Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■400 / 15階層)  蒼天の始まり 第7話、A
□投稿者/ マーク -(2006/10/11(Wed) 14:15:34)
    『買い物』






    「ねえ、コレどうすればいいの?」
    遺跡から戻ってきた私たちは、ルスランたちと共に、ベアに見つけた道具を
    鑑定をして貰っていた。
    もっとも、三人はすでに終えて帰ってしまったが、
    問題は私が見つけた1冊の本。アーカイバだ。
    「ほう、アーカイバか。刻印が失われてるなら何とかなるぞ」
    「?売るんじゃないの?」
    「売る!?何バカなこと言ってんだ。昔のアーカイバなんて、
    宝箱みたいなもんじゃねえか。売ってどうする」
    あ、それもそうか。
    「でも、アーかイバって契約者以外は使えないんでしょ?」
    「普通はそうだ。だが、契約者が死んでるならやれんこともない。
    だが、ちゃんとした魔術師に頼まなきゃ駄目だがな」
    「ふーん。じゃあ、協団にでも持っていくの?」
    「それでもいいが、そうすると高くつく。かといってモグリのやつ等に任せりゃ
    中身を取られるかも知れんし・・・まあ、気に入らんが、お前さんたちの先生にでも
    渡せば上手くやってくれるだろう」
    「じゃあ、またスノウに行けばいいのね」
    「いや、そういうのは他のやつ等に頼め。
    お前たちをまたあの森に行かせるのは危なっかしい」
    うっ、確かに森で迷った挙句、油断してやられかけたことを話したら
    呆れられたことがあったが、今度はそんなことにはならない自信はある。
    「まあ、わざわざ自分で行かなくても、他のやつに依頼するのも1つの手と
    いうことだ。せっかくの休みにそんな面倒なことをするのは非効率的だろう?
    どうせ大した額じゃないんだ」
    言われてみればその通りかも知れないが、
    「でも、人づてというのは先生に失礼な気がするんだけど」
    「確かにそうも取れるかもしれん。だが、これは商売だ。
    知り合いだからといって贔屓するのは余りいいことではないぞ」
    「・・・わかった。言うとおりにするわ」
    「よし。なら、明日はチェチリアと一緒に街を回ったらどうだ?
    こっちに着てから忙しくてそんな機会が無かっただろ」
    ‘‘でも、そんな、お店を休むのは’’
    話を聞いていたチェチリアがノートを使って会話に参加してきた。
    もっとも、外出について、嫌がっているとか、そういう感じではなさそうだ。
    「俺や店を心配してるなら気にしんで良いぞ。
    最初の頃は1人でやってたんだ。お前もたまには羽を伸ばして来い」
    少しの間、思案し、
    ‘‘ありがとうございます’’
    と笑顔で文字の書かれたノートを見せた。
    「じゃあ、明日は買い物だね。楽しみだな〜」
    「セリス、ほどほどにね」
    って、どうせ、聞いてないわね。
    まあ、別にそれほどお金には困ってはいないんだけど。









    「じゃあ、いってきま〜す」
    「おう、楽しんで来い!!」
    ・・・・・・・・・・



    「ふう、1人だとやはり暇だな」
    ガチャッ!!キィー、ガチャン!!

    「ん、誰だ?っと、お前か」
    「久しぶり、デュナミス遺跡の守護者の退治。完了したわ」
    「ご苦労さん」
    「労いは良いからとっとと報酬を出しなさい」
    「ったく、せっかちだな。今回は長引いたが、またスノウに戻るのか?」
    「まあね、というか長引いた理由はこんな面倒な仕事押し付けた
    あんたの所為でしょ」
    「そうだったか?」
    「はあ、もういい。今回も収穫が無かったし、嫌になるわ。
    何か変化はあった?」
    「いや、最近の事件では協団の飛空艇が襲われたらしいが、公にはなってない。
    あとは無いな。
    お前さんの探し物も変化なしだ」
    「そっか、ならいいわ。それじゃ」
    「ちょっと待て、スノウに戻るならあそこの学校で先生をやってる、
    二十代半ばぐらいの魔術師がいるはずだ。
    そいつにコレを渡してくれ」
    「いいけど。
    その人って、細身で金髪のロングヘアーの女性?」
    「ああ、そうだ。よく知ってるな」
    「まあね。渡すだけでいいの?」
    「いや、出来れば往復で頼む」
    「はあ、わかった。でもコレって誰が見つけたの?
    あいつら?」
    「いや、一緒に向かわせた新入りだ。
    なかなか見所があるぞ。今度紹介してやる」
    「弱かったら組まないわよ」
    「ああ、分かってる。強ければいいんだろ」
    「えらく強気ね。まあ、いいや。
    チェチリアの料理もないし、
    もう用は無いわね。それじゃ」
    キィー、ガチャン!!

    「全く慌ただしいやつだ」






    「どれがいいかな〜」
    「どうせ、着る機会なんて滅多に無いんだから
    そんなに気にしなくてもいいじゃない」
    「駄目だよ、お姉ちゃん、そんなんじゃ!!
    ほら、これなんてお姉ちゃんによく似合いそう」
    ここはレムリアの大通りにある大きな洋服店だ。
    セリスが見つけて、一目散に入って行ったの追いかけたら、こうなった。
    確かにセリスの選ぶ服は可愛いと思うが、私はちょっと着たいとは思えない。
    はっきり言って、これを着て、街中を歩くとなると私にとっては拷問のようだ。
    無論、セリスは純粋に私に似合うと思って選んでいるのだろうが、
    ある程度なら良いが、私の性格的にここまでフリフリの服を着るのはちとツライ。
    チェチリアはお店の空気に当てられ、なんかオロオロしている。
    ・・・チェチリアなら、これ似合いそうだな。
    ―ニヤリッ

    「ねえ、チェチリア。これ着てみない?」
    口調は優しげだが、チェチリアを掴む腕の力は結構強く、
    必死に逃げようとしてるようだが、この程度ではビクともしない。
    「セリスも手伝って」
    「うん。分かった」
    セリスも極上の笑みでチェチリアを捕まえる。
    なんかもう、開き直って楽しんでしまおう。
    うん、そうしよう。



    「うん。チェチリア、良く似合ってるよ」
    お世辞でなく、本当に似合っている。
    同性の私から見ても、チェチリアは小さくて‘‘女の子’’という感じだ。
    言われたチェチリアは頬を赤く染めながら、はにかむ様な笑みを浮かべている。
    「さて、今度はお姉ちゃんだよ」
    「ヘッ!?」
    着替え終わったチェチリアとセリスに突如、腕を掴まれ、動きを封じられた。
    えっ!?ちょっと待って!?
    どうやら、チェチリアはさっきの復讐という意味が強いようだ。
    あ〜〜。
    まるで売られ行く子牛のような心境だ。
    こういうのも因果応報というのかな。
    もはや、私は半ばあきらめの境地だった。


    こうして、セリスと私とチェチリアはまるで着せ替え人形のように服を
    着せられあい、結局何着か買ってしまった。
    どうせ、結局着ないんだろうな・・・はあ。


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