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■249 / 16階層)  空の青『学園都市編』そのB
□投稿者/ 黒い鳩 -(2005/12/27(Tue) 12:18:41)
    2005/12/27(Tue) 15:20:00 編集(管理者)

    「君たちどこから来たの? あっ言わないでも分かる、そのイントネーションは王国の人間だね?
     王国の人間は割りと古風な言い回しする事が多いからさぁ、割と分かりやすいんだよ、知ってた?
     色白いねー、やっぱ北のほうの出なんでしょ? 妖精領とか近いんじゃない?
     見た感じ身長は二人とも164cmくらい、エルリスちゃんがB86W54H87セリスちゃんはB85w52H86って言うところかな?」
    「大正解よ!」

    ボゴ!

    ルスランはボディにいいのが入って悶絶中。
    もう、人が気にしてる事をさらりと言ってくれちゃって…
    あぁ、cmは十数年前から広がってきた単位の事。
    何でも光の速さを逆算して3億分の一を1mその百分の一を1cmという。
    連邦が単位の統一化をした関係で、長さは一本化しようという考えがまとまってきたみたい。

    で、私たちがなぜこの金髪軽薄男に捕まって喫茶店で訳の分からない話まで聞いていたかと言うと。
    この男は、学園に入りたいんだったらいい方法があると言ってきたからだ。
    私たちは激しく胡散臭いので警戒していたが他に何か知っている事があるわけじゃない、
    仕方ないので喫茶店まで付き合う事にした。
    少しおなかが減っていたのも事実だけどね(汗)

    それで、中に入って注文を済ませた直後にあんな事を言われたので、思わず私は肘を叩き込んだ。
    こうまで決まるとは思ってなかったけどね…
    このルスランって男は見た目とは裏腹に実力を秘めてそうに見えたんだけど…
    私も勘が鈍ったかしら?

    それは兎も角、事実としてよく発作に襲われるセリスは私より線が細い。
    とは言っても私も細い部類に入ると思う。
    私たちくらいだとウエストは58〜61くらいが丁度いいらしい…
    もっとも、体重は私とセリスでは随分違いがある、剣なんかを振り回している所為か少し筋肉で重い私と
    ハーネット家の屋敷の中から出られなかったセリス、この違いは大きい…
    はぁ、やっぱりそれでも気にはなるのよね…
    だって、バストサイズ、トップとアンダーの差で負けてるもの…(汗)

    「姉様?」
    「え? ああごめん…」

    セリスがスプーンを口に運びながら聞いてくる。
    セリスは入った途端にプリン・アラモードを頼んで食べ始めた…
    昼食をお菓子にしてどうするのよ、と心の中で突っ込みつつも
    幸せそうにしているセリスを見ると何もいえなくなってしまう。
    セリスも別にプリンとかを食べてなかったわけじゃない、私が買い込んできたことも多かったし。
    でも、外で食べるという行為自体がこの旅に出て初めてなのだ。
    だから、喫茶店の料理というのも結構珍しいのかもしれない。

    「それで? どうやって学園内に入ればいいっていうの?」
    「ははは…せっかちだなぁ、そういう事はもう少しお近づきになってから、グオ!」

    いつの間にか復活していたルスランに質問を投げかけたら、背中に手を回そうとしてきたので捻りあげる。
    何となく、こいつの性格が分かってきた…だとすると学園内に入る方法を知っているというのも怪しい…(汗)

    「本当に知ってるんでしょうね?」
    「アダダ!! 知ってるって! 男前嘘つかない! いやマジ! 離して! でないと死ぬ!!」

    大げさに痛がって見せるこの男を見ていると本気なのかどうなのか疑わしく見える。
    しかし、先ほどから私がしている行為は騒がしい物だと自覚しているんだけど…
    周りはルスランを見ると【あぁ、またか…っ】ていう顔をして無視を決め込んでいる。
    相当の有名人みたいね(汗)

    「姉様そのくらいにしてあげなよ、喫茶店の支払い持ってくれるんだし♪」

    私がルスランを見るとものすごい勢いで首を縦に振っていた。
    しかし、さっきツケを払えなかったこの軽薄男にそれが出来るのかは激しく疑問な気がする(汗)

    「ああ、金があるのか疑問なんだろ? 大丈夫、丁度今日は金があってさ、だから追いかけられてたんだよ」
    「それもどうかとは思うけど…」
    「とっとにかく、ここの支払いは心配要らないって、だからいい加減腕捻り上げるのはヤメテー(泣)」

    う〜ん、まあ普通のナンパな人間なのかな〜
    いや、あのツケや、変なのを見ればそう出ないことは分かる、それに私達に声をかけた時も異常な速度だったし…
    ただ、見た目はどこぞの貴族の坊ちゃん風なのよね…(汗)
    だから、よけい読みにくいんだけど…

    「わかったわ、でも次に同じことやってはぐらかしたら、帰るからね?」
    「うっ、分かったよ…せっかちだなぁ…
     でも、そんなに急いでもいい事無いぜ?
     学園都市ってのは、基本的に全ての国に対して軍隊を向けられ続けているんだ、
     学園内は四大国の首都並かそれ以上の防御手段が施されている。
     偽の学生証なんて役に立たないし、忍び込むなら東方のニンジャでも辛いだろう。
     そんな所に入り込んで何をしようって言うんだい?」
    「ふ〜ん、ただのナンパって訳でもないんだ…でも私達がそれを教えると思う?」

    急に真面目になったルスランに私は戸惑ったが表情には出さない。
    やはりただのナンパというわけでもないみたいね。
    でも、なぜ私達に接触してきたのかが見えない。

    「なかなかクールな娘だね、でもさ、名前も聞いてないんだけど?」
    「教えてもいいものならね、貴方に教えたら家まで来そうだし…」
    「うっ…(汗)」

    やっぱり…
    隣でプリンからスパゲティーに移るという不思議な食べ方をしているセリスを横目で見つつ、ため息をつく。

    「そろそろ、帰ろうかしら…」
    「えーまだ食べてないよー姉様もうちょっといようよ」
    「太ってもいいの?」
    「うっ」

    セリスは太る事を気にしているのに良く食べる、まあ家にいた時の反動ね。
    最近は体重の増加に悩んでいるようね…
    宿毎に体重計は微妙に違ったりするから信用できないんだけど…

    「わかった、分かったよ、さすがだね…君には完敗さ」
    「?」

    私達が帰る準備をはじめていると、ルスランはあわてて声をかけてくる。
    私たちを引き止める手段が無い事に気づいたのだろう…
    はぁ、やっと本題に入れそうね…

    「それで、どんな事を教えてくれるの?」
    「なぁに、簡単な事さ」

    そう言って、ルスランが見せたのは二枚のチケットだった…
    瞬間私は腰を浮かせかけるが、よく見ればそれは…

    「そう、これはリュミエール・ゼロの学園祭チケットさ。
     丁度一週間後から三日間、その間だけはこのチケットで学園内出入り自由っていう事」

    なるほど、確かに学園祭ならチケットさえあれば出入り自由ね…
    でも、ただでくれるわけも無いわね…

    「条件は何?」
    「俺とのデート…って言うのは嘘! 嘘だから! そのワキワキとした腕の動きをやめて!」
    「もう一度だけ聞くわ、条件は何?」
    「はぁ、じゃあ、学園祭中の武闘大会俺と組んで出てくれないか?」

    私もできる事ならやるつもりでいた、しかし、あまりに唐突な要請はなんだろうと考える。
    <武闘大会>とは、学園都市の学園祭三大大会の一つで、魔術士の魔法大会、戦士の剣闘士大会を一緒にした一大イベントである。
    人死にが出ないように結界や武器の鈍化など制限は多い物の、それでも毎年病院送りになる者が後を絶たない。
    そんなイベントに唐突に私たちを誘う理由が見えなかった。

    「いや〜、何か一つは俺も出なくちゃならないんだけどさ、残ってるのはこれくらいだし、数合わせでいいからさ?」
    「そうね、戦闘に積極的に参加しなくていいのならいいわ」

    私たちの目的を考えるなら下手に目立った行動は避けたいし、私もセリスも体質のことがばれたらちょっと不味いことになるしね。
    出きれば、そういうのには出たくなかったんだけど…

    「うんうん、じゃあチケットは渡しておくから、当日迎えに行くよ、宿はどこ?」
    「結構よ、当日の朝にここで待ってて」
    「えー? それじゃ、来るかどうか分からないじゃないか!」
    「私たちは約束は守るわよ。貴方と違ってね!」
    「グギャー!!」

    最後にとばかり腰の下に手を伸ばしてきたルスランの腕を捻りあげておいた。
    懲りないわね本当に…

    「それじゃ行きましょ」
    「うん姉様!」

    私はヒクヒクしているルスランを尻目にセリスと一緒に喫茶店を出て行った。
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