Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■101 / 7階層)  空の青『列車編』そのB
□投稿者/ 黒い鳩 -(2004/12/21(Tue) 18:09:59)
    2005/01/03(Mon) 15:33:19 編集(管理者)
    2004/12/22(Wed) 06:29:49 編集(管理者)
    2004/12/21(Tue) 18:15:25 編集(管理者)

    エルリスがジュースを買いに出て行った後、セリスは命に話しかけるかどうかで迷っていた…
    流石に先程の胡桃のタルトの件もあって、たかったみたいでちょっと話しかけ辛い…
    きっかけを探して外を眺めていると遠くを飛んでいく影が見えた…

    「命…なんかが空を飛んでるみたい…」
    「え? ああ、ほんとだ…エルリスも何か見た風だったけど…あれは…」

    命が空を見て不思議がる…
    セリスには何故不思議がるのか分からなかったが、空に見える影は奇異なものらしい…
    だが、セリスには命に聞いておきたい事があった…
    会話が途切れる前にと、続けて話し始めるセリス…

    「ねえ、命…ボク聞きたい事があるんだけど…命が姉様とケンカするのってボクの所為?」
    「…どうしてそんな事聞く? 私は唯エルリスに勝ちたいだけ…別に他意なんて無いよ」
    「でも…やっぱり…10年前の事が…」
    「…それは…」

    セリスの言葉に命が言いよどむ…10年前の事件…
    セリスが始めて魔力を暴走させた時の事…
    あの時、現場には四人の子供がいた…
    男の子一人と女の子三人、元気よく遊ぶセリスと命…
    どこと無くお姉さん風を吹かせるエルリス…
    そして…もう一人…

    その男の子とは10年前以来会っていない…
    その事があって直ぐ、引っ越して行ったからだ…
    だから余計10年前の事は三人の胸に残っている。
    ふとした事で血を噴出す古傷の様に…

    それ以来、セリスは家を出なくなった…
    なぜなら彼女の暴走は、
    10年前の時点で既に半径1km圏内を消滅させるほどの魔力量であったからだ…

    命もその事は良く知っていた…
    そして、彼女達は皆少年の事が好きだった…
    それは恋愛感情では無かったのかもしれない、
    だが少年が町を出ていった原因を作った姉妹にわだかまりを持たずにいられたとは思えない、
    そう、セリスは言っているのだ…

    「10年前の事は…正直少し気にはなっているよ…でも私は純粋にエルリスより強くありたいと思っている…それはもしかしたら、この剣の因縁よりも強い欲求かもね」

    そう言って命は空を睨むようにそして何かを懐かしむ様に表情を変えた…
    セリスにとって時には姉のように時には友人のように接してくれる命はかけがえの無い存在だ…
    そしてセリスにとってエルリスは命と引き換えにしてでも守りたい宝物とさえいえる。

    「でも、命と姉様が争う所は見たくないよ…」
    「それは、別に普段からいがみ合おうとなんて思ってないよ、だから安心してくれて良い」
    「本当?」

    セリスは心から二人が仲良くいられれば良いと思っていた…
    その為に例え自分が死ぬ事になっても…いらない子供に過ぎなかった自分の命で何とかなるものならば…
    セリスが子供のような行動をするのは、実はそういった心の隙間を無意識に埋めようとしているのかもしれない…

    「あ〜分かった! 分かった! 少なくともリディスタに着くまではそんな事しないから、それで勘弁して!」
    「るぅ、どうせならずっとそうしてよ〜」
    「そうもいかないの!」
    「もう、命の意地っ張り!」
    「…ふう」

    命もまさかセリスにここまで言われるとは思わず、タジタジになって突っ伏した…
    セリスはそれでもまだ何か言いたそうだったが、次の瞬間表情が凍りついた…

    「何か来る!」

              ドゴーン!!

    セリスがその言葉を言い終わる前に列車が強い振動に見舞われる…
    命はとっさにセリスを押し倒しながら床に伏せた、

    列車の窓を割りながら四つの影が列車内に飛び込んでくる…
    (まずい、盗賊の類か…一体何が狙いなんだろう…だけど、ここの四人だけなら…)
    そう思って命が飛び出そうとしたが、セリスがそれを止める…

    「セリス…一体どうしたの?」
    「姉様武器を持って出てない」
    「それ位エルリスは自分で何とかするわよ」
    「でも、外からも狙ってるよ?」

    そう言って窓の外を指すセリス、命は嫌な予感が広がるのを抑えつつ外を見た…
    そこには、ガンシップが浮かんでいた…銃座の一つが命たちのほうを向いている…

    「そういう事は、早く言いなさいよ!」
    「だって、聞かれなかったもん! それに間に合わなかったでしょどの道」
    「それはそうだけど!」

    ドゴーン!! ドドーン!! ゴバーン!!

    そういいながら二人は全力で走り出す…
    数初の弾丸が命たちに向けて放たれたが彼女達は転ぶように逃れる…
    それた弾丸は列車の床部分をえぐり穴を穿つ…

    「派手にやってくれちゃって…私がやられっぱなしになるとは思うなよ!」

    命は気をねってからガンシップの銃座に向けて居合いで一閃した…
    すると、剣が届く訳も無い距離にいたはずのガンシップの銃座は小爆発を起こし砲塔が吹き飛ぶ…

    「一閃『裂空』」

    命が剣を鞘に納めると同時に技の名前を言う…
    昔セリスにせがまれて良く技の名前を教えていたのだが、完全にクセになっていた(爆)

    振り向きざま命は、再度突撃をかけようとするが、賊の一人が前に出てくると同時に動きを止めた…
    その男は独特の雰囲気を身に纏い周囲を圧していた…
    金髪碧眼、大柄な体格、典型的帝国人の特徴を持つが、日に焼けた顔色をしている…
    命はその男が何者なのか分かっていた…相手がガンシップを持っているなら軍か、他国の密偵か、もしくは一部の大貴族か、後残るのは…
    空賊、今は一つしか存在しない空賊団…どこかで連邦と繋がっているという噂もある…
    男は、命も前まで来ると轟然と言い放つ。

    「中々面白い芸を使うサルだな…だが、この俺のガンシップを傷つけてくれるとは…きちんと反省させなきゃならんな…」
    「いきなり出てきて人をサル呼ばわりとは、全く歴史の浅い所に住んでるモグラは脳みそも浅いみたいね…」

    二人の視線が絡み合う…
    二人は同時に一歩引きニヤリと笑みの形に口元を歪め構えを問える…
    命は納刀して抜刀術の構え…
    相手はボクシングスタイルをとる…

    「まさか、居合い相手にボクシングで何とかなると思っている訳じゃないでしょうね?」
    「サルの相手は素手で十分さ…」
    「…そんな軽い挑発に引っかかるほど精神が柔だと思われてるなんて不愉快だね…モグラは地面の中で過ごすから目が退化してるんだろ?」
    「ククッ」
    「フフ」

    二人は同時に飛び出し、互いに向けて疾走する…
    命は一瞬抜刀しようとするが、横に回転しながら飛びのく、命がいた場所を男の足が通り過ぎていった…
    靴の先には仕込みナイフがついている、男が足を繰り出す為に体勢を変えた瞬間に命が気付いたからよかったもののそうでなければ切り裂かれていたろう…

    「なかなか癖の悪い足ね…」
    「ふん、貴様も気付いてよけるとはな…」
    「あら、サルっていってる余裕が無くなった?」
    「言ってろ」
    「そうね、でももうお仕舞い」
    「何?」

    命がそう言うと同時に、男の服がバラバラに吹き飛ぶ…体の表面に数条の傷跡を残してはいたがほぼ完璧だ…

    「なっ…まさか!? さっき転がって避けた時か?」
    「実力差が分かった?」

    そう、命は抜刀していた、横に飛びのきながらながら男に切りつけていたのだ…
    そのスピードは男の視認出来ないほどと言う訳ではなかったが側面に回りながら切り付ける事で相手の死角からの攻撃となったのだ…

    「くそ! 覚えてやがれ!」
    「いつきても同じだし、一々憶えてらん無いよ」

    命は相手の捨て台詞に律儀に反応していたが、不思議に思う…
    彼女も知っていた…クラウ・ノルズがどんな存在であるのかを…
    あんな男の訳はない、何故なら強さもさることながら、連邦の重要施設を襲撃するほどの男なのだ…
    こんなずさんな作戦を練るとも思えなかった…
    それに…あのガンシップ本当に連邦製の物だろうか?
    だが一味の人数は多いらしい…この車両以外にも多数の人員が配置されているようだ…

    「命やったね♪」
    「ううん、不味い…このままじゃ応援がどれだけ来るか…」
    「うん、結構人数いるみたいだね…だったら」

    セリスは何か悪戯を思いついた様な表情をしていた…


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