Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■214 / 7階層)   Irregular Engage 参、インターセプト(X)C−part
□投稿者/ カムナビ -(2005/06/05(Sun) 06:16:29)
    オペレーション<スネークバイト>の骨子はこうだ。
    ひたすら小さな迎撃を繰り返して、こちらへとベヘモスを誘導。
    そののち、テトラポットとなづけられた地点で退路を断ち、そこで控えている要員の手で目標を撃破する。
    その奇襲を主体とした姿からまるで草むらからのど元へと向かってくる、パイソンコブラのごとく思えたことからスネークバイトという作戦名が取られた。
    だが、どのようにして劇はするというのだろうか?それは今から明らかになる。

    『テトラポット発動!!』
    進入してきたベヘモスに対して地面が紫の光を放ち、巨大な展開型DEこと魔方陣から黒い実態をもつようにはみえない触手がベヘモスの足を絡めとり、離さない。
    「対大型敵性体用拘束魔術<黒き陵辱者>、正常に駆動開始!!ベヘモスを捕らえました!!」
    「よし・・・総員戦闘開始!!」
    グレッグの言い放った言葉と同時に幾つかの七色の光の弾丸が着弾し、幾つかの岩が破壊される。
    「一応魔術開放弾は効果があるな・・・・オブライエン!!とにかく撃ちまくれ!!」
    『無茶をいってくれますね。まあ、撃ちますが。』
    ずんっとにぶい振動音とともに現れるのはキャタピラ駆動の戦闘車両。見れば上に大型の砲塔がついている以外は、先ほどの<Dブリット>と同じものだ。
    つまりは収納可能な砲塔がついていたのだろう。
    その砲塔からは何度も衝撃波とともに砲弾が飛び出しそれが空中で虹色の光へと変わる。つまり今までの攻撃はこれによるものだということだ。
    「おう、そのまま撃ち続けてくれ・・・・俺も行ってくる。」
    『少佐、お気をつけて。』
    「誰にものいってやがる・・・・。」
    苦笑と共に彼は風となり、戦場へと向かっていく。

    どぶずっと生々しい音に混じって硬いものと硬いものがふれあう音も響く。
    「きりが、ねえな・・と!!」
    「まぁ、硬いのが取り柄ですから、ね!!」
    大きな連続した発射音が響き、アイリスの上に迫った岩塊が劉のガトリング砲で破壊される。
    「ありがとな・・。」
    「構いませんよ・・・とりあえず口調をもどしてはいかがっすか?」
    「そうだな・・・・・ふぅ、やっぱり決定打に欠けるねー。」
    「んー・・・時間稼ぎましょうか?そうすれば<蒼皇>の技使えるっすよね?」
    「でも、これに有効打あたえるのなら・・結構時間かかるよ?」
    そこにまた岩塊が迫るが、それが白い炎で焼き滅ぼされる。
    「何をしている?私も援護するからさっさと気を錬るがいい・・・。」
    「相変わらずにくい登場の仕方ですねえ・・・・。了解、さっさとお願いしますっすよー!!アリスさん!!」
    「んー・・・なら期待にこたえちゃおうかなぁ。」
    彼女が目を閉じた瞬間、莫大な気の流れが彼女に直結し、それが<蒼皇>の中で適した形に変換され、純度を増していく。
    それにベヘモスも気づき、いくつもの岩塊、岩槍がせまるが、それらは炎に絡み取られ、12.7ミリ炸裂弾に咀嚼され、近づくことができない。
    そして稼がれた時間で、<蒼皇>は作業を完成させ、マスターたる彼女の命令を待つ。
    そして彼女は命じた。敵を撃破せよと。
    瞬間、<蒼皇>の刀身にいくつもの力の奔流が絡みつき、交わり、一つとなる。
    「蹂躙し、食い破れ・・・螺旋蒼覇烈!!」
    一つとなった力が放たれ、岩の壁に阻まれた肉体を食い破り、そのまま貫通する。

    「駄目ね・・・決定打には届かないわ。」
    「あらら・・・怒らせただけっすかー。」
    「ならば、やることは一つしかないな・・・・時間も十分稼いだ。戦略的撤退だ。」
    彼らが光速の速さで去った後には、目を攻撃色に光らせて天に響く怒りの轟音を口から響かせるベヘモスだけが残っていた。

    「・・・・・。」
    そして、ここにたたずむ一人の少女あり。我らがヒロインのフェリス嬢である。
    もっとも最近は何か落ち込んでばかりでアレなかんじだが、それもまた矛盾してて萌えると・・・
    「・・・・・そこうるさいです。」
    はい、すいませんでした。
    (・・・・・私はどうしたいの?ここにいたいの?それとも・・・)
    (でもいるためには力を使わなくてはいけない・・・・。)
    (あれは・・・怖い。)
    『マイマスター、いつまで落ち込んでおられるのですか?』
    「え・・・?誰?」
    周りを見渡すが誰もいない。
    『こちらです、マイマスター』
    「え・・・・まさか<オラトリオ>?」
    『こんにちわ、はじめましてマイマスター・・・・アイゼンブルグ中央技術工廠
    謹製精霊回路のオーキスFB82の・・・。』
    「え?え?」
    『説明が先のようですね・・・私は<オラトリオ>の新能力の制御のために埋め込まれた精霊回路内の制御頭脳です。精霊回路とは極めて魔術武装への適応性を高めた回路の総称で・・・・。まぁとりあえず、よろしくおねがいします。』
    「あ、えと、こちらこそよろしくって・・・・ど、どうしてそれならば誰もあなたのこと教えてくれないんですか!?」
    『仕様です。』
    「はぁ〜〜〜!?」
    『まぁ、まぁ怒らずに・・・・グレッグ少佐からの伝言です。彼が駆動しているのならばそろそろ決戦ってところだろう。彼を信じて前へ進むか、それとも己の殻に閉じこまるか・・・二つに一つだ。先へ進む気があるのなら来い。俺らの場所へ。以上です。どうなさいますか、マスター。』
    「・・・・行きます、さっき散々馬鹿にした挙句、土壇場で私に優しい言葉をかけようなんてするあんまりにもお決まりなあの人の鼻の面をあかしてあげます!!」
    『やる気が出たようですね・・・。では参りましょう。あなたの出番はモウすぐです。』
    「はい!!・・・・えっと、名前は?」
    『今はありませんが・・・・。』
    「なら、ノアです・・・あなたにノアという名前を与えます。洪水ごとき光の奔流で敵を共に滅ぼしましょう。」
    『イエス、マイマスター。』
    力強い意思と共に復活した少女は、窓へとかけていき、そこから飛び出した。

    「ジリ貧か・・・・・。」
    状況はあまり変わっていない。いやむしろ悪化している傾向がある。
    元々ベヘモス級をしとめるにはあらかじめ準備された儀式型魔術を使うのがもっとも手っ取り早い。
    ただ今回の場合は予言の間違いという予定外のファクターもあり、それは果たせていない。
    「だから俺らみたいなイレギュラーを投入するんだが・・・・決定打までは制限が解除されていないか。」
    彼はとりあえず、何か手を捜しながら準備する。
    (完全開放するか?・・アレを。駄目だな・・・あとがおなざりすぎだ。倒せなかったらそれで終わりだ。)
    (やはり彼女の力か・・・・時間ではそろそろのはずだが)
    そのとき彼の横を心地よい風が駆け抜ける・・・。ふとそれにつられて空を見上げ、彼はおもわず口に苦笑を浮かべ、言った。
    「遅いぞ・・・だがよく来た。この戦場は君のものだ。」

    下から飛んでくる岩塊や岩槍を避け、肉薄し、打撃を加え、離脱する。
    彼女は飛んでいた、あまりにも異常な速度で。
    『前方下方4時方向!!』
    「突破します!!天翼を!!」
    『イエス、マスター。速度上昇!!』
    自分の周りを覆う空気の壁が一気に赤熱化し、体感速度もすこしだけ上昇する。だがそれだけで迫っていた岩塊を避け、再びベヘモスへと接近し、攻撃を放つ。
    「今度こそ!!フォース・ブリット!!」
    光球が幾つか着弾し、ベヘモスの装甲を削り取るもののやはり決定打にはいたらない。もっと貫通力の高い一撃が必要なのだ。
    ならば、アレしかない。
    「アレを使います!!ノア、心臓の場所を!!」
    『了解、アレですね・・・・。』
    彼女はそのまま急上昇し、敵の攻撃を避ける。
    そして十分な高度をとって彼女は空中に停止する。背中の後ろの光の羽から虹色の粒子を出しながら。
    「天は我らを見放せり・・・・魔は地へとはびこめり。ならば人の手において魔を砕く力を・・・・。」
    彼女はすっと<オラトリオ>の矛先をベヘモスへと向ける。
    『標的を確認、そのままです。マスター。』
    そのノアの言葉に軽く頷きながら彼女は詠唱を続ける。
    「打ち砕け・・・そしてわたしを相手にしたことを栄光に刻みながら光へと消えなさい!!グロース・シュトラール!!」
    莫大な光の光柱が、ベヘモスへとむかって殺到していく。
    もちろん彼も手をこまねいていたわけではない。今までにない数の岩塊、岩槍を彼女へと放っていた。
    だがそれでさえも、その光に喰われた。そして光は減衰することなく、着弾し、ベヘモスの体内組織を食い破って、心臓に触れ、そしてそれを溶かし、貫通した。
    そしてそのとき下でも変化が起こっていた。

    グレッグはその光が放たれた瞬間、駆け出した。
    そしてこちらに意識の向いていないベヘモスにみるからに肉薄する。
    「<天無双>限定駆動解除・・・」
    彼がそう呟いたとたん、幾つかの金具がはじけとびシリンダーのごとき銀棒が二つ飛び出て、それに沿って、天無双の形がより攻撃的な形へと変化していく。それは龍の形。まさしく天空を支配する龍王の形だ。
    そして彼は彼の中に眠る普通の人とは異なる起源の力を開放する。
    それに気づいたのかベヘモスがこちらに顔を向ける。それはまるで絶望の果てに希望を見出したように見えたのは気のせいではあるまい。これはそうゆう力なのだから。
    彼はその顔の前でいきなり止まる。そして、無慈悲に言い放つ。
    「すまんな・・・・俺はこっち側の人間なんだ。お前さんも・・・・せめて安らかにかの地へと帰ってくれ。」
    光が着弾し、ベヘモスが警戒色へと目を変えている瞬間、彼は拳を構え、思い切り振りかぶり打撃する。
    「震天滅掌!!」
    その瞬間、ベヘモスの体に亀裂が入り、そして砕けた。塵といえるほどまで。
    彼はふと悲しげな目線をそちらに送るがすぐに前をみて、言い放つ。
    「討滅完了・・・。」

    彼女は、それを見ていた。
    「すごい・・・。」
    『確かに心臓だけ破壊してもベヘモスは再生が地に足をつけている限り可能ですからね。それを防ぐためには、ああするしかない。しかし見事なものです。』
    「私は・・・あの人の仲間になれるのでしょうか?」
    『それはあなたしだいですよ。行きましょう、彼の鼻をあかしてやるのでしょう?』
    「・・・・ええ!!」
    彼女は彼へとむかって翼をはばたかせた。

    彼は空を見て彼女がこちらに来るのがわかった。
    「はじめてにしては上出来だったな・・・・。」
    彼は苦笑を漏らしながら彼女のほうを見る。まぁとりあえず、すべては終わったのだ。彼女も言いたいことは色々あるだろう。とにかく愚痴くらいは聞いてやろうと思う。それくらいしないと彼女も気がすまないだろう。
    とにかく今は・・・・
    「お帰り・・・・。」
    彼女がこちらにくるのを受け止めてやるべきだろう。

    彼が彼女を抱きとめたとき、彼はふとベヘモスがいなくなったそこに一つの石柱がたっているのいるのを見つけた。それはまるで、彼らの墓標のように立っているのだった。

    一応、1〜3までを始まりのお話としていますこのイレギュラー・エンゲージ(以後イレエン)も残すは次回への伏線を含むエピローグで終了です。とりあえず、一つの話を区切りとして完結させるのは初めてなので、なんとなく朝6時ということもあいまってハイですw
    とりあえず、黒い鳩さんいつもどおり感想おねがいします。
    ああ、飯でも買いに行くか。
    PS:できればこの作品がここの再活性化につながってくれるとうれしいものです


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