か・・・
    彼は目の前の年端もゆかぬ少女−アイゼンブルク王城府情報統制官−をみて彼は心の中で嘆いた

    こうして謀略の夜は更けていく・・・
    この後、双方の交渉の結果、リディスタ=デルトファーネル間の運河の建築は現状においては凍結されることなった。
    この背景において、この運河建設を強行に主張していた王国監査官が更迭されたということに当時交渉を成立させられなかったことゆえの更迭以上の因果関係があると思うものは皆無に近かった。



    お久方ぶりです、いわゆる情報戦・・・なんとなくイメージはハルノートと課っぽい感じですかね・・・
    というか忙しいので、また1月後くらいに。
    次はまた時間軸が大きく飛ぶかな・・・?
記事引用 削除キー/

前の記事(元になった記事) 次の記事(この記事の返信)
←鉄都史論 06、機械獣達の雄叫び /カムナビ 返信無し
 
上記関連ツリー

Nomal 鉄都史論 01、崩壊からのエクソダス / カムナビ (06/07/21(Fri) 18:16) #316
Nomal 鉄都史論 02、自由へのルーツ / カムナビ (06/07/23(Sun) 03:43) #318
  └Nomal 鉄都史論 03、魑魅魍魎の宴 / カムナビ (06/07/26(Wed) 14:54) #321
    └Nomal 鉄都史論 04、生存というための手段 / カムナビ (06/07/29(Sat) 12:36) #324
      └Nomal 鉄都史論 05、川の流れは『緩やかに』 / カムナビ (06/08/02(Wed) 11:28) #326
        └Nomal 鉄都史論 06、機械獣達の雄叫び / カムナビ (06/08/05(Sat) 13:44) #328
          └Nomal 鉄都史論 07、謀略大陸 / カムナビ (06/10/29(Sun) 02:38) #461 ←Now

All 上記ツリーを一括表示 / 上記ツリーをトピック表示
 
上記の記事へ返信

Pass/

HOME HELP 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 検索 過去ログ

- Child Tree -