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■397 / 12階層)  蒼天の始まり 第6話、C
□投稿者/ マーク -(2006/10/11(Wed) 14:09:45)
    『MAO』

    「結局なんだったんですか、あれ?」
    まるで嵐のような出来事だった。
    私もセリスも何もできずにただ突っ立てただけで、
    解決したのは先生とユナ・アレイヤのおかげだろう
    しかも、私とセリスだけなら暴走でもしない限り負けていた。
    確かに、あの時の先生の判断は正しかったと思える。
    だが、彼らは何だろう?
    『フェニックス』といえば、本来は神話に出てくる不死鳥だが、
    それはさすがに無い。
    「彼らは王国に対するレジスタンスね。
    王国、特に王都の周辺は異種族に排他的で、
    最近ではエルフや獣人さえも迫害を受けているという話だわ。
    彼らはそれに不満をもつ者達の集まりなの」
    「獣人やエルフもですか?」
    「そう。王国自体が最近、妙におかしいわ。
    それと今回の招集に関わり合いが無いと良いのだけど」
    吸血鬼や魔族なら分かるが獣人まで、迫害を受けてるなんて
    国王は何を考えているのだろう。
    「というか先生。さっきと話し方ぜんぜん違うね」
    うん、私も思った。なんか違和感がある。
    「まあね。一応先生だから、生徒の前であんな口調は不味いでしょ」
    「でも、私たちはもう生徒じゃないだから、好きな話し方で
    良いんじゃないんですか?」
    「う〜ん、それはそうなんだけどね。でも、それは二人にも言えることじゃない」
    「うん、そうだね。でも、私もお姉ちゃんもこっちのほうが慣れてるから。
    先生も今のままのほうが楽なら別にいいや」
    「確かに、こっちは肩が凝るからいつものほうが楽は楽ね。
    では、これからはこっちの口調でいかせて貰おう」
    なんか、前よりこっちのほうが違和感がないや。


    「そうだ、この本に面白いことが書いてあってな。
    セリス、その指輪を見せてみろ」
    「えっ!?うっ、うん。」
    私がセリスにあげた指輪を様々な方向から眺め、触れる。
    「記述通りだな」
    「その指輪がどうしました?」
    「この指輪はアーティファクトだ。効果は使い魔の作成で、
    しかも、通常とはかなり異なる存在、同じ物は2つと無いだろう」
    「そんなに凄い物なんですか」
    「ああ、現在の技術じゃ間違いなく、同等のものは作れない」
    「どうすれば、使い魔を作れるの?」
    「まあ、待て。この本によると指輪をはめた時点で使い魔は作られている。
    あとは、名前を登録すれば出てくるらしい」
    「名前か。それなら・・・」
    「先生!!名前、決めてくれませんか?」
    「ん、別に構わんが」
    「お姉ちゃん!?」
    ゴメン、セリス。でも、セリスの命名は危険すぎる。
    「そうだな。では、この指輪の名称のイニシャルを取って
    M、A、O、マオでどうだ」
    「マオか。うん、それで良いんじゃない。ねえ、セリス」
    「うう〜。分かった。
    我が魂を引継ぎし、従者マオよ。我が前に姿を現せ!!」
    周囲のエーテルを集め、その存在をエーテルで形作る。
    エーテルの奔流が止まり、目の前にそれは現れた。
    「ふぁ〜〜あ、なんだ〜」
    「へっ!?」
    「コレが使い魔!?」
    現れたのはセリスと同じ色の水色の毛の猫だった。
    どうみても、ただの猫にしか見えない。
    もっとも、人の言葉を話してる時点で普通の猫ではないんだけど
    「エルリスにセリスに先生か〜。
    一体何だ〜」
    「なっ!?」
    何で私たちのことを!?
    「それほど驚くことではないぞ。その使い魔は魂の生成の魔術の過程で
    生み出された試作品だ。
    所有者、つまりセリスの魂と記憶を模倣しているから、私たちのことを
    知っているのは当然のことだ。
    もっとも、セリスの精神は模倣されてないから性格は全然似てないようだがな」
    「ふ〜ん、でもこれって何の役に立つんですか?」
    「さあ、本にもそこまでは書いてない」
    「ねえ、マオは何が出来るの?」
    「ちょっと待て〜。よいしょっと〜」
    妙な掛け声と共にマオの体が消えた。
    「えっ、何処に?」
    〈ここだぜ〜〉
    声のした方を見るとセリスのメビウスが自分で動いていた。
    「なっ!?」
    〈驚いたか〜〉
    「まさか、動かしてるのはマオなの?」
    〈おう、どうだ〜。凄いだろ〜〉
    凄いかどうかはともかく、コレって結構、便利かも。
    セリスもメビウスの扱いには時々困っていたみたいだから、
    これなら、操作が簡単になるし、途中で狙いも変えられる。
    「ふむ、物質に憑依し操作するか。おもしろい!!
    セリス、お前に私のとっておきを教えてやる」
    「とっておき?」
    「そうだ。ほとんどの魔術が使えないといっていたが、
    これならば、うまくいくはずだ」
    「ほんとですか!?」
    「ああ・・・あと、エルリス」
    「何でしょう?」
    「コレを読んどけ」
    「・・・なんですかこれ?」
    かなり、分厚くて、重い一冊の本。
    これをどうしろと?
    「古代語の基礎が書かれている。少しは読めるようにしとけ。
    恨むなら授業を聞いてなかった自分を恨むんだな」
    自業自得ってやつ?


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