Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■393 / 8階層)  蒼天の始まり 第5話、C
□投稿者/ マーク -(2006/10/11(Wed) 14:04:43)
    『小部屋』



    「何やってんの」
    ルスランは砕けた銅像の破片の中で大きな物を拾い上げアーカイバの中に
    入れていた。
    「ミスリルやオリハルコンといったらこれ以上ない希少金属だ。
    売るに決まってるだろ」
    オリハルコンについては知らないが確かにミスリルは希少金属の代名詞だ。
    いくらギルド、魔術協団が精製に成功しても、未だその希少性は
    損なわれていない。
    「でも、そんな破片で大丈夫なの?」
    「ミスリルはさすがに値打ちが下がるけど、オリハルコンなら大丈夫よ。
    まだ、精製に成功してないからたとえ欠片でも十分売れるの」
    アウラさんが言うのなら確かだろう。
    じゃあ、私も貰っといたほうが良いかな?
    「おい、こっちに来い」
    「ん、サクヤだ。どうしたんだ?」
    「何か見つけたんじゃない?」
    そういって、2人は先へ進んでしまった。
    しかもセリスやケルスまで。
    えっと、どうしよう、コレ。



    結局、後で何か見つかるかもしれないし、大きな破片をいくつかしまって
    追いかけた。
    セリスなんて私を追いてったのに全く気付いてないし。
    「えっと、ゴメンね。お姉ちゃん」
    「良いわよ、気にしてないから。
    ただ、せっかく渡そうと思ったけどやめようかしら」
    「渡すって何を?」
    「コレ」
    ポケットから指輪を取り出しセリスに見せる。
    「キレ〜。どうしたのこれ」
    「さっき拾ったの。欲しい?」
    「うん!!あっ、でも・・・」
    「私のことは気にしなくていいから。ハイ」
    「・・・ありがとっ!!」
    渡された指輪をはめ、私に抱きつくセリス。
    うん。やっぱり渡してよかったわ。
    「何してる。置いてくぞ」
    サクヤさんの声に慌てて離れ、後を追う。
    余り喋らないだけにサクヤさんの言葉に有無を言わせぬ強制感がある気がする。


    サクヤさんが見つけたのは行き止まりの壁にあった隠し扉だった。
    銅像が残ってたということはこの先はまだ、誰も来てない可能性が高い。

    扉の先は下へと続く階段になっていて、長い階段を終えると、狭い通路に出た。
    通路を進んでいくと奥には頑丈そうな扉が見えてきた。

    扉を開き、部屋を覗くと中にはたくさんの道具があふれていた。
    「宝物庫だ。荒らされてもないし、こりゃ、ついてるな」
    「そうね、でも、流石に全部は持ってけそうにないから少し知らべましょ」
    調べるといっても私にはチンプンカンプンだ。
    セリスなら分かるかなって・・・
    「どうしたの?セリス」
    「うん、なんか変なの」
    「変、って、もしかして魔力が?」
    「ううん、そういうのじゃなくて・・・むしろ安心するの。なんでだろ?」
    う〜ん。ここにある道具の所為だろうか?
    それならば、それだけでも貰っておきたいが
    「そういえば、セリス。ケルスがまたいないんだけど」
    「え?」
    ここの階段を降りたときにはいたから部屋の外だろう。
    やれやれ、私ってセリスに本当に甘いなあ。
    「ちょっと、ペット探してくるから待ってて」
    三人にそう言うと二人で部屋を出る。
    ルスランが聞いてるのか聞いてないのか分からない、
    気の無い返事をしたがまあ大丈夫だろう。
    案の定、ケルスは部屋の外の通路にいた。
    部屋を出て少し先の通路で壁の一部をじっと見つめている。
    「何かあるの?」
    ケルスの見ている辺りの壁を触るが何も変なところは無い。
    壁を壊せば何か出てくるのだろうか?
    でも、押してもびくともしないし、かなり頑丈そうだ。
    壊すとなると大変な作業になりそうだ。
    いや、そもそも、壊したらこの通路が崩れかねない。
    「何だろうね?」
    セリスが同じように左手で触れる。
    すると、壁から固さというものが消えた、
    「「キャッ!!」」
    壁はまるで水のようになり、触れていた私とセリスの腕が中へと引っ張られ、
    中に引きずり込まれた。




    「ん、何か悲鳴のようなのが聞こえたぞ」
    「えっ、もしかして、エルリスたち?」
    「かもな、ちょっと探しに・・・」
    「残念だが、そうはいかないみたいだぞ」
    サクヤの静かな声に扉から顔を戻すと部屋にあった3つのフルアーマーが
    まるで、操り人形のように動きだした。
    「リビングアーマーか」
    「銅像といい、コレといい厄介な物を置いとく物ね」
    「さっさと片付けるぞ」
    「おう!!」





    ズダンッ!!

    「イタタタッ、ここは?」
    「あう〜」                         
    壁に引き込まれた先は小さな部屋だった。
    本棚とクローゼットが1つずつと机、ベッドしか物が無く装飾も全く無い
    質素な部屋。
    扉さえも無いが、出たきた壁は先ほどと同じくまるで形を持った水のようだ。
    もしかしたら、ここから入ってきたわけだし、これが扉なのかもしれない。
    「なんだろう、ここ?」
    「・・・わかんない。でも」
    そういってセリスは机の上においてあった本を手にとって開く。
    「すごい!!これ、魔道書のオリジナルだよ」
    「じゃあ、ここの本って当時のものなのかしら」
    「うん、そうだと思う。
    ここの魔道士はこの部屋で魔道書を書いてたんじゃないかな?」
    じゃあ、ここにあるのって結構凄い物なんだ。
    「中身は?」                          『・・・・・!!』
    「ごめんなさい。
    難しくて簡単にしか訳せそうに無いや」              『・・・・!?』
    「まあ、仕方が無いか。
    とりあえず全部貰っちゃいましょ」               『・・・!!・・・!?』
    本棚の本は20冊。
    そして、机の1冊で21冊だ。                   『・・・・!!』
    半分以上ページを取られたが仕方ない。
    出口は予想通り来た所から出られた。
    仕掛けについてはセリスが触れたら入れたみたいだし、
    多分セリスに渡した指輪が関係してるのだろう。


    「遅れてごめ・・・」
    部屋の惨状を見た私たちは固まった。
    きれいに整理されてたはずの道具が散乱し、
    何故か壊れた鎧の欠片がいたるところに落ちている。
    その部屋の真ん中では3人がグッタリしていた。
    「ああ、お帰り。大丈夫だったか」
    「ええ。それよりこの惨状は・・・何?」
    よくみれば3人の姿もボロボロだ。
    「まあ、ちょっといろいろあってね。
    とりあえず、欲しいやつは大体持ってったから後は好きにしていいわ
    もう、ここで切り上げるし」
    「えっ、あっ、うん。分かった」
    こんなに疲労してるなんていったい何があったんだろ。
    セリスに選んでもらい、
    ページに入れれるだけ入れて私たちは魔術師の館を後にした。

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