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■398 / 13階層)  蒼天の始まり 第6話、D
□投稿者/ マーク -(2006/10/11(Wed) 14:11:05)
    『図書館』






    「あう〜」
    駄目だ。脳が許容量オーバーでパンクしそう。
    普段やらないことだからかなりキツイ。
    いいじゃない!!勉強なんて出来なくたって!!!
    「エルリス、道端でぼやくな。みっともない」
    「ハイ」
    「セリス、いくら練習したいからといって
    こんなところで振り回すな」
    「は〜い」
    セリスはさっきから、メビウスの糸であや取りの様な事をしている。
    どうも、コレが先生に教えられたこと見たいだけど、
    遊んでいるようにしか見えない。
    セリスは先生に言われて渋々、メビウスをしまう。
    先生はやっぱり先生なんだな。と当たり前のことを思った。
    「さてと、二人ともこの宿に泊まれ。私も出来る限り夜には戻ってくる。
    あと、魔道書を渡す時にコレを図書館の者に渡すといい」
    「これ、手紙ですよね?中は?」
    「中身は私の紹介状だ。コレを渡せば図書館の魔道書を閲覧できる。
    ああ、忘れてた。私が飛空艇で見ていた本があったな。
    あれはお前たちが持っとけ」
    「えっ!!?そんなことしていいですか?」
    「本来は不味いのだが・・・内容が少々特殊でな。
    ここには置かず、二人が持ってた方がいい。
    いちおう、協団も強制だとは言ってないし、
    バレても今から持っていくところだと言い訳しとけばいいだろう」
    「・・・分かりました。あとの本は良いですよね」
    「ああ。まあ、バレはしないと思うが気をつけろよ」
    「ハイ」
    「うん!!」



    「すみません、魔道書の売却をしたいんですが」
    「こちらへ置き下さい」
    遺跡で見つけた20冊もの本を台に並べる。
    「あと、コレ」
    「・・・少々お待ちください」
    手紙を開け、受付の人は奥へ行き、数分たって戻ってきた。
    「どうぞ、こちらへ。案内致します」


    案内された部屋に並ぶ、本、本、本。
    これがすべて魔道書だというのだからとんでもない。
    「あいにくですが、ここの本は部屋の外には持ち出せませんが
    ご了承ください」
    「分かりました」
    「では、ごゆっくり」

    さて、突っ立ってても仕方ないし、手を動かそう。
    だが、調べるにしても私は基礎を少し学んだだけでまともには読めない。
    だから、それらしい題名や記述を探して、セリスのところに持っていくしかない。
    先生に少しは勉強しろといわれたがこのためだったんだ。
    探すのは、魔力、精霊に関する記述。
    その程度の単語はいくらか分かるので、それらの単語の書かれた題名の本を
    手当たり次第に探すしかない。
    私に出来ることがあまりにも簡単で、セリスに申し訳が立たない。
    もっとも、セリスは苦になるどころか、嬉々として魔道書を読んでいるが。


    コンコン!
    「あれ、なんだろ?」
    すべてセリスに任せるのも少々、情けないから、辞書を借りてきて
    少しづつ解読していたが、途中でドアのノックが聞こえてきた。
    「申し訳ありませんが、そろそろ閉館の時間です」
    この部屋には本の劣化を防ぐために、採光窓は小さく昼夜の区別がつき難かった。
    本に集中してて気付かなかったが、けっこう時間も経ったようだ。
    「セリス、もう時間だから本をかたづけよ」
    「えっ、もうそんな時間なんだ。早いな〜」
    「また明日も来れば良いでしょ」
    「そうだね」
    あ〜、なんか、セリスが生き生きしてる。
    もともと、セリスは勉強が得意だったし、
    暇があれば、お母さんの残した本を読んでいた。
    ほんと、私とは大違いだ。     



    図書館を出るともう日が暮れる間際だった。
    ちなみに売った魔道書は結構いい値段になったが、途中で寄った店で
    セリスの分のアーカイバ一冊とE・Cを買ったらほとんど飛んでしまった。
    収入はいいが、リスクは多いし、支出も大きい。
    あまり、お金になる仕事ではないみたい。
    食事も終えて先生に言われた宿の一室に戻ってくる。
    先生はまだ帰ってきていない。
    することも無く、発掘した魔法道具を整理する。
    ベアに鑑定して貰ったのは良いが、出るときに慌ててた為、
    適当にしまって詳細も聞いてなかったのだ。
    セリスは黙々と売らなかった魔道書を読んでいる。
    ほんとうにこの子ってなんというかマイペースね。
    「二人とも戻っているか?」
    「あっ、先生。お帰りなさい」
    「ん、ただいま。にしても、それが長所なのだが、
    セリスは1つのことに没頭すると周りが見えなくなるな」
    「そうですね」

    「どうだ、図書館は」
    「探してはいるんですけど、1人じゃ大変みたいです」
    「1人?2人の間違いじゃないのか?」
    「・・・私は読めないのを知ってると思うんですが?」
    嫌がらせだろうか?
    「ああ、違う、違う。マオがいるだろう」
    「えっ!?」
    「ん、だからマオならセリスの記憶があるのだから読めるはずだろう。
    駄目だったのか?」
    「いえ、気付いてませんでした」
    いや、確かに言われて見ればそうだ。けど、
    使い魔とはいえ、猫に負けてるようで泣きたくなってきた。
    「まあ、悔しいなら少しでも勉強しとけ」
    「・・・はい」
                       






    む〜、どうするかな。
    セリスとマオのおかげで魔道書のほうはかなり進んでいる。
    けど、私が解読したのなんて、ハッキリ言って雀の涙にもならない。
    塵も積もれば何とやらと言うけど、嘘だ。
    積もる前に風に吹き飛ばされてしまうんだから。
    まあ、何が言いたいかというと、私が解読したものの一部を間違って
    訳してて、やり直しになった。
    そんなわけで、私なんていてもいなくても変わりない。
    下手すれば邪魔になりかねない。
    だから、館内の本を見ることにした。
    とはいったものの、館内はかなり広い。
    しかも、様々なジャンルの本が並べられてて、料理のレシピの本だってある。
    えーと、エルフ・・・エルフっと。
    あった。

    森の妖精。世界樹の守護者。

    基本的に他種族に干渉を持たず、不干渉を決め込んだ状態で森の奥深くに
    作られた村で生活している。
    森の妖精と言われるだけあって、妖精の様に美しい容姿を皆がしており、
    その外見は最も美しい時を境として老いる事を止めるのだとか。
    また、精霊の扱いにも長けており、精霊魔法と呼ばれる精霊を使役する魔法の
    エキスパートでもある。
    森を汚される事を嫌い、一説によれば世界樹と呼ばれる始原の大樹を守護する
    役目を持たされていると言われる。
    ハイエルフ・エルフと、魔族に近いダークエルフ(その目的が魔族に近いだけで
    あり、霊的存在と言うわけではない)の
    三種族に大別すると分けられ、ハイエルフに寿命は存在しないと言われ、
    驚くほどの長寿。
    エルフもまた長寿で、4〜500年ほどは軽く生きるといわれる。
    ハーフエルフと呼ばれる人間との混血も稀にいるのだが、その場合、人間にも
    エルフ族にも虐げられると言う過酷な人生が待っている。
    外見的特長は人とほぼ同じだが、唯一、耳の形が人と異なる。
    また、ハーフエルフの容姿はその例に当てはまらず、精霊魔法の行使も不可能。



    ・・・・予想はしていたが、ハッキリとしたことは分かってないのが現状みたい。
    世界樹というのは聞いた事があるが、正確な場所どころかその真偽すら
    知られていない存在だ。
    やっぱり、エルフよりは王国の勇者を探したほうが楽そうだ。









    それから数日間、図書館に篭もったが大した成果は挙げられなかった。
    いろいろ調べた結果、セリスと同じように魔力の高い人物は存在したらしい。
    が、その魔力を完全に制御し何らかの偉業を遂げた者がほとんどだった。
    セリスはその制御が出来ないのだから手詰まりである。
    でも、逆に言えば制御さえ出来れば発作は何とかなるのだろう。
    それが分かっただけでも、一歩前進である。
    私のことはサッパリで唯一、エルフの記述にそれらしいことが
    書いてあったが、場所などについてはサッパリだった。
    結局、当初の予定通り、バルムンクを探すほか無い。
    「本当にもう良いのか?」
    「これ以上いても成果はないだろうし、
    必要なら今度は自分たちで来ますから」
    「そうか。ああ、先に言っておくが帰りは飛空艇ではなく列車だ」
    「「えええ〜」」
    「仕方が無かろう。飛空艇は今ごろ、『ヴァルフダリス』を飛んでいる頃だ。半月ほど待つのなら別だがな」
    そんなぁ、楽しみにしてたのに〜


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