Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■391 / 6階層)  蒼天の始まり 第5話、A
□投稿者/ マーク -(2006/10/11(Wed) 14:01:40)
    2005/01/29(Sat) 23:01:16 編集(投稿者)

    『遺跡』



    「はあ〜」
    「疲れた〜」
    「まあ、初めはそんなものよ。そろそろ休みましょ」
    「そうだな、ちょっと早いがそろそろいい時間だ。
    敵もいないみたいだから今日はここで休もう。
    いいよな、サクヤ」
    「別段、異論はない」
    ここは、レムリアから離れたところに位置する最近見つかったという
    魔法文明時の魔術師の館だ。
    もっとも、広さ的には館というよりもむしろ城だ。
    遺跡というから洞窟にでも潜るのかと思ったら違った。
    もっとも、洞窟などのほうが今になって見つかることは多いらしいから
    今回が特別らしい。
    そして、一緒にいるのはベアに紹介された人たち、
    最初に喋った女性はアウラ・ヴァレンティン。
    次に喋った金髪の男がベアの言ってたルスラン・ヴィグム・ゴールドマン。
    ベアが不安げだった理由がよ〜く分かる。
    そして、最後のサクヤと呼ばれた黒髪の人物はサクヤ・コノハナ。
    変わった名前だがどことなく、ミコトの名前と似た感じだと思ったら、
    世界は狭い。なんとミコトの親族だそうだ。
    ミコトが時々レムリアに来ていたのもサクヤさんに会いに来てたらしい。
    そして、私とセリスとケルスの5人と一匹で館を散策していた。
    途中、館の中を徘徊していた魔法生物とは何度か遭遇したが、
    そのたびに、この三人の実力は素人目に見ても凄いと思う。
    しかも、経験も多く、動きが手馴れている。


    今回は館だから敵はほぼ、魔法生物だけだ。魔法生物はあくまで
    徘徊中に遭遇した侵入者を倒す命令を製作者から受けているだけで、
    わざわざ部屋までは入ってこない。
    だから、部屋に入れば、襲われる心配はまず無いらしい。
    けれど、洞窟みたいな所だと、魔法生物だけでなく、野生の魔獣なんかも
    巣食っているうえ、このようなちゃんとした部屋なんかもあるはずも無く、
    ほとんど場合はゆっくり休むことも出来ないのだと。
    簡単だと思っていたわけではないが、
    今更ながら、結構大変な仕事だと実感している。
    とりあえず、今のところは館を回りながら、一つ一つ部屋や廊下を調べている。
    こういう、魔術師の館は、いたる所に隠し扉などの仕掛けが施されていて、
    遺産はほとんど、その奥に隠されているらしい。
    つまり、うちの地下倉庫と同じだ。
    今のところ、めぼしい物はゼロ。
    隠し扉は3つほど見つけたが全部、荒らされた後だった。
    でも、ベアはここからはまだ、大物は見つかってないと言ってたから、
    まだ何か残っているはずだそうだ。
    まあ、結局根気良く調べていくしかないわけだ。厄介な物である。



    「ふう」
    部屋の床に腰を落とし、カバンから一冊の本を取り出す。
    三人も似たような物を荷物から取り出していた。
    実はコレ、本ではなく、れっきとした魔科学の産物である。
    名はアーカイバいうものでちょっと前から実用化されたものだ。
    おそらく最も実用的な魔科学品の一つだろう。
    機能は収納。手で持った物をアーカイバのページの中に入れて
    出し入れすることができる。
    簡単に言えば、持ち運べる倉庫のようなものだ。
    コレのおかげで近年では荷物の持ち運びがとても楽になった。
    しかも、時間の流れが違うらしくナマモノを入れても大丈夫だ。
    基本的には中身を出すのに少々時間が掛かるため、普段なら良いが
    戦闘中なら致命的な隙になるから使わない物だけを入れる。
    問題は一般で持ってるようなのは40ページぐらいしかページが無く、
    ひとつのページに入れられるのは1つだという事。
    複数を一緒に入れることも出来る。が、物や場合によって、
    どちらか一方が一生取り出せなくなることもあるから、
    あまリやらないほうがいい。
    あと、もう1つ重要なのは、持てるのは2冊までということ。
    これは使う際に刻印が必要でその刻印が1つの腕に1つしかつけられないから
    らしい。
    だから、腕一本につき一冊が限度で、普通は2冊までしか持てない。
    もっともコレの原理については良く分からないのが現状なんだけど。
    そして、生き物は収容できないし、ページに区別がつかなかったりするのも
    難点だ。
    さらに言えば値段もけっこうする。これも、地下倉庫の品だ。

    アーカイバの後ろの方のページを開き、中身を取り出す。
    取り出したのは袋に包んだサンドイッチと水筒だ。
    あいにく、アーカイバは1つしかなく、これは私とセリスの2人分だ。
    他の人を見るとアウラさんは同じようにサンドイッチ、
    ルスランはただのパン、
    サクヤさんはお米を固めたオニギリというやつだ。
    ルスランのだけなんか寂しいけど気にしないで置こう。

    全員食べ終わり、情報交換も終えて一息ついている。
    窓の外はずいぶん前から真っ暗だ。
    遺跡内では夜は余り動けないので朝早くから行動しなきゃならないから
    まだ早いけど、そろそろ眠るらしい。
    「さてと、ベッドをどうするかだけど」
    アウラさんが優雅にベッドに腰掛けて口を開いた。
    部屋には大きなベッドが一つしか置いてないが、
    2人か3人なら寝れるかな?
    「オレは床で構わん、そちらで使え」
    「じゃあ、俺と」
    「それじゃ、私とエルリスとセリスで決まりね。見張りよろしく♪」
    「ちょっと待て、勝手に決めるな!!」
    「なによ。かわいい後輩に譲ろうという気は無いの?」
    「いや、だからお前が退け」
    「あんたなんかと、この二人を一緒に寝させられるわけないでしょ!!
    むしろ、同じ部屋にいることさえ許しがたいのに!!」
    「グハッ!!そこまで言うか!?俺がいったい何をした?」
    「自分の心に聞いてみたら?身に覚えが無いなら重傷よ」
    「グッ!!なら二人はどうだ?」
    「絶対イヤ!!」「ゴメン、ヤダ」
    言うや否や、二人して速攻で答える。
    普通はそうだろ。
    というか飢えた狼の傍で寝たいやつなんていないと思う。
    まあ、ルスランのいってることは場を和ませる?冗談だと思うけど。
    最初に紹介されたときからこんな感じだし、ルスランもコレがなければ
    少しは尊敬できたのに。
    「まあ、当然の結果ね」
    「コンチクショーッ!!」
    「やかましい」
    「グベッ!?」
    サクヤさんがルスランを実力行使で黙らせる。
    気絶しているルスラン以外はいたって平然としている。
    ああ、これがこの3人の日常なんだ。大変だなあ。
    なんとなく2人の苦労を悟ってしまった。


    ちなみに、何故かケルスが布団にもぐりこもうとしたのをアウラさんに
    問答無用でルスランのところへ放り投げられた。
    アウラさん曰く、ルスランと同じ匂いがしたらしい。
    ケルスとルスランが同類か・・・うっわ〜〜〜



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