Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■392 / 7階層)  蒼天の始まり 第5話、B
□投稿者/ マーク -(2006/10/11(Wed) 14:03:07)
    『ゴーレム』

     
    結局、1度目は10日ほどで食料が無くなり引き返した。
    再び訪れてから3日目、やっと私たちは当たりを引けた。
    が、どうやら大物過ぎるようだ。
    目の前にいる無骨な鉄の銅像、それに対峙する私たちは
    はっきり言ってピンチだった。
    「オラッ!!」
    「ハアッ!!」
    ルスランとサクヤさんが猛然と切りかかるが、
    銅像は全く効いた様子は無く、その拳を振り上げた。
    「どいて、‘‘wind’’」
    アウラさんの魔術によって生み出された真空波が銅像へと向かう。

    ガンッ!ガンッ!!ガンッ!!!

    「駄目だわ、全然効いてない!」
    真空波は先ほどの剣戟と同様に軽く弾かれた。なら、
    「セイッ!!」
    剣に振るい、氷の塊を作り出し銅像へと撃ちだす。が!!
    「消えた!?」
    氷は当たる直前になにかに掻き消された。
    「まさか、氷に対する魔術耐性まで付いてるなんて無茶苦茶ね。
    この分だと他にも耐性有りそうだし・・・いったん引きましょ」
    みんなもこのまま勝てるとは思わないらしく、アウラさんの提案に黙って頷く。
    銅像は門番だったためか、私たちを追っては来ず、元いた場所に戻った。


    近くの部屋に入り、前衛にいた2人の手当てをする。
    それにしても参った。あの身体じゃセリスのメビウスもケルスの牙も
    効かないだろう。
    とすれば効くのは魔術だが、耐性があるらしくてどんな魔術が効くかも
    分からない。
    3人も同じ考えらしく、その表情は重かった。

    「さて、こうしてても仕方が無いし、あいつに対する対策を立てましょ」
    治療を終え、アウラさんが提案してきた。
    どうもこのパーティー、まるでアウラさんがリーダーのようだ。
    実際はルスランらしいが。
    「2人とも、何の魔術が使える?」
    ・・・必要なことだというは分かる。がこの質問、私とセリスにとってかなり
    痛い話だ。
    「私は氷以外は全くで、セリスは小さな魔術以外はほとんど使えないわ」
    「・・・・・・そう、参ったわね」
    「そういうアウラさんたちは?」
    「私は4大元素は全部使えるけど得意なのは風ね。
    でも、消されはしなかったけど、余り効いてはいなかったら駄目。
    サクヤのは攻撃には向いてないし、ルスランは問題外」
    どうやらまともに攻撃できるのはアウラさんのみらしい。
    そのうえ、得意の魔法がほとんど効かない。かなりシビアだ。
    「ちょっといい?」
    すると、今まで黙ってたセリスが口を挟んだ。
    「さっき見た時、お姉ちゃんの魔術
    全部消されてたわけじゃなかったみたい」
    「「どういうこと?」」
    「えっ、えっと、氷の中に一個だけ他とは違うところに向かったのがあって、
    それは消えずに当たったんだけど」
    私とアウラさんに同時に尋ねられてオドオドしながらセリスが答える。
    それにしても一つだけ消えなかったなんてどうしてだろう。
    「場所によって効かないことがある?・・・ということは部分的に耐性が?
    いえ、むしろそれなら耐性じゃなくて・・・なるほど、オリハルコンね」
    「オリ・・・?なんですか、ソレ?」
    「対魔力に優れた金属の一種よ。かなり強力で下級の魔族なら触れただけで
    消し去れるわ」
    「じゃあ、さっきのはそのオリハルコンによって消されたということなの?」
    「ええ、おそらくね。
    多分、全体に使ったら動かないから身体の一部にだけ使ってるんだわ」
    なるほど、セリスが言った時のはそのオリハルコンというのが無いところに
    当たったから消されなかったのか。
    なら、私の氷も場所によっては通じるわけだ。
    「じゃあ、他の部分は別の金属なんだよね」
    「そうね、オリハルコン以外の部分は硬度的にもミスリルだと思う」
    「ミスリルか。じゃあ、こんなのはどうかな」
    セリスは悪戯を思いついた子供のような楽しそうな顔で提案した。




    セリスが考えたアイディアを元に作戦を練り、隊形を決める。

    サクヤさん、ルスランが前衛。
    私とセリスが真ん中でケルスは後ろにいるアウラさんの守りだ。


    再びあの銅像の元へ来ると、銅像はこちらが近づくのを察知すると
    重そうな身体を軋ませ、動き出した。
    「二人とも、しくじるなよ!!」
    「「あんたもね!!」」
    あたしとアウラさんの声が重なり、それを聞くとルスランたちは
    銅像へと突っ込んでいった。

    ルスランたちが銅像を押さえる中、私とセリスは簡単な魔術で
    銅像を狙う。
    あくまでこれは何処がオリハルコンで何処がミスリルかを調べるためだ。
    出来る限り数を稼いで試せばいい。


    何度か放つ内に魔術の効く所を絞り込めた。
    アウラさんの詠唱も終わり、準備完了だ。
    「行くわよ!!``Flamme・Der Freischutz’’(焔・魔弾の射手)」
    E・Cを使って生み出した7本の炎の矢が全て銅像の胸の一点へと吸い込まれる。
    黒かった表面が熱により赤く染まり、表面が熔けかけている。
    銅像はそれでも動き続け、今は無き主の命令を守るため、前にいる二人に
    襲い掛かる。
    けど、コレで終わりだ。
    私はアウラさんの魔術が放たれると同時に駆け出していた。
    そして、装着した2つの氷のE・Cを開放しながら冷気を放出しているエレメンタルブレードを銅像の赤く染まった胸に目掛けて突き出す。
    「ハアッ!!」

    ガギンッ!!

    甲高い金属音と共に剣は銅像の胸へと深く突き刺さる。
    そして、そこから無数のヒビが広がった。

    ピシッ!ピシッピシッ!バキンッ!!!

    ヒビがある程度広がると銅像の体は一気に砕け、残った部分が音を立てて床に倒れこんだ。

    金属を高温で熱し、一気に冷やすことによって破壊する。
    コレがセリスのアイディアだった。
    ミスリルに通用するか不安だったのだがうまくいった。

    さてと、こんなのが守ってるなんていかにも何かありそうね。
    ん、なにコレ?銅像の破片の中に鉄の鈍い光とは違う何か輝く物が見えた。
    拾ってみるとソレは青い宝石のついた指輪だった。
    宝石の中には一本の黒い線が入っている。
    何でこんなのがあるか分からないけど貰っとこ。
    そうだ。後でセリスにプレゼントしよう。
    そう考え、指輪をポケットの中へと放り込んだ。


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