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■208 / 16階層)  赤き竜と鉄の都第17話
□投稿者/ マーク -(2005/05/01(Sun) 16:53:59)
    『脱出』








    「二人とも調子はどうだい?」
    「魔力不足で倒れそう」
    「魔力が多くて破裂しそうだ」

    あの影に魔力を奪われたおかげで足取りが危うい。
    そして吸われた先であるお兄ちゃんは逆に多くて
    飽和状態も陥っている。

    「なるほど、僕にはそんな経験は無いが協団のほうでは
     無理やり魔力を増やす方法は研究されている。
     その話によると身体が耐え切れず、制御も出来なくて
     総じて暴走するらしいね。
     ともかく、この状態では戦闘は無理だな。
     レイヴァン君の魔力をユナ嬢に上げれれば全て解決できるのだが」
    「そんな方法あるのか?」
    「簡単だよ。それは―」
    「「却下ーーーーーーーーー!!」」

    私とお兄ちゃんがそろって声を上げる。
    そっ、そんなの出来るはずが無いじゃない。
    その・・・お兄ちゃんが望めば構わないけど、
    やっぱりこんなところでってのはちょっと。
    しかも、そんな理由でだなんて絶対に嫌だ。
    って、私なに考えてるんだろ。

    「よく分からんが、嫌なら無理にやらせるにはいかないな」
    「そうかい?まあ、本人がどうしても嫌だと言うなら
     別にいいけど」
    「ですが、お二人が動けない状況では脱出も困難ですね」
    「そうね」

    この地下から一階まで上がるだけとはいえかなりの距離がある。
    しかも、誰もここまで来ないと言うことは入り口付近に
    待ち伏せしてる可能性が高い。
    残念だけど私もおにいちゃんも現状では唯のお荷物。
    そのうえ、残りの3人も疲労困憊だ。
    ああ、どうすれば。

    「あっ、そうだ」
    「何かいい考えでも思いついたの、お兄ちゃん?」
    「いや、そういうわけではない。
     あの黄金竜の再生の理由がな」
    「理由?」
    「そうだ。ほれ」

    そういって、小さな竜が出てくる。
    って、まさかこれって!?

    「多分お前のだろ?」
    「うん、魔族とかじゃなくて、こいつが傷を埋めてたんだ」

    三匹目の使い魔。
    あの魔王の戦いのときに不覚にもラインが途切れ逃げられた私の従者。
    こいつはニールと違って比較的大人しいがそれでもアルがもっとも従順だ。
    なにかに引かれて私から離れたところで捕まったのだろう。
    これに魔力を注いで実体化させることによって仮初の肉体を生み出し、
    それで傷口を埋めてたわけだ。
    普通ならただの使い魔ではあの規模の修復は出来ない。
    だが、私の使い魔ならそれこそ別だ。
    こいつらは普通の使い的は比べ物になられない力を持ち、
    その魂の規模も申し分ない。
    なにせ、その正体は本物の竜そのものなのだから。
    正確には死した幼竜の魂と契約を結んでいる。
    ただ、幼竜と言っても竜に変わりは無く、従わせるなどほぼ不可能なこと。
    当時、死した魂を使い魔にする術が生まれて直ぐは多くの魔術師たちが
    最強の使い魔を求めて、幻想種と呼ばれる今でも数の少なくなった
    超越種たちの魂を手に入れるためそれらが大量に虐殺された。
    だが、その魂を従わせられたものは一握りにもみたず、
    結局、この魔術もまた廃れていった。
    そんなわけで竜の魂と竜の身体ならば相性もとても良いので、
    拒否反応もまず起こらない。
    まあ、こんなところで思わぬ収穫だ。


    ―ダダダダッ

    「1,2,3・・・やれやれ、また増えたよ。
     完全に包囲するつもりだね」
    『オーホッホッホ、形勢逆転よ。
     黄金竜が落とされたのは誤算だったけど、
     最後に笑うのは私だったようね』

    あの時、扉の向こうに放り込んだあの女の笑い声が
    部屋中に響く。

    「そういえば先ほど外に放り出してましたね」
    「そうね、こいつを人質に脱出って手もあったのにね」
    「これは、ちょっと判断をしくじったかな。
     証拠は押さえたけど、ここから出られなければ意味が無いし」
    「まあ、あそこで放っておいて死なれても困ったし、
     ようは逃げ切れればいいさ」

    全員ボロボロで、その内二人は完全な足手まといだと言うのに
    随分と緊張感の無い会話が繰り広げられる。
    あの女の声はあれ以降聞こえないが、突入する気配も無い。
    多分、私たちの様子は把握できていないのだろう。
    でも、出口を固められている現状はかなり厄介だ。

    「ユナの魔力さえあれば天井の穴を通って逃げられないことも
     ないんだけどな」
    「あいにく、少しも残ってないわ」
    「はあ。仕方がありませんね」
    「リン?
     もしかして何かいい手あるの?」
    「ええ。
     レイスさん、『腕』を出してください」
    「いいけど、まさかこれを返すから見逃してくれ。
     なんていう訳じゃないよね」
    「当然です。ギン」

    受け取った腕を今度はギンへと放る。
    慌てて腕を掴み、なにか面白そうに笑う。

    「リン、もしかして許可取ってるのか?」
    「ええ。念のためにいざとなってら使えるように
     一度だけですが許可は取っておきました」
    「よし。
     久しぶりに使えるぜ」
    「何をする気?」
    「ようは相手の戦意を喪失させるか、
     ここから逃げ出せればいいんです。
     彼の技師が生んだ義手の力、良く見ててください」

    ギンが嬉々としてボロボロになった義手を外し、
    『銀の腕』をはめ込む。
    装着した『腕』の具合を確かめるようにして動かし、
    その機能を確かめる。

    「やっぱり、コイツは凄いな」
    「では、ギン。
     お願いしますよ?」
    「任せとけ!!」

    そういってギンが扉へと駆け出し、その丈夫そうな鋼鉄製の扉を
    義手で殴り飛ばす。
    その後ろに控えていたらしい兵を巻き込みながら拳の形に見事に
    凹んだ扉が吹き飛ばされる。
    そして、扉の横にいた兵がその様子に唖然としている間に
    一発ずつ拳を叩き込み全員、昏倒させる。

    「じゃあ、進みましょう」







    「うあああ、来るなーー!!」
    「効くか!!」

    後ろにいる私たちまで覆うほどの規模で展開した障壁を盾に
    銃を撃つ男たちに接近し、その拳をお見舞いする。
    だいたいその一発で兵は倒れ付している。
    今更ながら、なんというパワーだ。

    「さーて、いろいろ試させてもらうぜ」

    義手が変形し、筒状のものがせり出してくる。
    それを向かってくる兵たちに向け、放つ。
    巨大なエネルギーの塊が放出され、着弾点に強大な穴を開け
    その周りにいた兵を吹き飛ばす。
    次はその腕を振るい真空の刃を生み出し、切り刻む。
    特定の魔術式を道具に刻み込むことによって魔力を流すだけで
    その魔術を使用するということは魔術の発展の中でも
    重視され続けてきたものだ。
    魔術の最大の弱点である詠唱を短縮、もしくは不要とする、
    そのために考えられたものだが、複数の魔術式を一つのものに
    刻み込むというのはとても困難なのだ。
    お互いの魔術式が干渉し合い、まともに動かなくなったり
    することもよくある。
    そんなわけで、刻み込む魔術式の数は1から3が妥当。
    私のデッドアライブやノーザンが良い例だ。
    そして、それを超えれば、安定した機能は望めない。
    だが、この男はそれをやっている。
    正確にはその義手、魔法文明時に名を馳せた最高の義手。
    備えられた式はその常識を完膚なきまでに打ち破り、
    その数は今まで見ただけでも、10を超えている。
    しかも、あるのは身体能力拡大、重量変化、形状変化、物質操作に
    真空波、火炎弾、魔力障壁、雷撃、水刃、光剣etc,
    なるほど、ここまで問題になるわけだ。
    実際に目で見て、その評価を大きく修正した。
    しかし、このギンの暴れっぷりはどうもバカに刃物と言った感じで
    少々、敵に同情したくなる。
    が、それでも突っ込んでくる敵も敵なので好きにさせている。

    「ねえ」
    「はい、なんでしょう?」
    「なんでさっきはこれを使わなかったの?」
    「ああ、それはですね。
     校長に『腕』を使うのは一度だけと制約で決められてるんです。
     切り札はそれに合った場面で使わなければ切り札にはなりえませんので」
    「まあ、確かに1度しか使えないなら温存してて良かったとは思うけど」

    でも、あれば少しは楽だったんだろうな。
    喋りながらも走る速度は緩めない。
    ギンが作った道のおかげで何とか脱出できそうだ。

    「みんな出口だ」

    レイスが指し示す方向に向かって全員駆け出す。
    訂正、1人を除いて全員駆け出す。
    残っているのは最後まで暴れまわっているギンだ。


    「ギンのバカ!ユナ」
    「分かってる」

    ええーい、とっとと来なさい!!
    もはや、敵にしか目が向いてないギンをこちらの世界に
    呼び戻すため、なけなしに魔力で竜を出す。
    ギンはそれに気付かず、ゆっくりと竜が近づいていき。

    ―ガブッ!!

    「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!????」

    頭を押さえ、声にならぬ叫びを上げる。
    本当だったら三匹まとめて噛み付かせたいくらいだ。
    さすがに、これで私たちに気付き、腕の銃で追ってくる兵を
    牽制しながら向かってくる。

    「これを外せ!!」
    「暴走してたギンが悪いんです。
     しばらくそのままで反省してください」
    「ごめん、それは無理」
    「ええ!?」
    「もう魔力も無いから」

    そういって、ギンの頭に噛み付きながら引っ付いてきた竜が消える。
    とたん、ギンの頭から帯びたただしい血が流れてくる。

    「ぐお!?血が」
    「その程度ならどうせ、直ぐ治るんですから我慢してください」

    頭からだらだらと血を流しながら逃走する男とその仲間。
    はっきり言ってこの男の仲間とカウントされたくなくなってきた。
    ・・・・元から嫌だったけど。

    「この先だ・・・・ったんだけど」
    「凄い数だな」

    建物の周りを覆う壁の出口である門に群がった人、人、人。
    これを突破するのか。
    先ほどまでの狭い通路と違って何人もの敵を同時に相手しなきゃ
    ならないし、言いたくないが足手まといにしかならない私たちを
    守りながら戦うのはかなり厳しいだろう。
    ああ、魔力があれば竜の背に乗って空を跳んでとんずら出来るんだけど。

    「どうする?」
    「道が無いなら作るまでだ」

    そういって目に前の門とその隣の門のちょうど真ん中に当たる部分に
    向け駆け出す。
    道が無いなら作るまで?・・・まさか。

    「うおら!!」

    予想通りというべきか、周囲を覆っていた巨大な壁の一角を
    その拳で打ち貫き、外壁はガラガラと音を立てて崩れていく。
    さすがにその行動には門に待ち構えていた兵も唖然としている。
    私たちは慌ててギンの後を追い、崩れた塀から抜け出す。

    「まっ、待てえ!!」

    私たちが兵を抜ける様を呆然と見ていた兵がやっと再起動し、
    統率も何もない動きで追ってくる。

    「ユナ。仕上げにアレを」
    「分かってる。
     って今の私じゃ無理だから―」
    「貸して」

    レイスにノーザンを手渡し、その力が発動される。
    崩れた壁の周囲から広範囲に私たちには効果が及ばない範囲で
    霧を振りまき、足止めをする。
    統率の取れていない兵たちは物の見事に混乱し、
    ここまで追って来れなかった。











    「ああ、やっと終わった」

    心底疲れた声でギンが呟き、全員その場に座り込む。
    でも、本当にやっと終わった。
    あの女には結局、制裁を加えられなかったが
    無断での技術流出や王国との繋がりの証拠も押さえたし
    これであの女は捕まるだろう。
    腹の虫は収まらないが、ひとまずこれで我慢しよう。
    しかし、アルテの頼まれごとのおかげでまた、
    とんでもないことに巻き込まれたものだ。
    既に分かれて三ヶ月が経とうとしている。
    向こうはどうしているだろう?
    あの少女。
    セリスと言ったかはおそらく私たちと同じだ。
    ここまで多く集まると何かが起こる前触れなのかもしれない。
    っと、そういえば。

    「レイス」
    「なんだい?」
    「生き残ったら教えると言ったよね。
     貴方は何者?」

    あまり他人に教えるべきことではないのでギンたちが他の事に
    気が行ってるのを確認し、お兄ちゃんを呼んで声のトーンを
    落として聞く。

    「教会所属:アーティファクト専門部署第十三課
     『封ずる狗頭(シールパンドラ)』に所属。
     通称は『氣公子』」
    「そういうことじゃないことぐらい分かるでしょ」

    レイスのいった内容は少々驚きのことだったが、
    私が知りたいことの方が重要なので無視する。

    「王のこと?」
    「それ以外何があるのよ。
     それほど知っていると言うことは貴方も王でしょ?」
    「ふふふ、どうやら君はまだ使いこなせてないようだね」
    「えっ!?」
    「王なら相手が同じかどうかは分かるらしいよ」
    「らしいって・・・・お前は違うのか?」
    「ああ。
     僕がこのことを知っているのは何代か前のある王が僕の先祖にあたる人物で
     他の者たちの劣化を知り、自らも自身の使命を忘れることを防ぐため
     その知識を全て一冊の本に記し、子孫に残したんだ」
    「じゃあ、あんたは」
    「位置的には唯の協力者さ。
     アーティファクトの収集もその使命のため。
     納得してくれた?」
    「一応は・・・」
    「納得だが」
    「なら、っと連絡か」

    そういって懐に手を差し、何かの道具を取り出す。
    教会での通信機器か何かだろう。

    「なんだって?
     ・・・そうか分かった。
     だが、そちらはどうする?」

    何かあったのだろうか。
    教会からの通信。
    また王国に何か変化が?

    「では、僕もそうするとしよう。
     リューフとアンナにもよろしく言っておいてくれ
     では」
    「何かあったか?」
    「あまり良くない情報かな?
     王国が国内のレジスタンス狩りに乗り出す気らしい」
    「なっ!?」

    レジスタンス狩りって、まさかクロアたちがドジったんじゃ。

    「まあ、反乱の兆しありってことが王も気が立ってるみたいだしね」
    「反乱?
     なんのこと?」
    「知らないのかい?
     王女が城を抜け出して行方をくらましたらしい。
     しかも、噂では今の王国の方針に不満をもつ者を
     集めてクーデターを起こすつもりだとか」
    「えええ!?」

    リリカルテ様が行方不明!?
    一体何がどうなっているのやら。
    その上、クーデターなんていくらなんでも・・・・
    やらない・・・・か・・・な?
    どうだろう、余り会った事が無いとはいえ、
    印象に残っているのは芯が強い人だったという記憶しかない。
    あと、アルテから聞いた噂では結構無茶をする人らしい。
    駄目だ。
    本当のことに思えてきた。

    「で、興味深いのがさっきのは僕の同僚からの連絡だったんだけど
     王宮には魔族が住みついているらしい。
     それもかなり高位のが」
    「高位かどうかは知らないけど魔族とかかわりがあるのは
     私たちも知っているわ」
    「うん、でもね。
     それは魔族ではないかもしれない」
    「・・・何が言いたいの?」
    「それは」
    「それは何なんですか?」
    「・・・・・・」
    「・・・・・・・」
    「・・・・・・・・リン?」

    気がつけばリンが直ぐ近くまで来ていた。
    先ほどまでリンと話していたギンはうつぶせに倒れ、
    右腕についていた彼の義手はなくなっている。
    左手に血が付着していてその血で何か文字が書かれている気がするが
    気にしないでおこう。

    「少々大事な話のようでしたが、王国がまた大変なことになると
     聞こえてしまい、つい・・・すみません」
    「ああっと、いいのよ。
     リンの場合聞きたくて聞いたわけじゃないでしょ」
    「まあ、それはそうですが。
     それより、王国はレジスタンス、
     つまり獣人を襲うつもりでしょうか?」
    「多分ね。どうにか止めたいけど、どうにも・・・」
    「そうですね、頼んでみましょうか?」
    「へっ?」
    「いえ、今回の報告の時に校長に頼んでレジスタンスと
     クーデターの支援、を頼んでみましょうか?
     と尋ねたのですが」
    「そっ、そんなことして大丈夫なの?」
    「校長も今の王国の現状に不満をもっていますし、
     クーデターに成功すれば王国との関係も改善されるでしょう。
     支援についても、校長なら反対しないと思います。
     他の者にも王国とは既に小競り合いは起きているので
     正当防衛ということで言い含められると思いますよ」
    「でも、そうしたら王国の矛先がこっちにまで来るわよ」
    「もとより、王国がアイゼンブルグを放っておく筈はありません。
     それに意外と大変なんですよ。
     王国の異種族差別で逃げてきた獣人やエルフが年々増加していて
     アイゼンブルグの人口がここ数年で特に跳ね上がってます。
     おかげで仕事が無くて食うものに困り犯罪に手を染めるものも
     しばしばいて、治安が悪化していまし。
     もし、これで王国全土の異種族がアイゼンブルグに亡命してきたら
     とてもじゃないですが保護仕切れませんよ。
     それによって引き起こされかねない事態なんて考えたくもないです」
    「そっか、言われてみればそうね。
     アイゼンブルグもあくまで独立都市だから大きさ自体は
     そこまで大きいわけでもないもの」
    「ええ。
     だから、これは私たちの安全のためでもあるんです。
     貴方は貴方のすべきことをしてください。
     もう一度、王国を救ってください、赤き竜」
    「あっ、知ってたんだ・・・」
    「ええ、まあ。
     なんとなくですけど。
     では、また会える事を楽しみにしています。
     いきますよ、ギン」

    そういって、倒れているギンの左手を握り引きずっていく。
    さすがにその痛みに耐え切れずにギンが立ち上がり抗議しながら
    突如、こちらに振り向き私に向けて手を振って・・・
    違う。あいつがこんなことするがない。
    良く見れば、親指だけを伸ばして後の指で拳を握り、
    親指を下にして小さく振っている。
    訳せば『地獄に落ちろ』ということだろう。
    だが、私はそんなことはしない。
    黙って僅かに回復した魔力で魔力弾を数発顔面に撃ち込み、
    倒れたのを確認して仕舞う。
    最悪の別れだが私たちならこんなものだろう。
    リンのことはまあ、あまり期待せずに待っておくとしよう。
    ああは言っても、国の存続にすら関わることだ。
    そう簡単に頷くはずは無いだろう。
    ・・・・・多分。


    「仲がいいね」
    「どこが?」
    「ほら、喧嘩するほど仲が良いって言うじゃない」
    「じゃあ、それは激しく間違いなく、正しくないわね」
    「・・・・まあ、いいけど。
     それで、魔族らしい存在が確認できたから
     王国に対して教会も動くかもしれない。
     まあ、ほぼ確実に僕を含めた4人はお祭りには
     参加する予定さ」
    「ついに王にも裁きが下るわけだな。
     で、その魔族がどうしたの?」
    「うん、実はね。
     君たちの仇敵らしいよ」
    「・・・それって本当?」
    「まだ僕にも分からないさ。
     でもこれだけの力が動いているんだ。
     偶然とは考えにくい。
     僕はこれから教会に戻るが、出来れば他の王を連れて
     僕の元に訪れて欲しいんだが、頼めるかい?」
    「分かったわ」
    「では、また。
     レイヴァン君と仲良くやりたまえ」
    「なっ、何を!?」
    「ははははは。
     ではさらば、いやまた会おう」






    お兄ちゃんと私以外誰もいなくなり、急に寂しくなって来た。
    さてと。

    「みんな行っちゃったね」
    「俺たちも行くか」
    「うん」







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