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■384 / 親階層)  [蒼天の始まり] 第一話
□投稿者/ マーク -(2006/10/11(Wed) 13:46:48)
    2006/10/11(Wed) 14:23:17 編集(管理者)


    〜手紙〜                                    



    背中が熱い
     
    「・・・・・・・・・・・・・・・!!」

    誰?

    「・・・・・・・・・・・・・・・!!」

    「・・・・・・・ん!!」

    知っている。あなたは、

    「・・・・・ちゃん!!」

    うるさいわね。


    「お姉ちゃん!!!」
    「うるさーい!!!!!!」

     キィィーーーーン

    「って、あれ?」
    「あう〜」
    「セリス、どうしたの?」

    目の前には、私の大切な妹、セリスが耳を抑えてうずくまっていた。
    え〜と、つまりそうゆうことなのね。

    「セリス、ごめん!!!」

    「大声ださないで〜〜」




    「うう〜」
    家へと帰る途中、セリスはまだ恨みがましく声を上げている。
    だめだ、完全にへそを曲げている。
    夕飯はセリスの好きなものにして機嫌とらなきゃだめね。
    それにしてもさっきの夢はなんだったのかしら?
    なんか懐かしい感じだったけど。




    「おいし〜」
    セリスは温かいシチューを飲みながら、とても幸せそうな顔をしていた。
    よかった。どうやら機嫌を直してくれたようだ。
    もっとも、私は極度の猫舌のため、皿の中身は殆ど減って無い。
    スノウライトの冬は早い、暦の上ではまだ秋だが、時々雪も降る。
    冬になれば、さらに冷え込むため堪らないらしい。
    さすがに雪はまだ降らないが、それでも十分に寒い。

    「そういえば、セリス。先生なんだって?」
    一緒に帰ろうと思ったらセリスが先生に呼ばれたから教室で待ってたら寝ちゃったのだ。
    「あっ!!」
    セリスも思い出したらしく、慌ててポケットから封筒を取り出し私に手渡した。
    「手紙?」
    いったいだれが?そう言って裏を向けて書かれた名前を見て固まった。


    ラウル・ハーネット


    「お父さん・・・」
    手紙の裏に書かれた名前は10年も前に死んでしまった父の名前、
    「お父さんが、もし自分が死んだら私が17歳になったら渡してって先生に
    頼んだんだって」

    「そう・・・。でもセリスの誕生日って2ヶ月も前よね?」
    確か2ヶ月前に親友のミコトと誕生日パーティをしてその時ミコトがお酒を持ってきた
    せいで、大騒ぎになったのだ。
    その翌日、わたしとセリスは二日酔いで全く動けなかった。あれはキツイ。

    「10年も前だもん先生も忘れたんだって」
    確かに10年も前に頼まれても覚えているかどうかなんて危うい。

    「封はまだ開けてないの?」
    「うん、ボクだけで見ちゃだめかな〜。って思って」
    「そっか、じゃあ明けよっか」
    そういって封をあけ慎重に中の手紙をとりだす。
    「どれどれ」
    セリスも手紙を覗き込む。





    エルリス、セリス。
    元気にしてるか。お前たちがこれを見ているということは
    俺はもう、そこにはいないのだろう。

    唐突な話だが、2人とも旅に出なさい。
    今すぐでなくて構わない。が、出来るだけ早くだ。
    これからお前たちには様々な危険が襲い掛かるだろう、
    まずは北の都市、レムリアの入り口付近にあるベアという店に行ってみるといい。
    ベアの店主に地下の倉庫にある手紙を渡してくれ、きっとよくしてくれる筈だ。
    あと、道中いろいろと危険だろうから家の地下倉庫に有るものは好きに持っていって
    構わない。そして、もう1つ。おそらくセリスの発作はまだ治まっていないだろう。
    既に分かっていると思うがその発作は魔力の暴走だ。
    魔法文明は魔法が全盛期だった時期で、似た症例もあるやもしれん。
    並大抵の道ではないが魔法文明の遺産や当時の書物を探せばもしかしたらなんらかの
    手がかりになるやも知れん。
    幸い、ベアは冒険者の店だ、話だけでも聞いておくといい。

    最後に、情けない父ですまない・・・。




    「お父さん・・・」
    「・・・セリス、どうする?」

    セリスの答えなんて分かってる。

    「・・・・・・いくよ。でも、お姉ちゃんは」
    「まった、当然、私もいくからね。お父さんも2人でって書いてあるし
    私にも無関係の話ではないもの」
    危険とはセリスの魔力のことだろう。セリスの魔力は制御できないのを無視すれば、
    おそらく、魔族や竜のような超越種にも及ぶだろう。
    それを知られれば教会の者や魔術師たちが放って置くとは思えない。
    この街自体は田舎だがこの街の先にある山には、教会の者や魔科学者たちがある物を
    調べに来るため、この街を通っていく際に見つかるかもしれない。

    お父さんは、理由がセリスの魔力の所為だというのを隠したかったのだろう、
    けど、セリスは自分が狙われるかもしれないのはうすうす勘付いていたらしいし、
    私自身も同じように異質だと理解している。狙われるかもしれないのは同じだ。
    それに、そんなことが無くても、セリスを1人になんて出来るはずがない。

    「お姉ちゃん・・・」
    「とりあえず、手紙に書いてあった地下倉庫を探すわよ」
    「うん!!」

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