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■387 / 2階層)  蒼天の始まり 第二話後編
□投稿者/ マーク -(2006/10/11(Wed) 13:54:19)

    謎解き (後編)





    「あう〜〜」
    セリスがうなっているのも無理はない。
    3時間以上探しても全く手がかりが掴めなかった。
    天使の像は有ったけど2つしかなく、『囲まれた』というのに
    当てはまらない。まあ、一応調べたが、何も無かった。
    後は本棚だが、天使の本はあらかた調べたが手紙なんて無かった。
    天使って一体何のことなのよ!!
    そう心の中で愚痴りながら先ほど調べていた1冊の本を開いた。
    堕天使について。っと。



    堕天使 ルシファー

    熾天使の上に創られた天使として最高位にあり、熾天使を統括する
    指導者でも有った。
    六枚の羽を持つ熾天使の倍の十二枚の翼を備えていたとされる。


    開いたページに書かれた内容の一部を見て私は閃いた。
    天使って、もしかしてこういう意味?
    思いついた考えを確かめるべく、私は再び棚を回った。

    「お姉ちゃん、何か分かったの?」
    「ええ、すべて分かったわセリス」
    「ホント!?どこなの!?」
    「すこし、落ち着きなさい」
    「うん」

    「まず、これを見て」
    そういって私はさっき見たページを見せる。
    別に、謎解きを教える必要は無いけど、セリスは全く分からなくて
    悔しかったらしく
    素直に私の言うことに従い、本を見た。
    「これが何?」
    「おそらく、天使と堕天使ってのは熾天使とルシファーのことを
    言ってるの」
    「なるほど、それで?」
    「天使の象徴は羽、さらにこの2つは羽が複数あるわ。
    おそらく天使は羽の枚数を意味してるんだわ。
    熾天使は6枚で四方を囲うとなれば6×4で24、
    さらに中央の堕天使その倍の12で36ね。
    調べてみたら棚の数は36。さらに、棚の形も一致しているわ。
    つまり羽はこの棚。囲まれた堕天使の背中とはこの部屋の真ん中であるここのことよ」
    「すごい!!」
    「ふふふ、私にかかればこんなもんよ」
    「でも、何も無いよね」
    「えっ、えーと。多分何かしかけが有るとは思うけど」
    そういって、床を触ると何か細い物に触れた。
    ビンゴッ!!
    心の中でそう叫ぶ。
    見えるか見えないか程度の細さのかなり丈夫な糸だ、
    念のため隣の棚にあった特殊な繊維の手袋をはめ、
    細い糸を引っ張ると床の木が外れた。
    外れた床の木を退かして中を見るとひとつの大きなカバンがあった。
    カバンを取り出し、開けてみる、
    「あった!!!」
    私はおもわず、声を上げた。
    そこには私の探し物が2つとも入っていたのだ。
    入っていたものは手紙と丸い何かの魔法道具と思われるもの、
    そして、美しい剣だった。

    『エレメンタルブレード』

    お父さんの使っていた剣の中で、私がもっとも気に入っていた剣である。
    まだ幼かったころ父に一度だけ見せて貰い、欲しいとせがって父を困らせてしまった。
    先ほども、好きに持っていって構わないと聞き真っ先に探したのだが。

    セリスの方を見ると丸い何かが気になったらしく、手にとって調べていた。
    「セリス、どう?」
    「う〜ん、これ武器みたいなんだけど」
    「武器?」
    セリスの手の中にあるものはとてもじゃないが武器には見えない。
    「ちょっと見てて」
    セリスはそういって溝の間にあった細い糸の先についていたリングを
    指にはめて、それを飛ばした、するとそれは、地下倉庫の壁にめり込んだ。
    「すごい!!」
    確かにこれならば、ちゃんと当てられれば十分、武器になるだろう。けど、
    「これどうする気?」
    壊れた壁を指差しながら、セリスを睨む。
    「え〜と、凹ますだけのつもりだったんだけど・・・。ごめんなさい」
    流石に、倉庫に穴あけたままにするわけにいかないだろう。
    だが、倉庫を人に見せるわけにも行かないから、
    当然、応急処置だけにするにしても自分たちでやらなければならないことになる。
    まあ、荷物とかも揃えないといけないし、
    旅立ちはもう少し先になりそうである。



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