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■315 / 18階層)  空の青『学園都市編』そのD
□投稿者/ 黒い鳩 -(2006/07/19(Wed) 16:40:08)
    2006/07/19(Wed) 23:34:15 編集(管理者)

    リュミエール・ゼロ内は凄い賑わいで、足の踏み場もないような有様だった。
    私達はあまりの人ごみに呆然としながらも、ざっと学園を見て回る事にした。
    メグミ先生がついてきてくれたので比較的楽に回る事が出来るのは行幸ね。
    でも、リュミエール・ゼロの敷地は広大で一日では回りきれそうに無い。
    さて、どうしようかしら?

    「で、次はどこにいたいの?」
    「そういえば図書館ってここいくつあるんですか?」
    「図書館ね、確か5つほどあったと思うけど」
    「5つですか?」
    「ええ、一般書籍と、歴史書、魔術書、科学及び魔科学書籍、後は……立ち入り禁止区画だから関係ないでしょうけど」
    「噂の禁書図書館ですか?」
    「噂って……まあ、デマの類が飛び交っているのは事実ね。あそこには、学園でもごく一部の人しか立ち入れないのよ」
    「そうなんですか」
    「まあ立ち入れないとは思うけど、入れても入らないほうが身のためだと思うわ。
     何せ、本自体に呪いがかかっている書籍も多いから、魅入られれば死ぬわよ?」
    「それは、怖いですね(汗)」
    「中にはくだらないゴシップで国から禁止されたとか、残酷な描写が過ぎた小説だとか、その……女性には言えない本もあるらしいわ」
    「おお! それは伝説の!!」

    ボスッ!!・・・ドテ

    何か鈍い音とともにルスランが沈没する。
    メグミ先生の額には血管が浮いている。
    それだけで本の内容が分かってしまった(汗)
    でも、つまり禁書図書館は公開できない本の集積所の意味もあるらしい。
    禁呪の図書館なのかと思っていたけど、確かにそれ以外にも禁書はあるわよね。

    「じゃあ、次は……」
    『学園主催武闘大会第一回戦を行います。試合会場は……』
    「あっ」
    「そろそろ時間か」
    「もっと見たかったよー」
    「また明日も見れるじゃない、それよりルスラン。試合会場はどこなの?」
    「え? エルリスさん達も出るんですか?」
    「はい、少し約束しちゃって」
    「ルスラン君、また学園祭に無理やり連れ込みましたね?(怒)」
    「えっ、いや、そんなわけ無いじゃないですか! お嬢さん方が来たいって言うから、ちょっとお願いしただけですって!」
    「本当でしょうね?」

    ルスランはまたメグミ先生にヤキを入れられそうになっていた。
    ルスランは私たちに必死でアイコンタクトを送ってきている。
    無視しても良かったんだけど、それも可哀相なので少しだけ助け舟を出すことにした。

    「メグミ先生、一応彼が試合をして私は数合わせという事になっているので、試合前にダメージを負わせるのはどうかと」
    「あら、そうなの? じゃあルスランには盾になってもらわないとね、じゃあ、今回は許してあげます」
    「ふぅ助かった。ってでも、俺盾っすか?(汗)」
    「うん、そうだよールスラン君盾ー」

    セリスも楽しそうにルスランをいじめている……もしかしてルスランってばいじめて君なのかしら?
    考えてみればそういう行動が節々に見られる気もするわね(汗)

    私達はメグミ先生と分かれて、試合会場の一つにやってきた。
    何でも第一試合は16試合あるそうなので、8つの試合会場で2回ずつ行うらしい。
    そして、今日はベストエイトまでを決めるので、計3試合をする事になる。
    学園祭的には二日目で準決勝まで、三日目で決勝という形式になっているようね。
    ただし、一人で参加する個人戦と2〜6人の団体戦をするので結局倍の試合数になるみたい。

    「ふう、どうにか間に合ったみたいね」
    「ああ、早速試合だけど大丈夫か?」
    「大丈夫っていうか、試合するのはルスランだけだし」
    「えー!? ちょっと、俺だけ?」
    「最初にそういったじゃない」
    「でも、さー、少しくらいは協力しようって気は……」
    「ないよ」
    「ないね」
    「うわーん、訴えてやるー」

    そんなこんなで、団体戦になったわけだけど、私達は基本的に自分を守っているだけだった。
    ルスランは思っていたよりも強いらしく、闘技会場の広さを一杯に逃げ回り、相手をかく乱しながらしとめていった。

    「意外に強いね、ルスラン」
    「うん、まともにやったらもっと強いかもね」
    「でも、相手もあんなんじゃどうって事ないだろうけど」

    そう、私達は5人のチームを相手にしていたわりには健闘していた。
    とはいっても、うち3人はルスランが相手にしていたわけだけど、私達も一人ずつしとめたわけだから結構な物ね。
    ただまあ、学生相手なんだから自慢が出来るのか微妙だけど。
    相手は魔法も使っていたけど、ルスランは上手い事避けていた、正直魔法って避けられる物なんだと感心した(汗)

    「ふぅ、ふぅ、どうにか……勝ったな……」
    「ご苦労様、3人相手によくやったわよね」
    「うんうん、凄い凄い」
    「少しくらい手伝って……」

    まるで事切れるように、倒れこむルスラン、だけどその軌道は明らかに、私の胸に向かっていた。
    私はカウンターでヒザを叩き込んであげる事にした。

    「ぐえ!? もう少し、労わってくれても……」
    「調子に乗らない、元々私達は無関係なんだから。出てあげているだけでも感謝なさい」
    「うおおーん、エルリスがいじめる−ぐほ!?」
    「だからって、ボクに抱きつかないでね」

    セリスの肘も見事に命中、っていうかこういうとき避けない辺り、本気なんだか何なんだか、分からない奴ね……。
    そんな風に闘技会場の近くでじゃれあっていると、一瞬で凍りつくような緊張感が覆った。
    それは、一人の少女、炎のように赤い髪を背中に無造作にたらし、赤いオーラをまとった炎の化身の様な姿。
    周りが息を呑む、少女は美しかったが、それ以上に近寄りがたいほどの鬼気をまとわせていた。

    「ねぇ、ルスラン。あの少女は誰?」
    「え? 彼女か、多分学園都市では一番有名なんじゃないか」
    「一番有名……まさか……」
    「ユナ・アレイヤ、彼女のスリーサイズを知った者はってグギャ!?」

    ルスランの頭が一瞬燃え上がった、すぐに消えたけど、あれは魔法?
    ユナは試合会場にいる、既に試合開始の合図を待つばかりのよう。
    でも、一瞬私達のほうに目を向けていた。無詠唱で魔法を発動した?
    聞いたことは有る、脳内に呪文を焼き付けておく事で、声に出さずに魔法を発動する技術。
    だけど、そんな事をすれば発狂する人間のほうが多いって聞いている。
    狂気じみた事を平気でやっているなんて……。

    そんな中、試合が始まった。
    団体戦のはずなのに、彼女は一人。それも魔術的な武装はしていない。
    それどころか、普通の服装、それも貴金属すらつけていない以上、増幅器すら付けていない事になる。
    しかし、試合が始まった瞬間、決着はついていた。

    「アサルト・ボム」

    その一言が終わると同時に会場が爆発。
    ユナ以外は吹き飛んで、会場には彼女が一人悠然と立つのみ。
    それも、死傷者が出ないよう、何重にも結界が張られているにも拘らず、会場の外にまで振動が響いてきている。
    それが、私達が最初に見たユナ・アレイヤという少女だった……。
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