Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■399 / 14階層)  蒼天の始まり 第7話、@
□投稿者/ マーク -(2006/10/11(Wed) 14:14:29)
    『再び』






    「「ただいま〜」」
    「ああ、お帰り」
    『お帰りなさい』
    「ただいま。お土産も買ってきたからね」
    「久しぶり〜、チェチリア、ケルス。ってアウラさん?」

    「いいところに帰って来たわ!!
    二人とも、もう一回あの館に付いて来て!!」
    「えっ、なんで?」
    「銅像に代わりがいたの。おかげで残りの魔法道具を
    取りにいけなかったんだけど。お願い!!」
    それは、少し不味い。もう少ししたら満月なのだ。
    「えっと、3日後なら良いですけど」
    「3日?早いほうがいいんだけど。
    まあ、準備とかも必要だし、帰ってきたばっかで休みたいもんね。
    分かったわ、3日後に、また来るから用意しといてね」
    キィィー。バタンッ!!
    アウラさんはその名の通り、まるで風のように去っていった。それにしても、
    「・・・またやるの?」
    はっきり言って命がいくつあっても足りない。




    「用意できたみたいね」
    「久しぶりだな」
    「おう、二人とも、元気にしてたか」
    「アウラさん、サクヤさん。こんにちわ」
    「おい、俺は無視か?」
    「あはははは、ルスランも久しぶり」
    「ああ、セリス久しぶりだな」
    「セリスに近づかないでくれない」
    「なんだ、嫉妬か?」
    ・・・・ボソッ
    「・・・万年発情期」
    「ガハッ!!」
    ルスランが私の呟いた言葉にダメージを受けて、跪く。
    ・・・なぜケルスがこの言葉でルスランと同じ反応をしてるのかは
    考えないようにしよう。
    「このバカは放って置いて頂戴」
    「そうする」
    「・・・」
    「サクヤさん、どうしました?」
    「その『さん』はやめてくれ。どうも、合わん。
    あと、その口調もだ。楽な喋り方でいい」
    「そうね、私も他人行儀で気が乗らないわ。
    もう、仲間なんだし。これからは呼び捨てで良いから」
    「分かった。じゃあ、これからよろしくね、アウラ、サクヤ」
    「ええ、よろしく」
    「よろしく」
    「おう、よろしくな〜」
    「へっ!?」
    「あっ!!」
    「何だコイツ?使い魔か?」
    「えっ、ええ。セリスの使い魔のマオよ」
    「へっ、へ〜、か、変わった使い魔ね」
    「なんだと〜」



    「は〜。また、やるのよね〜」
    館に着てみると確かに前に銅像のあったところに全く同一の銅像が立っていた。
    周りには前回の銅像の欠片が落ちているから別物ではあるらしい。
    「ゴーレムがどうかしたのか〜」
    「どうって、通るのを邪魔するんじゃない。
    それぐらいセリスの記憶にあったでしょ」
    「そうじゃなくてだな〜。
    もしかして、コイツを止めたいのか〜」
    「当然でしょ。なんでこんな面倒なことを2回も・・・」
    そういうと、マオは1人でゴーレムまで歩んでいった。
    ゴーレムが近づいたマオに反応を示すが、マオが呟いた聞きなれぬ
    言語によって、再び大人しくなった。

    「止めてやったぜ〜〜」
    「って、どうやったの?」
    ルスランたちも唖然としている。以前のあたしの苦労はどうなるの?
    「もっ、もしかして、あなた、この館の制御を司ってるの?」
    「そうだぜ〜」
    「えっとゴメン。どういうこと?」
    アウラだけはなにか分かってるみたい。
    「つまり、ある意味、マオがこの館の主であり、鍵でもあるのよ。
    この子がいればこの館の散策はかなり楽になるわ」
    「それって、魔法生物と戦わなくて良いってこと?」
    「残念だけど〜そこらにいる下級の奴は無理だぞ〜」
    使えるんだが使えないんだかハッキリしないわね。
    「まあ、これで、悩みの種は消えたわけだし、さっさと道具を回収しましょ」


    以前訪れた地下の宝物庫の途中にあった小部屋。
    私とセリスは再びここに訪れた。
    この部屋のことをルスランたちに話したらもう少し探すよういわれた。
    確かに前回は本棚の本を回収しただけで、この部屋のことはほとんど調べて
    いなかった。
    いくら殺風景といっても、机の引き出しやクローゼットなどには何か入っている
    だろう。
    手始めにクローゼットを探すといかにも『魔術師』といった服が入っていた。
    不思議と虫食いなんかも無くまるで新品同様、それでいて何年も使ったような年季を感じさせた。魔術師の服だし、おそらく何らかの魔術が施されているのだろう。
    コレは一応貰っておこう。あとは机の引き出しだが、鍵が掛かっていて空かなかった。しかも厄介なことに魔術の施錠のようだ。
    あっ、この部屋にはあの指輪で入れたんだから、もしかしたらコレも何か関係あるかも。
    「セリス、指輪を」
    「えっ、あっ、うん」
    セリスの指輪が引き出しに触れるが何も起きない。失敗か。
    「指輪じゃ駄目か」
    「なにやってんだ〜」
    「じゃあ、あんたがやってみなさいよ!!」
    「しょうがねいな〜。『祖は起源の探求者、師は生命の探究者、されど我は真理の探求者』
    開いたぜ〜」
    こっ、こいつ知ってたんじゃない!!
    そりゃついさっき、アウラからこいつが館の鍵だと聞いていたの忘れていた私も私だが、それを黙ってたマオもかなり性格が悪い。
    何でセリスの記憶と魂があるのにこんなに捻くれてるんだろ。
    そんなことを考えながら、解呪された引き出しを開ける。
    「これ・・・アーカイバだ」
    なかに入っていた本は私たちが持っているのとは多少違うが、紛れも無くアーカイバだった。魔科学品のほとんどが魔法文明の遺産を現代の技術で複製した物だ。
    だから、複製できない物もあれば、能力をかなり下げることでやっと作れる物や、全く同一の物を作れる物でABCという感じでアーティファクトは分けられる。
    あとは、完全に現代のオリジナルのものがDで、神話に名を残すような封印指定の存在がSにあげられる。だから、魔法文明時のアーカイバは十分普通なことだ。
    あえていうなら、セリスの分を買った直ぐ後に見つかったということが腹立しい。
    まあ、有って困るわけではないが、よく考えれば既に契約済みだろう。
    それでも、当時のなら売れるかも知れ無いし貰っておく。


    結局、小部屋からは他のものは見つからず宝物庫の残りを持ち帰るだけだったが、
    さすがに1日で帰るのも癪だったらしくもう少し散策することに決まった。
    そして今に至る。
    いるのは途中で見つけたある広い一室。
    その奥にあったのは広い広い大浴場だった。
    「お風呂場?」
    「なんで?」
    「まあ、昔の魔術師が暮らしてたわけだし、有り得ない訳ではないが」
    「・・・・入ろっか」
    「アウラ!?」
    「だって、こんなところでこんなの見つけたら入らなきゃ損よ。
    ここなら徘徊も来ないだろうし、見張りを置いとけば良いでしょ」
    「ええ〜。でも」
    確かに魅力的では有るが、違う意味で危険を感じる。とくに後ろの2匹から。
    「あっ、そっか。サクヤ、見張りお願いできる?
    そこの2匹、入ってきたら殺すからね」
    極上の笑みだが、声は間違いなく本気だ。
    「・・・ハイ」「クゥ〜ン・・・」
    ・・・コレなら大丈夫そうかな。


    「ふぅ、いい気持ち」
    「本当だね〜」
    サクヤの話だと、コレはサクヤたちの国、蓬莱に多くある、温泉という物らしい。
    詳しいことは分からなかったが、普通のものよりもかなり気持ち良い気がする。
    セリスとアウラ、マオも似た感じだ。
    はああ〜、いい気持ち。ん?
    「何?あの黒いモヤ」
    「何が?って!!ゴーストじゃない」
    「・・・ゴースト?」
    「えーと、亡霊のことよ。そんなに強くないけど、魔力でしか倒せないの。
    まあ、魔法が使えれば楽勝よ」
    「ふ〜ん。じゃあ・・・」
    「駄目だよ!!こんなとこで氷を使ったら風引いちゃう」
    「そっ、そっか、それならって、来た!!」
    剣が無いから、詠唱しても間に合うかどうか
    「クッ、なら!!」
    むんず!
    「んあ!?」
    「逝け、マオ!!!」
    ブォン!!
    マオの頭を掴み、力の限り投げつける。
    「うわぁぁ〜〜〜〜〜〜〜」
    ドゴン!!
    「グギャッ!!」
    オオォォォーーーン
    「マオ!?」
    「やったあ!!って、ヤバ!!!」
    エーテルの塊であるマオなら、ダメージを与えられると思ってやったが、
    それほど効いてはおらず、むしろ怒りや憎悪でさらに大きくなったみたい。
    真っ直ぐ私に向かってゴーストが迫ってくる。が、
    「消えろ!!」
    割って入ったサクヤの太刀によって霧散して消えた。
    そして、サクヤは勢いあまって浴槽に突っ込んだ。
    ああ、ビックリした。
    「ありがと、サクヤ」
    でも、助けてもらったとはいえ入浴中に入るなんてちょっと・・・・
    風呂場に飛び込んできたサクヤはその水浸しになった上着を脱ぐ。
    おかげで、サラシとサラシを巻いても分かる豊かな胸のふくらみが見えた。
    ん!?
    「って、ふくらみ?・・・・まさか・・・・・女の人〜〜〜〜〜〜〜!?」


    「どうした!!大丈夫か!?」
    「来んなって言ったでしょうが!!!!」
    むんず!!ブォン!!
    「うわぁぁ〜〜〜〜〜」
    「フギャッ!!!」
    ドタンッ!!
    どさくさ紛れて2匹が入って来ようとしたが、アウラが返り討ちにした。
    あとで、殺す・・・


    「やっぱり、気付いてなかったのね」
    確かに、サクヤは美形だけど、一人称が『俺』だし、話し方や仕草も男っぽかったから、てっきりそう思っていた。でも濡れた髪をおろしている今の姿なら女性に見える。まあ、おかげで裸を見られても気にならないけど。
    でも、これは普通、気付けないと思う。というか詐欺だ。
    そして、何より悲しいのはセリスは気付いてたということ。
    なんで、私だけ気付けなかったんだろう・・・・。
    ついでにいうと、ケルスとルスランは床でうなされている。
    一応忠告はしといたんだから、それでも入ってきた2匹が悪い。
    でも、純粋に心配して入ってきたとしたらちょっと可哀相だったかもしれないが
    普段が普段だし、仕方が無いだろう。



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