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■148 / 4階層)   Irregular Engage 壱、従者ノ到着(W)
□投稿者/ カムナビ -(2005/02/07(Mon) 15:58:42)
    2005/02/07(Mon) 17:12:03 編集(投稿者)

    フェリス・ノーマンは基本的に趣味と呼ぶべきものを持ち合わせていない。
    でも、やはり女性ということで風呂という習慣だけはほぼ、毎日欠かさず行っている。ただ、今回の場合はすこし異なるようである。先ほどから、彼女はずっと、口まで湯船につかり、そこからぽこぽこと泡を出している。
    (「は、はう・・・・・。」)
    彼女はとりとめもない思考を行い、再び顔を真っ赤にさせる。その理由は・・
    「湯加減はどうだ?」
    「は、はい!!大丈夫です!!」
    「ならばいいが・・・・・。」
    (「問題なのは、グレッグさんが近くにいることですよ〜〜。」)
    そう彼女は、聞き届けることもないはずの思考を再び始めた。

    (「まったく・・・・何をかんがえているのやら。」)
    彼は壁一枚隔てた先にいるフェリスの動揺の気配を走査しつつ、薪をくべていく。
    グレッグ・E・アイヒマンは基本的に魔科学を過信することはしない。何事もECやDEに頼っていては、いけないと昔から教え込まれ、そして今の仕事をしているからだ。
    この街で、この仕事を続けるために必要なのは、己の能力を正統に評価することだ。
    過信した奴は、3日で埋葬される。
    彼の属する組織は、それが可能なものと戦っているのだ。
    そして、今もまた彼はそれを知覚した。
    (「数は・・・・2,3匹か?場所は・・・4か5の<門>か。たいしたことはないが、連絡を入れるべきだな。」)
    「べオ、来い・・。」
    彼が誰かの名を呼ぶ・・・すると薪をくべている彼から約1歩調はなれたところに、気配にようなものが出現する。
    「ちょいと、頼まれてくれ・・・・数は、2〜3。場所は・・たぶん4の<門>だけど、5の可能性もある。クラスはたいしたことないから、待機中のAUP装備の連中を出してやればいいだろう・・・・頼んだぞ。」
    かすかに了承の意志を出し、急速に遠ざかっていく気配を確認し、彼は再びフェリスの方に意識を向ける・・・そこで、気づいた。
    「ああ?・・・・・まったく世話を焼かせる。」
    彼はそういって、薪をくべるのをやめ、立ち上がって、玄関の方へと向かっていく。

    気がつくと、そこは見知った天井だった。
    「あ、れ・・・・・。」
    フェリス・ノーマンは目覚めた瞬間自分がこの部屋にいる理由がわからなかった。
    「・・・・・・そうか、私・・・お風呂でのぼせて。」
    「気がついたか・・・・。」
    「あ・・・。」
    見ると自分が眠っていたベッドの横の椅子に座る男に気がついた。
    「まだ、起き上がるな・・・。結構のぼせていたんだ。今日はそのまま寝ちまえ。」
    「あ、はい・・・・・・。」
    気まずい沈黙が場を支配する。何か話題はないかとおもってフェリスは思考する、そして・・・。
    「あの、迷惑でしたか・・・。」
    「何が?」
    「あの、私みたいなのを下宿させることです・・・。」
    「・・・・正直言えばな。だが、ああみえてもあのエセ執事は俺らの上司だ。一応、正式な辞令も下ってる。だから、別に理性では文句はいわん。」
    「・・・・すいません。」
    「謝るな、俺はそうやって即座に謝る連中が嫌いだ。反省してるのなら、改善できるように努力してから、謝れ。」
    「は、はい・・・・・・私、がんばりますから。」
    「当たり前だ。働かざるもの食うべからず、何もしない居候をおいとくほど、うちは裕福じゃないんだ・・・・。明日は仕事探しに行くぞ。覚悟しとけ。」
    「え・・・・私は、教会の仕事が。」
    「使徒って言っても、基本的に教会が開いてないんだから何もできねえだろ・・・・何かアルバイトとかの経験は?」
    「あ、いえ・・・・うちは裕福だったので。そうゆうのはあまり・・・。」
    「ブルジョワジーめ・・・・・。」
    彼はそこで、苦笑とも言うべき笑いをする。
    それにつられて、彼女もかすかに笑いを見せて・・・そこで気づいた。
    「あ、あの・・・・・私、お風呂入っていてのぼせたんですよね?」
    「ほかにどこでのぼせろと?」
    「・・・・・誰が着替えさせたんですか?」
    「俺。」
    ぴし、と何かが響いた気がした。
    「まぁ、確かに背負ってきたときの感触はなかなかだったが・・・・」
    「な、なんてこというんですかーー!?ああ、まだ父さまと母さま以外に見せたことないのにーー!?せ、責任とってください!!」
    「責任?・・・・つまり君と結婚して、あーんな事や、こーんな事をやれと?」
    意地悪げに、彼は笑いつつ、言う。
    「ひゃーー!?具体的な言葉を出していなくても卑猥ですーー!!馬鹿ーーー!!」
    「想像してる君の方が卑猥だと思うが。」
    こうして初めての夜はふけていったのでありました。

    追伸:べオ君は主人の声が響くのを聞きながら、自分の食事はまだかなー?と思いながら、玄関で寝そべっていました。

    壱、従者ノ到着完

    一章目が完成ですね。やっとのことで、グレッグの出番が出てきた・・・。というか彼は主人公としては何か出しにくいキャラですね。どうにも出番が出しにくいというかなんというか。ともかく、次は金曜日か土曜日の更新を予定しております。
    感想もよろしく。

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