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■124 / 親階層)  Irregular Engage 序、夜ヲ駆ケシ愚者供
□投稿者/ カムナビ -(2005/01/14(Fri) 14:52:58)
    2005/01/14(Fri) 14:54:29 編集(投稿者)

    <こちら、≪マスター≫。現在≪お客様≫は、ルート147にて逃亡中。≪ホスト≫各員は、そのまま予定通り≪借金取り≫の場所へと誘導せよ。無銭飲食の代価はたっぷり払わせてやれ!!>
    ≪了解!!≫
    寝静まった街に人の耳には聞こえぬ音でそんな応答をする者達がいた。彼らはすでに今日の仕事を終え、とうに眠りについた街の通りを疾走する。
    なぜか?その答えは彼らの前方にいた。
    こうもりのような羽。羊の角に、更にまるで馬のような顔を持った黒い肌の生物。まさに悪魔そのものだ。
    彼らはそれを追っていた。それを滅ぼすために。

    男が一人、周りを緑で囲まれた噴水の脇にあるベンチに座っている。そこに先ほどの人の耳には聞こえない声が響く。
    <こちら、≪マスター≫。≪借金取りの頭≫聞こえるか?>
    「聞こえている・・・・・状況は?」
    <≪お客様≫は予定通り、レーベンスボルン中央広場を通り、外へと向かう模様。>
    「予定通りか・・・・・。しかしずいぶんと単純な奴だな。下水を通って逃げた方が安全だろうに・・・・。」
    <我々としては好都合だ。しかし、侮るな?≪お客様≫はこのごろとしてはかなりの間、この街で食べてきたんだ。能力は高いぞ。>
    「問題ないさ・・・・。そうだろう?」
    <ええ、問題ありませんわ。お兄様>
    ≪マスター≫と≪頭≫と呼ばれたものの会話に別の声−女性の声だろう−が響く。そして、更に別の女性の声が響く
    <こちら、≪借金取り1≫・・・一応作戦中なんですから、符丁を使ってください。≪借金取り2≫>
    <あら、本来は私の場所であるお兄様の側近の≪借金取り1≫を職権使って奪った、泥棒猫の貴方にそんな台詞がいえまして?>
    <当たり前です。元々≪頭≫さんの相方は私なんです。だから、作戦中では、側近なのは当たり前です>
    <あら?それなら普段は私がお兄様と一緒にいてもいいわけね。>
    <な、何でそうゆうことになるんですか!?第一、卑怯なのは・・・>
    <あら、やりますの・・・?>
    完全に私情を持ち出した会話に≪頭≫とよばれた男が口を挟む。
    <騒々しい・・・・今は作戦行動中だ。多少は行動を慎め。馬鹿娘供>
    <あ・・・はい。>
    <お兄様がそういうのでらっしゃたら・・・・。>
    そういって、二人はシュンとなり、私情丸出しの会話は終る。そこにまた≪マスター≫の声が入る。
    <お取り込み中すまんがね・・・・来るぞ。>
    その言葉が発せられた瞬間、彼らの雰囲気が変わる。<人>のものから得物を目の前に見付けた<狼>のものへ。

    目の前の開けた場所に出た瞬間彼は、ここのところよく馴染んだものの臭いに感ずいた。見ると、そこには一人の男が立っている。
    後ろからは先ほどから彼をつけてきた同じ臭いのする者達がせまってくるのを彼は感じていた。つまり、この男を突破すればここから出られるのだろう。
    たやすい、と彼は感じた。さっきから彼をつけてきたものたちはいくつもの武器を身につけていた。目の前の男は見た感じ一人で、せいぜい先ほど彼らをつけてきた者たちと同じような耳につける黒いアクセサリーをつけているだけだ。
    だが、なんであろうか、この心のなかにある、妙な感覚は。この男を相手にするなと、心のどこかで彼の理性が警鐘を鳴らしている。そんな感じだ。
    だが、彼はそれを無視する事に決めた。先ほどの数が多い奴らを相手にするよりはたやすいと判断できるからだ。
    一気に突破する、とかれは心に決め、翼へと最大限にまでの力を蓄える。

    「・・・・≪お客様≫は食い逃げの気満々ですか。」
    <それならば・・・・>
    <・・・容赦はいらないわね>
    「ああ、全力で歓迎するとしようか・・・・。」
    彼は今まで、腰のベルトに下げていた二つの箱から、手の甲の部分に白色の結晶石がついたガントレットを取り出し、左右の腕にはめる。すると一瞬にして結晶石の色が鮮血の赤と夜の黒が明暗を繰り返す色へと変わっていく。
    向かい合う悪魔もそれに気づいて、一瞬躊躇したように見えたが、すぐに体勢を立て直し、両者は対峙する。
    そして、動いた。
    男が、ゆっくりと、言葉をつむぎながら。
    「さて・・・・・ちゃんと料金は払ってもらうぞ?」
    そして、悪魔も動く。その翼に溜め込んだ力を一気に吐き出しつつ。
    互いの意志と力の激突の開始であった。

    ただ、その噴水のある広場の直上を通る月だけがその様子を見ていた。

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