Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■394 / 9階層)  蒼天の始まり 第6話、@
□投稿者/ マーク -(2006/10/11(Wed) 14:06:04)
    『先生』



    「「ただいま〜」」
    来て一ヶ月も経たない新しい家。
    しかも居たのなんてほんの数日なのにこの言葉がすんなりと出てきた。
    「ああ、お帰り」
    ‘‘お帰りなさい”
    セリスと二人っきりで暮らしてたし、出かけるのもだいたい二人一緒だったから
    帰ってきて『お帰り』なんていわれるのはかなり久しぶりだ。
    「意外と早かったな、ルスランたちは?」
    「今日は疲れたから明日来るって」
    「そうか。で、何か見つけたか?」
    「うん!!魔法道具と魔法文明時の魔道書だよ」
    「当時の魔道書なんて良く残ってたな。
    鑑定してやるから、その間に飯でも食ってろ」
    「分かったわ。はい」
    アーカイバを取り出し、前の方のぺージの荷物を『解凍』していく。
    全部出し終え、既にカウンターにいるセリスの隣の席に座り、
    チェチリアの料理を待つ。
    遺跡の中ではちゃんとした料理を食べれなかったから、
    こういう料理は久しぶりだ。

    おいしい。
    チェチリアの料理は本当においしい。
    この店がつぶれないのはチェチリアの料理のおかげではないかと
    本気で思ったほどだ。
    あとでレシピを教えてもらおうかな。


    「失礼」
    食事を終え、セリスがデザートに挑んでる途中、店に入ってきた。
    何気なくその人物に眼を向けると、
    そこにいたのは20台半ばか後半ほどの美女といっても
    差し支えない人物。
    私にはその女性に見覚えがあった。だって、この人は・・・
    「「先生!?」」
    「あら、エルリスにセリス。やっぱり、ここにいたのね。
    久しぶりだな、ベア。ところで誰だ、その娘は?
    以前から疑ってはいたがまさか、本当に・・・『ロ』だったのか」

    ピキッ!!
    一瞬、世界が凍った。もっとも、セリスとチェチリアは『?』を浮かべているが。
    「・・・・ふざけんなーーーーーーー!!!!!!!」
    ベアが吼える。どうも、この二人は顔見知りのようだ。
    二人ともお父さんたちの知り合いだからありえないわけでもないのだが。
    「ねえ、お姉ちゃん。『ロ』って何?」
    ‘‘なんですか?’’
    ・・・ごめん。私からそんなことはいえない。
    『?』を浮かべている二人をぎゅっと抱きしめる。
    「・・・・・・いいの。二人はそんなこと知らなくていいの。
    二人は純粋なままでいて。
    でも、ベアに気を許しちゃ駄目よ。食べられちゃうから」
    「食べられる?」
    「エルリスーー!!!」



    その後、状況は先生とベアによる乱闘にまで発展し、
    危険と判断した私たちはすぐさま外に避難した。
    近所の人は事情を知っているらしく、なぜか集まってきた。
    話を聞くと、この騒動は以前から良く起きてたものらしく、
    ここ数年はなかったらしい。が、そのせいでかなりの人だかりが出来ている。
    曰く、「美女と野獣の大喧嘩」らしい。
    しかも、一部の人は賭け事までやっていて、
    見た感じ6:4位で先生が優勢だったりした。


    中の騒ぎが収まり、店の中に入って眼に入ったのは
    息切れをしたベアと先生、そしてかなり悲惨な状態の店内だった。
    見た感じベアの息のほうが荒いから勝ったのは先生だろう。
    外の人に報告しなきゃ。
    にしても、この店内は誰がかたづけるんだろ?
    「ゼイッ、ゼイッ、で何のようだ?」
    「ずいぶん鈍ってるようだな。
    別に用など無い。ただ通りかかったから顔出しただけさ」
    「・・・・・帰れ」
    「あ〜、分かった分かった。一晩泊まっていく、
    それならよかろう」
    「ふん。でなんだ?また召集か?」
    「ああ。最近、顔出してなかったからな。流石にそろそろ出ないと不味い」
    「それなら、2人も連れてってくれ、当時の魔道書を見つけてきたから
    どうせ行かなきゃならん」
    「当時の?へえ、やるじゃないか」
    「で、どうだ」
    「分かった、その代わり宿代はタダだ」
    「むっ、・・・しかたがない。いいだろう」
    「ちょっと待って。なんの話?」
    近所の人に勝敗を教えると、かなり大騒ぎになった。
    ちなみに私もちゃっかり先生に賭けてたりした。
    思わぬ臨時収入だ。
    「ああ、魔法文明時の魔道書は原則的に学園都市の中央図書館に
    納めることになってるんだ。むろん報酬はでるぞ」
    「・・・分かったわ。でも、何で先生が学園都市に関係あるの?」
    「先生?コイツが?似合わんな」
    「あんたよりはマシ」
    「ふん、コイツはこう見えても学園都市出身の魔術師、しかも最高位のウロボロスの1人だぞ」
    ウッ、ウロボロスっていえば、先生から聞いた学園都市の魔術師のなかでも、
    エリート中のエリートに与えられる称号だ。
    ここ数年でこれに当てはまったのは、若干14,5歳の若さで炎の魔術をすべて習得したという少女、
    ただ1人だという。
    「えっと、本当ですか?」
    「ええ。証拠見る?」
    先生は服のポケットから銀色の懐中時計を取り出した。
    時計の表には自らの尾を咥えた竜のレリーフが彫られている。
    「ウロボロスの証の銀時計よ」
    それが本物かどうかは私には分からない。が、ここまで言うのなら、本物だろう。
    「でも、なんでスノウライトみたいな田舎で先生を?」
    「まあ、いろいろとね。
    そういうことは余り詮索するモンじゃないわよ」
    「・・・はい」
    まあ、私だって人には言えない事なんていくらでもあるし。
    たしかに人にはいろいろ事情があるもんね。
    「二人とも、それでいいな」
    「いいわよ。どうせ行かなきゃならないみたいだし、中央図書館にも興味はあるから」
    「じゃあ、二人とも、戻ってきたばかりなんでしょ。
    明日は早いからさっさと休んだら?」
    「「は〜い」」





    「それにしても、驚いちゃったね」
    「うん、まさか先生がそんな凄い人だったなんて」
    妙にいろいろと詳しいと思ったら、学園出身だったんだ。
    「・・・学園都市か」
    「どんなんだろうね」
    「さあね。でも、中央図書館の本は調べておかなきゃ。
    セリスのことが分かるかもしれない」
    「お姉ちゃんのこともね」
    ふぁ〜。まだ、夕方だけど部屋の戻ったら緊張が解けて疲れが出てきたらしい。
    お腹もいっぱいだし、起きてるのが少々きつい。
    どうやら、セリスも同じようで、欠伸をしている。
    明日は早いらしいし、もう寝ちゃうか。
    「ふあ〜。お休み、セリス」
    「うん、お姉ちゃん。お休み〜」







    「・・・なんで、十年も経ってラウルがあいつらを寄越したか不思議だったが
    お前が隠してたのか」
    「まあね、あの二人に頼まれたら嫌とはいえないでしょ?」
    「だろうな。だが、いかに稀代の結界士といえど、十年間、結界を維持するのがやっとか。
    いや、むしろ、良く十年も持たせた物だ」
    「私が創った最高の結界よ。当然だわ」
    「そうか、相変わらずだな。・・・・・・最近の王国の情勢がおかしい。
    学園都市のギルドと教会は犬猿の仲だ。だというのに、王国所属の
    協団の魔道士が王国内と学園都市の一部で一緒いるのが見かけられるそうだ。
    どうも、きなくさい。気をつけろよ」
    「・・・情報ありがと。気が向いたら調べておくわ。じゃあ、お休み」
    「ああ」



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