Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■176 / 5階層)  蒼天の始まり第十二話C
□投稿者/ マーク -(2005/04/03(Sun) 18:44:25)
    『マナクリスタル』




    「お姉ちゃんは?」
    「気絶してるだけみたいだ」
    セリスたちはとりあえず生きていた騎士たちを縛り上げ、
    看病してもらっていたアルテの元に駆け寄った。
    セリスも姉、エルリスからある程度は聞いていたとはいえ、
    初めて目の当たりにした
    あの力に驚いていた。
    そして、その存在を自分の所為で姉が背負っていることに
    セリスは気付いていた。
    また、エルリスがそれを知られないように嘘をついている、
    姉の優しさも分かっていたからこそ知らぬフリを続けていた。
    だからkそ、セリスは自分の魔力のことなんかよりも精霊のこと、
    バルムンクに会うことを優先させていた。
    「まっ、これでひとまず一件落着だな」
    「・・・・・」
    「どうしたんだ?ユナ」
    「ユナ?まさかユナ・アレイヤ?」
    シンクレアはお互いに名を知らなかったらしい。
    それを姉から聞いていたことを思い出し、
    アルテがサラの正体に驚いていることを理解した。
    「そうよ。で、ミコト・・・じゃなくてシリウスの勘が外れたんだけど」
    「シリウスの勘が外れたというのは変だね」
    アルテたちのいう感じではミコトの勘というのはほとんど外すことが
    ないという風に聞こえる。
    確かに、ミコトの勘は妙に冴えていたがそれだけでここまで信用して
    いいものなのだろうか?
    そんなセリスの考えを無視して、話は進められる。
    「それで、念のため聞きたいんだけど。
    このあたりに、この谷一個を吹き飛ばせるようなSクラスの
    オーパーツはある?」
    アルテはその豊富な知識と経験でシンクレアを幾度となく救った。
    その所為で、アルテは吟遊詩人では妙齢の女性、下手をすれば
    異種族の長寿の女性といわれることもあった。
    もっとも、異種族という話は今の王国の異種族差別の所為で
    今ではほとんど聞かされなくなった。
    ミコトもアルテの年と経験の矛盾に疑問を持ち、エルフではないかとも
    疑ったりもしたがそれはまた、別のお話である。
    「少し待ってくれ。・・・そうだな、確かに1つある。
    だが、これは―」
    「これは?」
    「不味い」
    そういって、今にも駆け出そうとするとユナが腕を掴む。
    「どういうこと?こっちは竜の巣よ?」
    「急がないと不味い。聞きたいならついて来てくれ」
    そういって、アルテは手を振り払い駆け出した。
    「ああ、ちょっと!?
    ―まったく!!セリスも乗りなさい」
    そして、ユナは使い魔を出してエルリスを竜に乗せ、セリスに声をかける。
    「えっと・・・」
    「早く!!」
    「ハッ、ハイ!!」
    慌ててセリスが竜に乗り、
    「俺は?」
    「先行くわよ」
    「ああ、待て!?」
    クロアを置いてアルテを追いかけた。







    「で、どういうこと?」
    先に出たアルテの右隣にはユナたちが、左隣にはクロアが追いつき、
    定員オーバーであるためもう一方のユナの使い魔が出されそれに飛び乗る。
    「あるにはあるがそのオーパーツの動力が問題なのだ」
    「動力?」
    「そう。動力はM・C(マナクリスタル)」
    「って、まさか!?」
    「もしかしたらあの騎士隊は囮。本命はマナクリスタルの奪取かもしれない」
    「・・・・でも、M・Cなら協団にも保管されている筈」
    「そう。だが、これはM・Cが多ければ多いほど出力が増える。
    それにこのまま撃ってはここにあるM・Cも失われるだろう」
    「・・・こっちを撃ってこないのはM・Cがまだ奪取できてないから?」
    「そう考えたいけれど・・・」
    そして、今までより拓けた場所に出る。
    「遅かった・・・」
    見渡せば、周りに竜や人が多数倒れている。
    それが人に化けた竜か、王国の人間かは分からない。
    しかし、囮はユナたちの妨害で囮の役目をこなせなかった筈。
    ならば、ならばここに住まう竜族全てを相手にしたことになる。
    まともに考えればそのようなこと出来るはずがない。
    だが、それは現実に起きていた。
    「グッ、何者だ・・」
    谷に掘られた穴から体を押さえながら現れる老齢の男。
    「この谷の長だ」
    竜は人の姿を真似して、暮らすものもいる。
    そして、その姿は実際の年齢、力とは比例しない。
    だが、それを一目で分かったユナとアルテはいったい何者なのか?
    さらなる疑問がセリスの頭に浮かんだ。
    「今代の剣の王です」
    「同じく竜の王よ」
    「・・・なるほど。その身に宿りし人にあらざる力はそれゆえか」
    剣の王、竜の王・・・それが何を意味するかセリスは勿論クロアも
    そして、今はいないミコトも分からないことだ。
    だが、なぜかセリスは自分でも不思議なほどすんなりとその名を
    受け止めた。
    「M・Cは?」
    竜の長は静かに首を横に振る。
    「そう・・・ですか」
    「申し訳ありません」
    そうして、アルテは王女に王の愚かな行為を止めるように頼まれていた。
    だが、それを止められなかった自分の無力さを悔やみ
    竜の長に深く頭を下げる。
    「お主が何故謝る?」
    「えっ、私は王国の・・・・」
    予期せぬ言葉に困り、何を言うべきかと返答に吃する。
    「うっ、くっ。
    竜を襲ったのは・・・魔族だぞ?」
    「なん・・・だと?」



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