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■326 / 4階層)  鉄都史論 05、川の流れは『緩やかに』
□投稿者/ カムナビ -(2006/08/02(Wed) 11:28:00)
    2006/08/02(Wed) 15:16:13 編集(投稿者)
    2006/08/02(Wed) 11:50:29 編集(投稿者)
    2006/08/02(Wed) 11:35:01 編集(投稿者)

    注)はい、どうも、件の小説もどきです。では第五弾ゆきます

    第五の視点:行政府・金融庁第2局局長

    「大運河・・・ねぇ」
    ぱらりと提示された資料に目を通す。
    ――現在の我らアイゼンブルクの領地域における農作物生産はすでに頭打ちであり、その一方で人口は伝統的な異種族開放政策のために、増える一方であります。一つの統計によればこのままのペースで人口が増え続け、農作物生産になんらかのブレイクスルーがなされない限り、50年後には自領域での食料自給率は30%以下まで落ち込む可能性がでてまいりました。(中略)そのため、この解決のために我々は王国領ライルフォート近辺よりリディスタを経由してアイゼンブルクにいたる大運河建設計画を提案いたします。――
    要約すれば、資料にはこんなことが書かれていた。
    「しかし、うちの部下や農業庁の連中はわかるがなんで君らが連名で私に提出するんだ?」
    彼は目の前にいる薄いブルーの制服―整備庁の職員―の集団(まぁ2〜3人だが)に問いかける。
    「まぁ・・・それは、聞いておられるでしょう1局と2・3局の対立を・・・」
    「ああ、そりゃな・・・」

    整備庁第1局と第2・3局の間には強い確執がある。
    なぜか?それは1局がアイゼンブルク内部の施設整備・建設を担当し、2・3局が外部の整備・建設を担当しているからだ。
    普通なら仕事内容は被りえないはずなのだが・・・アイゼンブルクの伝統的な内政充実政策が火種となった。
    1局が2・3局に対して、アイゼンブルク外延部の上下水道設備の建設を我々が請け負うといったことがすべての始まり。
    彼らにしてみれば、内部の延長である上下水道設備の整備にはもちは餅屋という理屈であったのだろう。
    だが2・3局は恐怖した。ただでさえ、自分達は内部重視の政策で仕事が少ないのだ、それを1局奪われたら?
    今後、2・3局の仕事がすべて奪われてしまうのではないだろうか?
    そうは、させるか。
    あとは上も下もてんやもんやの大騒ぎで、会議が沸騰し、一瞬即発の危機。
    最終的に仕事帰りの両者のグループが同じ酒場でかちあったことで、上司というリミッターが居ないことで、大乱闘に発達。
    幾人かの負傷者が出たところでさすがに、在位30年で典型的な協調主義者の現大公殿も動き、仲裁に入った。
    だが、いかにアイゼンブルクの全住民にとって神の言葉よりも効果のある大公の仲裁勅令といっても、すでにそうやすやすと確執は埋められないほどになっていた。
    ・・・それ以後、第1局と第2・3局の職員同士たちは同じ庁舎での職場でありながら、互いの事務室に通じる道にバリケードや警備を置いて、さながら冷戦真っ只中であるという。
    (・・・金のかかった問題だったらもっと楽に解決できるのだがなぁ)
    そう、これが単に献金のかかったそうゆうものだったらよかったのだ。首謀者を逮捕して、あとは組織浄化を行えばよい。
    だが発端となったことはともかく、それ以後は完全な職務遂行の誇りと誇りのぶつかり合い、こうゆうのは手がつけられないから難しい。
    さて、どう裁いたもんだか・・・派閥争いに巻き込まれるのは真っ平御免なんだがなぁ

    「んで、これはどっちからの提案なんだ?」
    「整備局1,2,3局からです」
    「ほう、なるほ・・・はぁ?」
    思わず、間抜けな声を出してしまった。
    なんだって?1、2、3局?おいおい、お前ら喧嘩真っ最中じゃねぇのかよ?
    「事実です・・・これを」
    3人が職員証を取り出して見せる・・・うん、確かに1,2,3局だ。しかも部長クラス、それなりのもんだろう。
    「一体・・・どうゆうことだ?」
    「どんなに戦争をと叫ぶものが多かろうと、平和をと叫ぶ者は消えない・・・そうゆうことです。」
    ・・・成る程、こいつらは現状を憂う主流じゃないハト派ってことか。
    感情論より理性を優先したか・・・そしてそれを全体にいきわたらせるための共同作業としての運河建設計画か。
    だが、部長クラスの決定とはいえ、各部署の局長クラスの許可がない限り、予算を回すことは・・・
    「局長クラスの捺印ならここにあります。」
    ・・・準備のよろしいことで。
    「わかった・・・整備計画の詳細と見積もりをまとめて、こちらに送ってくれ」
    そういうしかなかった。


    一月後の緊急予算会議にて、大運河建設計画、通称<ナイルの賜物計画>はアイゼンブルク第8次整備計画内部に予算を盛り込まれた。
    これが後に30年以上に及び、後世の建築家に絶賛される大運河建築計画の始まりだった。


    あとがき
    さて、時代が一気にとんで前の話から200年後くらいのお話です。このころになるとさすがに今の王国や帝國に通じる国家も完成して、アイゼンブルクも王国内の自治国的な存在として、組み込まれております。(まぁ王国は北部がまだほとんど開拓されず、帝國も今の版図よりかなり狭いですが)あと途中で何か聞き覚えのない町の名前が出てきますが、アイゼンブルクの西部の大河沿いにあるという設定だけの街です。名前も仮定です。
    さてはて、また魔法色が全然ないお話です(爆
    計4回ほどにわたってこのお話を続けるつもりです。
    次のテーマは・・・重機と外交ですかね?
    WW2前のドイツとソ連の戦車開発の蜜月について復習しつつ、次回へ続く(笑

    ではではー、次は土曜か日曜あたりを目安にー。ただ一度母方の実家にゆく可能性もなきにあらず・・・それと13日は夏の祭典へ行きますので、更新はなしの方向です。ご了承ください。
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